- オンラインカジノには中毒性があり、ギャンブル依存症になりやすい
- オンラインカジノの借金で破産する人は多い
- オンラインカジノの借金で自己破産しても免責されないことがある
- オンラインカジノの借金は自己破産以外の債務整理でも解決できる
オンラインカジノは、いつでもどこでもインターネット上で遊ぶことができて、短期間で大金を稼げる可能性もあることから、利用者が急増しています。
しかし、ギャンブルである以上は負ける可能性も大いにあります。余裕資金の範囲内で遊ぶ分には問題ありませんが、一攫千金を夢見て借金をしてまでプレイする人が後を絶ちません。破産するほど多額の借金を抱えてしまう人も数多くいます。
借金問題の解決には債務整理が有効ですが、オンラインカジノのようなギャンブルで作った借金で自己破産できるとは限りません。
この記事では、オンラインカジノで破産するほどの借金を抱えた場合の、適切な解決方法を解説します。
オンラインカジノとは
オンラインカジノとは、インターネット上でプレイできる海外のカジノゲームのことです。
2023年現在、日本国内で合法的にカジノをプレイできる場所はありませんが、オンラインで海外のカジノをプレイできるサイトが普及したことから人気を集めています。
オンラインカジノの仕組み
オンラインカジノは、海外から配信されているギャンブルサイトに登録してプレイする仕組みとなっています。
日本語に対応しているサイトも数多くあり、ゲームの種類もバカラやルーレット、ブラックジャック、ポーカー、ビデオスロットを初めとして多岐にわたります。好きなサイトに登録してアカウント作成すれば、PCやスマホで、いつでもどこでもプレイできます。
海外の店舗で行われているカジノ(「ランドカジノ」といいます。)と同じように実際のお金を賭けることができて、出金申請をすれば現金が手にすることが可能です。
賭け金もクレジットカードを利用するなどしてオンラインで入金できるので、手軽にギャンブルを楽しむことができます。
オンラインカジノは違法?
オンラインカジノは「グレー」と言われることが多いですが、厳密に言うと違法です。
日本では、競馬や競輪などの公営ギャンブルを除き、賭博は犯罪として禁止されています。そのため、海外で合法とされているカジノのオンラインサイトであっても、日本国内で接続してお金を賭けることは犯罪となるのです。
警察庁や消費者庁も、オンラインカジノを利用した賭博は犯罪に当たるとして注意喚起しています。実際にオンラインカジノでプレイした利用者が警察に検挙された事例もあります。
現状として、検挙される確率は低いのが実情ですが、日本の現行法のもとではオンラインカジノに手を出さない方が無難といえるでしょう。
オンラインカジノの中毒性に要注意!ギャンブル依存症になりやすい理由
オンラインカジノには次のような特徴があるため、他のギャンブルよりもハマりやすく、抜け出せなくなってギャンブル依存症を誘発しやすいという問題もあります。
- 365日・24時間いつでもプレイできる
- 還元率が高い
- レートを自分で決められる
- 短時間で勝負が決まる
パチンコやパチスロなら、店舗に行かなければプレイできませんし、営業時間による縛りもあります。競馬や競輪はオンラインでの投票も可能ですが、レース開催日が決まっているので、いつでもプレイするというわけにはいきません。
オンラインカジノなら、いつでもどこでもプレイできますし、資金さえあれば大金を高いレートで賭けることが可能です。そのため、一度でも大勝ちした経験があれば、その快感が忘れられずにのめり込みやすくなります。
また、結果は数秒~数十秒といった短時間で決まるため、負けた場合には次の勝負で取り戻そうと考え、次々に大金をかけることにもなりがちです。
オンラインカジノで破産する人が多い理由
破産する危険性はギャンブル全般に潜んでいますが、オンラインカジノでは以下の理由により、その危険性が特に高いといえます。
- クレジットカードで入金できる
- 初心者でも大勝ちすることがある
- 利益確定のタイミングが難しい
- 出金申請中でもプレイを再開できる
- 借金返済のためにプレイしてしまう
カジノでの勝負は純粋に確率の問題なので、初心者でも大勝ちすることがあります。一度でも大勝ちした経験があると、欲を出して次々に大金を賭けるようになりがちです。
クレジットカードで入金していると、あっという間に限度額一杯まで使ってしまいがちです。勝ち逃げや損切りによる利益確定のタイミングを事前に決めておかなければ、借金をすることになってしまいます。
勝ち逃げしようと考えて出金申請をしても、着金までに1~3日程度の時間がかかることが一般的です。その時間を待ちきれずに申請を取り下げてプレイを続け、せっかくの利益を溶かしてしまう人も少なくありません。
借金が残ってしまうと、オンラインカジノで勝ったお金で返済しようと考えてプレイをするものの、結果的には負けて借金を増やしてしまい、破産する人が多いのが実情です。
オンラインカジノで借金をこれ以上増やさない方法
オンラインカジノで多額の借金を抱えてしまったときは、まず、借金をこれ以上増やさないようにする必要があります。そのためには、以下の方法が有効です。
自己規制機能を利用する
多くのオンラインカジノサイトには、「自己規制機能」が搭載されています。自己規制機能とは、入金限度額やプレイ時間、最大負け額などを自分で設定し、その数値に達したらプレイができなくなる機能のことです。
自分の意思だけではプレイをセーブできない人でも、この機能を活用することで、節度を持ってプレイすることができるようになります。
その結果、気づいたら借金が膨らんでいたという結果を回避することができるでしょう。
クレジットカードを使わない
オンラインカジノへ入金する際に、クレジットカードを利用することはおすすめできません。手元にお金がなくても入金できてしまうからです。
入金限度額は自己規制機能で制限できますが、設定はいつでも自由に変更できるため、自己規制機能だけに頼るのも不安です。
そこで、入金する際には銀行振込や電子決済(Payzなど)、デビットカード、プリペイドカード、仮想通貨(ビットコインなど)を利用した方がよいでしょう。
これらの入金方法なら残高を超えて使うことができないため、借金が増えることはありません。
プレイする時間と金額を決めておく
プレイする時間と金額も自己規制機能で限度を設定できますが、気ままに設定を変更してしまわないよう、マイルールとしても限度を決めておきましょう。
- プレイ時間は1日○時間まで
- 夜○時以降はプレイしない
- 損失が○万円以上になったらプレイをやめる
- 1ヶ月に○万円以上使ったら翌月までプレイしない
このようなルールを決めて守れば、オンラインカジノで負けたとしても、損失を許容範囲内に抑えることが可能です。新たな借金をしないように、自分なりの限度を決めておくとよいでしょう。
余裕資金でのみプレイする
そもそもギャンブルをするなら、余裕資金でのみプレイをすることが重要です。
負けを取り返そうとして生活費にまで手を付けると、冷静に判断できなくなり、負ける可能性も高まるでしょう。その結果、さらに借金が増えてしまうおそれがあります。
毎月、給料が入ったら1ヶ月分の生活費と借金の返済資金をまず確保し、余ったお金の範囲内でオンラインカジノを楽しむようにしましょう。
貸付自粛制度の申請をする
ギャンブルにハマって借金癖がついてしまうと、自分なりのルールを決めてもなかなか守れず、自己規制機能の設定も変更してプレイを続けてしまうおそれがあります。
オンラインカジノをするための借金を自分の意思だけでやめられない場合には、貸付自粛制度を利用することをおすすめします。
貸付自粛制度とは、日本貸金業協会または全国銀行個人信用情報センターに申告して、金融機関からの借入ができない状態にしてもらう制度のことです。
個人信用情報に貸付自粛情報が登録されるため、ブラックリストに登録された場合と同様に新たな借入やクレジットカードの利用などが制限されます。
強制的に借金ができない状態となるため、借金を増やさない方法として非常に有効です。
アカウントを削除する
プレイする時間とお金の上限を自分の意思だけで守れない場合には、オンラインカジノサイトのアカウントを削除し、退会してしまうのがおすすめです。
アカウントが残っていると、プレイを控えようと考えてはいても、つい手を出してしまいます
。しかし、退会してしまえば再登録が必要となるため、プレイするためのハードルが高くなります。そのため、借金の増加を回避することにつながります。
なお、プレイしていたサイトに残高がある場合は、退会前に出金することを忘れないようにしましょう。
ギャンブル依存症の場合は治療を受ける
ここまでにご紹介した方法で借金の増加を回避するためには、オンラインカジノのプレイを控えるという強い決意が必要です。
どうしてもプレイを控えることができない場合は、ギャンブル依存症に陥っている可能性があります。
ギャンブル依存症はWHOも認定している、れっきとした病気です。依存症を改善するための治療法も確立されているので、専門医による治療を受けるべきです。
行動療法や認知行動療法によって、徐々にギャンブルから離れていくことが期待できます。自助グループに参加するなどして、他の患者とも励まし合って改善を図るのもよいでしょう。
お近くの医療機関に「依存症外来」があれば、受診してみることをおすすめします。精神保健福祉センターや保健所でもギャンブル依存症に関する相談を受け付けています。
症状に応じて適切な医療機関を紹介してもらえることもあるので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。
オンラインカジノで作った借金を減らす方法
借金の増加を食い止めたら、少しずつでも借金を減らしていきましょう。
オンラインカジノで作った借金を効率よく減らす方法としては、「借り換え」と「おまとめローン」が有効です。
金利の低い業者で借り換える
クレジットカードでのキャッシングや消費者金融からの借入は金利が高いので、銀行カードローンなどに借り換えれば、金利の負担を抑えることができます。
例えば、消費者金融から50万円を金利18%で借りている場合、金利14.5%の銀行カードローンに借り換えれば、毎月の返済額が1,000円近く減ります(46回払いの場合)。トータルで支払う利息の額も4万円近く減らすことができます。
1社では減額幅が小さいですが、複数社を借り換えると毎月5,000円~1万円ほど返済の負担を減らせる可能性もあります。
おまとめローンを利用する
おまとめローンを利用すれば、金利の負担をさらに抑えることが可能です。おまとめローンとは、複数社からの借金を1社に借り換えて一本化するローンのことです。
ろうきんのおまとめローンなら、条件次第では金利5%以下で借り換えできることもあります。金利18%の借金が総額で500万円ある場合、金利5%のローンに一本化すれば、毎月の返済額が3万円ほど減ります(60回払いの場合)。
ただし、低金利のおまとめローンでは審査が厳しいことに注意が必要です。審査に通ったとしても、返済期間が長期化することでトータルの利息の負担がかえって増える可能性があることにも注意しましょう。
銀行や消費者金融のおまとめローンなら審査に通りやすいですが、金利の負担を大幅には減らすことはできません。
それでも、少しは金利を下げることができますし、一本化することで返済の管理がしやすくなるというメリットがあります。
オンラインカジノの借金で自己破産はできる?
到底返済できないほどの借金を抱えた場合は、自己破産を考える方もいることでしょう。自己破産に成功すれば、借金は全額免除されます。
ただし、オンラインカジノの借金で自己破産を検討する場合には、以下の点に注意が必要です。
原則として免責不許可となる
オンラインカジノで借金を作った場合は、自己破産をしても原則として「免責不許可事由」に該当します。
免責不許可事由とは、自己破産をしても借金が免除されないケースのことです。破産法では、ギャンブルで借金を作った場合が免責不許可事由の1つとして定められており、オンラインカジノで借金を作った場合もこの免責不許可事由に含まれるのです。
免責不許可となれば借金が全額残ってしまうので、自己破産をするメリットはありません。
裁量免責の可能性はある
免責不許可事由がある場合でも、事情によっては裁判所の判断で免責が許可されることがあります。このことを「裁量免責」といいます。
ギャンブルで借金を作った場合に裁量免責が認められやすいのは、次のような事情があるケースです。
- ギャンブルによる借金の割合がさほど高くない(生活費や返済のための借金も多い)
- 真摯に反省している
- 現在はギャンブルをやめている
- 生活態度を改善し、経済的更生に努めている
裁量免責は簡単に認められるものではなく、担当裁判官による厳しいチェックがあるということを知っておきましょう。
裁量免責の可能性を高める方法
オンラインカジノによる借金で裁量免責の可能性を高めるためには、次のことが有効です。
- 医師の診断書を提出する(ギャンブル依存症の場合)
- 専門医による治療を受けている(ギャンブル依存症の場合)
- 反省文を提出する
- 積み立てと配当を行う
- 弁護士に依頼する
ギャンブル依存症の診断書を提出することで、自分の意思だけではギャンブルと借金を止められなかったということが理解されやすくなります。
そして、適切な治療を受けていれば、経済的更生の見込みがあると認められやすくなります。
さらに、自分のどこがいけなかったのか、どうすれば今後は借金なしで生活できるようになるのか、などを記載した反省文を提出することも重要です。誠意が伝われば、裁量免責の可能性が高まります。
以上のことは自発的に行うべきですが、裁判所から積み立てと配当を指示されることもよくあります。数十万円~100万円程度のお金を積み立てて、破産管財人から債権者へ配当してもらうことと引き換えに、免責が許可されるのです。
裁量免責を求める場合は特に手続きを慎重に進める必要があるので、自己破産の申し立てを弁護士や司法書士に依頼した方がよいでしょう。
自己破産のデメリット
裁量免責が認められたとしても、以下のような自己破産そのもののデメリットは避けられないことも知っておきましょう。
- ブラックリストに登録される(5~7年は借入やクレジットカードを利用できなくなる)
- 一定の金額を超える財産を処分される
- 手続き中は一部の職種に就くことができない
- 官報に氏名や住所が掲載される
ただし、高価な財産がなければ何も処分されることはありません。職業制限が問題となるケースもさほど多くありません。
官報は一般の人が見るものではないので、自己破産したことが周囲の人にバレる心配も基本的には不要です。
借金の返済ができなければ、どのみちブラックリストに登録されてしまうという問題もあります。
そのため、自己破産のデメリットを過度に恐れる必要はありません。まずは弁護士・司法書士に相談し、裁量免責の可能性がどの程度あるのかを確認してみた方がよいでしょう。
自己破産以外でオンラインカジノの借金を解決する方法
自己破産で裁量免責が難しい場合には、他の債務整理を検討する方が得策です。自己破産以外の債務整理として、主に「任意整理」と「個人再生」の2つがあります。
任意整理
任意整理とは、債権者と直接交渉することによって返済額の軽減や返済期間の延長を認めてもらう手続きのことです。将来利息をカットしてもらい、残元金を3~5年の分割で返済していくのが一般的です。
任意整理では、基本的に元本は全額返済する必要があります。そのため、自己破産を検討するほど多額の借金を抱えている場合には、あまり向いていません。
ただ、家族や親戚など身内の方が返済に協力してくれる場合は、任意整理で解決できる可能性もあります。
個人再生
個人再生とは、裁判所の手続きを利用して借金を大幅に減額できる手続きのことです。
元本・利息を含めて5分の1~10分の1程度にまで減額することが可能です。減額後の借金は原則3年、最長5年の分割で返済していきます。
個人再生には「免責不許可事由」がないので、どのような理由で借金した場合でも大幅減額が可能です。ギャンブルによって多額の借金を抱えた場合にも非常に有効な手続きです。
なお、個人再生を利用するためには、減額後の借金を3~5年で完済できる程度の安定収入が必要です。
ただし、現在は収入がなくても、返済開始(個人再生手続きの終了)までに就職・転職するなどして安定収入が見込めるのであれば、申し立て可能です。
オンラインカジノの借金で弁護士・司法書士に相談するメリット
オンラインカジノで作った借金で困ったときは、まず弁護士・司法書士に相談することを強くおすすめします。専門家の力を借りることで、次のようなメリットが得られます。
- 自己破産の裁量免責の可否が分かる
- 自己破産を依頼すれば、裁量免責を得るための手続きを代行してくれる
- 裁量免責が難しい場合も、最善の解決方法をアドバイスしてもらえる
- 依頼後はすぐ受任通知が送付されるので、督促と返済が止まる
- 債務整理の複雑な手続きを一任できる
ギャンブル依存症が疑われる場合、弁護士・司法書士によっては信頼できる精神科医師や医療機関を紹介してくれることもあります。
借金に関することならどんなことでも、債務整理の経験が豊富な弁護士・司法書士に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
オンラインカジノで破産するほどの借金を抱えたときは、まず借金の増加を食い止めましょう。できる限り、借金問題を解決するまではオンラインカジノをやめることが望ましいです。
ギャンブル依存症の場合は専門の医療機関を受診し、治療を受けることも必要です。
そして、自己破産や借金を減らす手続きについては、弁護士・司法書士にご相談の上で最適な方法を選びましょう。
借金問題は弁護士・司法書士の力を借りることで解決できますので、一人で抱え込まず、まずは相談してみましょう。