- エーシーエス債権回収は正規のサービサー(債権回収業者)である
- エーシーエス債権回収は時効にかかった借金を請求することがある
- エーシーエス債権回収からのハガキを無視すると差し押さえを受けることがある
- エーシーエス債権回収から請求を受けたときは弁護士・司法書士への相談が有効
「エー・シー・エス債権管理回収株式会社」という身に覚えのない業者から支払いを請求するハガキが届くと、多くの方は戸惑ってしまうことでしょう。
架空請求のハガキを送ってくる悪質な業者も少なくないので、突然の支払い請求には警戒する必要があります。
しかし、エーシーエス債権回収は違法業者ではなく、法律に則って運営している正当な債権回収会社(サービサー)です。エーシーエス債権回収からハガキが届いた場合には適切に対処しなければ、最終的に財産の差し押さえを受けてしまうおそれもあります。
この記事では、エーシーエス債権回収からハガキが来る理由と、ハガキを受け取ったときの対処法についてわかりやすく解説します。
エーシーエス債権回収とは
エーシーエス債権回収は、「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)という法律に基づき、法務大臣から許可を受けて債権管理回収業を営む会社です。
会社の概要については、以下の表を参考になさってください。
社名 | エー・シー・エス債権管理回収株式会社 |
---|---|
設立日 | 平成11年2月16日 |
許可番号 | 法務大臣第27号 |
資本金の額 | 6億円 |
主要株主 | イオンフィナンシャルサービス株式会社 |
本社所在地 | 〒261-0023 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目3番地 幕張テクノガーデンD棟16階 電話:043-332-2200(代表) FAX:043-332-2210 |
事業所 | 東京センター、名古屋センター、大阪センター、沖縄オフィス |
主要取引業種 | 官公庁、金融機関、金融機関系カード会社、クレジットカード会社、信販会社、リース会社、保証会社、電力会社、ガス会社、通信会社、通信販売会社 |
債権回収会社とは、金融機関などから、未払いとなっている債権を譲り受けるか、または委託を受けて、その回収業務を専門的に行う会社のことです。
エーシーエス債権回収はイオンフィナンシャルサービス株式会社ですので、主にイオングループが顧客に対して有する債権を取り扱っています。
その他、電力会社やガス会社、携帯電話会社から委託を受けて、未払い料金の集金代行業務も取り扱っています。
身に覚えがない?エーシーエス債権回収からハガキが届く理由
「エー・シー・エス債権管理回収株式会社」という社名には身に覚えがないにもかかわらず、ハガキが送られてくる理由として以下の3つのことが考えられます。
借金の滞納
「イオン銀行」のカードローンや「イオンクレジットサービス」のクレジットカードの利用代金など、イオングループの会社に対して滞納している借金がある場合には、エーシーエス債権回収が債権譲渡または委託を受けて支払いを請求してくる可能性が高いです。
その他の貸金業者やクレジットカードについて滞納がある場合にも、エーシーエス債権回収から支払い請求のハガキが届く可能性はあります。
これらの場合には、ハガキの中に「原債権者」といってもともとの借入先やクレジットカードの利用先の会社名が記載されていますので、心当たりがないかを確認しましょう。
電気料金・ガス料金・携帯料金等の滞納
電気料金やガス料金などの公共料金、携帯電話料金などを滞納している場合も、エーシーエス債権回収が集金代行業者としてハガキで支払いを請求してくることがあります。
大手の電力会社・ガス会社・携帯キャリアが料金の請求業務の委託をエーシーエス債権回収に任せているからです。
その場合は、これらの料金を滞納していないかを確認しましょう。
架空請求の可能性もある
借金や公共料金等の滞納に心当たりがない場合は、架空請求の可能性があります。悪質な詐欺業者がエーシーエス債権回収の名をかたって架空の支払いを請求するハガキを送ってくることもあるからです。
心当たりがない場合には、まずハガキの記載をよく見て、社名や所在地、連絡先などが正しく記載されているかを確認しましょう。以下のような場合は、架空請求のハガキである可能性が非常に高いといえます。
- 社名が似ていても異なるものである
- 所在地が番地まで記載されていない
- 連絡先として携帯電話の番号が記載されている
- 振込先として個人名義の口座が記載されている
ハガキに記載された電話番号に自分で電話をかけると、言葉巧みに支払いを要求されてしまいます。もしも被害に遭ってしまったら、弁護士または司法書士に相談したほうがよいでしょう。
また、エーシーエス債権回収の問い合わせ先に電話をかけると、通話の内容次第では後にご説明する「時効」が成立していても主張できなくなることがあるので、注意が必要です。
エーシーエス債権回収から来たハガキを無視するとどうなる?
架空請求のハガキである場合は無視することが最善の対処法ですが、本当にエーシーエス債権回収からハガキが送られてきた場合には、無視してはいけません。
もし、無視をすると以下のように請求手続きが進行してしまいます。
何度も督促される
ハガキに記載された支払期限までに支払わなければ、電話による催促も始まります。電話に出なければ、自宅まで取り立てに来たり、職場に電話をかけてきたりすることもあります。
エーシーエス債権回収は違法業者ではないので脅迫的な取り立てを行うことはありませんが、法律で許された範囲内で督促の手続きは確実に行ってきます。支払いをするか、支払いの約束をするまで、連日、電話がかかってくるはずです。
遅延損害金が加算される
支払いをしなければ、遅延損害金が加算されます。
エーシーエス債権回収から支払い請求が来た時点でもともとの借入先に対する遅延損害金が既に加算されています。その上、さらに遅延損害金が加算されていくので、放置していると支払額が膨れ上がっていきます。
一括返済を請求される
エーシーエス債権回収は、最初から一括返済を請求してきます。元々の借金などの滞納を続けた時点で期限の利益を喪失しており、その債権をエーシーエス債権回収が譲り受けるか、回収の委託を受けているからです。
放置していると、やがてエーシーエス債権回収から、一括で返済しなければ法的措置をとる旨の最終警告書が送られてきます。
裁判を起こされる
最終警告も無視すると、実際に裁判を起こされます。債権回収会社は支払い請求の専門業者なので、貸金業者とは異なり、確実に裁判を起こしてくると考えておく必要があります。
エーシーエス債権回収が起こす裁判には「支払督促」と「訴訟」の2種類があります。どちらの場合も、申立てが行われると裁判所から書類が届きます。
「支払督促」という書類が届いたときは、2週間以内に異議申立てをしましょう。「訴状」という書類が届いたときは、指定された期限までに答弁書を提出しましょう。
裁判所から届いた書類も無視していると、裁判でエーシーエス債権回収の主張がそのまま認められ、債権が公的に確定してしまいます。
差し押さえを受ける
裁判で債権が確定すると、債権者は強制執行手続きにより債務者の財産を差し押さえることが可能となります。そのため、エーシーエス債権回収によって財産が差し押さえられてしまいます。
差し押さえの対象となるのは、主に給料や預金口座です。どちらの場合も一定の金額がエーシーエス債権回収へ直接支払われるため、生活費に支障をきたすおそれがあります。
給料を差し押さえられた場合は、会社に借金を滞納していることがバレてしまうことにも注意が必要です。
エーシーエス債権回収に返済しないとブラックリストに登録される?
エーシーエス債権回収からの請求を無視した場合、ブラックリストに登録されるケースと登録されないケースとがあります。
借金を滞納している場合
借金やクレジットカードの利用代金などを滞納している場合は、エーシーエス債権回収からハガキが届いた時点で既にブラックリストに登録されている可能性が高いです。
なぜなら、貸金業者やクレジットカード会社は、滞納が長期に及んだ債権を債権回収会社に譲渡するか、回収業務を委託することが多いからです。
ただし、1度でも滞納した時点で一時的に回収業務を委託する業者もあります。その場合、エーシーエス債権回収からの請求を無視し、元々の借金等の滞納発生から2~3ヶ月が経過するとブラックリストに登録されることになります。
電気料金やガス料金を滞納している場合
電気やガスの利用は「信用取引」ではないので、これらの料金を滞納してもブラックリストに登録されることはありません。
したがって、エーシーエス債権回収が電力会社やガス会社に代わって支払いを請求してきた場合は、支払わなくてもブラックリストに登録されるという心配は不要です。
ただし、クレジットカードで公共料金を支払っている場合で、そのクレジットカードの利用代金を滞納している場合は注意が必要です。クレジットカード代金の滞納が2~3ヶ月続くと、ブラックリストに登録されてしまいます。
長期間返済していない場合の注意点
エーシーエス債権回収は、長期間返済していない債権を譲り受けるなどして請求してくることもあります。
その場合には、以下のことに注意する必要があります。
時効が成立している可能性がある
貸金業者からの借金は、最終取引から5年で消滅時効が成立します。時効が成立している場合には、その債務を返済する必要はありません。
エーシーエス債権回収からのハガキで「原債権者」を確認し、その業者に対して最後に返済したときから5年が経過しているかどうかを確認しましょう。
時効は援用が必要
時効が成立していても、「時効の援用」をするまでは債権が消滅しません。
時効の援用とは、債権者に対して「この債権に関しては消滅時効が成立しているので支払いません」という意思を伝えることです。
一般的には、証拠を残すために「時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便でエーシーエス債権回収充てに送付します。
債務の承認に要注意
時効期間が経過していたとしても、それまでの間に「債務の承認」をしていると時効期間が更新(リセット)されてしまい、まだ時効が成立していないことがあります。
債務の承認とは、債務があることを認める言動のことで、具体的には以下のような言動が該当します。
- 1円でも返済した
- いつまでに支払うかを債権者に約束する
- 「支払うが待ってほしい」と債権者に伝える
エーシーエス債権回収に自分で電話をかけると、担当者とのやりとりの中で債務の承認に該当する発言を引き出されてしまうおそれがあるので、注意しなければなりません。
エーシーエス債権回収に返済できないときの対処法
請求された元々の債権に心当たりがあり、時効も成立していない場合は、エーシーエス債権回収からの請求内容のとおりに返済する義務があります。
請求どおりに返済できない場合には、以下の対処法によって解決を図りましょう。
分割払いの交渉をする
分割であれば返済できるという場合は、分割払いの交渉をしましょう。
エーシーエス債権回収は、ホームページで「お客さま(債務者)本位のカウンセリング」を行うことをうたっており、実際にも返済方法の交渉には比較的柔軟に応じてくれます。
ただ、実際のところは債務者が自分で交渉した場合には、必ずしも返済可能な条件では和解できるとは限りません。
債務整理を検討する
エーシーエス債権回収との分割払いの交渉がまとまらないときや、分割払いにしても返済できない場合には、債務整理が有効です。
債務整理には、主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあります。
任意整理は、裁判所を介さず債権者と直接交渉することにより借金を減らしてもらう手続きです。将来利息がカットされ、交渉次第では遅延損害金もカットしてもらえる余地もあるので、分割払いで解決できる可能性が高まります。
それでも解決が難しい場合には、個人再生または自己破産を検討することになります。
個人再生は、裁判所に申し立てることにより借金が5分の1~10分の1にまで減額することが可能な手続きです。安定収入があれば、個人再生で解決できる可能性が高いでしょう。
自己破産は、裁判所に申し立てることにより借金の返済義務を全て免除してもらうことが可能な手続きです。税金や社会保険料などの滞納は免除されませんが、公共料金の滞納は大半が免除されます。
一定の財産を失うなどのデメリットはありますが、返済できるだけの収入がない場合には自己破産が最善の解決方法となるでしょう。
エーシーエス債権回収からハガキが来たら弁護士・司法書士に相談を
エーシーエス債権回収からハガキが届いて困ったときや不安なときは、弁護士または司法書士に相談することを強くおすすめします。
法律の専門家に相談・依頼することで以下のメリットが得られます。
最適な解決方法のアドバイスを受けられる
まず、受け取ったハガキを弁護士・司法書士に見てもらえば、次の点について的確に判断してもらえます。
- 架空請求ではないか
- 滞納している債務の場合、消滅時効が成立していないか
その上で、状況に応じて最適な解決方法をアドバイスしてもらえます。
架空請求の場合は悪質業者への対処法を教えてもらえますし、消滅時効が成立している場合には弁護士・司法書士に時効の援用手続きを任せることができます。
支払うべき債務があるものの支払えない場合には、最適な債務整理手続きを勧めてもらえます。
督促や取り立てがすぐに止まる
債務整理が必要となった場合、弁護士・司法書士に依頼すれば、エーシーエス債権回収だけでなくすべての債権者からの督促や取り立てがすぐに止まります。
なぜなら、依頼を受けた弁護士・司法書士がすぐに受任通知書を送付し、これを受け取った貸金業者が債権回収会社が債務者に対して直接返済を請求することは法律で禁止されているからです。
専門家への依頼後、すぐに平穏な生活を取り戻すことが可能となります。
債務整理の手続きを代行してもらえる
その後は債務整理の手続きを進めていく必要がありますが、複雑な手続きはすべて弁護士・司法書士が代理人として行ってくれます。
依頼者は、自分でエーシーエス債権回収などの債権者と交渉したり、裁判所での手続きを行う必要がないので、手間や時間、精神的負担が大いに軽減されます。
そして、専門的な知識とノウハウを持った弁護士・司法書士が債務整理の手続きを的確に進めてくれるので、納得のいく結果が期待できるはずです。
まとめ
エーシーエス債権回収からハガキが届いた場合は、滞納している借金などを返済しなければならない可能性が高いといえます。
ただし、架空請求や時効成立の可能性もあるため、まずは落ち着いてハガキの内容をしっかりと確認することが重要です。
どうすればよいのかがわからないときや、請求された債務を支払えないときは、1人で抱え込まず弁護士または司法書士にご相談ください。
専門家の力を借りることにより、最善の方法で問題を解決できるはずです。