- 闇金から借りたお金は返さなくていい
- 法律上は闇金に返済する義務がない
- 「返さない」と決めても闇金は諦めないため弁護士・司法書士に対応してもらうことが重要
「闇金から借りたお金は返さなくていい…」という話を聞いたことがある方もいらっしゃることでしょう。しかし、闇金から毎日脅迫的な取り立てや悪質な嫌がらせを受けると、返さなくていいという考えは起こらなくなるのが現実でしょう。
そこで、この記事では闇金に借りたお金は返さなくてもいい理由をわかりやすく説明します。また、返さないと決断したときの適切な対処法についても解説します。
「闇金にはもう一銭も返さないぞ!」と思ったら、この記事を読んで実行に移してみることをおすすめします。
闇金からの借金を返さなくていい7つの理由
借りたお金は貸主に返さなければならないものですが、闇金からの借金は法律上返すべき義務がありません。
以下で、その理由をわかりやすくご説明します。
闇金は貸金業登録をしていない業者なので返さなくてもいい
貸金業を始めるには管轄の組織である金融庁・自治体に申請をおこない、それが認められてはじめて、貸金業者として開業することができます。
しかし、闇金は一切申請をせずに無登録で貸付けをおこなう違法業者です。国はそのような無登録の違法業者の営業は認めません。したがって、国や金融庁に認められていない貸金業者にお金を借りたとしても返す義務は生じません。
違法金融から借りたお金は「借金ではない」ため返さなくてもよい
闇金は貸金業法という国が定めた法律を守らずに勝手に貸金業者を名乗ってお金を貸し付ける“もぐりの業者”です。
利用者に対して「貸した金は返すのが当然だ」「返せない人間はクズだ」など、一見もっともらしいことを言っているように聞こえますが、そもそも貸金業法を守らない違法金融がそのようなことを言う資格はありません。
違法金融業者から借りたお金は借金には該当しません。つまり借金でないものは当然ながら返さなくてもいいのです。
闇金の法外な金利は契約が認められないため返さなくてもよい
正規の貸金業者からの金利は利息制限法で最大年利が20%までと定められています。さらには、年109.5%を超える金利を伴う借入の契約は利息制限法で無効とされており、出資法では貸主に対する刑事罰が定められています。
闇金業者の金利は「トサン(10日で3割)」や「トゴ(10日で5割)」というように、年109.5%をはるかに超えて1,000%を超えるような暴利であることが一般的です。
したがって、闇金業者との借金の契約は無効です。相手が違法業者で契約が成り立っていない以上、返さなくてもいいのは当然のことです。
違法な方法による宣伝・勧誘をした闇金業者には返さなくてもいい
貸金業法には正規の貸金業者の宣伝・広告の方法が消費者保護の観点から事細かく決められています。消費者を欺いたり、騙すような宣伝手法を使えば営業停止になることもあります。
一方で闇金業者は勝手にSMS・メールを送りつけたり、SNSを使って勧誘したり、ホームページに嘘の内容を書いて利用者を集めたりと、消費者を騙す手口で宣伝をおこない貸付けをします。
このような違法な宣伝勧誘をおこなう業者に借りたお金は返さなくていい事は言うまでもありません。
闇金の取立ては違法行為なので催促されても返さなくてよい
闇金は少しでも支払いが遅れたりすると容赦なく鬼電・鬼メールによる督促、会社や家族に嫌がらせをおこないます。このような取立て行為は貸金業法で厳しく制限されています。
深夜・早朝に連絡をしたり、関係がない家族や職場への電話は、貸金業者がやってはいけない違法行為です。そのような違法な取立てをする業者には、借りたお金は返さなくてもいいということが言えます。
闇金に返還請求権はないため返さなくてもいい
闇金は自分たちの言い分として、「法律はともかく約束して貸した金は返すのが当然だ」という返還請求権を主張します。
前述のように契約は「無効」で、はじめから契約は存在しなかったということならば、利息はともかくとして闇金業者から受け取った「元本」は返さなければならないようにも思えます。
しかし、闇金による貸付は「不法原因給付」に当たるため、闇金業者に返還請求権はありません。不法原因給付とは、公序良俗に反する反社会的な行為に関して他人に金銭などを渡した者は、その返還を請求できないという民法上の原則のことです。
闇金による暴利を伴う貸付は犯罪に該当する反社会的な行為ですので、明らかに不法原因給付に該当します。そのため、闇金からお金を借りた人は利息だけでなく元本も返さなくていいということになります。
裁判を起こされることはないためお金を返さなくても心配は不要
正規の貸金業者に借金した場合、返さなければ裁判を起こされて財産を差し押さえられることになります。
しかし、闇金業者には返還請求権がないので、裁判を起こすことができません。もし、裁判を起こすと自らの違法行為が公の場で明らかとなってしまいます。そのため、闇金業者はそのようなことはしません。
したがって、「闇金からの借金を返さなければ裁判を起こされる」という心配は不要です。しかしながら、悪質な業者の中には「支払督促」といって、簡易な手続きで債務者に支払いを命じる裁判手続きをとってくる者もいます。
もし、裁判所から支払督促の書類が届いたときには弁護士または司法書士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
むしろ闇金に返さない方がよい理由
闇金からの借金を返さなくていいという理由がわかったとしても、「後で仕返しされるのが心配なので、ある程度のお金は返した方がよいのではないか…」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、闇金に対して少しでも返済すると、以下でご説明するように、いつまで経っても闇金問題から解放されなくなる可能性が高いです。
闇金と縁を切るためには、むしろ返さない方がよいのです。
真面目に返すと「カモ」と判断される
闇金業者は、借り手には返す義務がないことなど百も承知の上でお金を貸しています。
もしも裁判になってもお金を回収できないことをわかっているので、取り立ての際には脅迫や嫌がらせという手段を用いて、「返さなければまともに生活できない」というところまで、利用者を精神的に追い込み、お金をむしり取ることを目論みます。
そんな闇金業者は、真面目に返そうとする利用者ほど徹底的に追い込みます。一方で「なかなか返そうとしない」「返せない」ような利用者のことはやがて諦める傾向にあります。
真面目に返している利用者は、闇金業者からするとカモです。「このようなタイプの人間は脅せば払うから、もっと追い込もう」と思われて、厳しい取り立てや嫌がらせを受けることになってしまうのです。
お金を返しても返しても闇金とは手が切れない
「闇金には元本も利息も全て完済すれば手を切れるだろう…」と考える方もいらっしゃいますが、なかなかそういうわけにもいきません。
闇金業者がよく使う手口に、「完済すると伝えたら連絡が途絶える…」「振込み口座を変えるから待て…」などと言って、しばらく連絡を取れないようにします。
そして、後日利息分を要求したり、完済するための手数料などと称して、支払いできないぐらいの大金を要求してくるのが常套手段です。
また、仮に完済できたとしても、その後に「押し貸し」をしてくるケースが少なくありません。押し貸しとは、相手の口座に無断で数万円を振り込んで貸したことにして、法外な金利とともに返済を迫るという、闇金業者がよく使う手口です。
このように、闇金問題を解決するために返済し続けようとすると、なかなか闇金業者とは手を切れないことになります。
金銭的被害が大きくなる
闇金からの借金を返すということは法外な利息を支払うということですので、膨大な金銭的被害を受けることになります。
5万円を「トサン」で借りた場合、10日後には1万5,000円の利息がかかります。1ヶ月後に完済するとすれば、元本と利息合計で約9万5,000円と借入額の2倍近くの金額を支払わなければなりません。
他の闇金から借りて返すということを繰り返せば、最初は数万円だった借金がほんの数ヶ月で100万円以上に膨れ上がることもあります。
そもそも闇金には返さなくていいにもかかわらず、このような金額を支払わされたのでは解決できたとしても割に合いません。解決する前に生活が破綻してしまうことでしょう。
闇金には返さない前提で借りてはいけない
闇金に対して返済義務はないと聞くと、「初めから踏み倒すつもりでお金を借りれば得をする…」と考える方がいるかもしれません。このようなお金の踏み倒し行為を「借りパク」といいますが、これは絶対にやめておきましょう。
相手が闇金業者であっても、返済する意思がないのにあるように装ってお金を受け取ると、詐欺罪が成立します。詐欺罪は最長で10年の懲役刑に処せられるという重い犯罪ですので、決して借りパクはしないでください。
闇金は甘くありません。踏み倒すつもりでお金を受け取っても、実際には厳しい取り立てや嫌がらせに遭って、「借りるんじゃなかった…」と後悔することになります。
闇金に返さないと決めた時の正しい対処法
闇金に返さないと決めたとしても、相手もみすみすカモである利用者を逃がそうとしません。自分だけの判断で行動せずに、正しい対処法を用いてきっぱりと手を切ることが大切です。
「1円も返さない」と決意する
まずは、「闇金には1円も返さない」と決意することが正しい対処法の第一歩です。そして、次に「完全に関係を断ち切る」と決めることが次のステップです。
ご存知の通り、闇金は本人から「払わない」「もう連絡しないでくれ」と言っても引き下がる訳はありません。それを口に出そうものなら、猛烈に追い込みをかけてくるでしょう。
そこで自力で解決しようとはせずに、専門家に頼ることをおすすめします。ここでいう専門家とは警察、弁護士・司法書士になります。
警察に相談する
闇金にお金を返さなければ厳しい取り立てや嫌がらせが始まります。その際に、身の危険を感じるようなケースならば警察に相談してください。被害届を提出することにより、刑事事件として対応してもらえる可能性があります。
闇金とのやりとりを録音したデータや、既にいくらか返している場合には返済履歴などの証拠を確保して、最寄りの警察署の生活安全課を訪ねましょう。
ただし、警察が動いてくれるのは、闇金業者の行為が脅迫罪や恐喝罪、暴行罪、出資法違反の罪(既に法外な利息を支払ってしまった場合)などの犯罪に該当する場合に限られることに注意が必要です。
また、警察は署内の事情などにより、すぐに動いてくれないケースが多いため、緊急で対処が必要ならば、弁護士・司法書士への相談をおすすめします。
弁護士・司法書士に対応を依頼する
取り立てや嫌がらせの行為そのものを止めるためには、弁護士または司法書士に対応を依頼しましょう。闇金のような法律が関係するトラブルで、代理人となって交渉してくれるのは、弁護士・司法書士だけです。
弁護士・司法書士は、闇金による貸付が犯罪行為であるため依頼者は1円も支払わないことを告げ、取り立てや嫌がらせをやめなければ法的措置をとる旨を警告します。
そして、実際に闇金業者の銀行口座を凍結するなどの法的措置をとることも可能です。闇金業者は法的措置をとられると営業できなくなりますので、弁護士・司法書士から警告を受けると取り立てや嫌がらせをやめることが多いのです。
早ければ、依頼して即日、闇金業者が大人しくなることもあります。そして、きっぱりと手を切ることができるでしょう。
まとめ
闇金業者に対しては本来利息も元本も返さなくていいにも関わらず、厳しい取り立てや嫌がらせを受けると支払ってしまう人が多いというのが実情です。
しかし、いつまでも闇金にお金を支払い続けるのは無駄な行為でしかありません。「闇金には返さない」と決めて、早めに手を切ることが大切です。
その際、1人で闇金と戦おうとすると生活が破壊されてしまう可能性が高いので、警察や弁護士・司法書士の力を借りて、適切に対処していきましょう。