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ホストの前入金・預り金とは?返金してくれない場合の対処法を解説

ホストの前入金・預り金とは?返金してくれない場合の対処法を解説
この記事でわかること
  • 売掛に代わる手口として前入金や預り金を要求するホストが急増している
  • 前入金・預り金を支払うために借金や売春をさせられることもある
  • ホストに支払った前入金や預り金は返金を請求できることもある
  • 前入金や預り金を返金してもらえない場合は弁護士への相談がおすすめ

最近、ホストが女性客に対して多額の前入金や預り金を要求するケースが急増しています。

ホストが前入金を預かるというのは、社会問題となっている売掛(ツケ)に代わる新たな手口ですので注意が必要です。

前入金・預り金のシステム自体は違法ではありません。しかし、不当に支払わされた預り金は法的に返金請求が認められるケースもあります。

この記事では、ホストが前入金や預り金を巻き上げる手口や、返金請求が可能なケース、返金してもらえない場合の対処法などについて解説します。

ホストの前入金・預り金とは

前入金・預り金とは、女性客がサービスを利用する前にホストがまとまった金額を預かり、ホストクラブでの飲食後にサービス料金を精算する料金システムのことです。

売掛が後払いのシステムであるのに対して、前入金・預り金は前払いのシステムとなっています。

前払いならお金を使いすぎる心配はないと考えられがちですが、決してそんなことはありません。

ホストは事前に数百万円のお金を預けるように要求します。そして、女性客を来店させて、シャンパンタワーなどをおこない高額なサービスを利用させて、1回の来店で全額を精算させようとします。

女性客の手持ちがない場合は借金をさせてでも前入金を要求します。当然ながら多額の返済に追われることになります。

ホストが前入金・預り金を巻き上げる手口

ホストが女性客から前入金・預り金を巻き上げる手口は、次のようなものです。

  1. ターゲットに恋愛感情を抱かせる
  2. 言葉巧みに金銭を求める
  3. 借金や売春・風俗などの仕事でお金を作るように勧める
  4. 店に誘われ、飲食代金と相殺される
  5. 入金を拒否されたり返金を求められたりすると関係を断つ

ターゲットに恋愛感情を抱かせる

サービスを提供する前に多額のお金を支払わせるために、ホストはターゲットとする女性客に対して親密に接して、恋愛感情を抱かせます。俗に言う色恋営業です。

以前からの常連客をターゲットにすることもあれば、SNSやマッチングアプリなどで出会った女性をターゲットにすることもあります。

新たに出会った女性をターゲットにする場合、最初は普通の恋人のように振る舞い、親密になってから自分がホストであることを明かします。

そして、前入金・預り金を要求して、来店させてお金を搾り取るというパターンが多く見られます。

言葉巧みに金銭を求める

ターゲットとした女性との信頼関係が築けたら、言葉巧みに金銭を求めてきます。

「売上げトップになりたい」「協力してくれないのなら別れるしかない」など、口実はさまざまですが、恋愛感情に訴えかけて金銭を要求してくるのが特徴的です。

女性側は、「好きな人を応援してあげたい」「別れたくない」といった心理から、できる限りお金を集めて支援しようと考えてしまいます。

借金や売春・風俗などの仕事でお金を作るように勧める

女性側が数百万円ものお金をすぐに用意できない場合、ホストは消費者金融やクレジットカードで借金をするように勧めてくるのが常套手段です。

このとき、「借りたお金の返済は後で自分がするから…」などと甘い言葉をささやいてくることもあります。

しかし、一般的な女性の収入では、数百万円を借り入れることは困難です。

そこでホストは消費者金融への申し込み手続きを手伝い、給与明細の画像を加工するなどの不正な手段を用いて、女性に多額の借入をさせることが多いです。

ホストによっては、立ちんぼや売春を強要したり、風俗店を紹介してお金を作らせようとすることもあります。

店に誘われ、飲食代金と相殺される

女性がお金を渡した後、ホストはお店への来店を促します。

来店前の時点では、個人間のお金のやり取りだったものが、お店でサービスを受けることによって、そのお金は前入金や預り金という性質に切り替わることになります。

しかも飲食代金やサービス料金として相殺されます。来店したら最後、高額のドリンクやシャンパンタワーなどの高額サービスを執拗に勧められます。

数百万円もの金額をホストに預けたものの、1度の来店で前入金・預り金の全額を消費させられるというケースもあります。

入金を拒否されたり返金を求められたりすると関係を断つ

女性客が「おかしい」と気づいて入金を拒否したり、返金を求めたりすると、ホストは女性客らの電話やLINEを無視するなどして関係を断ちます。

納得できない女性客が店を訪れて、お店側に返金を求めたとしても、ほとんどの場合、相手にされません。

お店は、「前入金・預り金は店が推奨するシステムではなく、ホスト個人が勝手に行っている事だ…」として交渉に応じません。

そのため、女性客が店に対して返金を求めても、応じてもらえないのが実情です。

ホストが前入金・預り金を要求する理由

最近になって前入金や預り金を要求するホストが増えた理由は、以下のとおりです。

  • 歌舞伎町のホストクラブで売掛が禁止された
  • ホストクラブに対する警察の規制が強化された

歌舞伎町のホストクラブで売掛が禁止された

2023年からホストクラブで作った売掛金を支払えなくなり、売春や風俗店で働かざるを得ない女性が増えていることが社会問題化しています。

そこで、新宿区歌舞伎町のホストクラブのオーナーたちによる自主規制によって売掛を段階的に減らし、2024年4月からは全面的に禁止されました。

今のところ、売掛が禁止されている地域は歌舞伎町だけですが、今後は全国的に同様の動きが広まっていくと考えられます。

これにより営業が難しくなったホストが考え出した新たな手口が、前入金・預り金です。

ホストクラブに対する警察の規制が強化された

ホストクラブでの売掛問題は警察も重要視しており、規制を強化しています。

違法な営業を行う店舗やホストを厳しく取り締まるだけでなく、店舗への立ち入り調査を行うケースも増えてきています。

このような社会状況で売掛営業を継続していると逮捕される恐れがあると考えたホストが、売掛を辞める代わりに前入金・預り金で利益を上げようとしているのです。

ホストに対して前入金・預り金の返金を請求できるケース

ホストに対して前入金・預り金を支払った後でも、次のようなケースでは法的に返金請求が認められます。

  • まだ店を利用していない場合
  • 店で勝手に注文された場合
  • 恋愛商法に該当する場合
  • 騙されたり脅されたりして注文した場合

まだ店を利用していない場合

前入金・預り金はホストクラブを利用するための前払いとして預けるものなので、店を利用する前ならいつでも返金を請求できます。

預けた側が返金を請求した以上、ホストが返金を拒否することはできません。

店で勝手に注文された場合

女性客が店を利用した場合でも、ホストが店内で勝手に注文した場合は、前入金や預り金の返金を請求できる可能性があります。

ホストクラブでは、ホストがお客の承諾を得ないまま、高額なドリンクを注文するケースが多いといった実態があります。

しかし、お客の意思で注文していない限り、お客と店との間に契約は成立していません。

そのため、ホストがその代金を前入金・預り金と相殺することは許されません。その場合は、返金を請求できます。

恋愛商法に該当する場合

女性客自身の意思でドリンクなどを注文した場合でも、消費者契約法で定められている恋愛商法(デート商法)に該当する場合は、契約の取消しが可能です。

恋愛商法とは、消費者が抱いている恋愛感情に乗じて契約を迫る手口のことをいいます。

消費者契約法に基づく契約の取消しが認められるためには、「契約しなければ勧誘者との関係が破綻する」ことを勧誘者から告げられたという事実が必要です。

例えば、ホストから「注文してくれなければ、もう会わない」と告げられた女性客が、別れたくない一心で注文に応じた場合は取消しが可能です。

騙されたり脅されたりして注文した場合

ホストから騙されたり脅されたりして注文した場合は、民法上の詐欺や強迫を理由として契約を取り消し、前入金・預り金の返金を請求できます。

例えば、ドリンクなどの値段を偽られたり、「注文するまで帰さない」などと脅されてやむを得ず注文した場合には、詐欺・強迫を理由とする契約取消が認められる可能性があります。

ホストが返金してくれない場合の対処法

前入金・預り金の返金を請求するには、担当ホストや店長・オーナーと交渉するのが基本です。しかし、直接交渉するだけで返金してもらえることはほとんどないのが実状です。

それでも返金を求めるためには、以下の対処をとる必要があるでしょう。

  • 裁判を起こす
  • 弁護士に交渉を依頼する

裁判を起こす

法的に返金請求が認められるケースに該当する場合は、不当利得返還請求訴訟を起こすことが考えられます。勝訴すれば、相手の財産を差し押さえて金銭を回収することも可能です。

ただし、店でサービスを利用した後に契約を取り消す場合は、主張・立証を的確に進めることが難しいケースも少なくありません。

そもそも裁判手続きは複雑で専門的な知識を要しますので、裁判を起こすなら弁護士に依頼する必要があるでしょう。

弁護士に交渉を依頼する

ホスト問題に強い弁護士に依頼すれば、裁判をしなくても前入金・預り金を取り戻してもらえる可能性があります。

ホストクラブの売掛が社会問題となっている昨今、クレジットカード会社は悪質なホストクラブとの契約を見直しています。

そこで、弁護士が担当のホストの手口の不当性を訴えて粘り強く交渉することにより、コンプライアンスを重視するクレジットカード会社が返金に応じてくれることもあります。

ホストクラブとしても、弁護士が介入して問題が大きくなり、クレジットカード会社との契約を切られると営業に支障をきたします。

そのため、弁護士の交渉次第では担当のホストが所属する店からの返金も期待できます。

ホストの前入金・預り金問題で弁護士に相談するメリット

ホストの前入金・預り金に関する問題で困ったら、一人で抱え込まず弁護士に相談することを強くおすすめします。

相談するだけでも、返金請求が可能かどうかについてアドバイスが得られますし、追加で前入金・預り金を巻き上げられることもなくなるでしょう。

返金請求を弁護士に依頼すれば、ホストや店、クレジットカード会社との交渉から裁判まで、すべて代行してもらえるので、納得のいく解決が期待できます。

一人で対処しようとすると、ホストに言いくるめられてしまい、泣き寝入りすることにもなりかねません。早めに弁護士のサポートを受けるようにしましょう。

まとめ

ホストがお客に対して前入金・預り金を勧めること自体は、違法ではありません。

しかし、売掛と同様、多くの場合はお客から多額の金銭を巻き上げるための手口として悪用されているという実態があります。

ホストに対して恋愛感情を抱いたとしても、お金の問題については理性的に判断することが重要です。

もし、多額のお金をホストに預けてしまった場合は、一人で悩まず、弁護士の力を借りて正当な解決を目指しましょう。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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