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自己破産すると家族にどのような影響がある?迷惑をかける場合や家族の財産がどうなるか解説

自己破産すると家族にどのような影響がある?迷惑をかける場合や家族の財産がどうなるか解説
監修福谷 陽子 / ライター 元弁護士

弁護士時代に培った実務経験や法律知識をもとに、法律関係記事を精力的に執筆、監修、編集など行っている。
・難しい法律を誰にでもわかりやすく伝える
・文章で世の中を明るくしたい
がモットー。
債務整理関係にも非常に明るく多くのメディアや法律事務所の依頼を受けて執筆係属中。

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自己破産すると、家族にどのような影響が及ぶのでしょうか?

自己破産しても、家族が代わりに借金返済しなければならないわけではありません。
ただし家族が保証人になっていたら、家族が返済しなければならない可能性はあります。また自己破産すると家族に迷惑をかけてしまうケースもあります。

自己破産する際には家族への影響について、正しく把握しておきましょう。

この記事では自己破産したときの家族への影響や迷惑をかける場合、家族の財産への影響などを解説します。

自己破産したいけれども家族へ迷惑をかけるのが心配な方はぜひ参考にしてください。

自己破産しても家族は返済する必要がない

「自己破産すると、家族が代わりに返済しなければならないのだろうか?」
と心配になる方が多数います。

しかし自己破産しても、家族が代わりに返済する必要は基本的にありません。
借金やその他の負債は通常、債務者のみに帰属するからです。たとえ親子や配偶者であっても本人ではない人には負債の支払義務が及びません。

自己破産しても家族が代わりに返済しなければならない義務はないので、まずは安心しましょう。

ただし以下のような場合、家族にも返済義務が及ぶ可能性があります。

家族が保証人になっている

家族が保証人や連帯保証人になっている場合、家族も返済義務を負います。

保証人や連帯保証人は、本人が返済しない場合に代わりに返済しなければならない立場だからです。本人が自己破産して支払わないなら、債権者は保証人である家族に請求してきます。

保証人となっている家族は代わりに支払いをしなければなりません。

自己破産して家族に影響や迷惑が及ぶケースとは

自己破産をしたときに家族に影響や迷惑が及ぶケースにはどういった状況があるのでしょうか?以下でみてみましょう。

家族が保証人になっている

上記のとおり、家族が本人の保証人になっている場合、本人が自己破産すると家族に請求が来てしまうので迷惑をかけてしまいます。家族も払えない場合には、家族も一緒に自己破産などの債務整理を検討しましょう。

家族も一緒に自己破産すると、家族の支払義務もなくなるので問題を解決できます。

破産者の財産がなくなる

破産すると、破産者の財産のうち一定の評価額を超える部分が失われてしまいます。
たとえば以下のような財産が無くなる可能性があります。

  • 現金
  • 預金
  • 保険
  • 株や投資信託

破産者の財産がなくなると、家族にも影響が及ぶでしょう。たとえば家がなくなったら、家族も一緒に引っ越しをしなければなりません。

せっかく積み立てた預金や株式が失われたり保険が強制的に解約されたりすると、やはり迷惑をかけてしまいます。

なお自己破産しても、すべての財産がなくなるわけではありません。現金なら99万円まで、その他の個別の財産なら20万円程度まで残せるケースが多数です。

破産者が一時的に仕事をできなくなる

自己破産すると、破産者は一時的に今までと同じ仕事を続けられなくなる可能性があります。自己破産には「資格制限」が適用されるからです。

資格制限とは、自己破産の手続き中に一定の資格が制限されて、対象の仕事をできなくなることを意味します。
たとえば以下のような仕事が資格制限の対象になっています。

  • 弁護士、司法書士、税理士、行政書士、宅建士などの士業
  • 警備員
  • 生命保険外交員
  • 質屋
  • 貸金業者
  • 騎手や調教師

破産者が対象となる仕事をしている場合「破産手続開始決定時から免責決定が確定するまでの間」、その資格を活かした仕事ができません。

具体的な期間の長さは破産手続きの種類によっても異なりますが、3か月~半年くらいの間です。

破産者が資格制限によって失職してしまうと収入がなくなるので、家族にも迷惑をかけてしまうでしょう。

なお資格制限を受けるのは破産者本人だけであり、家族の仕事には影響ありません。家族が資格制限の対象となる仕事をしていても、特段の支障は生じません。

破産者がカードを作れなくなる、ローンを組めなくなる

破産すると、破産者は一定期間いわゆる「ブラックリスト」の状態になります。

ブラックリストとは、個人信用情報に事故情報が登録されてカードやローンを利用できなくなった状態です。

ブラックリスト状態になると、カードやローンの審査に通らなくなるので、新たな借金や分割払いの利用、カード発行などができません。

破産すると、おおむね7年程度ブラックリスト状態となり、破産者本人はローンやカードを利用できなくなってしまいます。たとえば住宅ローンを組みたいと思っても審査に通りませんし、クレジットカードの発行もできません。

家族で話し合って家を買いたいと考えてもローンを組めないので、迷惑をかけてしまう可能性があります。

家族カードが使えなくなる

破産前に破産者が家族カードを発行していてたケースでも、破産すると家族に影響が及びます。本カードの会員が破産すると、家族カードも解約されてしまうからです。つまり家族に家族カードを渡している場合、家族カードも使えなくなってしまいます。

たとえば夫が妻に家族カードを渡している状態で夫が破産すると、妻の使っている家族カードが止められます。

配偶者などへ家族カードを渡しているなら、破産前に事情を話して回収しておくと良いでしょう。

なお、家族が本カードの会員となっていて破産者が家族カードを利用している場合には、引き続き破産者は家族カードを使えます。たとえば夫が妻のために家族カードを発行していて妻が破産するケースなどでは、妻は家族カードの使用を継続できます。

保険が解約される

自己破産すると、破産者名義の財産はほとんどすべて失われます。

保険も例外ではありません。破産者名義になっている場合には、子どものために積み立てた学資保険なども解約されます。

ただし解約されるのは「積立型」の保険のみです。掛け捨て型の場合には解約されません。
また積立型であっても解約返戻金額が概ね20万円以下であれば手元に残せるケースが多数です。

自己破産すると家族に知られるの?

自己破産すると、家族に知られてしまうのでしょうか?心配になる方が多いので、以下でみてみましょう。

自己破産しても家族に知られにくいケース

自己破産しても家族に知られないケースはあります。知られにくいケースは以下のとおりです。

財産が少ない
財産が少ないと失われるものがないので、自己破産を家族に知られる可能性が低くなります。

資格制限を受けない
資格制限を受けない仕事の場合、継続して仕事ができるので異変がなく、家族に知られにくくなります。

家族が保証人になっていない
家族が保証人になっていると、家族に知られずに自己破産するのは困難です。家族が保証人になっていないことは、自己破産を家族に知られないための必須条件となるでしょう。

破産者が一人暮らし
破産者が一人暮らしの場合、同居の親族に書類を見られたり裁判所へ行く際に気づかれたりしにくいので、秘密で破産を進めやすくなります。

家族に破産を知られやすいケース

一方、以下のような場合には家族に知られないで自己破産するのは難しくなるでしょう。

一定以上の財産がある
破産者に一定以上の財産があると破産手続きで失われてしまいます。たとえば家がなくなったら自己破産を隠すのは困難となるでしょう。

資格制限を受ける
資格制限を受ける場合にも、一定期間、これまでと同じ仕事をできなくなるので家族に隠すのは困難となります。

家族が保証人になっている
家族が保証人になっている場合、債権者から家族へ督促されるので自己破産を隠すのは不可能です。

自己破産を自分で行った
自己破産の手続きを専門家に依頼せず自分で行う場合、裁判所や弁護士などからの書類が破産者宅へ届きます。家族にみられて自己破産を知られる可能性が高まるでしょう。自己破産を家族に知られたくないなら、自己破産の手続きを弁護士や司法書士へ任せるべきです。

自己破産すると家族の財産は失われるのか?

「自己破産すると、家族の財産も失われるのではないか?」と心配される方がいます。

自己破産しても、基本的に家族の財産には影響がありません。
たとえば家が家族名義なら破産しても住み続けられますし、家族名義の預金や保険ならそのまま持ち続けられます。家族名義の財産が多くても基本的には家族に迷惑をかけないので安心しましょう。

ただし家族名義であっても、財産の内容が破産者の収入から積み立てたものあった場合には「実質的に破産者の財産」とされて、破産手続きで処分される可能性があります。

また自己破産前に財産を家族名義に変更してはなりません。そのような財産隠し行為をすると、破産管財人によって否認されてしまいますし、免責不許可事由となって免責(借金などの負債を0にする決定)を受けられなくなってしまう可能性もあります。

免責されないと借金が全額残ってしまうので、破産する意味がありません。

自己破産すると家族はブラックリスト状態になるのか

自己破産すると、家族はブラックリスト状態になるのでしょうか?

この点についても心配ありません。自己破産によって信用情報に事故情報が登録されるのは、破産した本人だけだからです。
たとえ同居の家族であっても、破産者以外の人はブラックリスト状態になりません。

たとえば夫が自己破産しても妻に延滞などの問題がなければ、妻はブラックリスト状態にならずローンやカードを利用できます。

ただしローンやカードの審査の際、貸金業者が家族(自己破産した本人)の信用情報も参照した場合には、審査に通らない可能性もあります。

自己破産しても家族へ影響しないこと

自己破産をしても家族へ影響しないことはたくさんあります。たとえば以下のような事柄については、家族へ影響はないと考えましょう。

家族の結婚

家族が結婚するとき、親族の過去の破産は影響しません。

破産しても戸籍謄本などに破産情報が掲載されるわけではなく、家族の結婚相手に知られる心配がないからです。

子どもの将来の結婚に悪影響が及ぶ可能性もほぼないので、安心して自己破産の手続きをしましょう。

家族の就職

「自己破産すると、家族が就職しにくくなるのではないか?」
と心配される方も多数います。

実際には、自己破産しても家族の就職や仕事に影響はありません。
求人に応募する場合に親や配偶者が自己破産したと伝える必要もありませんし、知られるきっかけもほぼないといえるでしょう。

また自己破産した本人は一定期間資格制限を受けますが、家族には資格制限も及びません。
家族の就職が気になっている場合にもほとんど影響は0といえるので、安心しましょう。

家族の進学

家族が進学する際にも、自己破産による影響はありません。学校側で親の過去の自己破産について調べる権限も認められていません。

ただし破産するとブラックリスト状態になるので、保証人にはなれません。貸与型の奨学金で親などが保証人にならなければならない場合、審査に通らない可能性はあります。

その場合には機関保証を利用したり別の保証人を立てたりするのが良いでしょう。

家族に迷惑をかけないためにできること

自己破産する際に家族に迷惑をかけないためには、以下のような行動をしましょう。

財産隠しをしない

まずは財産隠しをしないことが重要です。特に家族名義に変更してしまうと、破産管財人から否認権を行使されて取り戻しを要求され、迷惑をかけてしまうおそれが高まります。

特定の債権者にだけ支払わない

特定の債権者にのみ支払いをすると、免責不許可事由となって免責を受けられなくなる可能性があります。免責されなければ借金がすべて残るので、破産する意味がありません。

家族に迷惑をかけないためにも、特定の債権者のみへの支払いは避けましょう。

裁判所や弁護士に正直に伝える、協力する

自己破産手続きをなるべくスムーズに進めるため、裁判所や弁護士には正直に情報を伝え、手続きに協力しましょう。

虚偽申告をしたり破産管財人の業務に協力しなかったりすると、免責不許可事由となってしまう可能性もあります。

まとめ

自己破産にはデメリットもありますが、家族への影響は限定的です。特に財産が少ない場合、家族への影響がほとんどなく、知られないまま自己破産している方も少なくありません。

借金がかさんでお困りの方がおられましたら、一度債務整理に力を入れている弁護士や司法書士に相談してみると良いでしょう。

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