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アイ・アール債権回収から時効の確認を!時効が成立していないときの対処法も解説

アイ・アール債権回収から時効の確認を!時効が成立していないときの対処法も解説
監修田島 聡泰 (たじま あきひろ) / シン・イストワール法律事務所

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

この記事でわかること
  • アイ・アール債権回収は正規のサービサー(債権回収業者)である
  • アイ・アール債権回収から請求を受けても時効が成立している場合がある
  • アイ・アール債権回収からの通知を無視すると差し押さえを受けることがある
  • 請求された借金を払えないときは債務整理で解決できる

アイ・アール債権回収という身に覚えのない業者から借金の支払いを請求する通知が届き、戸惑っている方も少なくないようです。

債権回収会社とは、法務大臣の正式な許可を得て、消費者金融などから不良債権を譲り受けるなどして取り立てを行う業者のことで、アイ・アール債権回収もそのうちの1社です。

したがって、アイ・アール債権回収から届いた通知を無視すると、消費者金融などの借金を返済しない場合と同様に裁判を起こされ、最終的に財産を差し押さえられる可能性が高いといわざるを得ません。

ただし、アイ・アール債権回収が請求してくる借金が既に時効にかかっている場合もあり、自己判断で性急に対処すると時効を主張できなくなり、損をするおそれもあります。

そこでこの記事では、アイ・アール債権回収から通知が届いたときに確認すべきことや、請求された借金を払えないときの対処法などをわかりやすく解説します。

アイ・アール債権回収とは

最初に、アイ・アール債権回収とはどのような業者であるのかを確認しておきましょう。

会社の概要

アイ・アール債権回収は、法務大臣から正式に認可を受けた正規の債権回収会社です。俗に「サービサー」と呼ばれる業者で、消費者金融などから委託を受けたり、債権を譲り受けたりして、その債権の取り立てを専門的に行います。

アイ・アール債権回収の会社の概要は以下のとおりです。

正式名称 アイ・アール債権回収株式会社
許可番号 法務大臣 第51号
設立日 2001年6月22日
株主 アコム株式会社(100%出資)
事業所 【本社】 東京都千代田区麹町三丁目4番地 トラスティ麹町ビル5F・7F・8F
主な事業内容
  • 債権買取サービス
  • 債権回収代行サービス
  • 債権の入出金管理サービス
  • 企業再生支援サービス など

主な「元の借入先」

アイ・アール債権回収に債権の回収を委託したり、債権を譲渡する主な会社として、以下のようなところが挙げられます。

  • アコム
  • 三菱UFJ銀行
  • スルガ銀行
  • スルガキャピタル
  • アプラス
  • かんそうしん

これらの会社から借りたお金を長期間返済しないでいると、アイ・アール債権回収から支払い請求の通知が来ることがあります。

その中でも、アコムからの借入を返済できなくなった場合は、ほぼ確実にアイ・アール債権回収から請求を受けると考えておくべきです。なぜなら、アイ・アール債権回収はアコムの完全子会社だからです。

送られてくる通知の主なタイトル

アイ・アール債権回収の名義で送られてくる通知書のタイトルにはいくつかのバリエーションがありますが、主なタイトルは以下のとおりです。

  • 債権譲受通知書
  • お支払いのお願い
  • 特別和解のご提案
  • 訴訟等申立予告通知
  • 支払督促(裁判所から送られてくるもの)
  • 訴状(裁判所から送られてくるもの)

他のタイトルが記載されていることもあるかもしれませんが、書面の性質としては上記の6つに分類できます。

通知書を受け取ったときの注意事項は、後ほどタイトル別に詳しく解説します。

アイ・アール債権回収から来た通知を無視した場合に起こること

アイ・アール債権回収は怪しい業者ではないので、通知を無視してはいけません。もし無視すると、以下のように重大なデメリットを受けるおそれがあります。

遅延損害金がかかり続ける

アイ・アール債権回収は適法に債権の支払い請求をしてきますので、請求された金額を完済するまで遅延損害金がかかり続けます。

遅延損害金とは借金などを約束の期日までに支払わないときに発生する損害賠償金のことです。利率は通常の利息よりも高く、消費者金融の借金に対する遅延損害金はほとんどの場合、年20%に設定されています。

無視し続けると遅延損害金が増え続けるため、支払額が高額化していきます。

執拗な督促を受ける

請求された借金を支払わず、連絡も無視すると、執拗な督促を受けます。アイ・アール債権回収は借金などの取り立てを専門的に行う業者なので、督促は確実に行ってくると考えておかなければなりません。

通知書や督促状を無視していると、自宅にまで取り立てに来られたり、職場にも取り立ての電話がかかってくることがあります。

このような取り立てにより、家族や職場の人たちに借金のことを知られてしまうことにもなりかねません。

ブラックリストから逃れることはできない

借金の返済を滞納し続けるとブラックリストに掲載されることは、多くの方がご存知のことでしょう。

消費者金融などからアイ・アール債権回収のようなサービサーに債権が譲渡された場合は、「債権譲渡」という事故情報が信用情報機関に登録されます。この事故情報は、CICでは5年、JICCでは1年で削除されます。

ただし、各信用情報機関は相互に事故情報を共有しているため、5年間はブラックの状態が続き、新たな借入やクレジットカードの利用などはできないと考えるべきです。

裁判所から書類が届く

債権回収のプロであるアイ・アール債権回収は、債務者が督促や取り立てを無視する場合でも諦めるはずがありません。裁判手続きによって債権回収を図ってきます。

アイ・アール債権回収は、数多く存在するサービサーの中でも、比較的早期に裁判を起こしてくる業者です。

裁判を起こされた場合は、裁判所から「支払督促」または「訴状」という書類が届きます。どちらの場合も、無視するとアイ・アール債権回収が申し立てたとおりの内容で債権が確定してしまうことに注意が必要です。

給料などの差し押さえを受ける

裁判手続きによって債権が確定すると、債権者は債務者の財産を強制執行手続きにより差し押さえることが可能です。したがって、アイ・アール債権回収からの申立てにより差し押さえを受けることとなります。

差し押さえられる財産は、主に給料または預金口座です。これらの財産が差し押さえられると、勤務先の会社や銀行からアイ・アール債権回収へ直接お金が支払われるので、生活費に支障をきたすおそれが出てくるでしょう。

アイ・アール債権回収から通知が届いたときにまず確認すべきこと

アイ・アール債権回収からの通知を無視すると最終的には財産を差し押さえられる可能性が高いですが、必ずしもそうとは限りません。慌てて連絡をすると、かえって損をすることもあり得ます。

通知が届いたときは、まず以下のことをご確認ください。

架空請求でないか

悪質業者による詐欺の手口として、債権回収会社の名をかたって借金の支払いを請求する通知を送ってくることがあります。

架空請求の書面には正規の業者からの通知とは異なる特徴がいくつかあります。以下のような特徴があれば、架空請求であると判断できます。

  • 目隠しシールのないハガキで通知してくる
  • 業者の所在地が番地まで記載されていない
  • 連絡先として携帯電話の番号が記載されている
  • 振込先の口座が個人名義となっている
  • 業者名で検索しても情報が見当たらない

不安なときは、弁護士または司法書士に相談して確認した方がよいでしょう。

元の借入先はどこか

正規の債権回収会社からの請求は、必ず債務者が以前に利用していた貸金業者等からの委託や債権譲渡を受けて行われます。

そこで、どこからの借入についての請求であるのかを確認しましょう。支払い義務の有無や金額を判断するためには、元の借入先がどこなのかを特定する必要があります。

「債権譲受通知書」や「お支払いのお願い」の場合は、債権の「譲渡人」あるいは「委託者」として元の借入先の会社名が記載されているはずです。

場合によっては、既に何度かの債権譲渡が行われていて元の借入先の会社名がわかりにくくなっていることもあります。

どうしてもわからない場合は、信用情報機関に自分の信用情報の開示請求をすることで調べることができます。

通知書のタイトルによって緊急度が異なる!状況別の対処法

架空請求でないことと、元の借入先を確認できたら、差し押さえを回避するために正しく対処していく必要があります。

ここでは、通知書のタイトル別に正しい対処法をご紹介します。

「債権譲受通知書」が届いたときは時効の成否を確認する

債権譲受通知書とは、アイ・アール債権回収が元の借入先から債権を譲り受けたことを知らせるための通知書です。したがって、その借金の返済は元の借入先に対してではなく、アイ・アール債権回収に対して行う必要があります。

ただし、アイ・アール債権回収は既に消滅時効が成立した債権を譲り受けて請求してくることもあります。その場合は支払う必要がないので、時効が成立しているかどうかを確認すべきです。

貸金業者からの借金の返済義務については、最後の取引から5年で時効が成立します。通常は元の借入先に対して返済ができなくなり放置したまま5年が経過すれば時効を主張して支払いを拒否できるようになります。

とはいえ、5年の間に一部でも返済したり、返済の約束をしたり、裁判を起こされていたりすると、時効期間が延びていて時効が成立していない可能性もあります。

時効が成立しているかどうかを正確に判断するためには専門的な法律の知識が要求されるので、弁護士または司法書士に相談して確認することをおすすめします。

なお、「お支払いのお願い」というタイトルの通知が届いたときは、アイ・アール債権回収が債権譲渡を受けたのではなく、元の借入先から取り立ての委託を受けた場合が多いです。この場合も同様に、元の借金について時効の成否を確認してください。

「特別和解のご提案」が届いたときも時効の成否を確認する

特別和解のご提案とは、アイ・アール債権回収から、遅延損害金や場合よっては元金の一部もカットし、残りの金額を分割払いで支払う和解案を持ちかけてくる通知書のことです。

このような通知書が届いた場合は、厳重に注意が必要です。

なぜなら、元の借金が時効にかかっていても、アイ・アール債権回収からの提案に応じて和解してしまうと時効を主張できなくなるからです。このことを「債務の承認」といいますが、詳細は後ほど解説します。

有利な条件での和解を提案されると、「渡りに船」とばかりに和解してしまう人もいますが、これこそがアイ・アール債権回収の狙いです。

特別和解のご提案が届いたときも、時効の成否を確認する必要があります。

「訴訟等申立て予告通知書」が届いたときも慌てて連絡しないこと

訴訟等申立て予告通知書とは、裁判を起こす前の最終の督促状のような通知書のことです。

この通知書を無視すると実際に裁判を起こされる可能性が高いですが、慌てず、やはり元の借金について時効が成立していないかを確認してください。

「支払督促」が届いたときは異議申立てをする

支払督促とは、金銭債権の支払いを請求するための簡易的な裁判手続きのことです。債権者が簡易裁判所に支払督促を申し立てると、裁判所は簡単な疎明資料を確認するだけで、申立ての内容どおりの支払いを債務者に対して命じます。

裁判所から届いた支払督促を無視すると、そのまま債権が確定してしまい、時効が成立していたとしても支払いを拒否できなくなります。その後は分割払いの話し合いをすることもできません。

ただ、支払督促を受け取ってから2週間以内に「異議申立書」を提出すると、訴訟の手続きに移行します。必ず期限内に異議申立ての手続きを行いましょう。

「訴状」が届いたときは裁判上の和解をする

訴状とは、民事訴訟を提起するために裁判所に提出する書面のことです。アイ・アール債権回収が訴訟を提起した場合は、裁判所から訴状が届けられます。

裁判期日までには1ヶ月半~2ヶ月程度の時間的余裕がありますので、落ち着いて訴状の内容を確認しましょう。まずは、やはり元の借金について時効が成立していないかを確認してください。

時効が成立している場合は、答弁書に時効を援用する旨を記載して提出することで支払いを拒否できます。時効の援用については、後ほど解説します。

時効が成立していない場合は、答弁書を提出した上で分割払いの話し合いをします。アイ・アール債権回収は悪質な業者ではありませんので、条件次第ですが分割払いの話し合いに応じてくれます。

合意ができたら「裁判上の和解」が成立し、解決します。

訴状が届いたとき、以上の対処をせずに放置すると、アイ・アール債権回収の主張通りの判決が言い渡されて確定し、差し押さえ手続きに進んでしまうのでご注意ください。

元の借金が時効にかかっているときの注意点

アイ・アール債権回収から通知書が届いても、元の借金が時効にかかっている場合は支払いを拒否できます。ただし、以下の点に注意が必要です。

時効を援用しなければ借金は消滅しない

消滅時効が成立すると文字どおり債権が消滅しますが、自動的に消滅するわけではありません。債務者がその時効を援用しない限り、債権は残ります。

時効の援用とは、債務者が債権者に対して、「この借金については消滅時効が成立しています。その時効の効果として私は支払いを拒否します」といった意思表示を行うことです。

このような意思表示をせず放置していると、裁判を起こされ差し押さえ手続きを進められてしまいますので、ご注意ください。

債務を承認すると時効を援用できなくなる

時効成立の前後を問わず、債務者が債務を承認すると時効が更新されます。時効の更新とは、それまでに進行していた時効期間がリセットされ、そのときから新たに時効が進行し始めることをいいます。

つまり、元の借金について時効が成立していても、債務を承認すると新たに5年が経過するまで時効の援用はできなくなってしまうのです。

通知書が届いたとき、自分でアイ・アール債権回収に連絡をすると、その気がなくても債務の承認に当たる言動をしてしまう可能性が高いので注意が必要です。

債務の承認に当たる言動としては、以下のようなものが挙げられます

  • 返済義務があることを認める発言
  • 返済の約束をすること
  • 一部でも返済をすること

例えば、以下のような対応をすると債務の承認に当たり、時効を援用できなくなります。

  • 「すぐには支払えないので待ってください」と、返済義務があることを前提として猶予を求めてしまった
  • 「いつまでに、いくらなら支払えますか?」と聞かれ、支払いを約束してしまった
  • 「まずは1,000円でもいいのでお支払いください」と言われ、振り込んでしまった

時効の援用は内容証明郵便で

時効を援用する方法は、口頭で「時効が成立しているので支払いません」と告げるだけでも法律上は有効です。しかし、それだけでは証拠が残らず、裁判を起こされるおそれもあります。

そこで、「時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便でアイ・アール債権回収宛てに送付しておくことが重要です。

裁判を起こされた場合には、先ほどもご説明したように答弁書に時効援用通知書と同様の内容を記載して提出すれば時効を援用したことになります。

アイ・アール債権回収から請求された借金を払えないときの対処法

時効が成立していない場合は、アイ・アール債権回収からの請求に応じて支払う義務があります。

基本的には一括払いを求められますが、支払えないこともあるでしょう。その場合は以下のように対処していきましょう。

分割払いの話し合いをする

アイ・アール債権回収も、できれば裁判や差し押さえ手続きにかかる手間とコストは避けたいと考えているので、分割払いの話し合いには応じてくれます。

支払い可能な内容で合意ができれば、和解するのもよいでしょう。

ただし、自分で話し合いをした場合には和解条件が厳しくなりがちなので、思うように話し合いが進まない場合こともあります。

債務整理を検討する

分割払いの和解が成立しない場合や、そもそも支払いが難しいという場合には、債務整理の手続きをとることが有効です。

債務整理には主に次の3つの手続きがあり、状況に応じて最適な手続きを選ぶことが大切です。

  • 任意整理…債権者と直接交渉して債務の減額や支払期間を取り決める手続き
  • 個人再生…裁判所の手続きを利用して債務の大幅な減額が可能な手続き
  • 自己破産…裁判所の手続きを利用して債務の返済義務を全て免除してもらうことが可能な手続き

なお、任意整理はさきほどの「分割払いの話し合い」と同じような手続きですが、弁護士・司法書士を介して行えば、より有利な条件で和解できる可能性があります。

アイ・アール債権回収からの通知に対して弁護士・司法書士ができること

アイ・アール債権回収から通知書が届いたときには、一人で悩まず、まずは弁護士または司法書士に相談することをおすすめします。弁護士・司法書士は以下のように対応してくれます。

  • 架空請求でないかを判別してくれる
  • 元の借金について時効が成立しているかどうかを判断してくれる
  • 時効が成立している場合は、債務の承認を回避して時効の援用手続きをしてくれる
  • 裁判を起こされた場合もすぐに債権が確定しないよう対処してくれる
  • 支払えない場合には債務整理の手続きを代行してくれる

法律の専門家の知識とノウハウを活用することで、アイ・アール債権回収との問題を最善の形で解決することが可能となります。

他に借金がある場合も、弁護士・司法書士に債務整理を依頼すればまとめて解決できます。

まとめ

アイ・アール債権回収から届いた通知書を無視すると、裁判や差し押さえの手続きに進んでいく可能性が非常に高いです。

まずは架空請求でないか、時効が成立していないかを確認した上で、状況に応じて正しく対処していく必要があります。

対処法を誤ると時効を援用できなくなるなどのデメリットを受けるおそれがあるので、弁護士または司法書士に相談して対処していくことを強くおすすめします。

支払えない場合でも債務整理で解決可能ですので、一人で抱え込まず、気軽に弁護士・司法書士に相談してみましょう。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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