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FXで作った借金は自己破産で解決可能!免責されない場合の解決方法もあわせて解説

FXで作った借金は自己破産で解決可能?のアイキャッチ
監修青木 芳之 / 弁護士法人オールイズワン浦和総合法律事務所 代表

早稲田大学法学部卒業後、平成18年に第二東京弁護士会に弁護士登録。
埼玉県内の法律事務所に勤務後、平成26年に浦和総合法律事務所を開設し、平成29年、弁護士法人オールイズワン浦和総合法律事務所を設立する。
債務整理から交通事故、相続などの分野に強みを持ち、さらに総合的な法律サービスを提供。

早稲田大学法学部卒業後、平成18年に第二東京弁護士会に弁護士登録。
埼玉県内の法律事務所に勤務後、平成26年に浦和総合法律事務所を開設し、平成29年、弁護士法人オールイズワン浦和総合法律事務所を設立する。
債務整理から交通事故、相続などの分野に強みを持ち、さらに総合的な法律サービスを提供。

この記事でわかること
  • FXで作った借金は自己破産で解決可能
  • ただしFX以外にも免責不許可事由がある場合などは免責が受けられない場合もある
  • 財産の処分など自己破産手続きによるデメリットにも注意が必要である
  • 自己破産以外にもFXによる借金を解決する方法がある

【この記事は以下の方にオススメです!】
・FXが原因で多額の借金を背負ってしまった方
・FXで作った借金を「自己破産」で解決が可能か知りたい方
・自己破産以外でFXの借金を解決する方法をあわせて知りたい方

FX」は証拠金を担保とした信用取引によって、少ない元手でも大きな利益を出すことが可能な投資手法です。ただ、FXは大きく儲かることもある反面で、相場の急激な変動により多額の追加証拠金が必要になることもあります。

この追加証拠金を用意できないために借金をしてしまう人が後を絶ちません。また、少しでも大きな取引をするために、借金をして元手を作る人もいます。

大きな利益が出れば良いのですが、実際には思うような利益が出ず、損失ばかりが積みが上がっていくことが多々あります。

その結果、返済しきれないほどの多額の借金を抱えてしまい、「自己破産」をせざるを得なくなることがあります。

ところが、FXのような投資で作った借金で自己破産する場合は、生活費や事業のために作った借金の場合とは異なるリスクがあることに注意が必要です。

この記事では、以下2点をわかりやすく解説します。

  • FXで作った借金を自己破産で解決する方法
  • 万が一自己破産できない場合に利用できる他の債務整理を用いた解決法

FXで作った借金を自己破産で解決する方法を一緒に確認しましょう!

FXによる借金も基本的に自己破産で解決可能

FXのような投資で借金を作った場合は「免責不許可事由」に該当し、自己破産しても返済義務が免除されないのが法律上の原則です。

しかし、実際にはFXで作った借金を自己破産で解決した人はたくさんいます。投資で作った借金でも、自己破産で解決することは基本的に可能なのです。

以下でその理由をご説明します。

免責不許可事由とは

自己破産すると、税金などを除く全ての借金の返済義務が免除されます。この返済義務を免除する裁判所の決定のことを「免責」と呼びます。

しかし、返済義務を免除することが債権者との関係であまりにも不公平となるような事情がある場合には、免責が認められないことがあります。

免責が認められない事情のことを「免責不許可事由」といい、FXもその事由の一つです。

FXによる借金は免責不許可事由にあたる

破産法に定められている免責不許可事由の一つに、「浪費または賭博その他の射幸行為」というものがあり、FXはこれに該当します。

賭博」とは、当事者が左右できない偶然の事情による勝敗に金銭などの財産をかける行為のことをいいます。賭博に該当する行為として代表的なものとして、以下のようなものがあります。

【賭博に該当する行為の代表例】

  • パチンコ
  • パチスロ
  • 競馬
  • 競輪
  • 競艇
  • 賭け麻雀

その他の射幸行為」とは、賭博には該当しないものの同じようにギャンブル性が高く、経済的な損得が関わる行為のことをいいます。

投資手法の中には堅実なものもありますが、以下のようにギャンブル性が高いものもありいます。

【その他の射幸行為に該当する行為の代表例】

  • FX
  • 株式取引
  • 仮想通貨

したがって、FXは「その他の射幸行為」として免責不許可事由に該当します。

免責不許可事由があっても自己破産は可能

免責不許可事由があると、自己破産しても借金の返済義務が免除されないのが原則です。ただ、以下のような場合には免責不許可事由があっても免責を受けることが可能です。

  • 免責不許可事由の程度が軽い場合
  • 裁判所の裁量によって免責が認められる場合

例えば、500万円の借金を抱えていてもFXに使ったのは50万円程度で、残りの450万円は生活費や債務の返済に使ったようなケースもあります。このような場合は、免責不許可事由の程度が軽いので免責が許可されるでしょう。

他方、500万円のうち400万円程度をFXに使ったような場合は、免責不許可事由を見過ごされることはありません。

ただし、このような場合でも本人が真摯に反省しており、免責することで経済的な生活の再建が可能と認められる場合は裁判所の裁量により免責が許可されることが多くあります。

このように裁判所の裁量で免責を許可すること「裁量免責」と呼びます。裁量免責が認められる条件として、数十万円~100万円程度のお金を積み立てて債権者に配当することを裁判所から指示される場合もあります。

いずれにせよ、FXで借金を抱えたケースでも多くの場合は自己破産で解決することが可能です。

  • FXの借金は「免責不許可事由」に該当するため、原則は自己破産ができない
  • ただし、本人が真摯に反省をしている場合は裁量免責で自己破産が可能になる
  • 実際には自己破産でFXの借金が解決されている

FXによる借金が自己破産で免責されない場合とは

裁量免責には認められやすいケースと認められにくいケースがあります。

FXで借金を作った場合は、以下のような事情があると裁量免責が認められにくくなります。

手続き中にFXを再開した場合

裁判所が裁量免責を認めるかどうかを判断する際には、次の3つのポイントを重視します。

  • 本人が真摯に反省しているか
  • 経済的な生活再建の見込みがあるか
  • 借入の経緯を全体として見て同情できるか

自己破産を申し立てて破産手続に入ったにもかかわらずFXを再開すると、反省の態度が見えませんし、生活再建の見込みも薄いと判断されてしまいます。

これでは、借入の経緯に同情できる事情があったとしても、裁量免責は認められにくくなります。

自己破産手続が開始した後に受け取った給料などを多少の娯楽に使うことは許されますが、再び免責不許可事由に該当するような行為に使うことは許されません。

他にも免責不許可事由がある場合

免責不許可事由がある場合でも、悪質さの程度はさまざまです。免責不許可事由が一つではなく複数ある場合は悪質さが高いと判断されるため、裁量免責が認められにくくなります。

FXで借金を作った人の場合にありがちな他の免責不許可事由として、以下のようなものがあげられます。

浪費や賭博

FXで一時的に出た利益で高価な買い物をしたり、過度な外食や旅行などの遊興に浪費していると、それが免責不許可事由に該当すると判断されることがあります。

また、FXをしている人の中にはギャンブル好きな人も少なくなく、パチンコや競馬などのギャンブルにも借金を使っている場合があります。

投資だけでなく浪費やギャンブルもしていると、免責不許可事由の程度が重いと判断されてしまいます。

詐害行為

「詐害行為」とは、債権者の利益を害する行為のことです。

例えば、FXで作った借金を返済できなくなったときに財産を安く売ってお金を作る行為は、債権者にとっては引き当てとなる財産が減少するため利益が侵害されます。

財産の隠匿

自己破産をすると高価な財産は処分する必要があります。処分を避けるために財産を隠匿する行為も、免責不許可事由に該当します。

自己破産直前に行われがちな財産隠匿行為としては、以下のようなものがあります。

  • 預貯金残高を他人の口座へ移し替える
  • 不動産や自動車の名義を他人名義に変更する
  • 保険を解約して解約返戻金を他人の口座で保管する

過去7年以内に自己破産をしている場合

FXで借金を作った場合に限りませんが、過去7年以内に免責を受けている場合は再度の免責を受けることはできません。以前の免責から7年以上が経過すると再度の免責が可能になります。

ただし、前回も投資で作った借金で自己破産をして免責を受けたのに再度FXで借金を作った場合は、反省や生活再建の見込みが乏しいと判断され、裁量免責が認められにくくなります。

  • 自己破産中にFX等の投資を再開する恐れがある場合、免責は認められない
  • 裁量免責の認否は、本人の借金に対する真摯な向き合い方が参考材料にされる
  • 過去7年以内に自己破産で免責を受けている場合、再免責は認められない

FXによる借金で自己破産するときの注意点とは

自己破産には、さまざまなデメリットもあります。

FXによる借金で自己破産する際には、以下のデメリットに注意しておく必要があります

財産を処分しなければならない

自己破産をして免責が認められると、借金の返済義務が全て免除されます。その代償として、所有している財産は処分してお金に換え、債権者に配当する必要があります。

FXで得た利益で高級品を購入していたり、現金や預貯金として貯めていた場合は手放さなければなりません。

ただし、全ての財産を手放さなければならないわけではありません。以下の財産は自由財産として手元に残すことが認められているので、手放す必要はありません。

【自由財産として残すことが認められている財産例】

  • 99万円以内の現金
  • 20万円以内の預貯金
  • 評価額20万円以内の財産

手続き中は一定の資格や職業が制限される

自己破産中は一定の資格や職業が制限され、他人のお金を管理するような仕事につくことはできなくなります。そのため、仕事を辞めなければならない場合もあります。

FXをしている人の中には、金融に関する知識を得たり相場を知ったりするために証券会社や金融機関で働いている人もいるかもしれません。しかし、証券外務員や商品投資販売業などの資格は制限されるため、いままでどおりの仕事をすることはできなくなります。

他にも、自己破産手続き中は以下のような資格や職業が制限されます。

【自己破産手続き中に就けない主な職業一覧】

  • 司法書士
  • 税理士
  • 不動産鑑定士
  • 行政書士
  • 保険外交員
  • 警備員
  • 酒類販売
  • 質屋営業
  • 一部の公務員

以上の職業に就いている場合は、自己破産することを会社に正直に話して相談することが重要です。免責が確定すると資格や職業の制限は解除されるので、自己破産手続き中だけ資格が必要ない部署に異動させてもらうなどの対応をしてもらえれば、仕事を失わずに済みます。

黙って自己破産をして会社にばれてしまうと、資格や職種によっては解雇されるおそれもあります。

保証人へ債務が一括請求される

自己破産をすると、保証人が付いている借金がある場合には保証人が残債務の一括返済を請求されてしまいます。

そのため、保証人がいる場合は、自己破産する前に相談して対応を検討するか、自己破産以外の解決方法を探ることが重要になります。

FXをしている人に比較的多い保証人付きの借金としては、以下のようなものがあげられます。

【代表的な保証人付きの借金一覧】

  • 大学時代に借りた奨学金
  • 住宅ローン
  • 事業のためのローン

ブラックリストに登録される

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。この登録をされることを、俗に「ブラックリストに登録される」と表現します。

ブラックリストに登録されると、その登録が消去されるまで新規の借入やクレジットカードの利用ができなくなります。自己破産の場合、7年間はブラックリストの登録が消去されません。

免責確定後はFXを再開しても責められることはありませんが、借金をして投資することはできなくなります。

  • 自己破産をすると一定の財産を手放す必要がある
  • 信用情報に傷がつくため、クレジットカードの作成や借入れは難しくなる
  • 自己破産の手続き中に就けない職業がある
  • 保証人へ債務が一括請求される

FXによる借金で自己破産できないときの解決方法

多くの場合はFXによる借金でも免責を得ることが可能ですが、以下の理由で自己破産できない場合もあることでしょう。

  • 免責が許可されない可能性が高い
  • 手放したくない財産がある
  • 自己破産すると制限を受ける職種で働いている
  • 保証人がいる

どうしても自己破産できない場合は、他の債務整理方法を検討することになります。自己破産以外の債務整理方法には、次の2つがあります。

個人再生を行う

「個人再生」とは、裁判所に申し立てることによって借金の残高を大幅に減額してもらい、減額後の借金を3年~5年かけて分割返済する手続きです。

自己破産のように借金の返済義務が免除されることはありませんが、原則として5分の1にまで減額されるため、返済の負担が大幅に軽減されます。

免責不許可事由という制度はなく、借金の使い途は問われません。財産を処分する必要もなく、資格や職業の制限もありません。

したがって、自己破産できない人が次に考える債務整理方法として最適なのが個人再生です。ただし、保証人が付いている場合は自己破産の場合と同じように、保証人が残債務の一括返済を請求されてしまいます。

個人再生も自己破産同様、裁判所を介した強制的な手続きであることから、全ての債権を手続きの対象とする必要があるためです。

任意整理を行う

保証人に迷惑をかけたくない場合は「任意整理」になります。

任意整理とは、各債権者と裁判所を通さず任意に話し合いをして借金の返済額や返済方法を変更する手続きのことです。将来利息がカットされるため、返済額を減らすことが可能です。

裁判所を介しないため、どの借金を手続きするかを自由に選ぶことができます。したがって、任意整理であれば保証人が付いている借金はそのまま支払い、その他の借金のみを整理することが可能です。

ただし、任意整理では基本的に元金をカットすることは難しいため、返済額の大幅な減額は期待できません。そのため、多額の借金を任意整理で解決するためにはそれなりの収入が必要になります。

任意整理で継続的に返済していけるほどの収入がない場合は、デメリットを覚悟で自己破産または個人再生を選択せざるを得ない場合もあります。

  • 自己破産ができない場合には「任意整理」または「個人再生」を検討すると良い
  • 任意整理を行うと、将来利息をカットして借金を減額させることが可能
  • 個人再生では借金を大幅に減額し、時間をかけて返済していくことができる

FXで作った借金を自己破産で解決するために弁護士・司法書士ができること

FXで作った借金で自己破産をして免責が得られるかどうかを一般の人が判断するのは難しいものです。

無理に自己破産をすると、仕事を失ったり保証人が一括請求を受けたりなどのデメリットを受けたうえに免責が得られないという結果に終わるおそれもあります。

そのため、FXによる借金問題を解決するには弁護士・司法書士に依頼することを強くおすすめします。

弁護士・司法書士に依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 免責の可能性を見極めたうえで最適な解決方法をアドバイスしてもらえる
  • 債権者からの支払い催促をすぐに止められる
  • 複雑な手続きを全て代行してもらえる

まとめ

FXで多額の借金を抱えた人でも、多くの人が自己破産で解決しています。しかし、事情によっては免責が認められない場合もありますし、自己破産できない事情がある人もいることでしょう。

事情に応じて最適な方法で解決するためには、弁護士や司法書士に依頼しなければ難しいといえます。専門家のアドバイスに従って、FXによる借金問題を解決しましょう。

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