- 押し貸しとは何か
- 闇金はどのような押し貸し手口を使うか
- 押し貸しのターゲットにされる人とは
- 押し貸し被害に遭った場合の適切な対処法
闇金は様々な手口を用いて利用者を騙してお金を支払わせようとします。その中でも最も悪質性が高いのが「押し貸し」です。その理由は、押し貸しは闇金の違法な融資に加えて“詐欺的”な手口が含まれるからです。
この記事では闇金の押し貸しとはなにか?押し貸しの被害を受けたときの対処法について説明します。
押し貸しとは
押し貸しとは、貸し手が強引にお金を貸す行為のことを指します。お金を貸して欲しいと頼んだわけでもないのに、現金を手渡したり、勝手に銀行口座に振り込んで、後から元金以上の請求をするという詐欺的な貸金商法です。
押し貸しは古典的な詐欺商法と言えますが、闇金やソフト闇金はこの手口を用いて利用者に多額の支払いをさせることから社会問題になっています。
闇金の押し貸しの手口
闇金の押し貸しは主に現在の利用者や過去に利用した人に対して以下のような手口でおこなわれます。
- 利用者が融資の依頼をしていないのに追加で押し貸しをする
- 完済間近の利用者に強引に押し貸しをする
- 知らない間に勝手に銀行口座にお金を振り込んで、しばらく経ってから取り立てをする
そこで、支払いが遅れたりすると「脅しや恫喝」「嫌がらせ」「しつこい取り立て」という闇金の常套手段によりお金を支払わせようとします。
押し貸しのターゲットになる人とは
闇金は利用者が押し貸ししたお金を利息付きで返済するかどうかを見極めた上で振り込みます。借り逃げするような相手にお金を振り込んでも損をするからです。
【押し貸しのターゲット】
- まじめにコツコツと利息の支払いをする人
- 闇金の言い分を素直に聞く人
- 押し貸し・闇金だと気づかずに利用する人
このような“優良顧客”に対して押し貸しを繰り返して延々とお金を搾り取ろうとします。
押し貸し被害を受けやすいケース
闇金の押し貸しは現在お金を借りている人に対してだけでなく、今まで闇金を利用したことがない人を狙って行われることもあります。
以下のような方は、知らない相手から急にお金が振り込まれたら要注意です。
街金でお金を借りたことがある
中小の街金の中には個人情報管理が緩い業者があります。利用者の個人情報が漏れたり、あるいは街金の社員が勝手に利用者の個人情報を名簿業者に売り渡して小遣い稼ぎをするようなケースもあります。
それらの名簿を手にした闇金業者が、電話・メール・SNSなどを使って融資の案内をしてきたり、勝手にお金を振り込んで押し貸しをすることがあります。
自己破産をしたことがある
債務整理をすると金融事故として一定期間は金融機関からお金を借りることができません。そのため、破産者の中にはお金に困って違法金融を利用してしまう方は少なくありません。
特に自己破産をした人は闇金の格好のターゲットです。官報に掲載された住所に融資のDMが送付されてきたり、電話・メールで融資を持ちかけて銀行口座を聞いてきたら、それは闇金の押し貸しですので気をつけなくてはなりません。
個人間融資を利用した
個人間融資は掲示板やSNSを介して個人の間でお金を貸し借りできる仕組みです。近年利用者が増えていますが、この中に一般個人を装った闇金が潜んでいるケースがよくあります。
お金に困っている個人は「何度もお金を貸してくれる…」「振り込んでくれて助かる…」と、押し貸しを相手の親切な好意だと勘違いすることがあります。しかし、闇金は頃合いを見て豹変し法外な利息を請求してきます。相手が闇金だったと気づいたときには、すでに大きなトラブルに見舞われています。
闇金の押し貸しへの対処法
押し貸しに遭った場合、相手の言うままに黙って支払いを続けてはいけません。闇金の思うつぼになります。以下のように対処してすぐに関係を断ち切ることが重要です。
銀行口座を解約する
一旦押し貸しを受け入れてしまうと闇金はしつこく銀行口座にお金を振り込んできます。さらには、他の闇金にもその銀行口座の情報が出回って2次被害にあう可能性が高くなります。
使用している銀行口座はすぐに解約することが闇金との関係を断ち切る第一歩と言えるでしょう。
携帯番号を変更する
もしも利用したことがない闇金から携帯にメールや電話があっても取り合ってははいけません。融資の案内、押し貸しの連絡が相次ぐようなら、多くの闇金に携帯番号や個人情報が漏れている可能性があります。携帯を変更することをお勧めします。
利息の支払いはしない
闇金は押し貸しをした後で必ず「利息含めた金額を返済しろ!」と言ってきます。そして「貸したものは返せ!」と難癖をつけて執拗な取り立てに見舞われることになります。
しかし、闇金の融資は「不法原因給付」と言い本来支払う義務はないものです。返済には応じずに、トラブル回避のためにすぐに弁護士・司法書士に相談して対処したほうが良いでしょう。
押し貸しされたお金は使わない
闇金の押し貸しを「お金が振り込まれてラッキーだ!」と喜んで使い込まないことです。「使ったものは返せ」というように闇金の取り立てはエスカレートすることが目に見えてます。
また、もう一つの理由に、振り込んできた人が闇金ではなく誰かが間違えた可能性があるからです。知らない人から振り込まれたお金を使い込むと「遺失物横領罪(刑法254条)」という法律の罪に問われるリスクがあります。
警察に相談する
押し貸しは詐欺行為です。しかも闇金は違法金融ですので本来ならば警察に相談して取り締まりをしてもらうべきです。しかし、闇金が押し貸しする金額は大抵少額です。5千円か多くても1、2万円程度です。
しかも、押し貸しの手口は「勝手に振り込まれたのか?」「本人が融資を依頼したのか?」という判別が難しいため、警察はすぐに動いてくれないことがあります。
「押し貸しの金額が大きい…」「法外な利息を請求されて脅されている…」など事件性が高いケースなら、すぐに警察に相談すべきですが、そうでなければ法律の専門家へ相談するのが良いでしょう。
専門家(司法書士・弁護士)に相談する
闇金の押し貸しにあって、「法外な利息を請求されている」「支払い期日が迫っている」というようなトラブルでお困りなら司法書士・弁護士のような専門家に依頼することをおすすめします。
これら専門家は法律業務の代理人として第三者との交渉から事務手続きまですべて行うことが国に認められています。闇金問題においても依頼者に代わってすべての交渉を担ってくれます。
闇金に対して「取り立ての即時停止」「依頼人への接触禁止」などを通達してくれますので、依頼したその日にトラブルが解決できる可能性が高いです。取り立てにお悩みならば、すぐに相談することです。
まとめ
押し貸しは悪質な違法貸金行為です。もしも闇金に「借りてくれと強要された」「知らない間にお金が振り込まれた」そして、厳しい取り立てを受けているという場合には早急にトラブルを解決する必要があります。
まずは司法書士・弁護士のような法律の専門家に「アドバイスをもらう」「助けを求める」ということが適切な対処法です。できるだけ早めに相談することをお勧めします。