- 学生ローンは借りやすいが金利が高いことに注意が必要である
- 学生ローンを返済できなければ親バレする可能性が高い
- 学生も債務整理はできるが注意点もある
- 親バレのリスクを抑えて解決するには弁護士・司法書士への相談が有効である
学生ローンは、大学生などの学生に対して積極的にお金を貸し付けるローンのことです。
学生といえども勉強するためにお金がかかりますし、その他にも飲み会や旅行、合宿、一人暮らしをしている方なら家賃などの生活も工面しなければなりません。
どうしてもお金が足りないときに学生ローンを利用する方もいます。しかし、学生ローンは貸金業者からの借金なので金利がかかります。ただでさえ経済的に余裕がない学生さんの中には学生ローンを返済できなくなってしまう方も少なくありません。
この記事では、学生ローンを返済できないとどうなるのか、学生でも債務整理はできるのかについて解説します。できる限り親バレしないように解決する方法もご紹介しますので、参考になさってください。
学生ローンとは?
学生ローンも借金の一種ですが、社会人の方が利用する一般的な借金とは異なる特徴があります。
学生ローンの特徴
学生ローンとは、大学生などの学生を対象としてお金を貸し付けるものです。学生ローンは東京では高田馬場が有名ですが、主要な都市の学生街には必ず店舗があり、目立つ看板広告を出していますので見たことがある人もいるでしょう。
学生でも成人(2022年4月以降は18歳)すれば、貸金業者から借金をすることが可能となります。
ただ、学生であれば通常は定職に就いているわけではなく、安定した収入もありません。そのため、社会人を対象とした一般的な融資を申し込んでも審査に通りにくいのが実情です。
学生ローンは、そんなお金に困った学生に対して積極的にお金を貸し付けます。具体的には、以下のような特徴を有しています。
- 審査が緩やか
- 収入証明書が不要
- 担保や保証人も不要
- 親の同意も不要
- 融資額は少なめ(一般的に上限は50万円)
- 金利が高い
経済的に不安定な学生でも簡単に借りられるものの、融資額は少なく金利が高いという点で条件が厳しいことに注意が必要です。
闇金との違い
学生ローンは、主に中小の消費者金融業者が提供している商品です。いわゆる「街金」と呼ばれる業者が提供しているケースが多くなっています。大手の消費者金融や銀行では取り扱われていません。
大手の消費者金融や銀行は審査の際に申込者の返済能力を厳しく確認するため、経済的に不安定な学生には融資をしない傾向にあります。そこで、お金に困った学生に対して街金などの中小の消費者金融が厳しい条件で貸付を行うのです。
ただ、街金は「闇金」とは異なります。
闇金とは、無登録で営業し、法外な金利で貸付を行い、返済が遅れると脅迫的な取り立てや悪質な嫌がらせを行う違法業者のことです。
それに対して街金は、あくまでも法律を守って営業する消費者金融業者です。貸金業登録も受けていますし、金利も法律の範囲内ではあります。とはいえ、大手の消費者金融や銀行と比べると、返済が遅れたときの取り立てが厳しいことに注意が必要です。
学生ローンを返済できない人が多い理由
学生ローンも借金ですので、当然ながら返済しなければなりません。しかし、実際には返済できなくなる人が少なくありません。その理由は主に以下のとおりです。
金利が高い
学生ローンの金利は、一般的に15~18%と高めに設定されています。
日々の生活費や交際費、学費などで経済的に余裕のない学生であれば、高金利による利息を支払っていくことは厳しいのが実情です。
返済するために他社からも借り入れるようになると、あっという間に借金総額が膨らんでしまいがちです。
収入が少ない
学生は勉学が本分ですので、一般的には定職に就いておらず、収入は少ないものです。アルバイトをしている方も多いですが、社会人並みの収入を得ている方は多くないでしょう。
一人暮らしをしている学生の方は親から仕送りを受けていることが多いものですが、それでも日々の暮らしだけで余裕はないというのが一般的です。
そのような経済状況で学生ローンを利用すると、返済が厳しくなってしまうことも無理はありません。
卒業後は奨学金の返済がある
学生ローンは、学生のうちに完済しなければならないわけではありません。多くの場合は卒業後まで返済が続きます。
大学などを卒業して就職すると通常は経済的に余裕が出てきますが、奨学金を借りていた場合は卒業して半年が経過すると奨学金の返済が始まります。
最近では就職しても思ったほどの収入が得られず、奨学金の返済が難しいケースが増えていることが社会問題にもなっています。
学生ローンと奨学金を同時に返済していかなければならないことになると、返済の負担は相当に重くなるでしょう。
学生ローンを返済できないとどうなる?
学生ローンを返済できないということは、借金を返済できないのと同じことです。したがって、以下のように債権回収の手続きが進められてしまいます。
遅延損害金が加算される
返済期限に1日でも遅れると、遅延損害金が加算されます。
遅延損害金とは、期限までに借金を返済できなかった場合に課せられるペナルティーであり、通常は利息よりも高い利率で金額が計算されます。
消費者金融の遅延損害金の利率は、法律で上限が年20%と定められています。学生ローンでも、多くの場合は遅延損害金の利率が年20%に設定されています。
滞納が長引けば遅延損害金が加算され続けるので、返済額が増えてしまうことに注意が必要です。
督促や取り立てを受ける
返済が遅れると、債権者から電話や郵便などで督促されます。学生ローンの場合はさらに、担当者が自宅に訪問してきて取り立てることが少なくありません。
大手の消費者金融や銀行は自宅にまで取り立てに来ることはほとんどありませんが、街金は自宅に来ることがあるので注意が必要です。
街金といえども法律は守りますので、早朝・深夜の訪問や暴力などの違法行為をされることはありませんが、自宅に取り立てにこられると精神的に大きな負担となります。
ブラックリストに登録される
借金の滞納が2~3ヶ月続くと、信用情報機関というところに事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに登録された状態となり、以下のようなデメリットが生じます。
- 新たな借入ができない
- ローンを組めない
- クレジットカードを作成できない
基本的には滞納を解消し、その後5年が経過するまでこの状態が続くことに注意が必要です。
残債務の一括払いを請求される
やはり滞納を2~3ヶ月続けると期限の利益を失い、借金残高に遅延損害金を加えた金額を一括で返済するように請求されます。
期限の利益とは、返済期限が来るまでは返済しなくてよい、という債務者にとっての利益のことです。分割払いが認められるのは、毎月の返済日に所定の金額を支払えば残りの借金はまだ支払わなくてよいという形で期限の利益が認められているからです。
学生ローンでも、滞納すると期限の利益を失うことが契約で定められているはずですので、滞納を続けていると一括払い請求されてしまうのです。
裁判を起こされ差し押さえを受ける
債権者から督促や取り立てを受けても返済できなければ、法的措置をとられてしまいます。
具体的には、まず支払督促または民事訴訟という裁判手続きをとられます。どちらの場合も、放置すると債権者の言い分がそのまま裁判所で認められます。
その後は債権者が強制執行を申し立てることが可能となります。強制執行とは、支払督促や民事訴訟を経た債権者が裁判所に申し立てることによって債務者の財産を差し押さえ、その財産から強制的に債権を回収することができる手続きのことです。
主に差し押さえの対象となるのは給料や預金口座です。仮に差し押さえるような財産がほとんどない学生の場合でも、裁判を起こされるだけで精神的に大きなダメージを負ってしまうことでしょう。
親バレする可能性が高い
学生ローンを利用している方は、親に内緒で借金をしている方が多いものです。
しかし、返済を滞納すると自宅への電話や郵便、訪問による取り立て、さらには裁判や差し押さえによって借金が親にバレてしまう可能性が高まります。
親バレを防止するためには、早めに対処することが重要となります。
学生ローンの返済が苦しいときの対処法
学生ローンの返済が苦しくても、他社からの借入はしないでください。借金問題が悪化し、返済できなくなる可能性が非常に高いです。まして、闇金には絶対に手を出してはいけません。
正しい対処法は、以下のとおりです。
親に援助を頼む
できることなら、親に事実を話して返済金を援助してもらうことを検討してみましょう。
学生ローンの場合、1社あたりの借金額は最大でも50万円までのケースがほとんどなので、早めに親の経済力に頼れば解決できる可能性が高いといえます。
親バレすることにはなりますが、借金問題を解決するには早期の対処が重要です。
アルバイトを増やす
どうしても自力で解決したい場合は、アルバイト収入を増やして返済していくしかないでしょう。
ただし、勉強に支障をきたすほどにアルバイトをすることは本末転倒ですし、働き過ぎて身体を壊さないように注意する必要もあります。
働いて返済に努めるのは良いことですが、無理のない範囲で行うべきです。
支出を抑える
返済を続けるためには、支出を抑えることも大切です。
一度、遊びや買い物、交際などで無駄な支出がないか見直してみましょう。飲み会を1回我慢するだけでも数千円を返済に充てられますので、我慢できることは我慢するように検討することです。
一人暮らしの方は、安い物件に住み替えたり、可能であれば実家に戻ることも検討してみましょう。
ただし、必要な学費や食費などを削ることはおすすめできません。
奨学金を申し込む
在学中に奨学金を申し込める場合もあります。奨学金は金利が低いので、条件を満たす場合には奨学金を借りることもひとつの解決策となります。
在学中に申し込める条件については、日本学生支援機構のホームページで確認するか、大学の窓口で尋ねてみましょう。
ただし、奨学金も借金であり、卒業後に返済しなければならないことは頭にとどめておくべきです。
債務整理をする
借金の返済ができなくなったときは、学生でも債務整理を利用することができます。
債務整理とは、法律に則った手続きによって借金を減額または免除してもらう方法のことで、主に以下の3種類の手続きがあります。
- 任意整理…債権者と直接交渉して毎月の返済額を減額してもらう手続き
- 個人再生…裁判所に申し立てをして借金総額を大幅に減額してもらう手続き
- 自己破産…裁判所に申し立てをして借金の返済義務をすべて免除してもらう手続き
状況に合った手続きを選択すれば、借金問題は必ず解決できます。
学生が債務整理するときの注意点
学生が債務整理をする場合には、以下の点に注意が必要です。
街金は任意整理に応じないことがある
任意整理は比較的簡便な手続きなので人気の債務整理ですが、債権者と交渉する手続きであり、債権者によっては交渉に応じないことがあることに注意が必要です。
学生ローンを提供する業者の多くは街金ですが、街金は任意整理に応じないことがあります。
街金は大手の消費者金融や銀行が融資に応じないような学生にもお金を貸してくれる反面で、滞納が発生した場合には手っ取り早く債権を回収しようとする傾向にあります。
そのため、任意整理でじっくりと話し合うよりは、早期に裁判を起こしてくることが多いのが実情です。
個人再生をするためには安定収入が必要
個人再生をすると借金は大幅に減額され、返済額を100万円にまで減らすことが可能です(借金総額が100万円~500万円の場合)。
減額後の借金を3年~5年で完済できるだけの安定収入が見込まれなければ、個人再生は認められません。
学生でもアルバイトの給料や親からの仕送りを「収入」として個人再生を申し立てることは可能ですが、状況によっては「安定」しているとは認められない可能性もあります。
浪費やギャンルをしていると自己破産できないことがある
自己破産には「免責不許可事由」というものがあります。例えば浪費やギャンブルをするために多額の借金を作った場合には自己破産をしても免責が認められず、借金がそのまま残ってしまう可能性があります。
主に学費や生活費の不足ために借り入れた場合であれば問題ありませんが、借金の使い途によっては自己破産では解決できない可能性があることに注意が必要です。
学生ローンが返せない問題を弁護士・司法書士に依頼するメリット
学生ローンが返せなくなったときは、借金問題解決の専門家である弁護士または司法書士に相談・依頼することを強くおすすめします。そうすることにより、以下のメリットが得られます。
最善の解決方法がわかる
学生が債務整理をする場合には、先ほどご説明したように、いくつかの注意点があります。「任意整理をしたい」と考えたとしても、希望どおりに手続きを進められないことがあります。
しかし、状況に応じて借金問題を解決できる方法は必ずあります。法律と借金問題に関する専門的な知識を豊富に持つ弁護士・司法書士に相談することで、最善の解決方法が見つかるはずです。
債務整理の複雑な手続きをすべて任せられる
債務整理の手続きは複雑で、専門的な知識や経験が要求されるものです。多大な手間がかかるため、学生の方が学業やアルバイトの合間に手続きをすることは極めて難しいのが実情です。
その点、弁護士・司法書士は債務者の代理人として活動できるので、依頼すれば債務整理の手続きをすべて代行してくれます。学生の方なら専門家に手続きを任せることで、学業やアルバイトに専念することが可能です。
親バレのリスクを最小限に抑えることが可能
借金を滞納した場合や債務整理をする場合には、債権者や裁判所から電話や郵便による連絡が度々あります。そのため、実家暮らしの学生の方の場合は特に、借金のことを親に知られてしまう可能性が高くなります。
しかし、弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、受任通知の送付により債権者からの督促は止まります。
それ以降は専門家の事務所が債権者や裁判所からの連絡窓口となるので、債務者本人に対して連絡が行われることはありません。
弁護士・司法書士に依頼することで、親バレのリスクを最小限に抑えて借金を整理することが可能となるのです。
就職活動への影響はほとんどない
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、個人再生または自己破産をした場合には官報に氏名や住所が掲載されます。
しかし、一般的には応募先の企業がこれらの情報を確認することはありません。
自己破産の手続き中は一部の資格や職業に制限がかかりますが、免責許可決定が確定すると制限が解除され、その後はどのような職業にでも就くことが可能となります。
したがって、債務整理をしたことが就職活動に悪影響を及ぼすことは、ほとんどありません。
まとめ
学生ローンは手軽に利用できる反面で、金利が高いことなどが原因で返済できなくなるケースが少なくありません。
借金の返済に追われると学業に支障をきたすようになりがちですし、就職後の仕事に支障をきたすことにもなりかねません。返済が苦しくなったら、早めに対処しておくことが重要です。
自力での返済が厳しいと思ったら、早めに弁護士・司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。専門家のサポートを受けて、最善の方法で借金問題を解決してしまいましょう。