同一の借入先に対する複数の借金について、すべて消滅時効が完成している場合は、同時に時効援用することも可能です。
時効援用は、基本的には個別に行う必要があります。なぜなら、どの借金について時効を援用するのかを特定しなければならないからです。
一般的に時効援用の手続きは消滅時効援用通知書を送付することによって行いますが、この通知書には以下の記載が必要です。
- 債権者に関する情報(社名や所在地など)
- 債務者に関する情報(氏名、住所、生年月日など)
- 債権の内容を特定する情報(借入日、借入額、会員番号、契約番号、最終返済日など)
- 消滅時効が完成している旨
- 時効を援用する旨
- 時効援用の日付(通知書の作成日)
ただし、同一の借入先に対して複数の借金があり、そのすべてについて消滅時効が完成している場合は、1通の通知書で同時に時効を援用することも可能です。その場合でも、通知書には、各債権の内容を特定できる情報を個別に記載する必要があります。
なお、同一の借入先に対する複数の借金のうち、一部についてだけ消滅時効が完成している場合に、返済や返済の約束をする場合は注意が必要です。どの借金について返済や返済の約束をするのかを指定しなければ、すべての借金について債務の承認をしたことになり、時効援用ができなくなってしまうおそれがあります。
弁護士に時効援用を依頼した場合には、弁護士が的確に手続きを代行してくれますので、時効援用に失敗するおそれはありません。