- ペイディは任意整理できる
- ペイディの利用残高が少ない場合に任意整理をすると費用倒れになることもある
- ペイディへの滞納を放置すると重大なリスクが生じる
- 任意整理後も後払い決済を利用できる可能性はある
Paidy(ペイディ)は、クレジットカードがなくても後払いで買い物ができる便利なアプリです。便利な反面で、つい使い過ぎてしまって利用代金を支払いきれなくなり、任意整理を検討している方もいるのではないでしょうか。
後払い決済の支払いを滞納した場合にも、クレジットカードの利用代金を滞納した場合と同様のリスクが生じる可能性があるので、滞納はなるべく早めに解消することが大切です。
この記事では、ペイディを任意整理をするときの注意点や、任意整理後にペイディなどの後払い決済サービスを利用できるのかについてご説明しますので、参考になさってください。
ペイディ(Paidy)は任意整理はできる?
結論からいうと、ペイディを任意整理することは可能です。
任意整理とは、債権者との直接交渉により利息をカットしてもらうなどして借金を減額し、減額後の借金の返済期間についても交渉して取り決める手続きのことをいいます。
ペイディも、これらの交渉に応じてくれるので、任意整理は可能なのです。
ただし、ペイディでは、滞納額が比較的少ないケースが多いことから、任意整理の和解後の分割回数は、クレジットカード会社との任意整理よりも短期間となる傾向にあります。
一般的に任意整理後の分割回数は36回~60回(3年~5年)程度が目安ですが、ペイディの場合では、12回~18回(1年~1年半)程度となることが多いです。
ペイディの後払い決済システムとは?
ペイディを任意整理するにあたって、後払い決済システムについて基本的なことを確認しておきましょう。
後払い決済の仕組み
後払い決済とは、購入した商品を受け取った後に代金を支払う決済方法のことです。商品受け取り後、決済業者からの請求書やメール、SMSなどで支払額が通知され、その金額を所定の支払期日までに銀行やコンビニ、口座振替などで支払うことになります。
クレジットカードでのショッピングも実質後払いですが、一般的に「後払い決済」といえば、カード会社以外が提供するアプリ等を利用した決済サービスのことを指します。
後払い決済の特徴でクレジットカードと異なる点としては、次のようなことが挙げられます。
- カードがなくても買い物ができる
- 1回払いなら審査不要で利用できる
- 分割払いでも手数料がかからない
後払いの代金を滞納するリスク
後払い決済の代金を滞納すると、以下のリスクが生じる可能性があります。
リスク | ペイディの場合 |
---|---|
遅延損害金が加算される | 支払日の翌日から完済まで年14.6%の利率で遅延損害金が加算される。 |
後払い決済サービスが利用停止となる | 支払いが1日でも遅れると原則として利用停止(入金確認のタイミングにより数日後からとなる可能性もあり)。 |
督促が行われる | 滞納が続くと債権回収会社や弁護士事務所から督促状が届くこともある。 |
強制退会となる(滞納が2~3ヶ月続いた場合) | 強制退会となる時期はペイディ側の判断により異なる。 |
ブラックリストに載る | ペイディはCICとJICCに加盟しているため、滞納が2~3ヶ月続くとブラックリストに登録される可能性が高い。 |
差押えなどの法的措置を受ける | 少額の滞納でも支払督促や少額訴訟を経て、給料や預貯金を差し押さえられる可能性がある。 |
1回払いのみの「ペイディ」は審査不要で利用できますが、「ペイディプラス」や「ペイディあと払いプランApple専用」を利用するためには審査が必要です。その際には信用情報の照会が行われます。
そのため、「ペイディプラス」や「ペイディあと払いプランApple専用」の滞納を放置した場合には、クレジットカードの利用代金の滞納を放置した場合とほぼ同様のリスクがあると考えるべきです。
ペイディを任意整理するときの注意点
ペイディは任意整理可能ですが、以下の点に注意が必要です。
費用倒れになる可能性がある
ペイディへの滞納額は比較的少ないケースが多いため、任意整理を弁護士に依頼すると費用倒れになる可能性があります。
任意整理の弁護士費用は事務所によって異なりますが、1社当たり3~7万円程度(税別)を要することが多いです。
そのため、ペイディへの滞納額が5万円程度なら、費用倒れになる可能性の方が高いといえます。10万円程度でも経済的に得られるメリットは小さいといえるでしょう。
それでも、弁護士に依頼すると以下のメリットは得られますので、滞納を解消できない場合は一度、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
- ペイディとの交渉を任せられる
- 分割回数などについて有利な条件での和解が期待できる
- 遅延損害金のカットや減額も期待できる
後払いで購入した商品を引き揚げられることがある
後払いで購入した商品の所有権は、代金を完済するまでペイディ側に留保されています。そのため、代金を支払わず任意整理を行うと、その商品を引き揚げられる可能性があることに注意が必要です。
ただし、他にも借金がある場合、ペイディを対象から外して支払いを行い、他の借金のみを任意整理すれば、ペイディを利用して購入した商品を引き揚げられることはありません。
ブラックリストに載る
ペイディを任意整理すると、ブラックリストに登録されてしまいます。
先ほどもご説明しましたが、ペイディは以下の指定信用情報機関に加盟しています。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
任意整理をすると、「異動」や「債務整理」といった事故情報が、これらの信用情報機関のデータベースに登録されます。
金融機関や貸金業者、クレジットカード会社は通常、指定信用情報機関に加盟していますので、事故情報が登録されると一般的に新たな借り入れやローン、クレジットカードの利用などができなくなってしまうのです。
この状態になることを俗に「ブラックリストに載る」といいます。
ペイディを利用できなくなる可能性がある
ペイディを任意整理をすると、ペイディのサービスを利用できなくなる可能性があります。
信用情報機関に登録された事故情報は、完済から5年で削除されます。しかし、任意整理をした顧客の情報はペイディの社内データベースに残り続けるため、再度の利用は拒否される可能性があるのです。
このことを「社内ブラック」といいます。
再度の利用を認めるかどうかはペイディ側の判断によるため断言はできませんが、信用が悪化した以上、今後の利用は厳しくなると考えた方がよいでしょう。
ペイディを任意整理できないときの対処法
ペイディへの滞納額が少なく、任意整理では費用倒れの可能性が高い場合には、ペイディのカスタマーサポート(電話番号:0120-971-918)へ連絡して、支払い方法の相談をした方がよいでしょう。
ペイディとしても、手間とコストをかけて法的措置をとるよりも、任意に債権を回収する方が得策なので、支払期限の延期や分割払いに応じてもらえる可能性は高いです。
ただし、自分で交渉した場合は遅延損害金を免除してもらうことは難しいです。また、2~3ヶ月以内に完済できなければブラックリストに載る可能性が高いことにも注意しましょう。
他にも多額の借金を抱えている場合には、任意整理ではなく個人再生や自己破産によって、借金問題を全面的に解決することも検討してみましょう。
ペイディへの支払いが苦しくてもやってはいけないこと
ペイディへの支払いが苦しい場合でも、以下のことをやってはいけません。特に、「ペイディへの滞納は債務整理で解決できない」という誤った自己判断で、以下のことに手を出さないように注意しましょう。
他社からの借り入れ
ペイディへの支払いのために他社からの借り入れることは、おすすめできません。
カードローンやキャッシングなどは金利が高いため、新たな借り入れの返済も苦しくなり、その場しのぎにしかならないからです。
翌月の返済ができなければ、さらに追加で借り入れてしまい、自転車操業を繰り返すことにもなりかねません。自転車操業に陥ると、借金がどんどん増えていき、返済不能なほどに膨れ上がってしまう可能性が非常に高いです。
借金が膨れ上がってからでは解決方法の選択肢も限られてしまうため、返済のための借り入れはなるべく控えましょう。
後払い決済やクレジットカードの現金化
後払い決済やクレジットカードのショッピング枠を利用して購入した商品を、買い取り業者へ売却するなどして現金化することもやめておきましょう。
現金化をする行為は、後払い決済サービス業者やクレジットカード会社の会員規約で禁止されているため、バレると強制退会となってしまいます。
また、一般的に現金化業者に天引きされる手数料を利息に直すと法外な暴利となるため、経済的なデメリットも大きいです。
その上に、現金化をする行為は自己破産の「免責不許可事由」に該当するなどの問題があるため、債務整理にも支障を来すおそれがあります。
闇金からの借金
闇金は少額ならすぐに貸してくれますが、法外な利息を要求してきます。返済が遅れると脅迫的な取り立ての電話が頻繁にかかってきたり、個人情報をSNSで晒されるなどの悪質な嫌がらせをされることが多いです。
真面目に返済しようとすると多額のお金をむしり取られる上に、そもそも完済は困難なので取り立てや嫌がらせを回避することは難しいです。
闇金には絶対に手を出してはいけません。
闇バイトへの応募
近年では、SNSなどで募集されている闇バイトに応募して、手っ取り早くお金を手にしようとする人が後を絶ちません。
しかし、闇バイトに応募すると、特殊詐欺や強盗といった犯罪の実行や手伝いを強要されることが多いです。このような悪質な犯罪に関わると、初犯でも重く処罰される可能性が高いことに注意しなければなりません。
仕事の内容を聞いた後に断ろうとしても、相手に個人情報を知られていると、「家族がどうなっても知らないぞ」などと脅されるため、脱退するのは困難です。
闇バイトには、応募すること自体が禁物です。
任意整理をすると後払い決済を利用できなくなる?
任意整理中や任意整理後は、後払い決済サービスを利用できなくなるのではないかと気になる方も多いことでしょう。
この点については、ペイディに限らず業者の判断によるため断言はできませんが、一般的な傾向として次のことがいえます。
一括払いなら利用できる可能性がある
一般的に、一括払いのみの後払い決済サービスでは信用が問われず、審査も行われません。そのため、任意整理中や任意整理後でも利用できると考えてよいでしょう。
ただし、先ほどご説明したとおり、任意整理をした業者が提供するサービスについては、社内ブラックの影響で利用できなくなる可能性もあることに注意が必要です。
分割払いやリボ払いは利用できない可能性が高い
後払い決済で分割払いやリボ払いを利用する場合には、信用情報に基づく審査が行われるのが一般的です。そのため、任意整理による事故情報が信用情報機関に登録されている間は利用できない可能性が高いです。
任意整理による事故情報は完済後5年程度で削除されるため、その後は分割払いやリボ払いでも利用できるようになります。
ただし、こちらも社内ブラックの影響により、任意整理をした業者のサービスは利用できない可能性があることに注意しましょう。
ペイディへの滞納で弁護士に相談するメリット
ペイディへの滞納で困ったときは、一人で悩まず弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に事情を話せば、状況に応じて最適な解決方法を提案してもらえるので、対応を誤り借金問題を悪化させるといった事態を回避できます。
ペイディは任意整理する場合には、弁護士に交渉を一任できます。弁護士の交渉力によって、有利な条件での和解が期待できるでしょう。
状況によっては個人再生や自己破産の方が適していることもありますが、その場合でも複雑な手続きは弁護士が全面的に代行してくれます。
任意整理をはじめとする債務整理をする場合には、弁護士に依頼すると受任通知が送付されるため、数日中には債権者からの督促が止まることも大きなメリットです。
弁護士に相談するだけで精神的な負担が軽減されることもありますし、解決を依頼すれば、最終的に満足できる結果が期待できます。
まとめ
ペイディは任意整理可能ですが、滞納額が少ない場合には費用倒れになる可能性がありますし、状況によっては他の解決方法の方が望ましいこともあります。
借金問題をスムーズに解決するためには、状況に合った手段を選択することが重要です。
一人で悩んでいると時間がだけが過ぎてしまい、差押えなどの深刻な事態に発展するおそれもあります。ペイディへの滞納で困ったときは、早めに弁護士へご相談の上、適切に対処していきましょう。