- パルティール債権回収とは適法な債権回収会社である
- パルティール債権回収から通知が届いても債権が時効消滅していることがある
- 一括返済を請求されても分割払いの和解が可能だが頭金が必要
- パルティール債権回収に対しても債務整理は可能
パルティール債権回収という聞き覚えのない業者から督促を受けて、
「架空請求ではないのか?」
「無視すると財産を差し押さえられるのか?」
と不安を感じている方も少なくないことでしょう。
結論からいいますと、パルティール債権回収は正規の債権回収会社であり、適法に借金返済の督促をしてきている可能性が高いです。そのため、無視すると差押えを受けるおそれがあります。
ただ、返済できないときでも差し押さえを回避できる方法はあります。
また、督促の元となった借金が時効にかかっている可能性もあるため、パルティール債権回収に慌てて返済をすることも危険です。
この記事では、パルティール債権回収から督促の連絡が来たときの正しい対処法と注意点について、わかりやすく解説します。
パルティール債権回収とは
まずは、パルティール債権回収とはどのような業者であるのかを確認しておきましょう。
違法業者ではない
パルティール債権回収は、正式名称を「パルティール債権回収株式会社」といい、貸付金(借金)などの金銭債権の買取りと回収を主に取り扱っている業者です。法務省の承認を受けた正規の債権回収業者であり、怪しい業者ではありません。
本社は東京都港区にありますが、全国に以下の6つの営業所があります。
- 東京営業所(東京都江東区)
- 関西営業所(大阪市淀川区)
- 東海営業所(名古屋市中村区)
- 山陰営業所(鳥取県米子市)
- 四国営業所(香川県高松市)
- 九州営業所(福岡市博多区)
債務者の住所に最寄りの営業所から督促が来るわけではないため、督促を受け取った人は違和感を受けがちです。
実情は、パルティール債権回収に債権を譲渡した金融機関や貸金業者、つまり、あなたが借入をした業者の事業所に最寄りの営業所から督促が送られてくることが一般的です。
「債権回収」の意味
債権回収とは、借金などの金銭債権について、取り立てや法的措置をとることにより債務者に支払わせたり、財産を差し押さえて強制的に回収する行為のことをいいます。
そして債権回収業者とは、他人から第三者に対する金銭債権を買取り、従来の債権者に代わって債務者から金銭を回収する業務を行う業者のことです。
従来、債権回収業務を行えるのは弁護士だけでしたが、1999年に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法」により、民間企業も法務省の承認を受けて債権回収業務を営むことが可能となりました。
債権回収業務を専門的に取り扱う民間企業のことを、俗に「サービサー」と呼ぶこともあります。
元の借入先は?
パルティール債権回収に債権を譲渡する主な貸金業者は、以下のようなところです。
- アプラス
- イオンクレジットサービス
- 楽天カード
- トヨタファイナンス
- 武富士(TFK)
- 全日信販
- シティカードジャパン
この他にも、様々な金融機関や貸金業者、さらには一般企業や個人もパルティール債権回収に債権を譲渡しています。
また、既に倒産した業者の債権をパルティール債権回収が買取り、督促してくることもあります。
パルティール債権回収から差押え予告通知が届いたときに確認すべきこと
それでは、パルティール債権回収から通知書が届いたときにまず確認すべきことについて解説します。
架空請求ではないか
金銭の支払いを要求する通知書が届いたときは、ます架空請求でないかを確認してください。悪質業者がパルティール債権回収などの名をかたって架空請求をしてくることもあるからです。
架空請求のハガキなどは、注意してみればすぐに気付くものですが、不安な場合は弁護士または司法書士に相談して確認されることをおすすめします。
元の債権者名
真にパルティール債権回収からの通知書であることが確認できた場合は、次に元の債権者名を確認しましょう。つまり、あなたが借り入れた業者名を確認するのです。
パルティール債権回収へ債権を譲渡した業者の名称は、通知書の中の「譲渡人」や「債権の表示」などの欄に記載されています。
ただし、必ずしもあなたが借り入れた業者が直接、パルティール債権回収へ債権を譲渡しているとは限りません。借入先業者に対して保証会社が代位弁済し、保証会社からパルティール債権回収へ債権が譲渡されているケースもあるからです。
借入時の契約書や契約約款などを確認すれば元の債権者名がわかるはずですが、契約書などを保管していない場合や、わかりにくい場合は信用情報機関へ情報開示請求を行って確認した方がよいでしょう。
元の債権者がどこなのかが曖昧なまま、パルティール債権回収との交渉や返済を行うことはトラブル発生の元となりますので、ご注意ください。
消滅時効が成立していないか
パルティール債権回収に限りませんが、債権回収業者から突然、通知書が届いた場合は、身に覚えがあっても元の借金が消滅時効にかかっている可能性があります。金融機関や貸金業者からの借金は、最後の取引から5年で時効にかかります。
ただし、債権回収業者からの通知書には元の債権者との最終取引の日付は記載されていません。債権譲渡の日付は記載されていますが、最後の取引はそれよりも前であることにご注意ください。
また、最後の取引から5年が経過していても、その後に借入先や保証会社、債権回収業者に対して返済の約束をしている場合は債務を承認したことになるため、消滅時効を主張できない可能性があります。
時効の成否の判断は難しいことも多いので、明らかに5年以内である場合を除いて、弁護士または司法書士に相談して確認するようにしてください。
パルティール債権回収からの通知を無視してはいけない理由
時効が成立していると思われる場合も含めて、パルティール債権回収からの通知を無視することは危険です。その理由は以下のとおりです。
自宅訪問による取り立てを受ける
金融機関や貸金業者からの督促状を無視すると、何度も電話や手紙による督促を受けることが一般的ですが、この点はパルティール債権回収の場合も同じです。
パルティール債権回収からの通知書を無視した場合には、さらに社員が自宅まで取り立てに来ることがあります。
違法業者ではないので暴力的な取り立てや嫌がらせなどが行われることはありませんが、自宅にまで取り立てに来られると、借金が時効にかかっているにもかかわらず返済してしまったり、返済の約束をさせられてしまうおそれがあります。
また、家族や近隣の人たちに借金がバレてしまうおそれもあるでしょう。
職場に取り立ての連絡が入る
自宅への取り立ては居留守を使って回避することも可能ではありますが、そうすると今度は、職場に取り立ての連絡が入ることがあります。
債権回収のために債務者の職場に連絡することは、貸金業法によって原則として禁止されています。しかし、他に債務者と連絡を取る手段がない場合など、正当な理由がある場合には例外的に職場への連絡も認められています。
そのため、パルティール債権回収からの連絡を無視していると、職場に連絡されることも覚悟しなければなりません。
裁判を起こされる
通知書やその後の連絡を無視し続けていると、やがてパルティール債権回収は裁判を起こしてきます。
具体的には、支払督促または訴訟を起こされます。支払督促を申し立てられた場合は「支払督促」という書類が、訴訟を提起された場合は「訴状」という書類が裁判所から送られてきますが、これらの書類は絶対に無視してはいけません。
これらの書類を無視すると、パルティール債権回収が申し立てたとおりの内容で債務が公的に確定してしまいます。
財産の差押えを受ける
支払督促や訴訟における判決などが確定すると、パルティール債権回収は強制執行手続きにより債務者の財産を差し押さえてきます。
主に差し押さえられるのは給料や預金口座です。
給料が差し押さえられると、給料手取額の一部が会社からパルティール債権回収へ直接支払われます。裁判所から会社へ差し押さえ通知が届き、パルティール債権回収からも会社へ連絡されますので、借金問題が職場にバレてしまいます。
預金口座が差し押さえられると、その口座に残っている預金の中から債権額を上限として、全額がパルティール債権回収へ支払われます。
どちらの場合も、生活費に支障をきたしてしまうおそれがあります。
給料や預金で完済に至らなかった場合は、他の財産が差し押さえられる可能性もあります。
株式などの有価証券や生命保険などが差し押さえられることもありますし、自宅などの不動産が差し押さえられることも考えられます。
債権が時効にかかっているときの注意点と対処法
パルティール債権回収が請求してきた債権が時効にかかっていたとしても、通知書を無視すると上記の流れで財産の差押えに至る可能性があります。
なぜなら、時効が成立していても債務者がその時効を援用しない限り、債権は消滅しないからです。
債権が時効にかかっている場合は、以下の点に注意して対処していく必要があります。
返済をしてはいけない
パルティール債権回収から届いた通知書を見て、慌てて返済してしまうと債務を承認したことになるので時効が更新されてしまい、消滅時効を主張できなくなります。
時効の更新とは、それまで進行していた時効期間がリセットされることです。承認したときから新たに時効期間が進行し始めます。
1円でも返済すると債務全体を承認したことになるので、注意が必要です。返済したお金の返還を求めることもできません。
返済の約束をしてもいけない
返済の約束をするだけでも債務の「承認」に当たります。
債権回収業者の担当者に対して「返済を待ってほしい」「返済しなければいけないのはわかっているが、今は支払えない」というだけでも承認に当たるので注意が必要です。なぜなら、これらの発言は債務があることを前提としたものだからです。
パルティール債権回収から通知書が届いたときに、自分で電話連絡をすることも危険です。担当者との会話のやりとりの中で承認に該当する発言を引き出されるおそれがあるからです。
時効が成立している可能性がある場合には、弁護士または司法書士という法律の専門家に対応を任せた方がよいでしょう。
時効援用通知書を送付する
時効が成立している場合には、債務者がその時効を援用すれば、債務が確定的に消滅します。
その方法は口頭で「時効を援用します」というだけでもよいのですが、通常は証拠を残すために「時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便でパルティール債権回収充てに送付します。
時効援用通知書の作成方法と送り方については、こちらの記事をご参照ください。
パルティール債権回収による差押えを回避するための対処法
パルティール債権回収から通知書が届いた場合、架空請求や時効成立の可能性もありますが、大半のケースでは返済義務を免れることができません。
その場合でも、以下の対処法によって差し押さえを回避することが可能です。
分割払いの和解は可能
債権回収業者は買い取った債権の一括返済を請求してきますが、早期に申し出れば分割払いで和解することが可能です。
パルティール債権回収は債権回収業者として特に悪質なわけではなく、誠意をもって分割払いを申し出れば交渉に応じてくれます。
時効が成立している可能性がある場合に自分で連絡することは危険ですが、元の債権者との最後の取引から明らかに5年以内の場合は、早めに連絡して分割払いの交渉をする方が得策です。
和解では頭金を要求されることが多い
もっとも、パルティール債権回収は、分割払いの和解をするための条件として頭金を要求することが多い傾向にあります。
頭金の要否と金額はケースバイケースですが、例えば債権額50万円の場合、最初に頭金として20万円を支払えば、残りの30万円については3年~5年の分割払いで和解に応じてくれるという形です。
頭金としてまとまった金額を用意できない場合は、交渉次第ではありますが、和解を拒否されることもあります。
返済できないときは債務整理を検討する
分割払いの和解を拒否された場合や、そもそも返済できない場合には債務整理を検討することになります。パルティール債権回収も、合法的な債務整理手続きには従います。
債務整理には、主に以下の3種類の手続きがあります。
- 任意整理…債権者と直接交渉することで借金を減額してもらう手続き
- 個人再生…裁判所の手続きを利用して借金を大幅に減額することが可能な手続き
- 自己破産…裁判所の手続きを利用して借金の返済義務を全て免除してもらうことが可能な手続き
どの手続きが適しているかは、状況によって異なります。
他にも借金を抱えていて、借金総額が多額にのぼる場合は、個人再生または自己破産といった裁判所を介する手続きが必要となる可能性があります。
パルティール債権回収への対応を弁護士・司法書士に依頼するメリット
債権回収業者から通知書を受け取ったときは、まず、弁護士または司法書士という法律の専門家に相談することをおすすめします。
パルティール債権回収への対応が必要な場合には、弁護士・司法書士に依頼することで以下のメリットが得られます。
時効の成否を正確に判断できる
まず、元の債権について時効が成立しているかどうかを、弁護士・司法書士が法的観点から正確に判断してくれます。
時効が成立している可能性がある場合には、弁護士・司法書士に対応を依頼すれば、不用意な発言で債務を承認してしまうというおそれもありません。
専門家のサポートを受けることで、返済しなくてよい債務を返済してしまうといった事態を防止することが可能です。
最適な解決方法がわかる
債務整理の3種類の手続きには、それぞれ異なる特徴があります。そのため、選択を誤ると借金問題をスムーズに解決できないおそれがあります。
その点、弁護士・司法書士に相談すれば、状況に応じて最適な解決方法を提案してもらえます。
任意整理を選択した場合にはパルティール債権回収から頭金を要求される可能性が高いですが、弁護士・司法書士に依頼すれば頭金なしで和解できる可能性もあります。
なぜなら、弁護士または司法書士が任意整理に介入した場合には、和解を成立させない限り債権を回収できないので、パルティール債権回収も譲歩する可能性が高いからです。
このように、弁護士・司法書士に依頼すれば解決方法の選択肢も増えることにもつながります。
債務整理手続きを代行してもらえる
債務整理の手続きは複雑で、法的に難解な部分もあります。しかし、弁護士・司法書士に依頼すれば代理人として手続きを代行してもらえます。自分で債権者や裁判所とやりとりしたり、面倒な書類を作成する必要がなくなるのです。
また、弁護士・司法書士が専門家として的確に手続きを進めてくれるので、満足できる結果が期待できます。
まとめ
パルティール債権回収から通知書が届いた場合、多くのケースでは無視していると取り立てを受ける上に、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。
そうであるからといっても、慌てて返済するのではなく、まずは架空請求ではないか、時効が成立していないか、といったことも確認する必要があります。
対応を誤ると重大なデメリットを受けるおそれがありますので、通知書を受け取った段階で一度、弁護士または司法書士に相談することを強くおすすめします。
他に借金を抱えている場合でも解決策はありますので、弁護士・司法書士の専門的なアドバイスを受けて、適切に対処していきましょう。