時効援用に成功すれば、本当に借金はゼロになります。ただし、時効を援用するかどうかは債務者の自由です。
借金の消滅時効が完成し、債務者がその時効を援用すると、返済義務が確定的に消滅します。そのため、借金は本当にゼロになります。
消滅時効は、長年にわたって継続する事実状態を尊重し、これに法律関係を一致させることによって、社会の法律関係を安定させるために定められた制度です。また、権利を有しながらその権利を行使しようとしない者を法的に保護する必要はないとも考えられています。
そのため、消滅時効が完成した場合には、その時効を援用することにより、正当に借金の返済義務から免れることができるのです。
ただし、時効の利益を受けることが当事者の良心に反することもあり得るため、時効を援用するかどうかは債務者の自由意思に委ねられています。消滅時効が完成しても、その時効を援用するまで、借金の返済義務は消滅しないことに注意しましょう。
なお、多重債務を負っている場合は、時効援用によってすべての借金がゼロになるわけではないことに注意が必要です。
例えば、A・B・Cの三社から借り入れをしていて、A社に対して時効援用をした場合は、A社に対する借金はゼロになりますが、B社とC社に対する借金はそのまま残ります。B社とC社に対する借金についても消滅時効が完成している場合は、それぞれに対して個別に時効援用を行う必要があります。