- グリーンアイランドは主に古い債権の回収を行う会社である
- グリーンアイランドからの請求を無視すると最終的に差押えを受けることがある
- グリーンアイランドから請求された債権は時効にかかっていることが多い
- 時効が成立している場合は債務の承認に注意し、時効援用をすべきである
グリーンアイランドという身に覚えのない業者から支払い請求の通知が届き、驚いた方もいらっしゃることでしょう。
近年では架空請求などの詐欺事例も多発していますが、グリーンアイランドは悪質業者ではありませんので、無視していると裁判や差押えなどに発展するおそれがあります。
しかし、グリーンアイランドが請求する債権は古いものが多いため、時効援用で解決できる可能性もあります。そのためには、時効の成否を的確に判断した上で、時効援用の手続きを正しく行うことが重要です。
この記事では、グリーンアイランドから通知が届いたときに確認すべきことや、時効援用で解決できる可能性とその方法、注意点などについてわかりやすく解説します。
グリーンアイランドとは
まずは、グリーンアイランドに関する基本的な情報を確認しておきましょう。
会社概要
グリーンアイランドは、貸金業者ではありませんが、廃業した貸金業者などから未回収の債権を譲り受け、その回収を行う業者です。ただし、法務大臣の許可を受けた「債権回収会社」でもありません。
社名 | 株式会社グリーンアイランド |
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本店 | 静岡県静岡市駿河区南町10番5号 |
連絡先 | 東京都港区南麻布4-5-48-1F |
会社概要に関する情報は乏しいですが、グリーンアイランドから債務者へ実際に送られた通知書をみると、本店・連絡先とも「株式会社クレディア」という宅建業者と同じ住所が記載されています。
しかし、グリーンアイランドとクレディアとの関係は不明です。
主な「元の債権者」
グリーンアイランドは、さまざまな貸金業者(元の債権者)から債権を譲り受けています。これまでに確認された「元の債権者」として、以下のところが挙げられます。
- ユニマット
- ユニマットライフ
- ビーエル
- 丸和コーヨー
- パルレディス
- オリカキャピタル
- オリエント信販
以上の他にも、グリーンアイランドへ債権を譲渡している業者はいると考えられます。
グリーンアイランドから通知が届いたのであれば、必ず、過去にどこかの業者(元の債権者)に対する未払の債務があるはずです。
送られてくる書面の種類
グリーンアイランドから送られてくる書面には、主に以下のようなタイトルが付けられています。
- 訴訟予告
- 訴訟予告通知
- ご連絡のお願い
- 訪問通知書
- 法的手続き移行のご通知
- 債務名義確定通知
これらのうち、「債務名義確定通知」以外の書面は、裁判前に任意の支払いを求めるための督促状です。
債務名義確定通知が届いた場合は、既に裁判を起こされ、判決や仮執行宣言付き支払督促が確定している可能性が高いです。
しかし、どの書面が届いた場合でも、請求された債権について時効が完成している可能性があります。
グリーンアイランドが請求する債権と消滅時効の関係
グリーンアイランドが請求する債権は古いものが多いので、消滅時効にかかっているケースが多々あります。しかし、すべてのケースで支払いを拒否できるとは限りません。
そこで、消滅時効の成立要件について、みていきましょう。
時効の成立要件
借金の消滅時効が成立する要件は、以下の3つをすべて満たすことです。
- 最後の取引から5年以上が経過していること
- 5年以内に債務の承認をしていないこと
- 10年以内に裁判を起こされていないこと
貸金業者からの借金の消滅時効期間は、最後の取引から5年です。
しかし、債務の承認をしたり、裁判を起こされたりすると時効が更新されます。時効の更新とは、それまでに進行していた時効期間がリセットされ、そのときから新たな時効期間がゼロから進行し始めることです。
新たな時効期間は、債務の承認後は5年、裁判を起こされた場合は判決や支払督促が確定してから10年となります。
時効にかかった債権の支払いを請求してくる理由
グリーンアイランドは、他者から譲り受けた債権が時効にかかっていても、平気で借主に支払いを請求してきます。その理由は、消滅時効が成立していても、債務者が時効援用をしなければ債権は消滅しないからです。
時効援用とは、時効によって利益を受ける人が、相手方に対して、その利益を受ける旨の意思表示をすることです。
消滅時効の成立後も自動的に債権が消滅するわけではなく、時効を援用するかどうかは債務者の自由意思に委ねられています。債務者が時効を援用する前に債務の承認をすると、新たな時効期間が経過するまで時効援用ができなくなります。
しかし、債務者の多くは、このような法律上のルールを正確には知らないのが実情です。そこで、グリーンアイランドは以下のことを狙って請求していると考えられます。
- 債務者が時効成立に気づかず支払うこと
- 債務の承認をさせることで時効を援用できなくさせること
時効が成立していても請求を無視してはいけない理由
時効が成立しても、それだけでは債権が消滅するわけではないので、グリーンアイランドからの請求を無視すると、以下のリスクが生じることに注意が必要です。
督促が何度も繰り返される
請求を無視すると、グリーンアイランドから文書の送付や電話により、何度も督促を受けてしまいます。
この督促は、支払いか債務の承認をしない限り、繰り返し行われます。無視することで督促が止まることはありません。
自宅訪問による取り立てを受けることがある
文書や電話による取り立てを無視し続けていると、自宅訪問による取り立てを受けることもあります。
取り立てが自宅にまで来ると心理的な負担が重くなるため、支払わざるを得ないという精神状態に追い込まれやすくなります。
また、訪問員とのやりとりにおいて、言葉巧みに債務の承認をさせられてしまう可能性も高いです。
裁判を起こされる
任意の支払いに応じなければ、グリーンアイランドが裁判を起こしてくることもあります。裁判を起こされると、「訴状」や「支払督促」といった書類が裁判所から自宅に届きます。
債務者が時効援用をしない限り、債権者に請求権が残っていますので、裁判手続きも有効に進められていくことに注意しなければなりません。
何の反論もせずに放置していると、グリーンアイランドの主張が全面的に認められ、判決や仮執行宣言付き支払督促が確定してしまいます。
財産の差押えを受ける
判決や仮執行宣言付き支払督促が確定すると、グリーンアイランドは強制執行を申し立てることにより、債務者の財産を差し押さえることが可能となります。
差押えの対象となる財産は、主に給料や預金口座です。
実際に差押えを受ける前に、グリーンアイランドから「債務名義確定通知」が届くこともありますが、いつ差押えを受けてもおかしくない状態です。
ある日突然、給料や預金口座から一定の金額が差し引かれ、生活費に困窮することにもなりかねません。
グリーンアイランドから請求されたときに確認すべきこと
グリーンアイランドによる裁判や差押えを回避するためには、最初に通知書を受け取った段階で以下のことをご確認ください。
元の債権者名
まずは、元の債権者名を確認しましょう。
元の債権者名は、グリーンアイランドから送られてきた通知書に記載されているはずです。もし、元の債権者名が記載されていなかったり、記載されている業者名に心当たりがなかったりすれば、架空請求を疑わなければなりません。
もっとも、グリーンアイランドは数十年も前の契約に基づく債権を請求してくることもあるので、実際に借りていても忘れていることもあるでしょう。
最終貸付時の年月日や残高などの記載も参考にして、よく思いだしてみることも大切です。
最後に取引をした時期
次に、最後に取引をした時期を確認する必要があります。それが5年以上前であれば、時効期間が経過していることになるからです。
最後に取引をした時期は手元の資料で確認することが望ましいですが、資料が残っていない場合は、通知書に記載されている「約定返済日」の記載が参考となります。
約定返済日の欄に5年以上前の年月日が記載されていれば、時効期間が経過している可能性が高いといえます。
裁判を起こされていないか
5年の時効期間が経過していたとしても、裁判によって時効が更新されていないかを確認する必要があります。
裁判に関する書類は裁判所から債務者へも送付されていますので、まずは手元に書類が残っていないかを確認しましょう。
書類が見当たらない場合は、グリーンアイランドから送られてきた書類に、次のような事件番号が記載されていないかを確認してください。
◯◯簡易裁判所 平成○○年(ロ)第◯◯号
◯◯簡易裁判所 平成○○年(少コ)第◯◯号
◯◯簡易裁判所 平成○○年(ハ)第◯◯号
事件番号の年数が10年以上前であれば、裁判を起こされていたとしても、新たな時効期間が経過している可能性が高いです。
債務の承認をしていないか
最後に、直近5年以内に債務の承認をしていないかも確認してください。
債務の承認とは、債務者から債権者に対して、債務を負っていることを認める旨の意思表示のことです。具体的には、以下のような言動が債務の承認に該当します。
- 債務の一部でも支払いをした
- 支払いの約束をした
- 債務者から支払期限の延期や分割払いを申し出た
債務の承認をした記憶がなくても、グリーンアイランドからの電話や自宅訪問などで話をしたことがあれば、気づかないうちに債務の承認をさせられていることも考えられます。
確信が持てなくても、時効期間が経過しているのであれば、次にご説明する方法によって時効援用をしましょう。グリーンアイランド側で反論があれば連絡してくるはずなので、その状況に応じて新たな対処法を検討することも可能です。
債権が時効にかかっているときの対処法と注意点
ここでは、グリーンアイランドから請求された債権が時効にかかっている場合にやるべきことと、注意点を解説します。
時効援用通知書を送付する
時効にかかった債権の支払い請求を受けたとき、拒否するためには時効を援用する必要があります。
時効を援用するためには、債権者に対して「この借金については消滅時効が成立したので、支払いません」と意思表示をすることになります。この意思表示は、口頭や電話で行っても有効です。
しかし、証拠を残しておかなければ後日、再度請求を受けて債務承認をさせられるなどのトラブルが生じるおそれがあります。
そのため、時効を援用する際は「消滅時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便でグリーンアイランドの本店宛てに送付することが大切です。
安易に連絡しないこと
時効が成立しているように思えても、不安になってグリーンアイランドへ連絡しようと考えることもあるでしょう。しかし、安易に電話などで連絡することは禁物です。
時効を援用する前にグリーンアイランドに連絡をとると、言葉巧みに債務承認に該当する言動を引き出されてしまい、時効援用ができなくなるおそれがあります。
時効が成立している場合には、連絡などせず時効援用通知書を送付するのが正しい対処法です。
グリーンアイランドから裁判を起こされたときの対処法と注意点
グリーンアイランドへの対応について悩んでいるうちに、裁判を起こされてしまうこともあるでしょう。そんなときは、以下のように対処していくことで解決できます。
裁判でも時効援用は可能
裁判を起こされた後でも、時効が成立している場合は、その時効を援用することが可能です。
訴訟を提起された場合には、裁判所から送られてくる「訴状」に同封されている「答弁書」に、時効を援用する旨を記載して返送すれば、時効援用の効果が生じます。
支払督促を申し立てられた場合には、まず、2週間以内に同封の「異議申立書」に必要事項を記載して返送しましょう。異議申し立てが受理されると訴訟の手続きに移行しますので、改めて答弁書の提出によって時効を援用できます。
放置すると差押えに進んでしまう
先ほどもご説明しましたが、グリーンアイランドから請求された債権が時効にかかっていても、放置すると判決や仮執行宣言付き支払督促が確定し、差押えに進んでしまいます。
民事訴訟では、被告(債務者)が答弁書を提出せず、裁判期日にも出頭しなければ、原告(債権者)の主張をすべて認めた判決(欠席判決)が言い渡されるからです。
支払督促を申し立てられた場合も、債務者が異議申し立てをしなければ、所定の手続きを踏んで差押え可能な状態となります。
裁判を起こされたら、放置することは厳禁です。
判決等が確定している場合は債務整理を検討する
過去に裁判を起こされて、判決や仮執行宣言付き支払督促が確定している場合は、新たな時効期間が経過していない限り、支払い義務があります。
すぐに支払えない場合、一般的には分割払いなどを申し出ることが考えられます。しかし、グリーンアイランドは、分割払いの交渉にはあまり応じません。そのため、支払いが厳しい場合には債務整理も視野に入れた方がよいでしょう。
債務整理とは、法律に則った手続きにより、正当に借金を減免することが可能な制度のことです。具体的には、主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあります。状況に合った手続きを選択して行うことで、借金問題は解決できます。
特に、他にも借金を抱えている場合は、債務整理で借金問題の全面的な解決を図るとよいでしょう。
グリーンアイランドから請求を受けたら弁護士・司法書士へ相談を
グリーンアイランドからの通知で請求を受けたら、一度、弁護士または司法書士に相談してみることを強くおすすめします。
法律の専門家に通知書を見せるだけでも、まず架空請求ではないかを判断してもらえます。
次に、時効の成否を判断してもらい、時効が成立している場合には時効援用の手続きを任せることができます。依頼後は弁護士・司法書士が代理人としてグリーンアイランドとのやりとりを代行してくれますので、うっかり債務を承認してしまうリスクも回避できます。
裁判を起こされた場合や、債務整理が必要な場合などでも、複雑な手続きは弁護士・司法書士に一任することが可能です。法律の専門家によるサポートを受けることで、満足できる結果が得られることでしょう。
まとめ
グリーンアイランドは架空請求などの悪徳業者ではありませんが、時効にかかった債権を請求してくることも多いので注意が必要です。
時効が成立している場合には、時効援用の手続きを正しく行うことで解決できます。
しかし、その前提として時効の成否を的確に判断しなければなりませんし、債務を承認しないように注意する必要もあります。
時効援用の手続きに失敗すると、支払いを拒否できなくなるおそれがあります。適切な解決を図るためにも、まずは弁護士・司法書士に相談してみましょう。