- パパ活相手から訴えられても泣き寝入りをする必要はない
- 訴えが正当な場合は示談や和解による解決が望ましい
- 訴えが不当な場合でも無視するのは危険である
- 訴えられた、訴えられそうなときは弁護士・司法書士に相談を
パパ活した相手から「お金を返せ」などと迫られ、応じなければ「訴えるぞ」と脅されたり、実際に訴えられて困りの方もいらっしゃることでしょう。
パパ活そのものは違法ではありませんが、お金の問題や恋愛感情などが絡むことから、トラブルに発展するケースも少なくありません。
相手から脅されたり訴えられたりしても泣き寝入りをする必要はありませんが、相手の訴えが正当な場合は適切に対応する必要があります。
相手の訴えが不当な場合でも、無視するとストーカー被害などを受けたり、実際に訴えられて金銭の支払い命令が確定することもあるので注意が必要です。
この記事では、パパ活相手から訴えられた場合に生じるリスクや、脅されたり訴えられたりした場合の正しい対処方法について解説します。
パパ活相手から訴えられる原因
まずは、パパ活相手から訴えられる原因を考えてみましょう。相手が「訴えるぞ」と言う目的を考えてみれば、その訴えに正当性があるかどうかをある程度は判断できます。
パパ活相手が訴える主な原因として、次のようなことが挙げられます。
- 性行為など相手の要求に応じなかった
- 一方的に別れた
- 借りたお金を返さなかった
- お金を騙し取った
- 相手の妻に関係がバレた
あなたが性行為の要求に応じなかったり、一方的に別れたことに対する「腹いせ」として相手が「訴えるぞ」という場合は、その訴えは不当である可能性が高いです。
しかし、あなたが借りたお金を返さなかったり、意図的にお金を騙し取ったりした場合は、相手の訴えに正当性が認められることもあります。
また、相手が既婚者で、相手の妻にパパ活のことがバレた場合には、相手の妻から慰謝料を請求されることもあるでしょう。
相手の訴えに正当性があり、お金を返さなければならないケースについては、後ほど解説します。
パパ活相手に訴えられたらどうなる?
次に、パパ活相手から実際に訴えられた場合に、どのようなリスクが生じるのかを確認しておきましょう。
法律上の「訴え」は、民事の問題と刑事の問題に大別できます。また、訴えられることで周囲の人にパパ活のことがバレてしまうという、事実上のリスクにも注意する必要があります。
民事裁判でお金を請求される
相手がお金の返還や支払いを求めている場合は、民事裁判を起こされる可能性があります。具体的には、次のような理由でお金を求められることがあるでしょう。
- 貸したお金を返してほしい
- お金を騙し取られたので返してほしい(自分の店を持ちたいなどと嘘をつかれてお金を援助した場合など)
- 契約違反のためお金を返してほしい(週に1回は食事をする約束でお金を払ったのに反故にされた場合など)
- 不倫の慰謝料を払ってほしい(相手の妻から請求される)
民事で訴える方法としては、支払督促や少額訴訟、通常訴訟などいくつかの方法があります。いずれの場合も、訴えられると裁判所から書類が届きます。
これらの書類を放置すると、裁判所で相手が訴えた内容のとおりに支払いが命じられます。
一定の期間が経過すると、金銭の支払い義務が確定し、給料や預金などが差し押さえられることもあるので注意しましょう。
訴えられる前に、相手が依頼した弁護士から内容証明郵便が届くこともあります。この場合も、無視していると弁護士が法的手続きを進めて、裁判所で金銭の支払い義務が確定する可能性が高いので注意が必要です。
詐欺罪で警察に逮捕される
あなたの行為が何らかの犯罪に該当する場合は、刑事で訴えられる可能性があります。
刑事での訴えは、警察への被害届や告訴状の提出という形がとられます。場合によっては逮捕されることもあるので、軽視することはできません。
パパ活をした女性が警察に逮捕されるケースとして最も多いのは、詐欺罪が成立する場合です。詐欺罪は、最初から騙すつもりで虚偽の口実を告げ、お金を騙し取った場合に成立します。
逮捕によって身柄を拘束される期間は最大で3日間ですが、その後も勾留によって10~20日間ほど身柄を拘束され、取り調べを受けるケースが多いです。
起訴されると、刑事裁判が終了するまで数ヶ月間、勾留が続くこともあります。起訴されたら、ほとんどの場合は有罪判決を受けることになります。
詐欺罪の刑罰は意外に重く、10年以下の懲役です。罰金刑がないので、高額のお金を騙し取った場合など悪質性が高いケースでは、初犯でも懲役の実刑を覚悟しなければなりません。
悪質性が低いケースでは、逮捕されないまま警察署や検察庁に呼び出されて取り調べを受けることもあります。その場合も、起訴されると厳しい刑罰を受けるかもしれません。
パパ活における詐欺罪によって逮捕される可能性が高いケースについては、後ほどご紹介します。
親や家族、職場などにパパ活のことがバレる
パパ活相手が民事で訴えると、弁護士や裁判所から自宅に書類が届きます。
刑事で訴えられた場合も、警察から家族に連絡されることがあります。そのため、パパ活のことが家族にバレる可能性が高いです。
家族にバレると、親との関係が悪化したり、既婚者の方は夫と離婚問題に発展したりすることもあるでしょう。
また、逮捕されると実名で報道されることもあります。そうなると、職場の人や近所の人、知人などにパパ活のことが広く知れ渡ってしまうことにもなりかねません。
逮捕されただけでは解雇理由にはなりませんが、実際には職場で退職を求められ、いづらくなることも多いです。近所の人や知人に陰口をたたかれたりして、辛い思いをすることもあるでしょう。
このように、パパ活で訴えられることには大きなリスクがあるので、できる限り、訴えられる前に適切に対処することが重要です。
パパ活相手にお金を返す必要があるケース
パパ活で相手からもらったお金は、基本的には贈与されたものなので、返す必要はありません。しかし、以下のケースではお金を返す必要があります。
- 返す約束でお金を借りた
- お金を受け取ったのに交際(性行為は除く)に応じなかった
- 嘘の口実でお金を騙し取った
- 相手の妻に不貞行為がバレた
返す約束でお金を借りた
返す約束で相手からお金を借りた場合は、そのお金を返済しなければなりません。
パパ活では、デートの対価として受け取る報酬の他にも、例えば次のような事情で相手からお金を受け取ることもあるでしょう。
- 生活費や学費の支払いが厳しい
- 奨学金の返済が苦しい
- 自分の店を持ちたいので資金が必要
- 親が病気なので治療費が必要
このような口実があっても、相手が「返さなくてよい」と言って援助してくれた場合は、贈与に当たるので返す必要はありません。
ポイントは、返す約束をしたかどうかです。返す約束をした場合は金銭消費貸借契約が成立するので、返済する必要があります。
お金を受け取ったのに交際(性行為は除く)に応じなかった
パパ活の報酬を受け取ったのに交際に応じなかった場合は、契約違反(債務不履行)による損害賠償として、そのお金を返さなければならない可能性があります。
例えば、週に1回、食事や買い物などのデートをする約束で1ヶ月分の報酬を前払いで受け取ることもあるでしょう。
その後、仕事が忙しくなったり、体調が悪くなったり、気が乗らなかったりして交際に応じなければ、契約違反となります。
ただし、性行為の対価として受け取ったお金は不法原因給付となるため、相手は法的に返還を求めることができません。したがって、この場合は法律上、お金を返す必要はありません。
嘘の口実でお金を騙し取った
嘘の口実でお金を騙し取った場合は、民法上も詐欺に当たります。お金を支払った相手は詐欺を理由として契約を取り消せるので、その場合はお金を返す必要があります。
パパ活でお金を騙し取る際の代表的な口実としては、次のようなものが挙げられます。
- 自分の店を持ちたいと嘘をつき、資金の援助を受けた
- 親が健康なのに病気だと偽り、治療費の援助を受けた
- 結婚や長期の交際を約束して生活費の援助を受け、連絡を絶った
最初は長期の交際をするつもりでお金を受け取ったものの、後で体調が悪くなるなどして交際できなかった場合は、騙すつもりがなかったので詐欺にはなりません。
しかし、契約違反を理由としてお金を返す必要があるでしょう。
相手の妻に不貞行為がバレた
パパ活で相手と肉体関係を持ち、そのことが相手の妻にバレた場合は、不貞行為を理由として慰謝料を請求されることがあります。
この場合、肉体関係の証拠を相手の妻が確保していれば、慰謝料の支払いを拒否することは難しいです。
不貞行為による慰謝料の金額はケースバイケースですが、数十万円~300万円程度が相場です。相手の妻に謝罪して交渉すれば、慰謝料を減額できる可能性はあります。
詐欺罪で逮捕される可能性が高いケース
詐欺罪で訴えられたとしても、警察に逮捕されるのは悪質性が高いケースに限られます。次の3つの条件を満たす場合には、悪質性が高いと判断されるおそれがあるので注意しましょう。
- 最初から騙すつもりでお金を要求した
- 高額のお金を受け取った
- 相手との話し合いに応じなかった
最初から騙すつもりでお金を要求した
お金を要求する際に騙すつもりがなければ、詐欺罪は成立しません。
しかし、警察から事情を聴かれたときに「騙すつもりはありませんでした」と言っても、信じてもらえるとは限らないことに注意が必要です。
事業資金や親の治療費など、事実無根の口実でお金を受け取った場合は、言い逃れをすることは難しいでしょう。
交際するつもりでお金を受け取ったけれど、その後に都合が悪くなったという場合でも、「騙したのではないか」と疑われる可能性は十分にあります。
このような場合は、次のような情況証拠によって、騙すつもりはなかったことを証明する必要があるでしょう。
- 急に体調が悪化して病院にかかった
- 契約違反としてお金を返した
- お金を返す余裕がない場合は、相手に連絡して謝罪した
高額のお金を受け取った
相手から受け取った金額も、悪質性の高低を左右します。
理論上は1円でもお金を騙し取れば詐欺罪が成立しますが、実際上は数万円なら警察が動く可能性は低いです。
いくら以上で逮捕されるといった基準はありませんが、数十万円を騙し取った場合は、状況によっては逮捕される可能性があります。
数百万円を騙し取った場合は、お金を返したり、相手に謝罪して返済の話し合いをしたりしていなければ、逮捕を覚悟する必要があるでしょう。
相手との話し合いに応じなかった
お金を騙し取った事実を否定できない場合は、その後の状況によっても逮捕の可能性が左右されます。
騙し取った時点で詐欺罪は成立しますが、お金を返した場合は処罰する必要性がないと判断され、逮捕まではされないことが多いです。
お金を返せないとしても、相手と誠実に返済について話し合っている場合は、悪質性は低いと判断されて逮捕されない傾向にあります。
しかし、高額のお金を騙し取っておきながら相手からの連絡を無視しているような場合は、逮捕される可能性が高まります。
パパ活相手から「訴えるぞ」と脅されたときの対処法
パパ活相手から訴えられるリスクを回避するためには、「訴えるぞ」と脅された時点で対処することが大切です。相手の訴えに正当な根拠がある場合もない場合も、次のように適切に対処していきましょう。
- 訴えに正当な根拠があるかを確認する
- 正当な根拠がある場合は示談を目指す
- 正当な根拠がなくても無視しない
訴えに正当な根拠があるかを確認する
まずは、ここまでの解説を参考にして、相手の訴えに正当な根拠があるかどうかを確認しましょう。特に注意して確認すべきポイントは以下のとおりです。
- お金をもらったのか借りたのか
- 性行為の対価としてお金を受け取っていないか
- 最初から相手を騙すつもりでお金を受け取っていないか
- 相手の妻に肉体関係の証拠をつかまれていないか
素人考えでは判断を誤ることもあるので、一度、弁護士または司法書士に相談して確認した方がよいでしょう。
正当な根拠がある場合は示談を目指す
相手の訴えに正当な根拠がある場合は、実際に訴えられてしまうおそれがあるので、放置せず示談(和解)による解決を目指すべきです。
すぐにお金を返せればよいのですが、それが難しい場合には相手に対して事情を説明し、支払期限の延期や分割払いなどについて話し合いましょう。
取り決めた内容は示談書(和解書)にしておくことも重要です。相手との交渉は誠実に行う必要がありますが、相手の過大な請求には安易に応じないようにしましょう。
例えば、10万円しか借りていないのに、勝手に利息を上乗せされて20万円を請求されるようなケースがありますが、泣き寝入りする必要はありません。
ただし、相手も法律を知らずに請求していることが多いので、当事者同士で話し合うと感情的に対立したりして、適切な内容で和解できないこともあります。
そのため、示談交渉は弁護士または司法書士に依頼するのが望ましいといえます。
正当な根拠がなくても無視しない
相手の訴えに正当な根拠がなくても、無視するとストーカーなどの被害を受けるおそれがあります。そのため、訴えに法的な正当性がないことを相手に伝えて、不当な要求をやめるように警告すべきです。
とはいえ、自分でこのような対応をすると相手の怒りに火を注ぎ、暴力や脅迫、リベンジポルノなどの深刻な被害に発展するおそれもあります。
不当な要求をする相手に対する警告は、弁護士または司法書士を通じて行う方が効果的です。
パパ活相手から民事裁判を起こされたときの対処法
実際に民事裁判を起こされたときは、次のように対処していきましょう。
- 裁判所から届いた書類をすぐ確認する
- 裁判への対応は弁護士・司法書士に依頼する
裁判所から届いた書類をすぐ確認する
民事裁判を起こされると、裁判所から自宅などに、訴状という書類が特別送達で送られてきます。
この書類を放置すると、相手が訴えた内容のとおりに判決が言い渡されます。その場合は判決書が送達されますが、それも無視すると判決が確定し、給料や預金口座などを差し押さえられるおそれがあります。
そのため、裁判所から書類が届いたら、すぐに内容を確認しましょう。訴状には、相手が請求した金額と、請求の根拠が記載されているので、落ち着いて確認してください。
同封されている書類には、裁判期日の日時・場所や、答弁書の提出期限などが記載されています。それも確認しておきましょう。
裁判への対応は弁護士・司法書士に依頼する
答弁書には相手の請求を認めるか認めないかを記載して、期限までに裁判所へ提出しましょう。
認める場合は、分割払いなどの和解案を記載することもできます。その場合は、裁判期日までに相手と話し合うことになります。話し合いがまとまらない場合でも、裁判期日に出頭し、裁判官を交えて和解協議をすることが可能です。
認めない場合には、答弁書に反論を記載しなければなりません。この場合は、当事者双方が主張や証拠を提出し合う形で、裁判期日が重ねられていきます。
途中で和解協議も可能ですが、和解が成立しない場合は判決によって裁判所の判断を仰ぐことになります。
裁判で法的に有効な主張や証拠を提出したり、和解協議を有利に進めたりするためには、専門的な知識を要します。
法律の素人が裁判手続きを的確に進めることは難しい場合が多いです。そのため、訴状が届いたら早めに弁護士・司法書士に相談し、裁判への対応を依頼した方がよいでしょう。
詐欺罪で警察に訴えられたときの対処法
詐欺罪で警察に訴えられたときは、次のように対処していきましょう。
- 警察に呼び出されたら事実をありのままに説明する
- 弁護士に相談する
警察に呼び出されたら事実をありのままに説明する
パパ活における詐欺の事案では、よほど悪質なケースは別として、突然逮捕されることはほとんどありません。まずは、警察から電話や郵便などで連絡があり、警察署で任意の事情聴取が行われます。
警察からの連絡を無視すると、警察が自宅などを訪ねてくることがありますし、逮捕される可能性もゼロではありません。そのため、出頭要請には素直に応じましょう。
指定された日時に都合がつかない場合は、事情を話せばほとんどの場合は日程を変更してもらえます。
そして、事情聴取では事実をありのままに話しましょう。嘘をついても、ほぼ確実にバレますし、嘘の供述がバレた場合は刑罰が重くなる傾向にあります。
一方では、正当に事実を説明しても、警察がなかなか聞き入れてくれないこともよくあります。そんなときは、次にご説明するように、弁護士のサポートを受けることが重要です。
弁護士に相談する
警察署への出頭までに時間がある場合は、事前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。事件解決の見通しや、事情聴取への対応方法などについてアドバイスが得られます。
一人で警察署に出頭し、事情聴取で言い分を聞き入れてもらえない場合は、供述調書へのサインを拒否してください。その後、すぐ弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、弁護士が警察と話をしてくれますし、不当な事情聴取をやめるように警告してもらうこともできます。
万が一、逮捕された場合は、いつでも弁護士を呼んでアドバイスを受けることができます。取調官から厳しい追及を受けたときは、黙秘権を行使して「弁護士が来るまで話せません」という対応が可能です。
詐欺罪が成立する場合でも、弁護士に依頼すれば相手との示談交渉を一任できます。
このように、刑事事件では早い段階から弁護士のサポートを受けることで、不起訴処分や早期の釈放、起訴された場合でも軽い処分が期待できるでしょう。
パパ活相手から訴えられた・訴えられそうなときは弁護士・司法書士に相談を
パパ活相手から「訴えるぞ」と脅されたり、実際に訴えられた場合は、一人で対応せず、弁護士・司法書士に相談することを強くおすすめします。法律の専門家によるサポートを受けることで、次のようなメリットが得られます。
- 相手の訴えに正当な根拠があるかどうかを判断してもらえる
- 相手の訴えに正当な根拠がある場合は示談交渉を代行してもらえる
- 相手の訴えに正当な根拠がない場合は不当な要求をやめるように警告してもらえる
- 民事裁判では代理人として手続きを代行し、適切な解決に導いてもらえる
- 警察に呼び出されたときの対応方法をアドバイスしてもらえる
- 逮捕された場合はいつでも接見に来てもらい、アドバイスしてもらえる
- 不起訴処分などの軽い処分を目指せる
なお、刑事事件に対応できるのは弁護士だけです。パパ活相手から訴えられた場合や訴えられそうな場合は、トラブルが深刻化する前に、弁護士に相談してみましょう。
まとめ
パパ活した相手からの訴えは不当なものが多いですが、なかには正当な訴えもあるので注意が必要です。
相手の訴えに正当な根拠がある場合もない場合も、身の安全を確保して適切に解決するためには、弁護士を通じて対応することをおすすめします。
当事者だけで感情的に対立していると、トラブルがエスカレートするおそれがあります。
パパ活相手からの訴えでお困りのときは、一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談してみましょう。