- SMBCモビットとの任意整理は可能
- 任意整理におけるSMBCモビットの和解条件は他社よりも厳しい
- SMBCモビットと任意整理をするメリットがあるかシミュレーションすることが重要
- SMBCモビットとの任意整理は弁護士・司法書士に依頼するのが得策
親しみやすいCMでおなじみのSMBCモビットは、人気の高い消費者金融のひとつです。
しかし、SMBCモビットへの返済が厳しくなって債務整理を希望する人も少なくありません。借金の返済が厳しくなったときは、早めに任意整理で解決するのがおすすめです。
ただ、債権者がどこまで協力してくれるかによって任意整理の難易度は大きく左右されます。そこで気になるのは、SMBCモビットが任意整理にどこまで協力してくれるのかということでしょう。
この記事では、SMBCモビットとの任意整理の難易度について、最近の和解傾向を踏まえて分かりやすく解説していきます。
SMBCモビットの基本情報
SMBCモビットは、以前はモビットという社名でしたが、現在は三井住友銀行系のSMBCコンシューマー・ファイナンスの子会社となり、「株式会社SMBCモビット」という社名に変更されています。
他社より審査が早いので即日融資を受けやすく、またWebで契約すれば職場への在籍確認の電話や自宅への郵便の送付なども不要という点が特徴的です。
SMBCモビットの基本的な情報については、以下の表を参考になさってください。
社名 | 株式会社SMBCモビット |
---|---|
創業時期 | 2000年5月 |
本店の所在地 | 東京都新宿区西新宿2丁目4番1号 新宿NSビル10階 |
契約方法 | インターネット(PC・スマホ)、ローン契約機、電話、郵送 |
在籍確認 | Web申し込みの場合は不要 |
融資限度額 | 800万円 |
返済方式 | 借入後残高スライド元利定額リボルビング方式 |
金利 | 3.0%~18.0%(実質年率) |
遅延損害金 | 20.0%(実質年率) |
担保・連帯保証人 | 不要 |
SMBCモビットとの任意整理における最近の和解傾向
近年では任意整理の和解条件を厳しくしつつある業者が多いですが、その中でもSMBCモビットの対応は厳しい傾向にあります。
以下で、SMBCモビットの任意整理における最近の和解傾向を具体的に解説します。
交渉には応じる
SMBCモビットは、任意整理の交渉にはきちんと応じてくれます。SMBCモビットに任意整理を申し出て、事情を一切聞いてもらえずに返済を要求されるということはありません。
ただし、必ずしも債務者の希望する条件で和解に応じてくれるわけではありません。むしろ、他社よりも和解条件は厳しくなっています。その意味で、SMBCモビットは任意整理にあまり協力的ではない業者であるといえます。
早期に裁判を起こしてくる
SMBCモビットとの任意整理では、早期に和解が成立しなければ裁判を起こされます。任意整理を申し出てから3ヶ月程度が経過すると、裁判を起こしてくることが多いです。
任意整理中に裁判を起こす業者は他にもいますが、多くの場合は少なくとも6ヶ月程度は待ってくれるものです。しかし、SMBCモビットの場合は3ヶ月以内に和解が成立しなければ、裁判手続きへ移行してしまいます。
返済期間は3年程度が目安
返済期間についてもSMBCモビットの和解条件は他社よりも厳しく、原則として3年(36回払い)以内での返済を要求されます。事情によっては5年(60回払い)まで応じてもらえることもありますが、基本的には3年(36回払い)までしか応じてもらえません。
以下のような事情がある場合にはさらに対応が厳しくなり、なかには1年(12回払い)での返済を要求されることもあります。
- 取引期間が短い(1年未満)
- 借りた後にほとんど返済をしていない
- 長期の延滞が続いている
遅延損害金等は原則としてカットされない
近年の任意整理では、大半の業者が以下の2つについてはカットに応じなくなっており、SMBCモビットも例外ではありません。
- 支払い停止後の経過利息
- 延滞発生後、和解成立までの遅延損害金
もっとも、SMBCモビットの場合は早期に和解できれば経過利息と遅延損害金のカットに応じるケースもあるようです。
将来利息がカットされないことも多い
和解後に発生する将来利息については、SMBCモビットとの任意整理でも交渉によってカットしてもらうことが可能な場合があります。ただし、他社と比べると将来利息のカットに応じてもらえないケースが多くなっています。
取引期間が短い場合に将来利息を要求してくる業者は他にもあります。SMBCモビットの場合はその場合に交渉では厳しく、以下のケースではほぼ確実に将来利息を要求してきます。
- 取引期間が短い(1年未満)
- 借りた後にほとんど返済をしていない
- 長期の延滞が続いている
もっとも、将来利息を付加されるとしても5%~10%程度なので、任意整理前よりは利息の負担が軽減されます。
過払い金の返還は見込めない
SMBCモビットとの任意整理では、過払い金の返還はまず見込めません。
他の消費者金融との任意整理では過払い金が発生していることが判明するケースもあり、その場合には交渉または裁判によって過払い金を取り戻せます。
SMBCモビットは他の消費者金融とは異なり、開業当初から法定金利内でしか貸付を行っていません。そのため利息の払いすぎという事態が発生していません。
したがって、SMBCモビットとの任意整理において利息引き直し計算を行っても、過払い金が判明することはまずないという状況です。
SMBCとの任意整理が成功しやすいケース
SMBCモビットは和解条件が厳しいため、任意整理の交渉が難航するケースも少なくありません。
そんなSMBCモビットとの任意整理が成功しやすいのは、以下の3つのケースです。
早期に和解できる場合
SMBCモビットは、早期に和解できなければ裁判を起こしてくるものの、早期和解が可能であれば柔軟に対応することもあるという印象です。
返済期間については、早期の和解が可能であれば、5年(60回払い)に応じてくれるケースもあります。
- 経過利息と遅延損害金のカット
- 将来利息
この2点については、他社ではカットされないようなケースでも、SMBCモビットの場合は早期の和解が可能であればカットに応じてもらえることもあるようです。
取引期間が長い場合
その他にも、SMBCモビットとの任意整理では取引期間がおおむね5年以上の場合は比較的柔軟に対応してもらえることがあります。
ただし、利用額が少ない場合や延滞歴が多い場合には、取引期間が長くても和解条件は厳しくなりがちです。
また、おおむね3ヶ月以内に和解が成立しなければ裁判を起こされる可能性が高いことは、取引期間が長い場合も同じです。
和解条件が緩い他社とも任意整理する場合
SMBCモビットから厳しい和解条件を要求されたとしても、和解条件が緩い他社とも任意整理する場合は全体的に任意整理が成功する可能性が高くなります。
他社と有利な条件で和解することで返済の負担を軽減できれば、SMBCモビット一社との任意整理がうまくいかなくても任意整理で借金を解決できる可能性が高まるということです。
最近は大手の消費者金融でも以前に比べると和解条件が厳しくなりつつありますが、それでもSMBCモビットよりは柔軟に対応してくれるところがほとんどです。
大手の消費者金融からも借り入れがある場合は、そちらとの交渉に力を入れることで任意整理に成功する可能性が高まるといえます。
SMBCモビットと任意整理する場合の返済額のシミュレーション
ここでは、SMBCモビットと任意整理することで返済の負担をどれくらい軽減できるのか、いくつかの例を挙げてシミュレーションをご紹介します。
ただし、必ずしも以下のシミュレーションどおりに和解できるとは限らないことにご注意ください。
短期間での返済を求められた場合
SMBCモビットに借入残高30万円(金利18%)があるケースで任意整理を申し出たところ、2年(24回払い)での返済を要求されたとします。
このケースで任意整理しない場合とした場合の返済額は、それぞれ以下の表のようになります。
任意整理しない場合 | 任意整理した場合 | |
---|---|---|
利息 | 5万9,332円 | 0円 |
返済総額 | 35万9,332円 | 30万円 |
返済期間(回数) | 2年(24回) | 2年(24回) |
毎月の返済額 | 1万5,000円 | 1万2,500円 |
返済総額を約6万円、毎月の返済額を2,500円軽減できました。
しかし、もし将来利息を付加されると思うように返済額が減らないことになります。
遅延損害金と将来利息を付加された場合
SMBCモビットに借入残高50万円(金利18%)があるケースで任意整理を申し出たところ、返済期間は3年(36回払い)に応じてもらえたものの、遅延損害金として2万円、将来利息として5%を要求されたとします。
このケースで任意整理しない場合とした場合の返済額は、それぞれ以下の表のようになります。
任意整理しない場合 | 任意整理した場合 | |
---|---|---|
将来利息 | 15万0,721円 | 4万1,038円 |
返済総額 | 65万0,721円 | 56万1,038円 (遅延損害金2万円を含む) |
返済期間(回数) | 3年(36回) | 3年(36回) |
毎月の返済額 | 1万8,076円 | 1万5,584円 |
返済総額を約9万円、毎月の返済額を約2,500円軽減できました。
しかし、より短期間での返済を要求されると、毎月の返済額があまり減らないことになります。
長期の返済期間が認められた場合
SMBCモビットに借入残高80万円(金利18%)があるケースで、取引期間が5年以上で延滞歴もなく、かつ、早期の和解が可能だったため返済期間5年(60回払い)で和解できたとします。
和解で経過利息や遅延損害金の、将来利息はすべてカットされたとして、任意整理しない場合とした場合の返済額は、それぞれ以下の表のようになります。
任意整理しない場合 | 任意整理した場合 | |
---|---|---|
利息 | 39万5,059円 | 0円 |
返済総額 | 119万5,059円 | 80万円 |
返済期間(回数) | 4年9ヶ月(57回) | 5年(60回) |
毎月の返済額 | 2万1,000円 | 1万3,333円 |
返済総額を約40万円、毎月の返済額を約8,0000円軽減できました。
このように、SMBCモビットとの任意整理では、早期和解によって有利な条件で和解できれば、大きな減額効果を得ることができます。
SMBCモビットとの任意整理が難しいときの対処法
SMBCモビットとの任意整理が難しいときでも、以下の対処法をとることで借金を解決することが可能です。
裁判を起こされた場合
SMBCモビットから裁判を起こされた場合にとりうる対処法は、以下の2つです。
- 裁判上の和解をする
- 自己破産または個人再生を申し立てる
裁判を起こされた後でも、裁判上で分割返済の和解をすることは可能です。ただし、裁判前の任意交渉の場合よりも以下の点で和解条件は厳しくなりがちです。
- より短期の返済期間を要求される
- 経過利息と遅延損害金のカットに応じてもらえない
- 将来利息を要求される
自己破産および個人再生は、それぞれ法律に基づいて行われる強制的な手続きです。そのため、SMBCモビットの意向にかかわらず借金を解決することが可能です。小規模個人再生の場合は債権者の多くが再生計画案に不同意の意見を出すと不認可となりますが、SMBCモビットが不同意の意見を出すことはほとんどありません。
返済可能な条件で和解できない場合
SMBCモビットと返済可能な条件で和解できない場合にとりうる対処法は、以下の2つです。
- 他の業者とも任意整理をする
- 自己破産または個人再生を申し立てる
他の業者からも借り入れがある場合は、他社とも任意整理することを検討しましょう。SMBCモビットと有利な条件で和解できなくても、全体的に返済の負担を軽減することで借金を解決できる場合があります。
自己破産または個人再生を申し立てる場合は、準備に時間がかかることに注意が必要です。
裁判で判決が言い渡され、2週間が経過すると判決が確定します。その後は、SMBCモビットから強制執行の手続きによって財産を差し押さえられてしまう可能性があります。そのため、自己破産や個人再生の申立準備は早期に着手し、余裕をもって行うことが大切です。
SMBCモビットとの交渉が難航したら、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談した方が良いでしょう。
いったん和解したが返済できなくなった場合
SMBCモビットとの任意整理でいったん和解したものの、その後に返済できなくなることもあるでしょう。その場合にとりうる対処法は以下の2つです。
- 2回目の任意整理をする
- 他の業者とも任意整理をする
- 自己破産または個人再生を申し立てる
任意整理に回数制限はないので、SMBCモビットと2回目の任意整理をすることも可能です。ただし、和解条件は1回目よりもさらに厳しくなる可能性が高いです。
SMBCモビットとの和解後の返済が厳しくなった時点で他社との任意整理がまだであれば、他社と任意整理することによって返済の負担を減らしましょう。
任意整理では解決困難な場合は、自己破産または個人再生を申し立てる必要があります。いったん任意整理をした後でも、自己破産および個人再生の申立ては可能です。
SMBCモビットと任意整理するときの注意点
SMBCモビットと任意整理することには、一定のデメリットもあります。以下の点には事前に注意しておきましょう。
ブラックリストに掲載される
SMBCモビットと任意整理する場合に限りませんが、任意整理をするとその後の5年間はブラックリストに掲載されます。
ブラックリストに掲載されている間は、業者からの新たな借り入れやローン、クレジットカードの利用ができなくなります。
クレジットカードを公共料金等の支払いに利用している場合には口座引き落としや振り込みなどに変更する必要がある他、借り入れに頼らない生活設計を検討しておかなければなりません。
ブラック期間中にクレジットカードを使う方法
ブラック期間中でもクレジットカードを使いたいと思うことは少なくないでしょう。その場合には以下の対処法が考えられます。
- 家族カードを作ってもらう
- デビットカードを使う
- プリペイドカードを使う
以上のカードはブラックリストに掲載された人も問題なく使うことができます。
ただし、家族カードを利用すると家族が利用代金を返済しなければなりませんので、使いすぎには注意が必要です。使いすぎを防止するためには、デビットカードまたはプリペイドカードを利用すると良いです。
SMBCモビットとは今後の取引ができなくなる
任意整理をした後に5年が経過するとブラックリストは解消され、また借り入れができるようになります。しかし、SMBCモビットとはその後も取引ができなくなります。
なぜなら、信用情報機関に保有されているブラック情報が削除された後も、SMBCモビットの社内に保有されている顧客情報は半永久的に残るからです。そのため、SMBCモビットと任意整理を含む債務整理をした人は、今後の取引を断られてしまいます。このことを「社内ブラック」といいます。
社内ブラックについても、SMBCモビットだけでなくほとんどの業者が同様の取り扱いをしています。債務整理をした後に借り入れをするなら、債務整理の対象としなかった業者を選ぶ必要があります。
SMBCとの任意整理は弁護士・司法書士への依頼が有効
SMBCモビットとの任意整理は他社よりも難易度が高いので、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することを強くお勧めします。
弁護士・司法書士に依頼することで、以下のサポートが受けられます。
- 任意整理で解決可能かについてアドバイスが受けられる
- 専門家としての立場で交渉してもらえるので有利な条件での和解が期待できる
- 任意整理が難しい場合も最善の解決策を提案してもらえる
- 自己破産や個人再生を申し立てる場合も手続きをすべて任せられる
まとめ
SMBCモビットは任意整理の交渉には応じてくれます。しかし、他社よりも和解条件は厳しく、早期に和解が成立しないと裁判を起こしてくるため、難易度は低いとはいえません。
SMBCモビットとの任意整理を成功させるには、早期に和解を成立させることが最大のポイントとなります。そのためには、他社との任意整理の交渉もスムーズに進める必要があるでしょう。
SMBCモビットへの返済が難しくなったら、早めに弁護士・司法書士のサポートを受けて、任意整理を成功させましょう。