- リボ払いの返済ができないとカード利用停止などの措置を受ける
- リボ払いは早めに返済することが重要である
- どうしてもリボ払いで返済できない場合は債務整理を視野に入れた方がよい
リボ払いを利用すれば毎月の返済額を低く抑えることができますが、その反面で完済することが難しくなるというデメリットもあります。
いつまで返済しても残高が減らないばかりか、逆に残高が増えてしまい返済できない状態に陥ってしまう人も少なくありません。
リボ払いを利用するときには、その仕組みを理解して効率よく返済を進めていくことが重要となります。
この記事では、リボ払いの支払いがなかなか終わらない理由や、返済できないとどうなるのか、返済を進めるコツなどをわかりやすく解説します。
リボ払いで返済できないとどうなる?
リボ払いは当初は返済しやすいのですが、カードを使い続けるとやがて返済が追いつかなくなります。
最終的に返済できなくなると、以下のように重大なデメリットを受けることになりかねません。
- カードが利用停止となる
- 遅延損害金がかかる
- ブラックリストに掲載される
- 一括返済を請求される
- 財産を差し押さえられる
カードが利用停止となる
返済を滞納すると、返済日の翌日からカードが一時的に利用停止となります。滞納を解消するまで、そのカードを利用することはできません。
遅延損害金がかかる
返済日の翌日から遅延損害金がかかります。
遅延損害金の年利は多くの場合、クレジットカードのショッピングで14.6%、キャッシングやカードローンでは20%とされています。
滞納が長引けば長引くほど返済総額が増え、完済が難しくなってしまいます。
仮に遅延損害金の利率が20%で返済予定額が1万円だった場合は1日遅れるごとに約5.5円ずつ遅延損害金が発生します。
1日当たりの金額は大したことありませんが、そもそもの支払いができていませんので確実に負担が大きくなります。
ブラックリストに掲載される
滞納が2~3ヶ月続くと、信用情報機関に事故情報が登録されます。
いわゆるブラックリストに掲載された状態となり、その後は新たな借入やクレジットカードの作成などが一切できなくなります。
この情報は延滞を解消してから5年経過後に削除されますので、一生クレジットカードが使えない訳ではありません。
ただし5年経過後でも、延滞したカード会社に再度申し込んだ場合は断られることがほとんどです。信用情報機関から延滞の情報が消去されてもカード会社が独自に延滞者リストを保有しているためです。このことを俗に社内ブラックと言います。
一括返済を請求される
ブラックリストに掲載されるのと同じくらいの時期に、滞納していたカードは強制解約となり、残高について一括返済を請求されます。
話し合いによって分割払いを認めてもらえる可能性はありますが、法律上は一括返済の請求を拒むことはできません。
財産を差し押さえられる
一括返済の請求を受けても支払えなければ、債権者は支払督促や訴訟といった裁判手続きをしてきます。
訴訟の中で分割払いの和解をすることも可能ですが、和解協議が決裂したり、裁判手続きを放置していると最終的には強制執行手続きによって財産を差し押さえられます。
差し押さえられるのは主に給料や預金口座です。これらの財産を差し押さえられると、生活に支障をきたす上に、職場の人や家族に借金の滞納を知られてしまうというリスクもあります。
リボ払いから抜け出すコツ
リボ払いから抜け出すためには、できる限り返済を効率的に進めていく必要があります。そのためのコツは以下のとおりです。
- 利用明細で利息を確認する
- 分割払いに変更する
- 毎月の返済額を増額する
- 繰り上げ返済や一括返済を行う
- 金利の低いローンに借り換える
利用明細で利息を確認する
まずは、ご自身がどれくらいの利息(手数料)を負担しているのかを把握すべきです。
最低でも月に1回は利用明細を確認しましょう。なるべく、カードを利用する度に利用明細を確認することをおすすめします。
そうすれば、利息の負担が重いことに驚かれることでしょう。「早く返済を進めなければ損をする」と感じることが、効率的に返済を進めるための第一歩となります。
分割払いに変更する
可能であればリボ払いをやめて通常の分割払いに変更しましょう。
毎月の返済額は少し増えることが多いですが、その分だけ元金が減りやすくなります。リボ払いをやめることで「ついカードを使いすぎてしまう」という事態も防止しやすくなります。
分割払いへ変更する場合はカード会社のHPや相談窓口で申し込みましょう。
毎月の返済額を増額する
契約上、リボ払いをやめられない場合は、毎月の返済額の設定を増額しましょう。
リボ払いでは、最低返済額以上であれば、毎月の返済額を自分で自由に設定できるようになっています。1,000円でも2,000円でもいいので、可能な限り増額することが得策です。
例えば、債務残高50万円で金利が18%の場合、毎月の返済額を増額することで以下のように元金の減り具合が異なってきます。
毎月の返済額 | 元金支払額 | 利息支払額 |
---|---|---|
1万円 | 2,623円 | 7,377円 |
1万1,000円 | 3,623円 | 7,377円 |
1万2,000円 | 4,623円 | 7,377円 |
元金が減れば翌月の利息も大幅に減るので、相乗効果で返済が進んでいきます。
繰り上げ返済や一括返済を行う
手元に余裕の資金がある場合には、繰り上げ返済や一括返済を行うことがおすすめです。
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に返済することです。利息は毎月の返済で支払っているので、繰り上げ返済によって元金を一気に減らすことができます。
例えば、債務残高50万円で金利が18%、毎月の返済額が1万円の場合でも、20万円を繰り上げ返済して残高が30万円となれば、以下のように翌月の利息の負担も一気に軽くなります。
債務残高 | 翌月の元金支払額 | 翌月の利息支払額 |
---|---|---|
50万円 | 2,623円 | 7,377円 |
30万円 | 4,426円 | 5,574円 |
債務残高を一括返済すると、当然ながらその後は手数料や利息がかからないため、支払い総額が大幅に軽減されます。
ボーナスなどで臨時収入があったときは、リボ払いの繰り上げ返済や一括返済を検討するようにしましょう。
金利の低いローンに借り換える
リボ払いの問題点は、手数料や利息ばかり支払って元金が減らないという点にあります。
したがって、金利の低いローンに借り換えて利息の負担を軽減させることも有効な対処法となります。
利率15~18%のリボ払いを利用しているなら、金利5~15%程度の銀行カードローンで借りて、リボ払いの債務を完済してしまうとよいでしょう。
ただし、金利の低いローンでも返済期間が長期に及ぶ場合はトータルでみて、利息の負担が重くなることがあるので注意が必要です。
返済が苦しい場合にはその場しのぎの対策よりも、トータルでみて返済の負担を軽減させることが重要となります。
リボ払いで返済不能に陥らないためにとるべき対策
リボ払いで返済不能に陥らないためには、なるべくリボ払いを利用しないことが重要となります。
リボ払いは手数料の負担が重く元金がなかなか減らないので、債権者にとっては効率よく利益を得ることが可能な仕組みです。
そのため、クレジットカード会社などではポイントアップのキャンペーンをしてまで、リボ払いを勧めていることに気付きましょう。
リボ払いの利用を避けるための注意点は、以下のとおりです。
- 返済方法を一括払いまたは分割払いに変更しておく
- リボ払い専用カードは使わない
- リボ払いの返済中はリボ払いを利用しない
返済方法を一括払いまたは分割払いに変更しておく
クレジットカードの多くは初期設定でリボ払いが設定されていますが、ホームページで操作することにより一括払いや分割払いに変更できることがあります。
知らずにリボ払いを利用してしまわないように、あらかじめ返済方法を変更しておきましょう。
一括払いと2回までの分割払いでは、手数料がかかりません。クレジットカードのショッピングを利用するとしても、なるべく手数料がかからない方法で利用することが望ましいといえます。
リボ払い専用カードは使わない
クレジットカードの中には、返済方法がリボ払いのみとなっている「リボ払い専用カード」も存在します。
リボ払い専用カードを利用すると、利用時に1回払いを指定してもリボ払いとなってしまいます。
リボ払い専用カードを持っていても、使わない方がいいでしょう。知らずに使ってしまった場合は、早めに一括返済をしてしまうことです。
リボ払いの返済中はリボ払いを利用しない
既にリボ払いを利用していて一括返済も難しいという場合も、今後はリボ払いを利用しないように心がけましょう。
特に、リボ払いの返済中にそのカードを利用してリボ払いにすると、元金が減らず債務が増えてしまうことになりがちです。
まずはリボ払いの債務を早期に完済することを目指すことが大切です。
どうしてもリボ払いが返済できないときは債務整理が有効
どうしてもリボ払いの債務を返済しきれないという場合は、利息ばかりを支払い、元金がほとんど減らないという状態に陥っている可能性が高いです。
家計をやりくりして返済を続けても、一向に元金は減らないでしょう。そんなとき、他社から借りて返済することは控えてください。返済のために借入をすると、一気に負債総額が膨らんでしまいます。
返済しきれないときは、債務整理を検討することが有効です。
債務整理とは
債務整理とは借金を減らす手続きのことで、以下の3種類があります。
- 任意整理…将来利息を免除してもらい、毎月の返済額を減らす
- 個人再生…裁判所の手続きにより、債務総額を大幅に減額する
- 自己破産…裁判所の手続きにより、債務の返済義務を全て免除してもらう
他に借金等がなく、リボ払いの返済にのみ追われている場合は、任意整理で将来利息をカットしてもらうことにより、解決できる可能性が高いといえます。
他にも多額の借金等を抱えている場合は、負債総額や収入などに応じて、個人再生や自己破産も視野に入れることになります。
債務整理をするときの注意点
債務整理をすると、どの手続きを選択した場合でもブラックリストに掲載されてしまいます。
ただ、債務整理をしないで滞納を続けた場合もブラックリストに掲載されることは避けられません。しかも、債務整理をしなければ滞納を解消するまでブラックも解消されません。
債務整理をした場合には、5~7年が経過すればブラックが解消されますので、返済が苦しい場合には早めに債務整理で根本的に解決した方がよいでしょう。
その他にも、手続きの種類や状況にもよりますが、債務整理をすることで以下のデメリットが生じることがあります。
- 財産が処分される
- 官報に掲載される
- 保証人が一括返済の請求を受ける
- 手続き中は仕事に影響が出ることがある
- 手続きに労力や費用がかかる
任意整理は債務整理の中で最もデメリットが少ない手続きなので、債務総額が比較的少ない段階なら任意整理を検討するとよいでしょう。
リボ払いの返済が苦しいときに弁護士・司法書士に相談するメリット
リボ払いの返済が苦しくなると、自分ではどうすればよいのかがわからない状態に追い込まれてしまうことが多いでしょう。
そんなときは、弁護士または司法書士という法律の専門家に相談することを強くおすすめします。専門家に相談・依頼することで以下のメリットが得られます。
- 最適な解決方法がわかる
- 受任通知の送付により督促や取り立てを止めてもらえる
- 専門家が代理人となるので債権者と直接やりとりする必要がない
- 債務整理の複雑な手続きを全て任せることができる
- 的確に手続きを進めてもらえるので、納得のいく結果が期待できる
一人で悩まず、早めに相談だけでもしてみることで、気持ちが軽くなるはずです。
リボ払いとは
リボ払いとは「リボルビング払い」の略称で、債務残高にかかわらず毎月の返済額を一定の金額に固定して返済していくという支払い方法のことです。
カードを何度利用しても毎月の返済額が変わらないため、計画的に利用すれば返済の負担が軽くなり、家計も管理しやすくなるというメリットがあります。
クレジットカードだけでなく、カードローンの返済方法としてもリボ払いが広く取り入れられています。
リボ払いの返済方式
リボ払いにもいくつかの種類がありますが、多くのクレジットカードやカードローンで採用されている返済方式は「残高スライド元利定額返済方式」というものです。
「残高スライド」とは、債務残高に応じて毎月の最低返済額が変動する仕組みのことで、「元利定額」とは、毎月の返済額が一定となる返済方式のことです。
以下の表は一例ですが、債務残高が大きくなるほど毎月の最低返済額も大きくなっていきます。
債務残高 | 毎月の最低返済額 |
---|---|
10万円以下 | 3,000円 |
10万円超~30万円以下 | 5,000円 |
30万円超~50万円以下 | 1万円 |
50万円超 | 債務残高が10万円増すごとに2,000円を追加 |
リボ払いと分割払いの違い
分割払いもリボ払いと同じように債務残高を月々返済していく方式の一つですが、支払い回数を決めて返済するという点がリボ払いとは異なります。
- リボ払い:返済回数は決めずに毎月の返済額のみ決める方式
- 分割払い:返済回数を決めて、その回数で割った金額を毎月返済する方式
分割払いでは一つの借金について支払い回数が決められるため、いつ支払い終わるのかが明確となります。それに対して、リボ払いではカードを繰り返し利用しても毎月の返済額が変わらないため、支払いの終期がわかりにくいという違いがあります。
また、一般的にリボ払いの方が分割払いよりも手数料(利息)が高いという違いもあります。
リボ払いが終わらないのはなぜ?
リボ払いでも、毎月返済していれば債務は確実に減っていくはずです。それにもかかわらず、返済がなかなか終わらないことが多い理由は以下のとおりです。
- 手数料(利息)が高い
- 元金が減りにくい
- 使いすぎてしまう
手数料(利息)が高い
残高にもよりますが、クレジットカードのショッピングのリボ払い手数料は年15%程度、キャッシングや消費者金融のカードローンは年18%程度に設定されていることが多いです。
利息が高ければ総返済額が増えるため、返済期間が長期化しがちになります。
元金が減りにくい
リボ払いのうち元利定額返済方式の場合は特に、毎月の返済額のうち手数料・利息の返済に充てられる部分の割合が高くなるため、元金が減りにくいという問題があります。
例えば、カードローンで50万円の残高があり、リボ払いで毎月の返済額を1万円に設定した場合、金利が18%だとすると翌月に支払う1万円の内訳は以下のようになります。
- 元金:2,623円
- 利息:7,377円
つまり1万円を返済したにも関わらず借金残高は2,560円程度しか減りません。
通常、返済金の大半は元金の返済に充てられると思うものです。しかし、リボ払いではこのように大半が利息の支払いに充てられ、元金はわずかしか減らないということが起こりがちなのです。
使いすぎてしまう
利息が高いとはいえ返済を続ければ残高は徐々に減っていくものです。
しかし、リボ払いでは追加でカードを使っても毎月の返済額が変わらないため、つい使いすぎてしまいます。
使った分だけ毎月の返済額が増えるのであれば使いすぎに気付きやすいものです。しかし、リボ払いでは自分がどれだけカードを使ったのかがわからないまま、使いすぎるということになりやすいのです。
返済中にカードを使うと、当然ながら利息の負担が重くなり、元金はさらに減りにくくなります。
まとめ
リボ払いは非常に便利な返済方法ですが、元金がなかなか減らないという仕組みを知り、計画的に利用することが大切です。
便利なあまりに使いすぎると、やがて返済できないことになりがちです。
リボ払いの返済が苦しくなったときは、負債総額が膨らむ前に早期の対処が肝心です。弁護士・司法書士の力を借りて、最善の方法で解決を図りましょう。