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ホストの売掛を飛ぶとどうなる?飛ばずに解決する方法と注意点を解説

この記事でわかること
  • ホストの売掛を飛んでも問題は解決しない
  • 売掛を飛んだ後にホストに見つかると厳しい取り立てを受ける
  • ホストへの売りかけが払えなくても借金や風俗への勤務はNG
  • ホストの売掛で困ったときの最適な相談先は弁護士

ホストクラブには、手持ちのお金がなくても遊べる「売掛」(「カケ」や「ツケ」ともいいます。)というシステムがあります。

売掛金がたまって払えなくなると、店や担当ホストとの連絡を絶つ人もいますが、売掛を飛んでも問題は解決しないのでおすすめできません。

ホストの売掛を飛ぶことには大きなリスクがあるので、早めに正当な解決方法を検討する方が得策です。

この記事では、ホストの売掛を飛ぶとどうなるのかを解説した上で、飛ばずに解決する方法や売掛金を返済する場合の注意点も紹介します。ぜひ参考になさってください。

ホストの売掛とは?

ホストの売掛とは、ホストクラブでお客が遊んだ際の飲食代金やサービス料金を後払いにするシステムのことです。売掛(うりかけ)を略して「カケ」と呼んだり、一般的な飲食店の後払いシステムと同じように「ツケ」と呼ぶこともあります。

このホストの売掛は店にもよりますが、売掛金を回収できなかった場合は担当ホストが店に立て替え払いをすることがほとんどです。

店ではなく従業員(ホスト)の責任で売掛をしている点が、一般的な飲食店の「ツケ」とは異なります。

ホストは完全歩合制で働いていることが多いことから、「売上げを上げたい」「店でNo.1になりたい」などの理由で、お客に対して積極的に売掛を勧めることがあります。

お客の方も、「好きなホストを応援したい」「嫌われたくない」といった心理から売掛に応じる人が多いです。

このような仕組みのため、気がつけば高額のツケがたまってしまい、さすがに払えなくなって、ホストから飛んでしまおうかと考える女性客は少なくありません。

ホストの売掛を飛ぶとどうなる?

それでは、ホストの売掛を飛ぶとどうなるのでしょうか。

結論をいうと、極めて大きなリスクを負うことになるため、飛ぶのはおすすめできません。飛ぶことで生じるリスクをひとつずつみていきましょう。

担当ホストに迷惑がかかる

ホストの売掛を飛ぶと、未収金を担当ホストが負担しなければならないため、迷惑がかかります。

ほとんどのホストクラブでは、毎月一定の締め日までに、担当ホストが売掛金を回収して店に納めなければならないことになっています。回収できない場合は、担当ホストが自腹で立て替えて店に支払うしかないのです。

「担当ホストに迷惑がかかっても知ったことではない」と思われるかもしれませんが、担当ホストもお客のツケを立て替えると損失を被ってしまいます。

立て替え払いをするために借金をしなければならないこともあるでしょう。

そのため、担当ホストが簡単に引き下がることはありません。売掛の金額が大きければ大きいほど、回収するために厳しく執拗な取り立てや嫌がらせをおこなうようになります。

ホストの売掛を飛んでも、問題は何も解決しないのです。

利息や遅延損害金が膨らむ

売掛金を支払わずに逃げている間に利息や遅延損害金が加算され、支払い額が大きく膨らんでしまうことがあります。

通常、売掛金に利息はかかりませんが、借用書を書いている場合は要注意です。借用書に、利息や遅延損害金に関する取り決めが記載されていれば、決められたとおりに支払う必要が生じます。

例えば、売掛金を1年間支払わなかった場合、借用書の内容によっては次のように利息や遅延損害金が加算される可能性があります。

法律上の上限金利 1年間の加算額
利息
  • 元本10万円未満:年20%
  • 元本10万円以上100万円未満:年18%
  • 元本100万円以上:年15%
  • 元本5万円の場合:1万円
  • 元本50万円の場合:9万円
  • 元本100万円の場合:15万円
遅延損害金 年29.2% 元本100万円の場合:29万2,000円

なお、利息は支払い期日までに発生するもので、遅延損害金は支払い期日を過ぎて延滞した場合にかかるものです。したがって、利息と遅延損害金が同時に重ねて発生することはありません。

遅延損害金については、借用書などで約束していなくても、法定金利の年3%で請求される可能性があります。

親族など知人が取り立てを受ける

担当ホストは、お客本人と連絡がとれなければ、家族や親戚、さらには友人や知人、職場の人などに対して支払いを迫ることがあります。

この点、消費者金融などの貸金業者から借金した場合は、返済できなくても第三者が取り立てを受けることはありません。貸金業者が債務者以外の第三者に返済を要求することは、保証人に対する請求を除いて貸金業法で禁止されているからです。

しかし、売掛金の回収や個人間の借金には貸金業法が適用されないため、第三者への支払い要求も度を超えなければ違法ではありません。

そもそも、担当ホストが法律上の細かなルールなど知らないことも多いです。担当ホストは立て替え払いの負担を回避するため必死に取り立てようとするので、親族や知人が取り立てを受けて迷惑を被ることがあるのです。

見つかったら風俗などで働かされる

お客本人が担当ホストに見つかった場合は、売掛金を支払うために風俗やキャバクラなどの夜職で働かされることが多いです。

ホストクラブやホストは、風俗店やキャバクラとつながりを持っていることが少なくありません。売掛金を支払えないお客に対しては「働いて支払え」と迫り、風俗店やキャバクラを紹介するのです。

実際にも、ホストの売掛を支払うために風俗やキャバクラで働いている女性は数多くいます。近年では、そのような女性が急増していることが社会問題化しているほどです。

ネットで個人情報を晒されることもある

うまくホストから逃げれたとしても、SNSやインターネット上の掲示板サイトなどで個人情報を晒されることがあります。

担当ホストがこのような嫌がらせをするのは、腹いせという意味合いもありますが、売掛金を回収するための手段のひとつでもあります。

書き込みを見たお客本人が「削除してほしい」と連絡してきたら、「削除してほしければ売掛金を支払え」と迫るのです。

それでも支払えない場合は、風俗などで働かされたり、消費者金融などで借金をさせられる可能性が高いでしょう。

ホストの売掛を飛ぶのは犯罪?

ホストの売掛を飛ぶと、場合によっては犯罪が成立して罪に問われるおそれもあります。

払う気がないのに入店・注文すると詐欺罪

最初から払う気がないのに入店し、飲食物を注文したり、サービスを受けたりすると詐欺罪が成立します。

店やホストはお客が代金を支払ってくれると考えて飲食物やサービスを提供しているのですから、最初から払う気がなかった場合は、「人を欺いて財物を交付させた」あるいは「財産上不法の利益を得た」ことになるのです。

詐欺罪は意外に重い犯罪であり、警察に通報されると最終的に10年以下の懲役に処せられることがあります。

払う気があった場合は犯罪ではない

最初は払う気で入店・注文し、その後に支払えなくなった場合は、人を欺く行為がないため詐欺罪は成立しません。その他にも、払う気で作ったツケを払わないこと自体を処罰する法律はありません。

ただ、厳密にいうと、入店した時点で代金を踏み倒すつもりがなくても、楽しい雰囲気に流されて到底払えないような売掛に応じた場合は要注意です。

その時点で人を欺いたことになり、詐欺罪に問われるおそれがあります。

注文する時点で払う気があり、払える可能性がある範囲内の金額で売掛をしたのであれば、罪に問われることはありません。

民事で訴えられることもある

ホストの売掛を飛んだ行為が犯罪に当たらないとしても、担当ホストから民事で訴えられる可能性はあります。

民事責任と刑事責任は別なので、民事で訴えられても刑罰を科せられることはありません。

しかし、支払督促を無視したり、民事裁判で敗訴した判決が確定したりすると、強制執行手続きによって給料や銀行口座などの財産を差し押さえられることがあるので注意が必要です。

ホストの売掛で飛ぶ前にやるべきこと

ホストの売掛を飛んでも問題は解決せず、大きなリスクを負うだけです。そのため、売掛金を払えなくても飛ぶのではなく、正当な解決方法を考えるべきでしょう。

まずは、飛ぶ前に以下のことを実行しましょう。

そもそも支払い義務があるのか確認する

ホストクラブで注文したときの状況によっては、売掛契約の無効または取消しを主張できることがあります。

契約が無効の場合はもちろんのこと、取り消した場合も契約がなかったことになるので、売掛金の支払い義務はありません。

契約の無効や取消を主張できるのは、以下のようなケースです。

脅されたり騙されたりして注文した
民法上の「強迫」または「詐欺」を主張して契約を取り消せる
未成年者が注文した
親権者の同意がない場合は契約を取り消せる
恋愛感情を煽られて注文した
悪質なデート商法と同様、消費者契約法に基づき契約を取り消せる
高利の利息や遅延損害金を要求された
年利109.5%を超える場合は出資法違反という犯罪行為なので、民事でも契約無効を主張できる可能性がある

ただし、未成年者でも成人であると偽って注文した場合は契約を取り消せないことにご注意ください。

消滅時効が成立していないか確認する

売掛の契約の無効・取消しを主張できない場合でも、消滅時効が成立していれば売掛金を支払う必要はありません。

売掛金の消滅時効期間は、以下の通りです。

2020年3月31日以前 注文したときから1年
2020年4月1日以降 注文したときから5年

なお、借用書を交わした場合はその時点で債務を承認し、準消費貸借契約を新たに結んだことになるため、そのときから5年が時効期間となります。

消滅時効が成立している場合は、それを理由として支払いを拒否する意思を表示する「援用」という手続きが必要です。一般的には「時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便で担当ホストへ送付します。

担当ホストと話し合う

支払い義務が残る場合も飛ぶのではなく、担当ホストと話し合って解決することをおすすめします。

いつまで待ってもらえば支払えるのか、分割払いなら毎月いくら支払えるのかなどを話し合って取り決めれば、担当ホストも手荒なことはしません。

事情を話せば、売掛金を減額してくれる可能性もあるでしょう。誠実に話し合うことで、飛んだ場合のリスクを回避して円満に解決することが可能となります。

ホストの売掛を返済する場合の注意点

売掛金を返済して解決しようとする場合にも、様々なトラブルが生じることがあります。ホストの売掛を返済する場合には、以下の点に注意が必要です。

無理な約束はしない

まず、無理な約束はしないようにしましょう。その場しのぎで分割払いなどの約束をしても、守れなければ問題解決を先延ばしにするだけです。

担当ホストの感情を害して、厳しい取り立てや嫌がらせが始まる可能性が高いといわざるを得ません。

分割払いでも支払えないほど売掛金がたまった場合には、後ほどご紹介する債務整理で解決を図るのがおすすめです。

借用書を書くときは金利に要注意

借用書を書くときには利息や遅延損害金を要求されることがありますが、その金利には要注意です。法律上の上限金利は、利息では元本に応じて年15~20%、遅延損害金で年29.2%です。

これを超える金利が借用書に書かれていたとしても、超える部分は無効です。

また、分割払いの場合には、「支払いが○回遅れると期限の利益を失う」などと記載されていることも多いです。「期限の利益を失う」とは、分割払いが認められなくなるという意味で、残高に遅延損害金を加えて一括で支払わなければならないということです。

一括で支払えない場合は、裁判を起こされて財産を差し押さえられるおそれがあります。借用書の記載内容は十分に確認して、約束は守るようにしましょう。

返済のための借金はしない

ホストに返済するために借金をする必要はありません。消費者金融から借金をすると年15~20%の金利で利息がかかるので、返済が厳しくなります。

返済が間に合わずに借入を重ねると多重債務に陥り、多額の借金を抱えることにもなりかねません。

ホストから借金を勧められることも多いですが、安易に応じず、できる限り話し合いによる解決を目指しましょう。

闇金には手を出さない

既に消費者金融などからの借金を抱えている場合に、ホストへ返済するために闇金から借りようとする人がいますが、闇金には絶対に手を出してはいけません。

闇金からの借金では、10日で50%などの法外な金利を要求されるため、返済するのは困難です。

返済できなければ、ホストとは比べものにならないほど激しい取り立てや悪質な嫌がらせを受けてしまいます。それなら、ホストと誠実に話し合って解決を目指した方がよいでしょう。

風俗などで働く必要はない

ホストから風俗店やキャバクラでの勤務を勧められたとしても、応じる必要はありません。

風俗やキャバクラで働くことは違法ではありませんが、おすすめできません。夜の仕事で高収入を得るようになると金銭感覚が狂う可能性が高いからです。

そうなると抜け出すのに苦労するでしょうし、ホスト通いを続けてさらに高額のツケを作ってしまうことにもなりかねません。

ホストの売掛問題は借金や風俗などの仕事で手っ取り早く解決しようとせず、正当な解決方法を考えるべきです。

警察に相談しても解決するのは難しい

ホストからの催促が厳しい場合には警察に相談することも考えられますが、一般的に売掛問題で警察に相談しても解決することは難しいです。

なぜなら、売掛金の回収は民事の問題であり、「民事不介入の原則」により警察は原則として対応してくれないからです。

ただし、次のようなケースでは警察が動いてくれることがあるので、相談してみることをおすすめします。

  • 取り立ての際に暴力を振るわれた
  • 風俗店での勤務を約束するまで帰さないなどと脅迫された
  • 返済のために違法な売春を強要された
  • 年利109.5%を超える利息や遅延損害金を要求された
  • ネットに個人情報を晒された

ホストの売掛問題も解決できる債務整理とは?

ホストとの話し合いがスムーズに進まない場合や、分割払いでも払えないほど多額の売掛金を抱えてしまった場合は、債務整理で解決を図るのがおすすめです。

債務整理とは、法律に則って借金などの債務を減免できる救済措置のことです。債務整理の手続きには、主に次の3つの種類があります。

種類 手続きの内容
任意整理 債権者との交渉で利息をカットし、残元金を3~5年の分割で返済する
個人再生 裁判所の手続きを利用して債務を5分の1~10分の1に減額し、減額後の債務を3~5年の分割で返済する
自己破産 裁判所の手続きを利用し、一定の条件の下で債務が全額免除される

ホストの売掛も債務整理の対象となります。ただし、ホストの売掛は浪費なので、状況によっては自己破産の「免責不許可事由」に該当し、自己破産では解決できない可能性もあります。

任意整理ではホストとの交渉が必要ですが、弁護士を通じて交渉することで適切な合意ができる可能性は十分にあります。

状況に合った手続きを選べば、ホストの売掛問題は解決できます。

ホストの売掛問題で弁護士に相談・依頼するメリット

ホストの売掛問題で困ったときは、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。弁護士のサポートを受けることで、以下のメリットが得られます。

売掛の支払い義務の有無を判断してもらえる

まずは、ホストの売掛を支払う義務があるのかどうかを、弁護士が法的に判断してくれます。

売掛契約の無効または取消しを主張できる場合は、弁護士が支払いを拒否する手続きをとってくれます。消滅時効が成立している場合も、時効援用の手続きは弁護士に任せられます。

このように弁護士が正当に対処してくれるので、支払い義務のない売掛で取り立てを受けることはなくなります。

担当ホストとやりとるする必要がなくなる

担当ホストとの交渉が必要な場合も、弁護士が代理人として交渉してくれます。

支払いを拒否する場合も、上記のとおり必要な手続きは弁護士が代理人として行うので、本人は担当ホストと直接やり取りする必要がなくなります。

弁護士は担当ホストに対して、お客本人には連絡をしないように警告してくれるので、精神的な負担が大きく軽減されるでしょう。

債務整理の手続きを代行してもらえる

債務整理による解決が有効な場合には、弁護士が状況に応じて最適な手続きを提案してくれます。

実際に債務整理をするときには複雑な手続きが必要ですが、弁護士に依頼すれば全面的に代行してもらえるので安心です。

弁護士の力を借りることで、借金や風俗で働いたりしなくても、ホストの売掛問題を正当に解決することができるようになります。

まとめ

ホストの売掛がたまって払えなくなると、「飛んでしまおうか」と考えることもあるかもしれません。しかし、ホストの売掛を飛ぶことで生じるリスクは大きいので、飛ぶことはおすすめできません。

弁護士の力を借りればホストの売掛問題は必ず解決できるので、まずは弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士の力を借りて、最適な方法で解決してしまいましょう。

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