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アペンタクルからの差押え予告通知を無視するリスクと時効援用による正しい対処法を解説

この記事でわかること
  • アペンタクルは債権回収のみを行う、みなし貸金業者である
  • アペンタクルからの請求を無視すると実際に差押えを受ける可能性が高い
  • アペンタクルから請求された債権は時効にかかっていることが多い
  • アペンタクルに対しても債務整理は有効である

アペンタクルという業者から突然、通知書が届き、対応にお困りの方もいらっしゃることでしょう。

アペンタクルという聞いたことがない会社からの通知書を見て、身に覚えがないと感じてしまうのも無理はありません。

しかし、この通知は詐欺だと判断して放置していると事態が悪化し、最終的には財産の差押えに発展するおそれもあるので、注意が必要です。

この記事では、アペンタクルの差押え予告通知を無視するリスクや正しい対処法、注意点、時効援用による解決について、わかりやすく解説します。

アペンタクルとは

アペンタクルとは、かつて貸金業を営んでいた「みなし貸金業者」のひとつです。以前は「ワイド」という社名で貸し付け行っていましたが、現在は貸金業を廃業しており、以前の契約に基づく債権の回収を行っています。

会社の概要は、以下のとおりです。

社名 アペンタクル株式会社
代表者 山崎 文秀
本社所在地 〒320-0055 栃木県宇都宮市下戸祭2丁目3番25号

ワイド時代の2007年に新規貸し付けを停止し、その後に貸金業を廃業しています。さらにその後、「アペンタクル」に社名変更されました。

アペンタクルから届く「差押え予告通知」とは

アペンタクルから届く通知書には、以下のように、いくつかの種類があります。

書面の標題と内容内容
ご入金のお願い 最初に届く通知書。請求額や支払期限、振込先、連絡先などが記載されている。無視していると、この通知書が繰り返し送られてくる。
返済相談通知 ご入金のお願いを無視していると届く通知書。「本所到着後○○日以内にご連絡をいただければ、返済方法についてご相談に応じます」という旨の文言が記載されている。
訪問通知書 文書による督促を無視していると担当者が自宅を訪問し、その際に債務者が不在だった場合に差し出される通知書。
最後通告書 法的手続きに進む前に、最後の通告として届く催告書。この書面を無視すると、裁判や差押えに進む可能性が高い。
債務名義確定通知書 既に裁判所の判決や支払督促が確定しているものの、任意の支払いを促すために届く通知書。

「差押え予告通知」というタイトルでなくても、本文に「このままお支払いがなければ差押え等の法的手続きをとる」との文言が記載されていることが多いです。

このような通知を無視していると、最終的には実際に差押えを受けてしまう可能性が十分にあります。アペンタクルの差押え予告通知を無視することは、非常に危険です。

アペンタクルからの差押え予告通知を無視するリスク

アペンタクルからの差押え予告通知を無視することで生じる具体的なリスクは、以下のとおりです。

自宅訪問による取り立てを受けることがある

大手の金融機関や消費者金融などは、債務者が滞納を続けても、自宅にまで取り立てに来ることはほとんどありません。しかし、アペンタクルの担当者は、実際に債務者の自宅を訪問することがあります。

自宅訪問による取り立てを受けると、家族に借金がバレてしまうおそれもあるでしょう。

職場に取り立ての連絡が入ることがある

居留守を使うなどして自宅訪問も無視していると、アペンタクルの担当者が職場にまで取り立ての連絡をしてくることがあります。

電話口では担当者の個人名を名乗って債務者を呼び出しますが、職場の人に不審がられ、借金があるのではないかと勘ぐられることもあるでしょう。

裁判を起こされる

アペンタクルからの督促を無視し続けていると、裁判を起こされることもあります。

裁判を起こされた場合には、裁判所から「訴状」や「支払督促」といった書類が、特別送達で自宅に届けられます。ほとんどの方は、裁判所から書類が届いただけでも驚愕し、精神的に大きなダメージを受けてしまうものです。

裁判書類も放置していると、裁判所でアペンタクルの主張が全面的に認められ、判決や仮執行付き支払督促が確定してしまいます。

実際に差押えを受ける

勝訴判決や仮執行宣言付き支払督促が確定すると、債権者は強制執行を申し立てることが可能になり、いつでも債務者の財産を差押えることが可能となります。

差押えの対象となる財産は、主に給料や預金口座です。差押えは、ある日突然行われ、所定の金額が強制的に支払いに充てられてしまいますので、生活費に窮してしまうおそれもあるでしょう。

アペンタクルによる差押えの特徴

ここでは、アペンタクルによる差押えについて、注意しておくべき特徴を2点、ご紹介します。

時効にかかった債権でも裁判・差押えをすることが多い

時効にかかった債権を請求するかどうかは、債権者側の意思に委ねられています。

そして、任意での支払いを請求する業者は少なくありませんが、裁判・差押えにまで至る業者は、さほど多いわけではありません。

しかし、アペンタクルは時効にかかった債権でも、平気で裁判や差押えをすることが多いです。法律で定められた取り立てのルールは守りますが、合法な範囲内で徹底的に債権回収を図ってくると考えておくべきです。

家財道具や車などの動産を差押えることもある

通常、借金の滞納で強制執行に至った場合に差押えの対象となるのは、給料や預金口座がほとんどです。

その他に、家財道具や車などの動産も差押えは可能ですが、手間を要する割に債権を回収できる見込みが薄いことから、一般的には動産の差押えは行われません。

しかし、アペンタクルは動産の差押えに踏み切ることもあります。動産の差押えを行う際には、執行官が債務者の自宅内に立ち入り、隅々まで調べて、売却できそうなものがあれば差押えて持ち帰ります。

アペンタクルは、このようにして債務者へ精神的にも圧力をかけることにより、支払いを促しているとも考えられます。

債権が時効にかかっていないかを確認する方法

アペンタクルから差押え予告通知が届いたときは、まず、請求されている債権が時効にかかっていないかを確認することが重要です。

時効成立を主張できるための条件は、以下の3つをすべて満たすことです。

  • 最後の取引から5年以上が経過している
  • 直近5年以内に債務承認をしていない
  • 直近10年以内に裁判を起こされていない

具体的には、以下のポイントについて順次、確認していきましょう。

前身である「ワイド」から借り入れをしていないか

アペンタクルから請求を受けた方は、前身である「ワイド」から借り入れをして、その借金を完済していないはずです。そのため、過去にワイドから借り入れをしていないかを確認しましょう。

できる限り、契約書や通帳の履歴、振り込み明細書などの資料を探してみることです。資料がまったく残っていない場合には、記憶を辿るしかありません。

もし、ワイドから借り入れた覚えがない場合は、架空請求を疑うべきです。

架空請求かどうかは通知書を注意深く見れば分かるものですが、不安な場合は素人判断でことを進めず、弁護士または司法書士に相談して見てもらうことをおすすめします。

最後の取引から5年以上が経過しているか

滞納したままの借金の時効が問題となる場合、通常は最後に返済した日が時効の起算点(時効期間がスタートする日)となります。その日が現在から5年以上前であれば、時効期間が経過していることになります。

通知書には、最後の返済日は記載されていないことが多いですが、最終の貸付日は記載されていることがあります。最終の貸付日が5年よりも大幅に前であれば、時効期間が経過している可能性も十分にあるといえます。

5年以内に電話や自宅訪問で話をしていないか

最後の取引から5年以上が経過していても、現在までに債務承認をしていると時効が更新されています。時効の更新とは、それまで進行していた時効期間がリセットされてゼロに戻り、そのときから新たな時効期間が進行し始めることです。

債務承認とは、債務者から債権者に対して、債務を負っている旨を認める意思表示のことです。具体的には、以下のような言動が債務承認に当たります。

  • 一部でも返済すること
  • 返済する約束をすること
  • 債務者から返済期限の延期や分割払いを申し出ること

アペンタクルの担当者と電話や自宅訪問で話をしたことがあれば、言葉巧みに債務承認をさせられている可能性もあることに注意が必要です。

過去に裁判を起こされていないか

「裁判上の請求」や「支払督促」を受けた場合も、時効が更新されています。

裁判手続きによって時効が更新された場合は、新たな時効期間が10年に伸張されることにも注意しなければなりません。新たな時効期間の起算点は、判決や仮執行宣言付き支払督促が確定したときです。

そのため、直近10年以内に、アペンタクルから裁判を起こされていないかを確認しましょう。

債権が時効にかかっているときの対処法と注意点

アペンタクルから請求された債権が時効にかかっているときは、債務承認をしないように注意しつつ、時効援用を行うことが重要です。

時効援用が必要

時効援用とは、時効によって利益を受ける人が、相手方に対して、その利益を受ける旨の意思表示をすることです。借金の場合には、「この借金については消滅時効が完成したため、支払いません」と伝える必要があります。

法律上、時効を援用するかどうかは、時効によって利益を受ける側の人に委ねられています。そのため、時効が完成していても、時効援用をするまでは債務が消滅しないことに注意が必要です。

時効援用の意思表示は、口頭や電話でも有効ですが、証拠を残しておかなければ、再度請求されるなどしてトラブルが再燃するおそれがあります。

そのため、内容証明郵便で「消滅時効援用通知書」を作成し、アペンタクルの本社宛に送付しましょう。

債務承認をしてはいけない

時効が完成した後でも、債務承認をすると時効が更新されてしまい、改めて時効期間が経過するまでは時効援用ができなくなってしまいます。

アペンタクルは、時効にかかった債権の債務者に対しても債務承認を目論んで、差押え予告通知を送付するなどして請求しているものと考えられます。

通知書が届いた際、不安にかられてアペンタクルに電話連絡などをしてしまうと、言葉巧みに債務承認をさせられてしまうおそれがあるので注意しましょう。

差押え予告通知を受け取ったら内容を確認し、時効が完成していたら電話連絡などはせず、内容証明郵便を送付することによって時効援用をすることが大切です。

アペンタクルから裁判を起こされたときの対処法と注意点

アペンタクルから裁判を起こされた後でも、以下のように対処することで適切に解決することができます。

裁判でも時効援用は可能

裁判所から書類が届いたら、落ち着いて請求内容を確認しましょう。時効が完成している場合は、裁判上で時効援用を行うことが可能です。

同封の答弁書に、時効援用をする旨を記載して裁判所へ返送すれば、時効援用の効果が生じます。その後は、通常、アペンタクルが裁判を取り下げます。

放置すると差押えに進んでしまう

時効が完成している場合でも、時効援用をせずに裁判手続きを放置すると、アペンタクルの主張がすべて認められ、判決で支払を命じられてしまいます。

その判決が確定すると、いつ差押えを受けてもおかしくない状態になりますので、裁判手続きを放置してはいけません。

時効が完成していない場合には、分割払いなどで裁判上の和解を申し出ることも考えられます。

アペンタクルは、裁判外での分割払いの交渉にはあまり応じませんが、裁判上の和解協議には応じる可能性がありますので、支払可能な和解案を答弁書に記載して提出すると良いでしょう。

和解が成立しない場合には、次にご説明する債務整理も視野に入れて解決を図ることになるでしょう。

判決等が確定している場合は債務整理を検討する

直近10年以内にアペンタクルから裁判を起こされて判決等が確定している場合は、時効が完成していませんので、支払い義務があります。

すぐに支払えない場合、差押えを回避するためには債務整理が有効です。

債務整理とは、法律に則った手続きにより債務を正当に減免し、借金問題を解決することが可能な手続きのことです。具体的には、主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の異なる手続きがあります。

このうち、任意整理はアペンタクルとの交渉が必要ですが、自分で直接交渉することが難しくても、弁護士・司法書士を通じて交渉すれば、適切な条件で和解できる可能性があります。

個人再生および自己破産は、どちらも裁判所で法律の規定に従って行われる手続きですので、一定の条件を満たせば強制的に債務が減免されます。

アペンタクルへの対応を弁護士・司法書士に依頼するメリット

アペンタクルへの対応に困ったときは、弁護士・司法書士によるサポートを受けることをおすすめします。法律の専門家の力を借りることで、以下のメリットが期待できます。

時効援用を的確に行える

まずは、時効の成否について、弁護士・司法書士が的確に判断してくれます。時効が完成している場合には、時効援用の手続きを弁護士・司法書士に任せることが可能です。

時効援用の手続きは、さほど複雑なものではありませんが、正確に行うためには専門的な知識も要求されます。失敗すると時効援用の効果が発生せず、アペンタクルからの請求を拒めないことにもなりかねません。

弁護士・司法書士に手続きを任せることで、時効援用を的確に行うことが可能となります。

債務承認をしてしまうおそれがない

弁護士・司法書士に依頼した後は、その弁護士・司法書士が代理人となり、アペンタクルとの交渉役を全面的に引き受けてくれます。

自分でアペンタクルとやりとりする場合には、うっかり債務承認をしてしまうおそれがあります。しかし、弁護士・司法書士は時効に関する法律のルールを熟知していますので、債務承認をしてしまうおそれがありません。

債務整理の手続きを代行してもらえる

時効が完成していない場合、債務整理が必要となれば、その手続きは弁護士・司法書士が代行してくれます。

債務整理の手続きは複雑かつ難解ですが、弁護士・司法書士による全面的なサポートを受けることにより、満足のいく結果が期待できます。

アペンタクル以外の債権者からの借金も、債務整理でまとめて解決することが可能です。借金問題の全面的な解決を目指して、弁護士・司法書士に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

アペンタクルから差押え予告通知が届いたら、まずは架空請求でないかを確認した上で、次に請求された債権が時効にかかっていないかを確認しましょう。

時効が完成している場合は、債務承認をしないように注意しつつ、時効援用をします。時効が完成していない場合、支払いが厳しければ債務整理も視野に入れて、解決方法を検討することになるでしょう。

どのような状況でも、最適な解決策を正しく実行するためには、弁護士・司法書士へのご相談がおすすめです。法律の専門家の力を借りて、適切に対応していきましょう。

執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

時効援用
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