- PayPayカードは任意整理に協力的な業者である
- 任意整理後はPayPayカードが使えなくなることに注意が必要である
- 滞納を放置すると裁判を経て差押えを受けることがあるので早期の対処が重要
- 弁護士・司法書士に任意整理を依頼することで有利な条件での和解が期待できる
PayPayカードを利用しすぎて返済が苦しくなり、任意整理をお考えの方もいらっしゃることでしょう。そんなとき、PayPayカードと任意整理はできるのか、できるとして、どのような結果になるのかが気になることと思います。
PayPayカードとの任意整理は比較的スムーズに進むことが多いですが、事前に注意しておくべきポイントもいくつかあります。
この記事では、PayPayカードの任意整理への対応状況や注意点と併せて、任意整理の手続きの流れについてもわかりやすく解説します。
PayPayカードとは
PayPayカードとは、PayPayカード株式会社が発行するクレジットカードのことです。PayPayカード株式会社の概要は、以下のとおりです。
会社名 | PayPayカード株式会社 |
---|---|
設立 | 2014年7月8日 |
事務所所在地 | ■本社 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-1 YOTSUYA TOWER (登記上の所在地:東京都千代田区紀尾井町1番3号) ■オフィス 福岡オフィス 福岡県福岡市博多区 札幌オフィス 北海道札幌市北区 |
以前は「ワイジェイカード株式会社」という社名でしたが、2021年に「PayPayカード株式会社」に変更されました。
旧ワイジェイカードや旧ヤフーカードは、現在ではPayPayカードへ移行しています。
なお、本記事では以下、「PayPayカード株式会社」のことを単に「PayPayカード」と称することとします。
PayPayカードの任意整理における対応状況
PayPayカードと任意整理をすると、どのような結果となるのでしょうか。ここでは、最近のPayPayカードの任意整理における対応状況をご紹介します。
任意整理には協力的
PayPayカードは、任意整理には協力的な会社です。借りてからほとんど返済していないケースや、クレジット枠の現金化など規約違反を犯したケースなどを除いて、比較的柔軟な交渉に応じてくれます。
通常は交渉を拒否したり、高圧的な態度で返済を迫ったりすることはありませんので、ご安心ください。
分割回数は60回まで
任意整理による和解後の分割払いの回数は、基本的に最大60回払いまで応じてもらえます。
ただし、返済月額が5,000円未満となるケースや、取引間が短いケースなどでは、より短期間での完済を求められることもあります。
将来利息は全額カット
将来利息(和解後に発生する利息)は、基本的に全額カットしてもらえます。
近年、他社では将来利息を要求するところも出てきていますが、今のところ、PayPayカードとの任意整理では、取引期間が短いケースなど一部の例外を除いて、問題なく全額カットできています。
経過利息も3ヶ月以内ならカットが可能
経過利息(和解成立日までに発生する利息・遅延損害金について、PayPayカードとの任意整理では以下のようになることが多いです。
- 手続き開始から3ヶ月以内に和解が成立した場合…全額カットされる
- 手続き開始から3ヶ月以内に和解が成立しなかった場合…全額請求される
返済開始は和解月の翌々月まで
任意整理後に返済を開始する時期については、基本的に和解月の翌月からとなりますが、翌々月まで待ってもらえることも多いです。
しかし、3ヶ月以上先まで延ばしてもらうことは難しいです。
PayPayカードとの任意整理による解決事例
ここでは、PayPayカードと任意整理をすることで返済の負担がどれくらい軽くなるのかを理解していただくために、いくつかの解決事例をご紹介します。参考になさってください。
残元金 | 20万円 (金利年18%) |
50万円 (金利年18%) |
80万円 (金利年18%) |
---|---|---|---|
将来利息 | 約8万円を全額カット | 約20万円を全額カット | 約31万円を全額カット |
分割回数 | 40回 | 60回 | 60回 |
毎月の返済額 | 5,000円 (1,050円減額) |
約8,333円 (約6,792円減額) |
約1万3,333円 (約10,867円減額) |
任意整理をする前と比べて、返済総額だけでなく毎月の返済額も減らせたことがお分かりいただけるでしょう。
PayPayカードと任意整理する際の注意点
PayPayカードとの任意整理をお考えの際は、以下の点にご注意ください。
PayPayカードが解約される
任意整理をすると、契約どおりには返済しないことになりますので、PayPayカードは強制解約となって利用できなくなってしまいます。
強制解約になると全面的に契約が終了となるため、家族カードやETCカードなども使えなくなります。
なお、キャッシング枠とショッピング枠は同時に任意整理の対象となります。どちらか一方を残すことはできず、カードそのものが解約されてしまうことにも注意が必要です。
ブラックリストに登録される
任意整理をすると、ブラックリストに登録されてしまいます。正確にいうと、信用情報機関のデータベースに事故情報が登録されてしまうため、その後は基本的に、新たな借入やローン、クレジットカードの作成などに関する審査に通らなくなるのです。
ブラックリストの影響により、PayPayカード以外の任意整理していない会社のクレジットカードも、半年以内に強制解約となってしまうことにご注意ください。
なお、任意整理による事故情報は完済から5年程度で抹消されるためブラック状態が解消し、その後は、新たな借入やクレジットカードの作成ができるようになります。
しかし、ブラック解消後もPayPayカードの社内には任意整理をした顧客のデータが残り続けるため、PayPayカードを再び作成することは難しいです。このことを「社内ブラック」といいます。
PayPay銀行の口座が凍結されることもある
PayPayカードを使いすぎて返済が苦しくなった方は、PayPay銀行のカードローンも利用していることが多い傾向にあります。このような場合は、PayPayカードだけでなく、PayPay銀行とも一緒に任意整理をした方がよいことが多いです。
ただし、PayPay銀行とも任意整理をすると、PayPay銀行の口座が一時的に凍結されることに注意が必要です。
口座の凍結は一般的に1~3ヶ月程度で解けますが、その間は出金することができません。口座に残っていたお金は、PayPay銀行への返済に充てられてしまいます。
したがって、PayPay銀行とも任意整理をする場合には、事前に預金を引き出しておくとともに、他のカードや公共料金などの引き落としに利用していた場合は、支払い方法を変更しておいた方がよいでしょう。
PayPayカードへの滞納を放置するリスク
PayPayカードとの任意整理には、カードの強制解約やブラックリストへの登録などのデメリットがありますが、滞納を解消できない場合に放置することは危険です。
滞納を放置すると、以下のリスクが生じますので注意しましょう。
- 電話や文書による督促が繰り返される
- 遅延損害金が加算され続ける
- 一括返済を請求される
- ブラックリストに登録される
- 裁判を起こされる
- 財産を差し押さえられる
任意整理をしなくても、滞納が2~3ヶ月続くとブラックリストに登録されてしまいます。
滞納が6ヶ月以上続けば裁判を起こされるリスクが高まり、裁判も放置すると、最終的に給料や預金口座などの財産を差し押さえられるおそれがあります。
このようなリスクを回避するためにも、PayPayカードへの返済が難しくなったときは、早めに任意整理で解決してしまった方がよいといえるでしょう。
PayPayカードとの任意整理における手続きの流れ
それでは、PayPayカードとの任意整理をどのように進めればよいのか、手続きの流れをみていきましょう。
自分で交渉する場合
自分でPayPayカードと交渉する場合は、以下の流れで手続きを進めていきます。
- PayPayカードへ連絡し、取引履歴の送付を依頼する
- 取引履歴が届いたら、利息引き直し計算をする
- 利息のカットや分割回数などについて交渉する
- 和解成立
- 返済を再開する
ただし、自分で交渉した場合には、将来利息の全額カットや長期の分割払いには応じてもらえないことが多いようです。
返済を1~2ヶ月ほど待ってもらえる可能性は十分にありますが、利息のカットや返済期間の延長などを求める場合は、弁護士や司法書士のサポートを受けた方がよいでしょう。
弁護士・司法書士に依頼する場合
弁護士または司法書士に任意整理を依頼した場合は、まず、弁護士・司法書士からPayPayカードへ受任通知を送付してもらえます。
その後は、取引履歴の取り寄せから和解成立までの手続きをすべて、弁護士・司法書士に任せることが可能です。
過払い金が発生している場合には、弁護士・司法書士がPayPayカードとの交渉や、必要に応じて裁判をした上で、過払い金を取り戻してくれます。
ただし、過払い金が発生する可能性があるのは、ワイジェイカードの前身である「KCカード」(国内信販あるいは楽天KC)の時代から借入れ・返済をしていたケースに限られます。
PayPayカードとの任意整理を弁護士・司法書士に依頼するメリット
PayPayカードとの任意整理を弁護士・司法書士に依頼することで、次のメリットが得られます。
- 受任通知の送付により、督促がすぐに止まる
- 利息引き直し計算を正確に行ってもらえる
- 自分でPayPayカードとやりとりをする必要がない
- 有利な条件での和解が期待できる
- 過払い金返還請求も任せることができる
- 家族に内緒で手続きを進めやすい
- 必要に応じて自己破産や個人再生への切り替えも可能
弁護士・司法書士からの受任通知を受け取った債権者が債務者へ直接、督促することは貸金業法で禁止されています。
そのため、受任通知の送付後は督促がすぐに止まりますし、その後の手続きも家族に内緒で進めやすくなります。
そして、経験豊富な弁護士・司法書士にPayPayカードとの交渉を任せることにより、自分で交渉した場合よりも格段に有利な条件での和解成立が期待できるのです。
状況によっては、自己破産や個人再生なども視野に入れて、弁護士・司法書士が最善の解決方法を提案してくれます。
満足できる結果を得るためにも、まずは弁護士・司法書士に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
PayPayカードは、任意整理に協力的な会社です。
弁護士・司法書士への依頼後3ヶ月以内なら、経過利息(遅延損害金)をカットしてもらえる可能性も高いので、他社からの借金も同時に任意整理する場合には、PayPayカードとの和解を優先させるとよいでしょう。
ただし、自分でPayPayカードと交渉すると、不利な和解案を押し付けられるケースも多く見受けられます。
PayPayカードへの返済が厳しくなってしまったときは、弁護士・司法書士の力を借りて、最適な形で借金問題を解決してしまいましょう。