- 闇金に返済できない状況を放置すると生活が破壊されるおそれがある
- そもそも闇金には返済する必要がない
- 闇金への対応は専門家に依頼すべき
- 闇金以外の借金は債務整理で解決できる
闇金はブラックリストに登録されている人にもお金を貸してくれますが、いったん借りると非常に高い利息を要求され、返済できないと恐ろしい取り立てを受けることになります。さまざまな嫌がらせを受け、生活が破壊されることにもなりかねません。
しかし、実は闇金から借りたお金を返済する必要はありません。正しく対処すれば、平穏な生活を取り戻すことができます。
この記事では、闇金に返済できないと具体的にどのようなことが起こるのかをご紹介します。また、闇金に返済する必要がない理由と返済できない場合の対処法、適切な相談相手についても分かりやすく解説していきます。
闇金に返済できないと起こる6つのこと
闇金は、お金を貸すときには親身に対応してくれることが多いのですが、いざ顧客が返済できない状態になると、態度を豹変させます。具体的には、以下の6つのことに注意しなければなりません。
莫大な利息を要求される
そもそも闇金は、貸し付けの際に法外な利息を要求してきます。具体的な金利はケースバイケースですが、「トサン」(10日で3割)や「トゴ」(10日で5割)というように、法定金利の千倍を超える利息を要求されるケースが多くなっています。
返済が1ヶ月遅れると、返済額はトサンの場合で借入額の倍以上、トゴの場合は3倍以上にもなってしまいます。少し遅れるだけで、到底返済できないような莫大な利息を要求されることになります。
脅迫的な取り立てを受ける
闇金への返済が1日でも遅れると、脅迫的な取り立てが始まります。現在の闇金は連絡には携帯電話のみを使うため、実際に暴力を振るわれるケースは少ないのですが、暴行や殺害をほのめかすような言葉で罵声を浴びせられることはよくあります。
借り手を精神的に追い込んで返済金を用意させようとするのが、闇金の手口です。
取り立ての電話が頻繁にかかってくる
取り立ての電話は、返済するまで頻繁にかかってきます。正規の貸金業者なら、せいぜい1日に1回です。しかし、闇金からの電話は1日に100回以上など、いわゆる“鬼電”と言われる常軌を逸するような頻度でかかってくることがあります。深夜や早朝にも、お構いなしに電話をしてきます。
これも、借り手を精神的に追い込むための手段のひとつです。
執拗な嫌がらせを受ける
その他にも、闇金はさまざまな手段で嫌がらせを執拗に行い、借り手を精神的に追い込んできます。
- 自宅の玄関などに貼り紙をされる
- 大量の出前が届けられる
- 消防車や救急車を呼ばれる
- 動物の死骸を届けられる
- SNSやネット掲示板で個人情報を拡散される
返済できない状態が続けば続くほど、嫌がらせもエスカレートしていくのが通常です。
職場や親族など第三者も嫌がらせを受ける
嫌がらせを受けるのは借り手本人だけではありません。家族や職場の人、親戚、場合によっては友人・知人まで嫌がらせを受けることがあります。
闇金はこれらの人たちにも連絡をして、以下のようなことを言います。
「そちらにお勤めの○○さんが、うちからお金を借りて返してくれない」
「返済するように伝えてほしい」
「あなたは○○さんの借金の連帯保証人になっているから、払ってほしい」
「(借り手の両親に対して)子どもが借金を払えないのなら親が払うのが当然だろう」
このように迫られた人は困ってしまいます。他人に迷惑がかかる行為は、借り手本人に対する嫌がらせにもなります。
別な闇金に借りて返済しろと強要される
闇金に返済できないと伝えたら「別な闇金を紹介するから、そこから借りて返済しろ」と強要されることがあります。「毎月一定の収入がある人」「まじめにコツコツと利息を返済する利用者」は闇金にとってカモですので、そのような提案をしてきます。
闇金は裏でつながっている系列店を紹介して逃げられないようにがんじがらめにするのが狙いです。
そもそも完済するのは不可能?闇金の手口とは
闇金に返済できないのは珍しいことではありません。なぜなら、そもそも闇金からの借金を完済するのは難しいからです。闇金は、あえて顧客が借金を完済できないように仕向けて、利息を巻き上げ続けることを常套手段としています。
具体的には、以下の手口があります。
金利が法外に高い
闇金の金利は、法定金利の千倍以上にも及ぶ暴利であることが多いです。1ヶ月延滞するだけでも、返済額が借り入れ元金の数倍に膨れ上がることも少なくありません。もともとお金に困っている人が完済するのは、非常に困難といえます。
ただ、闇金側も借り手が約束どおりに返済できないことは承知しています。闇金にとっては、元金相当額を回収した後に、どれだけ利息と称して金銭を支払わせることができるかが商売なのです。
難癖をつけて完済を拒否する
借り手が早めに完済しようとして返済金を準備しても、闇金はさまざまな理由をつけて返済金を受け取らないことが多いです。
「完済するなら事前に連絡が必要」
「事前連絡がなければ返済は受け付けられない」
「完済するときには手数料が別途かかる」
といった難癖をつけられるケースが多くなっています。
返済する都度、事前の連絡を要求している闇金の場合、完済の期日が近づくと連絡を絶ち、完済できないようにするケースも多く発生しています。
完済しても押し貸しをしてくる
仮に完済しても押し貸しをしてきて、さらに高利で返済を迫るケースも少なくありません。
押し貸しとは、借り入れの申し込みがないにもかかわらず、少額の金銭を勝手に銀行口座に振り込んだり、強引に手渡したりして、利息とともに返済を迫る行為のことです。
完済した業者から押し貸しが行われることもあれば、別の業者が押し貸しをしてくることもあります。
闇金業者の間では顧客の個人情報が横流しされているので、いったん闇金に手を出すと押し貸しの被害に遭う可能性が高くなります。
闇金には返済不要!その理由とは
実は、闇金から借りたお金を返済する必要はありません。ここでは、その理由と注意点をご紹介します。
法外な金利の契約は無効
法定金利をはるかに超える高利での貸付契約は、出資法違反という犯罪にも該当する違法なものであり、民事上も無効となります。契約そのものが無効なので、返済する義務を負わないことになります。
貸付金として受け取ったお金はどうすればいいのかというと、そのままもらっておいて構いません。民法上、違法な契約で貸し付けたお金(不法原因給付)の返還を要求することは禁止されているからです(民法第708条)。
最高裁の判例でも、闇金が著しく高利で貸し付けた場合には、闇金は返還を請求することができず、借り手は元本も返還する義務がないとされています。
払ったお金の返還請求もできる
すでに闇金へいくらかを支払っている場合は、闇金に対してそのお金の返還を請求できます。なぜなら、無効な契約に基づく返済として支払われたお金を闇金が受領できる法的理由はないからです。法的理由がないのに支払われたお金は不当利得となり、支払った側はその返還を請求できるのです(民法第703条、第704条)。
最高裁判例では、闇金の貸し付けにかかる一連の行為は不法行為となるため、借り手は闇金に対して支払った元金・利息の全額を損害賠償として請求できるとしています。
理屈はともかくとして、闇金に支払ったお金の返還を請求できることは明らかです。
ただし、返済を拒むだけで取り立ては止まらない
法律上は闇金へ返済する必要がないといっても、ただ返済を拒むだけでは、かえって危険な事態を招くおそれがあります。
闇金は、違法であることを百も承知で貸し付けと取り立てを行っています。顧客から返済を拒まれても、先ほどご紹介した恐ろしい取り立てや執拗な嫌がらせを行うだけです。
素人が「違法な取引だから返済しません」と伝えると、闇金業者の怒りを買って取り立てや嫌がらせがエスカレートする可能性が高いです。
闇金に返済できないと思ったときの対処法
闇金と手を切って平穏な生活を取り戻すためには、正しい対処法をとることが必要です。闇金に返済できないと思ったら、以下のように対処しましょう。
闇金に債務整理は通用しない
まず、債務整理をしても闇金には通用しないということを知っておく必要があります。
正規の貸金業者に返済できない場合は、債務整理をすれば解決できます。正規の貸金業者は法律を守るからです。
それに対して、闇金には最初から法律を守る意思がありませんので、債務整理をしても手続きに従うことはなく、厳しい取り立てを行ってきます。
電話番号を変える
闇金と手を切る手っ取り早い手段として、電話番号を変えるという方法があります。闇金業者と電話のみでやりとりしていた場合、返済できなくても実際に自宅まで取り立てに来ることはほとんどありません。そのため、電話番号を変えるだけで取り立てから逃れることが可能なこともあります。
ただし、借り入れの際に闇金業者に対して職場や親戚、友人・知人などの連絡先も伝えている場合、すべての人に電話番号を変えてもらうことは現実的ではありません。
それでも、これらの人たちに事情を話して、取り立てや嫌がらせの電話を我慢してやり過ごしてもらうことができれば、やがて闇金業者も諦めることが多いです。
身に危険が及んだときは警察に相談する
もし、実際に闇金業者がやってきて脅されるなどして、身に危険が及んだときはすぐに警察に通報しましょう。暴行や脅迫、恐喝が行われた場合は、警察が摘発してくれます。
これらの実害が発生する前でも、警察に相談することはできます。その場合には、脅迫的な取り立ての電話の通話内容を録音したものや、返済したときの振り込み明細書などの証拠を持参しましょう。
警察は、民事不介入の原則により借金問題には介入しませんので、犯罪が行われたことが分かる証拠がなければ動いてくれないことに注意が必要です。
弁護士・司法書士に依頼する
闇金の取り立てから免れる最良の方法は、弁護士・司法書士といった法律の専門家に相談することです。弁護士・司法書士に依頼すれば、本人に変わって闇金業者に対応してくれますし、警察への告訴がスムーズに受理される可能性も高まります。
闇金業者も、弁護士・司法書士が着いた顧客に返済させるのは困難であることや、取り立てを続ければ警察に逮捕されるリスクが高まることを熟知しています。そのため、弁護士・司法書士が介入すると平穏な生活を取り戻せる可能性が高いのです。
闇金に手を出す前に考えるべきこと
闇金の被害に遭わないためには、最初から闇金に手を出さないことです。闇金からの借り入れをお考えの方は、実際に借りる前に以下のことを考えてみましょう。
借金が必要なら正規の業者から借りる
どうしても借金しなければならない場合は、正規の貸金業者から借りるようにしましょう。正規の貸金業者は法外な金利を要求することはありませんし、返済できなくなっても債務整理で解決できますので、身に危険が及ぶことはありません。
正規の貸金業者なら、ホームページや広告などに貸金業登録番号や本社の所在地などが表示されているはずです。
借金返済に困っているなら債務整理を検討する
なかには、以下のような状態で正規の貸金業者から借りることができなくなっている人もいることでしょう。
- 借金を延滞してブラックリストに載ってしまった
- 多額の借金を抱えていて審査に通らない
- 返済資金が至急必要で審査を待っていられない
このような状態に陥っている場合は、債務整理によって借金問題そのものを解決することを検討する必要があります。
闇金からお金を借りて急場をしのげたとしても、法外な金利を払えなければ、恐ろしい取り立てや執拗な嫌がらせを受けることになります。その上に、借金問題は何一つ解決しません。
債務整理で借金問題を解決すれば、闇金に手を出す必要もなくなります。
借金問題で弁護士・司法書士ができること
闇金に返済ができなくなったときはもちろんのこと、借金の返済が苦しくなったときは早めに弁護士・司法書士に相談しましょう。そして、必要に応じて対応を依頼することを強くおすすめします。
専門家の力を借りることで、以下のメリットが得られます。
- 最適な解決方法を提案してもらえる
- 自分に代わって闇金業者に対応してもらえる
- 闇金業者に支払ったお金を取り戻してもらえることもある
- 債務整理の手続きも代行してもらえる
- 借金問題から解放されて、平穏な生活を取り戻すことが期待できる
まとめ
闇金から借りたお金は返済不要なので、返済できない場合も心配はいりません。ただ、自分だけで対応しようとすると、闇金業者の怒りを買い、深刻な被害を受けてしまうおそれがあります。
闇金問題で困ったら、一人で抱え込まずに弁護士・司法書士といった法律の専門家に頼りましょう。闇金以外から借金がある場合も、債務整理で一挙に解決できる可能性があります。
専門家の力を借りて、平穏な生活を取り戻しましょう。