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任意整理は2回目もできる?注意点や失敗しないためのポイントとは

任意整理は2回目もできる?注意点や失敗しないためのポイントとは
監修奥野 正智 / ウイズユー司法書士事務所 代表

平成16年司法書士登録。平成26年にウイズユー司法書士事務所を開設。債務整理に専門特化した事務所を運営し、「お客様を笑顔にできる事務所」を目指す。任意整理、個人再生、自己破産の取り扱い実績は国内でも有数。

平成16年司法書士登録。平成26年にウイズユー司法書士事務所を開設。債務整理に専門特化した事務所を運営し、「お客様を笑顔にできる事務所」を目指す。任意整理、個人再生、自己破産の取り扱い実績は国内でも有数。

この記事でわかること
  • 2回目の任意整理は理論上はである
  • 同じ債権者と再和解をする場合は和解条件が厳しくなりがちである
  • 追加介入する場合は担保物件や保証人に注意する必要がある
  • 借金問題を根本解決するためには弁護士・司法書士のサポートが重要となる

任意整理で借金を減額しても、その後の返済が苦しくなってしまうことは少なくありません。任意整理後に再び借金を作ってしまい、返せなくなってしまうこともあるでしょう。

このように、いったん任意整理をした後の借金について、2回目の任意整理はできるのでしょうか。

結論をいいますと、任意整理は債権者と任意に交渉する手続きなので、債権者の合意が得られるのであれば2回目の任意整理も可能です。

ただし、1回目の任意整理よりは交渉が難しくなり、失敗に終わるケースもあることに注意が必要です。

この記事では、2回目の任意整理が必要となるパターンをご紹介した上で、2回目の任意整理をするときの注意点や失敗しないためのポイントをパターン別に解説していきます。

どうしても2回目の任意整理で解決できない場合の対処法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

任意整理は2回目もできる?

任意整理に回数制限はないので、2回目の任意整理も可能です。

任意整理とは、債権者と直接交渉し、今後の返済額や返済方法を変更する和解契約を結ぶ手続きです。

この点、自己破産や個人再生は法律に従って強制的に借金を減免する手続きであることから、1回目の免責から7年が経過しなければ2回目の免責が認められないことがあります。

それに対し、任意整理は法律に定めのない任意の手続きであることから、このような制限は一切ありません。理論上は、2回目のみならず3回目、4回目と無制限に行うことも可能です。

2回目の任意整理が必要となる3つのパターン

2回目の任意整理が可能であるとはいっても、1回目の任意整理と同じように借金を減らせるとは限りません。2回目になると債権者の対応が厳しくなり、任意整理に失敗してしまうこともあります。

2回目の任意整理が必要となるケースには、以下の3つのパターンがあります。パターンごとに異なる注意点がありますので、まずはご自身のケースがどのパターンに該当するのかを確認しておきましょう。

同じ債権者と再和解をする場合

1つめのパターンは、一度任意整理をしたものの、和解後の返済が途中で苦しくなり、改めて債権者と交渉して和解し直すケースです。

このように、任意整理した借金を完済する前に同じ債権者と交渉し直し、新たな条件で再び和解することを「再和解」といいます。

任意整理後、通常は2回以上滞納すると残高に遅延損害金を加算して一括返済を請求されます。その後も滞納を続けると債権者から裁判を起こされ、最終的には給料や預金口座を差し押さえられてしまいます。

再び分割での返済を認めてもらうためには、債権者と再和解をする必要があるのです。

再和解に加えて追加介入をする場合

2つめのパターンも任意整理の和解後の返済が途中で苦しくなるケースですが、同じ債権者との再和解に加えて、1回目の手続きで対象外とした債権者を追加して任意整理をすることがあります。

このように、いったん任意整理をした後に手続きの対象とする債権者を追加することを「追加介入」いいます。

追加介入のみを行う場合は1回目の任意整理の続きとなりますが、再和解と追加介入を併せて行うときは2回目の任意整理として考えた方がよいでしょう。

任意整理した借金を完済後に再び借金を作った場合

3つめのパターンは、任意整理した借金をいったん完済したものの、その後に再び借金を抱えて返済できなくなり、再度の任意整理をするケースです。

任意整理をするとブラックリストに登録されるため、新たな借入をすることは難しくなります。しかし、5年が経過すると借入を利用できるようになるので、再び借金を抱えて返済に苦しむ人は決して少なくありません。

2回目の任意整理で再和解をするときの注意点

・貸金業者から訴訟提起される可能性が高くなる
・貸金業者から早期の再和解提案を求められることが多い

2回目の任意整理をするときは、1回目の任意整理とは異なる点に注意が必要となります。

2回目の任意整理で、1回目の任意整理と同じ債権者と再和解をする場合に注意すべきポイントは、以下のとおりです。

和解条件は厳しくなることが多い

再和解の相手となる債権者とはすでに任意整理をしていますから、基本的には将来利息は既に免除されていて、返済期間も上限まで延長されていることが多いものです。そういった場合には、2回目の任意整理では債権者に譲歩してもらう余地が残っていません。

やむを得ない事情がある場合などでは、債権者が特別な配慮で返済期間をさらに延長してくれることもありますが、その場合でも元本の減額に応じてもらえることはほとんどありません。

さらに、滞納によって遅延損害金が加算されている場合には、1回目の任意整理よりも返済額が増えてしまうこともあります。

再和解を希望する場合は、遅延損害金が高額とならないうちに、早めに手続きをすることが重要となります。

再和解に応じない債権者もいる

とはいえ、1回目の和解から間もない時期に再和解を申し出ても、債権者が応じないことがあります。一般的に、1回目の和解から6ヶ月以内は、再和解に応じてもらうことは難しいといわざるを得ません。

会社の方針として任意整理に一切応じない債権者は、ごくわずかしかいません。しかし、交渉に応じる債権者であっても、当初の和解条件を守らず返済しなくなった債務者に対しては、厳しい態度を示す可能性が十分にあります。

再和解で解決できるのは、一時的な事情で収入が減少したり、支出が増大したりして返済できなくなったものの、分割払いを再開できれば返済を継続できるようなケースに限られるかもしれません。

2回目の任意整理で追加介入をするときの注意点

再和解だけでは解決が難しい場合でも、追加介入と組み合わせれば解決できる可能性があります。

追加介入の対象となる債権者とは「1回目の任意整理」となりますので、交渉する上で特に支障となることことはありません。ただし、追加介入をするときは以下の点に注意が必要です。

担保に入れた財産を失うことがある

1回目の任意整理で一部の債権者を除外した場合には、自動車ローンや保証人付きの借金のように、担保が付いている借金を除外していることが多いことでしょう。

ローンで購入した商品に担保が付いている場合、そのローン会社について追加介入すると、商品を引き揚げられてしまいます。

例えば、信販系のオートローンで自動車を購入した場合、ローンを完済するまで自動車の所有権はローン会社に留保されています。そのため、そのローン会社について追加介入すると、ローン会社が自動車を引き揚げて売却し、残高の返済に充てるのです。

その他にも、貴金属やブランド品、パソコン、大型家電など高価で換金価値のある商品をショッピングローンで購入した場合には、追加介入によって商品が引き揚げられる可能性があります。

保証人が請求を受ける

保証人が付いている借金について追加介入すると、保証人がその債権者から返済請求を受けてしまいます。

主債務者が契約どおりに返済せず任意整理をする以上は、保証人への請求を回避することはできません。支払えない場合には、保証人にも債務整理を検討してもらう必要があるでしょう。

借金があまり減らないこともある

オートローンやその他のショッピングローンは、消費者金融からの借金やクレジットカードのキャッシングの金利よりも低く設定されています。事業性のローンなどは保証人が付いていることが多いですが、やはり金利は低いものです。

任意整理で減額できるのは原則として将来利息だけですので、もともと金利の低いローンや借金を任意整理しても、あまり減額されません。

とはいえ、追加介入をすれば少しは返済額が減り、返済期間を延長してもらえる可能性もあります。

追加介入をする際には、毎月の返済額をどれくらい減らせるのかを事前に試算してみることが重要です。

完済後に再び作った借金で2回目の任意整理をするときの注意点

完済後に再び作ったというケースでは、多くの場合、1回目の任意整理で和解した債権者とは別の債権者から借りているはずです。

なぜなら、信用情報機関の事故情報(ブラック情報)が削除された後も、一度債務整理した債権者の社内データにはブラック情報が残るため、通常は再び融資を申し込んでも断られるからです。このことを「社内ブラック」といいます。

2回目の任意整理で相手となる債権者が、1回目の任意整理で和解した債権者とは別の債権者ばかりである場合は、実質的には1回目の任意整理と同じ状況です。交渉する上で、特に支障となることはありません。

前回と同じ債権者がいる場合も和解できる?

社内ブラックの取り扱いは、会社によって異なります。

大手消費者金融では半永久的に社内データを管理することが多いため、一度債務整理をすると二度と取引できなくなる可能性が高いといわれています。

しかし、中小規模の貸金業者では社内データを10年程度しか保管していないところもあるようです。社内データが残っていたとしても、一度債務整理をした債務者からの融資の申込みに応じるかどうかは、各社の判断次第です。そのため、実際には、任意整理をした債権者から完済後に再び借金をしているケースも少なくありません。

また、クレジットカード会社の一部は、一度債務整理をした人に対しても、比較的柔軟にクレジットカードを発行することもあるようです。

その結果、1回目の任意整理の対象とした債権者が、2回目の任意整理の対象となることも多々あります。

前回と同じ債権者との関係では、2回目の任意整理は「再和解」となります。したがって、再和解のケースと同じ点に注意しなければなりません。つまり、和解条件は厳しくなりがちで、中には再和解に応じない債権者もいるということです。

任意整理で根本解決が可能か?

2回目の任意整理で再和解となる債権者が含まれている場合はもちろんのこと、別の債権者ばかりである場合も、任意整理で借金問題を根本的に解決できるのかどうかを検討してみる必要があるでしょう。

1回目の任意整理で完済したとはいえ、再び借金を抱えるということは、経済状況に問題があると考えられます。任意整理後の返済は通常3~5年続きますので、その間は経済的に余裕のない生活を送っていたことでしょう。

そういった状況で借金問題が再燃したのであれば、今回は他の債務整理で根本的に借金問題を解決し、経済生活を立て直した方がよいのかもしれません。

2回目の任意整理で失敗しないためのポイント

2回目の任意整理が必要となったということは、1回目の任意整理で根本的には借金問題を解決できなかったということを意味します。今度こそ失敗しないためには、以下のポイントに注意しましょう。

今回は完済できるように、毎月の支払いを確実に行えるように少しでも余裕のある返済案を立てる

1回目で失敗した原因を把握する

まずは、1回目の任意整理で失敗した原因を探ることが大切です。

よくある失敗のパターンは、ギリギリ返済できる条件で和解してしまったというケースです。頑張って返済を開始したものの、途中で苦しくなって滞納してしまうということがよくあります。何とか完済したしても、経済的に余裕のない生活を続けているために、再び借金してしまうということもあるでしょう。

生活費は必ずかかりますし、人の経済状況は様々な事情で変動するものです。そのため、任意整理では、ある程度の余裕持ちながら返済できる条件で和解することが重要です。

家計の収支を見直す

1回目の任意整理では、「毎月の返済額をこれくらいまで減らせば、返済していけるだろう」という点を検討するだけで和解する人も多いものです。

それで順調に完済できれば問題ありませんが、失敗した場合には、2回目の任意整理では家計の収支を厳しく見直して返済資金を確保する必要があるといえます。

浪費を控えるのは当然のこととして、家賃や車の維持費用、通信費、保険、その他のサブスク料金を削減することができれば、効果的に返済資金を増やすことが可能です。

さらに必要に応じて、以下のようにして返済資金を増やすことを考えてみるのもよいでしょう。

  • 残業を増やす
  • 副業をする
  • 配偶者や子どもにも働いてもらう
  • 親族に援助を依頼する

債務整理に強い弁護士・司法書士を選ぶ

2回目の任意整理では特に、債務整理に強い弁護士・司法書士を選んで依頼することが重要となります。

1回目の任意整理を自分で行ったか、債務整理に詳しくない弁護士・司法書士に依頼して行った場合には、不利な和解条件を押しつけられている可能性があります。その場合には、債務整理に強い弁護士・司法書士が対応することで、さらなる譲歩を引き出すことが期待できます。

2回目の任意整理で解決できないときの対処法

任意整理は借金の減額効果が限定的であるため、事案によっては、どうしても2回目の任意整理では解決できないこともあります。

そんなときは、以下のように他の債務整理で解決を図ることになります。

個人再生に切り替える

個人再生では、借金総額を原則的に5分の1~10分の1にまで減らすことが可能です。一定の条件を満たせば、裁判所の決定によって強制的に借金が減額されます。

個人再生を利用するには、減額後の借金を3年~5年で完済できるだけの安定収入が必要です。とはいえ、任意整理よりも大幅に借金が減額されますので、安定収入があれば多くの場合は個人再生で解決が可能です。

自己破産に切り替える

自己破産では、一定の条件を満たせばすべての借金の返済義務が免除されます。返済する必要がなくなるので、収入が少ない人や無収入の人も利用可能です。

ただし、借金で浪費やギャンブルをした場合など「免責不許可事由」がある場合には、返済義務が免除されず、借金が残ってしまうこともあります。しかし、裁判所の裁量による免責が許可される可能性も十分にありますので、免責不許可事由があっても自己破産を検討する価値はあります。

任意整理で困ったら債務整理に強い弁護士・司法書士に相談を

2回目の任意整理が必要となった場合をはじめとして、任意整理で困ったときには債務整理に強い弁護士・司法書士に相談することを強くおすすめします。専門的なアドバイスを受けて、自分に合った手続きを依頼しましょう。

債務整理に強い弁護士・司法書士に相談・依頼することで、以下のメリットが得られます。

  • 相談するだけでも最適な解決方法がわかる
  • 依頼すれば受任通知の送付により取り立てを止めてもらえる
  • 任意整理の交渉を任せられる
  • 的確に交渉してもらえるので有利な結果が期待できる
  • 過払い金が発生している場合には返還請求してもらえる
  • 任意整理が難しい場合でも個人再生・自己破産の手続きを任せられる

専門家の力を借りることで、最善の形で借金問題を解決することが可能となるでしょう。

まとめ

2回目の任意整理も理論上は問題なくできますが、債権者がどこまで交渉に応じてくれるかがポイントとなります。事実上は、交渉が難しく、2回目の任意整理に失敗してしまうこともあります。

しかし、債務整理に強い弁護士・司法書士のサポートを受ければ、債権者に最大限の譲歩を求めて、2回目の任意整理を成功させる可能性が高まります。

1人で悩んでいると、解決できないまま借金問題が悪化することになりがちです。任意整理で困ったときは、早めに専門家のアドバイスを受けて、最適な方法で解決を図りましょう。

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