- 借金返済の最大のコツは無理のない返済計画を立てることにある
- 早期の完済を目指すには利息の負担を減らすことが重要である
- 債務整理のデメリットは意外に少ない
- 専門家に相談することで解決への最短の道のりがわかる
借金はコツコツと返済していけばやがて完済できるはずですが、利息の負担があるため、楽なことではありません。
確実に返済するためには、しっかりとした返済計画を立てることが重要です。その上で、利息を減らし、返済に回せる金額を増やす工夫をすることにより、無理なく早期の完済を目指すことが可能になります。
この記事では、借金返済のコツを詳しく解説します。最大限に努力しても返済できないときの対処法もご紹介しますので、参考になさってください。
早期の完済を目指す借金返済のコツ
いったん借金を抱えてしまうと、完済するまでには生半可ではない努力を要求されることが少なくありません。
しかし、以下の3つの工夫をすることで今までよりも楽に、かつ、早期の完済を目指すことが可能となります。
返済計画を立てる
まずは、しっかりとした返済計画を立てることです。
何社からも借入をしていると、総額でいくら返済するのかが分からないことになりがちです。
行き当たりばったりで返済しているとお金が足りなくなり、返済のために借入をしなければならないこともあるでしょう。
このような状態になると、いつまで経っても完済できないのはもちろんのこと、借金は増え続けることになりかねません。
利息を減らす
金融機関からの借金は金利が高いため、いくら返済しても利息の支払いにとられてしまい、元金がなかなか減らないことになりがちです。
しかし、工夫をすれば利息の負担は減らせます。そうすることで効率よく元金を減らしていけるようになるので、完済時期を早めることが可能です。
返済に回せる金額を増やす
当然のことながら、返済に回せる金額を増やせば借金返済はスムーズに進みます。できる限りにおいて、返済資金を多く確保する努力も重要です。
ただし、この努力は無理のない範囲で行うべきです。通常、借金返済は長期間に及ぶので、無理をしても長続きしません。
以下で、3つの「借金返済のコツ」について詳しく解説していきます。
借金返済のコツ① 返済計画を立てる
返済計画は、次の手順で立てていきます。
返済しなければならない金額を把握する
まずは、いくら返済しなければならないのかを正確に把握しましょう。借入先ごとに、以下の項目を確認することです。
- 借入残高
- 金利と完済までに発生する利息
- 毎月の返済額
ほとんどの場合は、借入先の金融機関のホームページで確認できます。わからない場合は、金融機関に直接、問い合わせましょう。
もし、借入先の金融機関がわからない場合は、以下の信用情報機関に自分の信用情報の開示請求をすることで確認できます。
開示請求の方法は、各信用情報機関のホームページでご確認ください。
返済できる金額を把握する
次に、実際に返済できる金額を把握します。以下のように、1ヶ月あたりの支出を書き出してみましょう。
【1ヶ月あたりの支出例】
- 家賃:6万円
- 水道光熱費:1万5,000円
- 食費:4万円
- 通信費:1万5,000円
- 保険料:1万円
- 交通費:1万円
- 娯楽費:3万円
- 雑費:2万円
- 合計:20万円
手取り月収が25万円だとすると、差し引き5万円を返済に回せることになります。
なお、支出を書き出す際には切り詰めた金額ではなく、現状の金額を書き出すことが大切です。無理をしても長続きしないので、「今までどおりの生活をしたとして、お金がいくら残るのか」をまずは把握しましょう。
完済までの道のりをシミュレーションする
以上の手順で現状を把握できたら、以下の表な表を作ってみましょう。
借入残高 | 金利 | 完済までの利息 | 返済回数 | 毎月の返済額 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 80万円 | 15% | 413,649円 | 60回 | 20,227円 |
B社 | 50万円 | 18% | 258,514円 | 60回 | 12,642円 |
C社 | 30万円 | 18% | 89,345円 | 36回 | 10,820円 |
合計 | 160万円 | 761,508円 | 43,689円 |
このようにまとめることで、完済までの道のりが見えてくるはずです。
毎月5万円を返済に回せる場合、この返済計画では1ヶ月あたり6,000円ほど余ります。突発的な出費に備える必要もあるので、余った分は貯蓄していくことをおすすめします。
借金返済のコツ② 利息を減らす
前項のステップは、あくまでも約定どおりの返済を確実に続けていくためのコツに過ぎません。ここからは、より効率的に借金返済を加速させていくためのコツをご紹介します。
前項の表では、完済までに76万円以上もの利息を支払わなければなりません。この利息を減らすことができれば、毎月の返済額を減らすことも可能ですし、完済を早めることも可能となります。
その方法として、以下のことが挙げられます。
リボ払いをやめる
まず、リボ払いを設定している場合は、通常の分割払いに変更しましょう。
リボ払いは毎月の返済額を低く抑えるためには効果的ですが、手数料の負担が重いため、元金がなかなか減らないことになりがちです。
リボ払いを全てやめると毎月の返済額が増え、返済できないことになる可能性がありますので、できる範囲で分割払いに変更しましょう。
金利の高い借入先に優先的に返済する
カードローンやクレジットカード代金の毎月の返済額は、多くの場合、自分で設定できるようになっています。
そこで、金利の高い借入先の返済額を多めに、金利の低い借入先の返済額を少なめに設定しましょう。そうすることで、トータルで見ると利息の負担を軽減できます。
銀行カードローンよりは消費者金融からの借金を、ショッピングのみ利用しているクレジットカードよりもキャッシングを利用しているクレジットカードの返済を優先するとよいでしょう。
繰り上げ返済や一括返済をする
ボーナスや臨時収入があったときは、繰り上げ返済をしましょう。
繰り上げ返済とは、毎月の返済予定額に加算して返済することをいいます。加算した金額は元金の返済に充てられるので、その分だけ今後の利息も減ります。
一括返済とは、借入残高とそのときまでに発生している利息を一度に返済してしまうことをいいます。
退職金などで大きな臨時収入があった場合や、小口の借入先などについては一括返済をするとよいでしょう。
ただし、借金は少しでも早く返済した方がその分だけ利息が減るので、一般的には一括返済ができるようになるまで待つのではなく、少しずつでも繰り上げ返済をしていく方が有利になります。
おまとめローンや借り換えを利用する
おまとめローンや借り換えを利用すれば、一気に利息の負担を軽減させることができます。
おまとめローンとは、複数社から借入をしている場合に、金利の低い貸金業者から借り入れたお金で従来の借入先に対する借金を完済し、借金を一本化するものです。
例えば、先ほどのシミュレーション表に掲げた3社の借金を、金利5%の貸金業者のおまとめローンを利用して一本化すれば、利息が大幅に軽減されます。
借り換えとは、一本化するのではなく、個別に金利の低い貸金業者から借りて金利の高い借入先に完済するという方法法です。
例えば、シミュレーション表のB社の借金(残高50万円、金利18%)を金利14.5%の銀行カードローンに借り換えれば、少しですが利息を減らせます。
おまとめローンや借り換えの注意点として、一般的に返済期間が長くなるため、トータルで見るとかえって利息の負担が重くなりかねないということが挙げられます。
これらの方法を利用するときは、できる限り毎月の返済額は従来どおりとするか、繰り上げ返済や一括返済を積極的に行いましょう。そうすることで、完済時期を大幅に早めることも可能となります。
借金返済のコツ③ 返済に回せる金額を増やす
利息を可能な限り減らすとともに、返済に回せる金額を増やすことで、借金返済をさらに加速させることができます。無理は禁物ですが、以下の工夫をすれば多少は返済額を増やせることが多いはずです。
家計を見直す
まずは、家計を見直して節約に努めてみましょう。
無駄遣いを減らすのは当然のこととして、以下のような固定費を見直すと高い節約効果が得られることが多いです。
- スマホや携帯電話の料金
- 生命保険や自動車保険などの保険料
- 新聞購読料
- インターネットやジムなどの月額利用代金
その他にも、外食を控えて自炊する、安価な食材を選ぶ、飲み物は自販機で買わずに水筒を持参する、などの地道な節約もおすすめです。
収入を増やす
本業の収入をすぐに増やすことは現実的ではありませんし、仕事を掛け持ちするのも厳しいことが多いでしょう。
しかし、最近では自宅でパソコンやスマホを活用して副収入を得る方法が数多くあります。
自宅でできる副業を選ぶときのポイントは、「誰でも簡単に高収入!」と謳っているような副業には手を出さず、月数千円~数万円を着実に得られる方法を選ぶことです。
高収入を得ることも不可能ではありませんが、「簡単に」とはいきません。多大な時間と労力が要求されます。
それよりは、少額でも着実に副収入を得て繰り上げ返済に充て、少しずつでも利息を減らしていく方が賢明です。
不要品を売却する
不要品を売却することで、一時的な収入を得ることもできます。
オークションサイトやフリマアプリを利用して手軽に売却できるので、家の中に使ってないものがあれば出品してみるとよいでしょう。
また、車がなくても生活できるのであれば、車を手放すのも一つの方法です。
家族や友人に協力を依頼する
家族や友人等で頼れる人がいる場合には、協力を依頼して金融機関からの借金を返済してしまうのが得策です。
協力してくれた人に返済する必要があるとしても、通常は利息の負担を免れるので、返済額を大幅に減らすことができます。
ただし、信用してくれた家族や友人を裏切らないためにも「借用書」を書いた上で、少しずつでも着実に返済するようにしましょう。
借金返済中にやってはいけない3つのこと
以上の「借金返済のコツ」を実践していても、以下の行為をすると借金が増えてしまうため、完済が遠のいてしまいます。
油断するとついやってしまいがちな行為ですが、くれぐれも注意しましょう。
新たに借入をする
借金を減らしていくためには、「これ以上、借金を増やさないこと」が前提となります。返済しながら新たな借入をしていたのでは、借金は減りません。
新たな借入をしないためにも、無理のない返済計画をしっかりと立てるとともに、突発的な出費に備えて貯蓄していくことも重要となります。
借りて返す状態が生じている場合は、返済計画に無理があることの証左です。
クレジットカードを使いすぎる
クレジットカード代金も借金の一種なので、使いすぎることは禁物です。
クレジットカードを使えばポイントが貯まり、それが生活費の足しにもなりますので、様々な支払いにクレジットカードを利用すること自体はよいことです。
利用明細をこまめに確認し、使いすぎないように注意しましょう。できる限り、決済専用のクレジットカードを用意して、一括払いでのみ利用することをおすすめします。
滞納する
借金の返済が1日でも遅れると遅延損害金が発生し、返済額が増えてしまいます。遅延損害金の利率は借入の金利よりも高いので注意が必要です。
返済をつい忘れてしまうこともあるかもしれませんが、気付いたらただちに返済しましょう。
滞納がたびたび発生するようであれば、やはり返済計画に無理があると考えるべきです。
借金返済が難しいときは債務整理を視野に入れよう
3つの借金返済のコツを実践しても、以下のような状態が発生している場合は、そもそも返済能力を超えた借金を抱えている可能性があります。
- 生活費をギリギリまで切り詰めている
- 突発的な出費への備えがほとんどできない
- 公共料金の支払いも厳しい
また、そもそも無理のない返済計画を立てること自体が難しいという場合もあると思います。
そんなときは、債務整理を視野に入れた方がよいでしょう。
合法的に借金を減らせる
債務整理とは、合法的な手段で借金を減らせる手続きのことです。主に以下の3種類の手続きがあります。
- 任意整理…毎月の返済額を減らせる
- 個人再生…借金総額を大幅に減らせる
- 自己破産…借金の返済義務を全て免除してもらえる
いずれも、法律で認められた正当な制度なので、「このままでは返済できない」という場合には利用を検討しましょう。
債務整理のデメリットは意外に少ない
債務整理の有効性はわかっていても、デメリットを恐れて躊躇する人は少なくありません。
たしかに、債務整理をするとブラックリスト入りしますし、手続きの種類によっては以下のようなデメリットが生じることもあります。
- 一定の評価額を超える財産を失う
- 手続き中は一部の職種への就業が制限される
- 保証人に迷惑がかかる
ただし、ブラックリスト入りしても5年~10年で復活しますし、その間も工夫をすれば生活への支障は相当程度、避けることができます。
また、自分に合った手続きを選択すれば、その他のデメリットも回避できる可能性があります。
自分に合った債務整理の選び方
債務整理手続きを選ぶときは、一般的に以下の順序で検討します。
- まずは任意整理で解決できないかを検討する
- 難しい場合は個人再生を検討する
- それでも解決できない場合は自己破産を選択する
任意整理は3つの手続きの中で最もデメリットが少ないので、まずは任意整理を検討します。一般的な会社員の場合、借金総額が200万円~300万円までなら任意整理で解決できる可能性があります。
次にデメリットが少ないのは個人再生です。任意整理で解決できないほどの借金を抱えている場合でも、安定収入があれば個人再生を検討してみましょう。
個人再生も難しい場合は、最終手段として自己破産を選択することになります。自己破産は借金の返済義務を全て免除してもらうことが可能な手続きなので、収入がない場合でも利用できます。
借金返済を弁護士・司法書士に相談するメリット
借金返済が難しいと感じたら、早めに弁護士または司法書士に相談することを強くおすすめします。法律の専門家に相談することで、以下のメリットが得られます。
- 状況に応じて借金返済のコツを具体的にアドバイスしてもらえる
- 債務整理が必要な場合は、最適な手続きを判断してもらえる
- 債務整理を依頼すれば、受任通知の送付により債権者からの督促を止めてもらえる
- 複雑な債務整理手続きを全て任せることができる
- 的確に手続きを進めてもらえるので、債務整理で良い結果が期待できる
一人で抱え込むよりも、専門家の力を借りることで、借金問題をスムーズに解決できる可能性が格段に高まります。まずは相談だけでもしてみるとよいでしょう。
まとめ
借金返済にはコツがあり、それを実践することで完済を早めることが可能となります。
しかし、様々な工夫をしても借金の返済が厳しい、生活に余裕がほとんどない、といった場合には、債務整理で借金そのものを減免することが得策です。
専門家に相談すれば、債務整理が必要かどうかについてもアドバイスが得られます。弁護士・司法書士の力を借りて、借金問題は早めに解決してしまいましょう。