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借金督促状とは?無視するリスクと返済できないときの対処法を解説

借金督促状とは?無視するリスクと返済できないときの対処法を解説
この記事でわかること
  • 借金を滞納すると督促状が届く
  • 督促状を無視すると差押えを受けるなどのリスクがある
  • 督促状が届いても返済義務がないケースもある
  • どうしても返済できないときは債務整理が有効である

借金の返済を滞納すると、債権者から「借金督促状」というものが送られてきて、返済を迫られます。

返済しないといけないことはわかっていても、お金に余裕がなく、心ならずも督促状を無視している方も少なくないことでしょう。

しかし、借金督促状を無視し続けると様々なデメリットが生じ、最終的には給料や預金を差し押さえられてしまうので危険です。

この記事では、借金督促状がどのような意味を持つのか、無視すると具体的にどうなるのかをわかりやすく解説し、どうしても返済できないときの対処法もご紹介します。

借金督促状とは

まずは、借金督促状にどのような意味があるのかを確認しておきましょう。

督促状の法的効力

借金督促状とは、金融機関や貸金業者からの借金の返済を滞納したときに、返済を促すために送られてくる書面のことです。

通常、以下の事項が記載されています。

  • 返済日までに入金の確認ができなかったこと
  • 滞納額
  • 遅延損害金の額
  • 新たな返済期限
  • 振込先口座

この借金督促状は、法的には「催告」としての意味を持ちます。

催告とは、裁判外で支払いを請求することを指します。請求するだけの意味合いですので強制力はなく、借金督促状を無視したとしても直ちに財産を差し押さえられるわけではありません。

催告書との違い

借金返済を滞納しているときに債権者から送られてくる書面にはもう1種類、「催告書」というものもあります。

催告書も返済を促すために送られてくる書面であり、法的効力は督促状と同じです。

ただし、一般的に催告書は、督促状を何度送付しても返済しない債務者に対して、最終の警告としての意味合いで送られてきます。

そのため、催告書には「○月○日までにお支払いが確認できない場合には、法的措置をとることになります」という文言が記載されています。

支払督促との違い

「支払督促」は借金督促状や催告書とは法的効力が異なるので、注意が必要です。

支払督促とは簡易裁判所から送られてくる書面で、債権者からの申立てに基づき、債務者に対して支払いを命じる書面のことです。

この支払督促を受け取って放置したまま2週間が経過すると、債権者の申し立てた債権の内容が公的に確定します。

つまり、支払督促を2週間放置していると財産を差押えられることになります。

簡易裁判所から支払督促が届いた場合には、早急に弁護士・司法書士に相談するなどして正しく対処する必要があります。

督促状と催告書と支払督促の違い
督促状 催告書 支払督促
送付者 債権者 債権者 裁判所
内容 返済要求 最終警告 支払命令
強制力 なし なし あり
無視すると 取り立てが続く 法的措置に移行 差押えを受ける

借金督促状を無視するとどうなる?

借金督促状を無視しても、ただちに差押えなどを受けるわけではありません。しかし、無視し続けると以下のように重大なデメリットが生じてしまいます。

  • 電話や手紙で何度も催促される
  • ブラックリストに掲載される
  • 一括返済を請求される
  • 財産の差押えを受ける

電話や手紙で何度も催促される

借金を滞納していると、当然ながら債権者からの電話や手紙で何度も支払いを催促されます。そのため、精神的な負担が大きくなりますし、家族に借金のことを知られる可能性も高まります。

これらの連絡も無視していると、職場にも催促の電話がかかってくることがあります。職場への連絡は貸金業法で原則として禁止されていますが、債務者と連絡がとれない場合には「正当な理由」があるものとして認められています。

債権者から職場に連絡があると、職場の人たちに借金のことを知られてしまい、会社にいづらくなる可能性もあるでしょう。

「○月○日までに支払います」と約束すれば、いったん催促は止まりますが、その日までに支払えなければ催促が再開されます。

ブラックリストに掲載される

借金督促状を無視したまま2~3ヶ月が経過すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に掲載された状態となり、その後は新たな借入やクレジットカードの利用などができなくなります。

原則として滞納を解消し、さらにそのときから5年が経過するまではこの状態が続きます。

一括返済を請求される

分割払いで返済していた場合でも、滞納してから2~3ヶ月が経過すると、残高について一括返済を請求されます。通常はこの段階で「催告書」が送られてきます。

これは、毎月の返済日までに所定の金額を支払えば残りの借金を返済する必要はないという「期限の利益」を喪失することによります。つまり分割返済が認められなくなります。

話し合いによって分割払いを認めてもらえる可能性がありますが、債権者があくまでも一括返済を求める場合は、法的に拒むことはできません。

財産の差押えを受ける

一括返済の請求を受けても無視し続けると、債権者は法的措置をとってきます。

具体的には、まず支払督促や訴訟といった裁判を起こされます。どの裁判手続きがとられるかは債権者次第ですが、一般的な借金については簡易裁判所に貸金返還請求訴訟を起こされるのが一般的です。

裁判手続きも無視していると、債権者が主張するとおりの内容が支払督促や判決で確定します。

このようにして金銭債務が公的に確定したことを証明する書面のことを「債務名義」といい、債権者は債務名義に基づいて債務者の財産を差し押さえることが可能となります。

差し押さえられるのは主に給料や預金口座ですが、換金可能な財産は全て差押えの対象となるので注意が必要です。

給料や預金口座を差し押さえられた場合、生活費に支障をきたすおそれがあるとともに、家族や職場の人たちに借金の滞納を知られるおそれもあります。

借金督促状が届いたときにやるべきこと

上記のようなデメリットを回避するためには、借金督促状を無視せず、正しく対処する必要があります。

まず、借金督促状を受け取ったときには以下のように対処しましょう。

架空請求でないかを確認する

何の関わりもない悪質業者が、借金の督促状を装ったハガキや書面で架空請求をしてくることも少なくありません。架空請求業者にお金を支払ってしまうと、取り戻すことは難しいので注意が必要です。

まずは書面に記載されている業者名や電話番号をネットで検索し、心当たりがないかを確認します。

その業者に心当たりがあった場合でもハガキに書かれている番号に電話するのは避け、業者のHPに書いてある番号に連絡してください。ハガキの業者名は本物でも番号は偽物だったというケースもあります。

時効が成立していないかを確認する

届いた借金督促状が真に債権者からのものである場合は、次に借金が時効にかかっていないかを確認してください。借金の返済義務は、最後の取引から5年で消滅時効にかかります。

ただ、時効が成立していても債務者が時効を援用するまで返済義務は消滅しません。そのため、債権者は時効が成立した借金についても、債務者が任意に返済することを期待して督促状を送付してくることが少なくありません。

時効が成立している場合には、債権者宛に内容証明郵便で「時効援用通知書」を送付しましょう。

なお、時効成立後でも債権者に対して返済を約束したり、1円でも返済してしまうと消滅時効を主張できなくなることに注意が必要です。

時効が成立している場合の対応についても、弁護士・司法書士に任せた方が安心です。

返済義務がある場合は債権者に連絡する

借金督促状が適法なものであり、時効も成立していないのなら債権者に連絡しましょう。

書面に記載された返済期限までに滞納金を返済することが理想的ですが、返済できない場合には、いつまでにいくら支払えるのかを債権者に伝えることです。

債権者としても、裁判や差押えの手続きに労力とコストをかけるよりも、任意に支払ってもらう方が得策なので、ある程度は柔軟な相談に応じてくれるはずです。

既に裁判を起こされている場合の対処法

裁判所から届いた支払督促や訴状を無視すると、債権者の主張どおりに債権の内容が公的に確定します。その後は一括で返済しない限り、原則として差押えを回避することはできません。

裁判手続きへの対応は弁護士または司法書士に依頼することが望ましいですが、ご自身で対応する場合は以下のように進めていきましょう。

  1. 期限までに答弁書を提出する
  2. 分割払いで和解をする

期限までに答弁書を提出する

まずは、答弁書を作成し、指定された期限までに裁判所へ提出しましょう。

答弁書の書式は訴状に同封されていますので、その用紙に必要事項を記入すれば完成するようになっています。

答弁書の提出期限は第1回裁判期日の1週間前に指定されていますが、裁判期日までなら遅れても受け付けられますので、必ず提出するようにしてください。

なお、支払督促が届いた場合には、受け取ってから2週間以内に異議申立てをすることで訴訟手続きに移行します。

その後、裁判所から答弁書の提出期限を指定されますので、上記の場合と同様に答弁書を提出しましょう。

分割払いで和解をする

裁判というと勝ち負けを争うものというイメージが強いと思いますが、借金の裁判ではほとんどの場合、分割払いで和解をすることが可能です。

答弁書の書式の中に和解案を記入する欄がありますので、そこに希望する和解案を記入した上で裁判所に提出しましょう。

基本的には、第1回裁判期日までに債権者と和解協議をしておく必要があります。

協議がまとまった場合、裁判所に報告すれば裁判期日に出頭する必要はありません。裁判所が所定の手続きをとった上で、裁判上の和解が成立します。

債権者との協議がまとまらなかった場合は、裁判期日に出頭してください。法廷で裁判所を交えて和解協議を行うことが可能です。

裁判所も、借金問題についてはできる限り和解による解決が望ましいと考えているので、和解が成立するように債権者に対して譲歩を求めてくれることが期待できます。

借金督促状が届いても返済できないときの対処法

借金督促状が届いたとしても、到底返済できないということもあるでしょう。

そんなときは、以下の方法で対処しましょう。

  • 債権者に連絡する
  • 債務整理をする

債権者に連絡する

返済できないと思っても、債権者への連絡は怠らないようにしてください。連絡さえすれば、債権者の方から返済可能な譲歩案を提示してくれることも少なくありません。

例えば、数ヶ月は返済を待ってもらえたり、しばらくは利息の返済のみでよいとしてもらえたりする可能性があります。

話し合いが決裂したとしても、きちんと連絡していれば債務整理に協力的に対応してもらえることが期待できます。

債務整理をする

どうしても返済できない場合には、債務整理をした方がよいでしょう。

債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類がありますが、どの手続きが適しているのかは状況によって異なります。

利息を免除してもらえれば返済していける場合は、任意整理が適している可能性が高いです。

それでも返済できないほど多額の借金を抱えている場合は、個人再生または自己破産を検討する必要があります。

自己破産をすると財産を処分しなければならないなどのデメリットがいくつかあるので、デメリットを回避しつつ多額の借金を整理したい場合には個人再生が適しています。

早期に借金問題から解放されて生活を立て直したいという場合は、自己破産が最も有効です。

借金督促状が届いたときに弁護士・司法書士に相談するメリット

借金督促状が届いたときには、一人で悩まず弁護士または司法書士に相談することをおすすめします。法律の専門家に相談することで以下のことを確認できるので、依頼費用以外で損することはありません。

  • 架空請求ではないか
  • 時効が成立しているか

返済義務がある場合でも、弁護士・司法書士に相談することで以下のメリットが得られます。

  • 最適な解決方法についてアドバイスが得られる
  • 債務整理を依頼すれば受任通知の送付によって督促が止まる
  • 複雑な手続きは弁護士・司法書士に一任できる
  • 差押えを回避して借金問題の解決を図れる

借金督促状を無視しているとデメリットが大きくなっていくので、早めに弁護士・司法書士に相談されることを強くおすすめします。

まとめ

借金督促状は法的に強制力のある書面ではないので、無視してもすぐに重大な問題が発生するわけではありません。しかし、無視し続けることは禁物です。

返済が難しくなった借金を放置していると、借金総額が膨れ上がってしまい解決が難しくなるという問題もあります。

借金督促状が届いて困ったときは、弁護士・司法書士の力を借りて、借金問題を解決してしまいましょう。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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