- 闇金からの借金を踏み倒し・借り逃げすることは可能である
- 自力で闇金の踏み倒し・借り逃げをしようとすると取り立てや嫌がらせの被害に遭う
- 最初から踏み倒すつもりで借りる「借りパク」は絶対にやってはいけない
- 弁護士に依頼することで合法的な踏み倒し・借り逃げができる
闇金から激しい取り立てを受けると、「何とかして踏み倒しができないか」「借り逃げするとどうなるのか」と考える方も多いことでしょう。
実は、闇金からの借金は返済義務がないので、踏み倒し・借り逃げは可能です。とはいえ、返済をしなければ、当然ながら闇金はどこまでも追ってきます。そう簡単に闇金から逃げられるものではありません。
そこでこの記事では、闇金からの借金を踏み倒し・借り逃げするときのリスクを踏まえて、合法・安全に踏み倒す方法をご紹介します。
闇金への返済にお困りの方は、ぜひ参考になさってください。
闇金からの借金は踏み倒しできる?
「踏み倒し」や「借り逃げ」とは、借りたお金を返さないままにして済ませることをいいます。
まずは、闇金からの借金の踏み倒しが本当に可能なのかを法律の面から確認しておきましょう。
闇金には返済する必要がない
闇金からの借金は、正規の貸金業者からの借金とは異なり、返済義務がありません。なぜなら、法外な金利を支払う約束の下に貸し付けられているからです。
出資法では、年20%を超える金利を伴う金銭の貸付けは刑事罰の対象とされています。闇金は通常、年数百%から千%を超えるような高金利を要求するため、貸し付け自体が明らかに犯罪に該当します。
犯罪に該当する契約は、公序良俗違反として民事上も無効です。契約が無効なら闇金から受け取ったお金は不当利得となりますが、闇金には返還請求権が認められません。
なぜなら、闇金は犯罪行為の一環としてお金を貸しており、この場合には民法上の不法原因給付に当たるため、返還を請求できないとされているからです。
つまり、借り手は闇金に返済をする必要はなく、受け取ったお金はそのまま持っておいて構わないのです。
方法によっては踏み倒しも可能
闇金に対しては返済義務がないのですから、法律上は堂々と踏み倒し・借り逃げが可能です。ただし、闇金は自分たちの行為が犯罪に該当することなど百も承知で借り手を追い込み、お金をむしり取ろうとします。
そのため、単に返済を拒否するだけでは闇金との関係を断ち切ることができず、むしろ激しい取り立てを受けることになるでしょう。
合法かつ安全に闇金からの借金を踏み倒し・借り逃げするためには、正しい方法を知っておく必要があります。
自力で闇金からの借金を踏み倒す方法
弁護士に頼ることなく、自力で闇金からの借金を踏み倒すことも不可能ではありません。
ここでは、おすすめできる方法ばかりではありませんが、自力で踏み倒せる可能性がある方法をご紹介します。
闇金からの要求を無視する
基本的には、闇金からの要求を無視することです。どれだけ返済を迫られても徹底して無視を続ければ、やがて闇金が諦めて取り立てを止める可能性があります。
闇金も、踏み倒し・借り逃げのリスクは常に想定しています。その上で、真面目にお金を支払う人を「カモ」として、少しでも多くのお金をむしり取るのが常套手段です。
いくら脅しても支払わない人への請求を続けても実益がないので、いつかは諦めるはずです。
しかし、闇金も簡単に諦めるわけではなく、その前に過酷な取り立てや嫌がらせ行為をしてきます。そのため、踏み倒し・借り逃げを決意したなら覚悟を決めて、次のような対策を取る必要があります。
- 電話には出ない
- 電話番号を変更する
- どのような嫌がらせ行為を受けても動じない
- 親族や職場の人にも事情を説明し、闇金から連絡があっても無視するように依頼する
ただし、闇金が諦めるまで無視を続けるためには、相当な精神力が求められます。
自分が耐えられたとしても、親族が耐えられなかったり、職場から退職を迫られたりする恐れがあります。
警察に相談する
現実的な対処法としては、警察に相談することがおすすめです。
次のようなケースでは、警察が闇金の摘発に向けて動いてくれる可能性があります。
- 身の危険を感じるほどの脅迫的な取り立てを受けている
- 器物損壊罪やその他の犯罪に該当する嫌がらせ行為を受けている
- 既に出資法に違反する暴利を支払わされている
ただし、実害が生じていない場合には、警察が「民事の問題だ」と判断して動いてくれないこともよくあります。
警察が動いてくれたとしても、闇金の摘発までには時間がかかることが多いので、すぐに解決できるとは限りません。
夜逃げをする
闇金による取り立てから免れるために、夜逃げをする人も実際にいます。
しかし、既にありとあらゆる個人情報を闇金に握られているため、夜逃げをしても居場所を突き止められる可能性が十分にあります。
また、本人が夜逃げをしても、親族や職場への取り立てや嫌がらせ行為は止まりません。
さらに、住民票を移さずに夜逃げをすると、生活上でさまざまな不便が生じます。また、住所変更手続きをしないと住民基本台帳法という法律にも違反します。
夜逃げをすると以下のような不利益が生じます。
- 住所変更届をしなければ5万円以下の過料が科される
- 自治体などの重要な郵便物を受け取ることができない
- 新しい住所での公的な登録手続きができない
- 選挙での投票ができない
いくら闇金の取り立てが厳しくても、夜逃げをすることはおすすめできません。
闇金からの借金を借りパクしてはいけない理由
闇金からの借金の踏み倒し方法として、最初から借り逃げをするつもりで借りる「借りパク」を考える人もいますが、これは絶対にやってはいけません。
借りパクをすると詐欺罪が成立する
返済する意思がないのに、あるように装ってお金を借りる行為は詐欺罪に該当し、罪に問われる恐れがあります。この点は、たとえ相手が闇金であっても同じです。
返済する気がないことを相手が知っていたらお金を貸すはずがないのですから、「必ず返済します」と騙す行為は詐欺罪に該当するのです。
闇金による貸し付けが民事上、有効か無効かとは無関係に、相手を騙してお金を受け取った時点で詐欺罪が成立します。
借りパクをした場合は返済義務がある
借りパクをした場合は、借り手の犯罪行為によってお金を受け取っているのですから、闇金による不法原因給付は成立しません。
そのため、借りたお金は民法上の不当利得として、被害者である闇金に返還する義務があります。
結局のところ、闇金から借りパクをすると法律上、踏み倒し・借り逃げは許されないことに注意が必要です。
借りパクをしても実益はない
借りパクをしようとしても、闇金からの返済要求を無視すれば激しい取り立てや悪質な嫌がらせ行為を受けてしまいます。
取り立てや嫌がらせ行為を受けないようにするためには、借入時に次のような行為をする必要があります。
- 身分証明書を偽造または変造する
- 個人情報はすべて虚偽の内容を伝える
- 他人名義の携帯電話で闇金とやりとりをする
- 他人名義の口座で闇金からの貸付金を受け取る
ただし、他人名義の携帯電話や口座は裏ルートから入手する必要があるでしょうから、かなりの手間と費用がかかります。
その上に、闇金から借りパクできる金額は、数万円から多くても10万円以内です。たとえ、借りパクに成功したとしても、その手間や費用を考えると実益はほぼないといえるでしょう。
闇金からの借金を踏み倒し・借り逃げするときのリスク
借りパクは違法ですが、返済するつもりで闇金から借りた後に、要求を無視して踏み倒す分には合法です。
しかし、合法ではあっても自力で踏み倒し・借り逃げをしようとすると、次のようなリスクが生じることに注意が必要です。
取り立ての電話が頻繁にかかってくる
まずは、闇金から取り立ての電話が頻繁にかかってきます。昼夜を問わず、1日100件以上の着信があるケースも珍しくありません。
返済しない限りは、ひっきりなく、執拗に電話がかかってくるので、家庭での日常生活にも仕事にも支障をきたしてしまいます。睡眠すら妨害され、精神的に追い込まれてしまう可能性が高いでしょう。
家族や親族等が取り立てにあう
闇金は貸し付け時に家族や親族、職場、さらには友人・知人の連絡先も聞き出しています。そのため、本人が返済しなければ家族や職場に連絡します。
これらの人たちに対して闇金が告げる内容には、さまざまなバリエーションがありますが、次のような内容が典型的です。
「○○さんが借りたお金を返さないので、すぐ返すように伝えてください」
「家族(親族)の借金は肩代わりして払うのが当然だ」
「命より大事な金を貸しているのだから、誰かが払うまで電話をかけ続けるぞ」
家族や親族などの関係者が要求に応じて支払ったとしても、闇金はさらに難癖をつけてお金を要求してくるケースが多いことにも注意が必要です。
職場に取り立てや嫌がらせが及ぶ
闇金は、借り手の職場にも連絡をしてきます。家族や親族等への連絡と同じように、本人への伝言を依頼する場合もあれば、電話に出た人や雇い主に対して肩代わり返済を要求する場合もあります。
また、業務に支障が出るほど頻繁に電話をかけるのも常套手段です。仕事にならない状況に追い込むことで、会社がやむを得ず肩代わり返済するか、本人に返済させるように仕向ける魂胆です。
職場に多大な迷惑がかかるため、本人が退職に追い込まれることもあります。
悪質な嫌がらせで精神的に追い込まれる
その他にも、闇金はさまざまな嫌がらせをしてきます。その目的は、本人を精神的に追い込み、何としてでもお金を支払わせることにあります。
闇金が行う悪質な嫌がらせ行為の典型例として、次のようなものが挙げられます。
- SNSや掲示板サイトなどで個人情報を晒し、誹謗中傷する
- ピザや寿司などのデリバリーを大量に届けさせる
- 自宅に救急車や消防車などを出動させる
- 自宅の前で「金を返せ、ドロボー」などと大声で叫ぶ
- 自宅に誹謗中傷の貼り紙をする
近年ではネットで個人情報をばら撒く手口が主流となっているため、早期に対処しなければ取り返しのつかない被害を受けることにもなりかねません。
取り立て屋に債権が売却される
一般的に闇金が自宅にまで取り立てに来ることは少ないですが、闇金から債権を買い取った「取り立て屋」と呼ばれる業者が取り立てに来ることがあります。
取り立て屋とは、闇金などの違法業者から債権を買い取り、どのような手を使ってでも借り手からお金を取り立てる悪質業者のことです。
暴力団よりも悪質な行為を行う半グレのような集団が運営している取り立て屋もあります。
このような悪質業者に債権が売却されると、身に危険が及ぶような暴力的・脅迫的な取り立てを受ける可能性が十分にあります。
闇金の合法的な踏み倒し方法は弁護士に依頼すること
弁護士に依頼すれば、闇金からの借金を合法的に踏み倒すことが可能となります。
自力での踏み倒しも不可能ではないとはいえ、甚大な被害を受ける恐れがあるので、ヤミ金に手を出してしまった場合には弁護士によるサポートを受けることを強くおすすめします。
弁護士と闇金との交渉で取り立てが止まる
依頼を受けた弁護士は、すぐ闇金に連絡をします。そして、次のことを伝えて警告した上で、取り立てを止めるように交渉します。
- 返済義務がないこと
- 既に支払ったお金については、借り手からの返還請求が可能であること
- 悪質な行為を止めなければ、刑事告訴をはじめとする法的措置をとること
闇金は刑事告訴などの法的措置を恐れているため、弁護士からの警告を無視して取り立てを続けることはほとんどありません。
弁護士に依頼した借り手からはお金を取れないこともわかっているので、ほどなくして取り立てを止めるケースがほとんどです。
闇金が営業できないように追い込むことも可能
少数ですが、弁護士が交渉しても、なかなか取り立てを止めない闇金もいます。そんな闇金に対しては、営業ができなくなるように弁護士が追い込んでくれます。
具体的には、闇金の営業という違法行為に使用されている携帯電話は、利用を停止させることが可能です。銀行口座も凍結させることが可能です。携帯電話も銀行口座も使えなければ、闇金は営業できません。
弁護士にとって、これらの手続きは容易なことです。弁護士に解決を依頼すれば、闇金の言いなりになる必要はなくなります。
刑事告訴の手続きも依頼できる
弁護士には、刑事告訴の手続きも依頼できます。出資法の上限利率を超える金利で貸し付けを行っているだけでも闇金には犯罪が成立しているので、借り手は刑事告訴ができます。
ただ、警察は刑事告訴を受理すると捜査を行う義務を負うため、実害が生じていなければ刑事告訴をしてもなかなか受理されないのが実情です。
しかし、弁護士が代理人として刑事告訴の手続きをとれば、警察も不合理な理由で受理を拒否することはできません。そのため、闇金の摘発も期待できます。
まとめ
闇金からの借金は返済義務がないため、踏み倒し・借り逃げが可能です。ただし、借りパクは違法なので行ってはいけません。
合法的な方法でも、自力で踏み倒そうとすると、闇金による取り立てや嫌がらせ行為により、甚大な被害を受ける恐れがあります。
闇金からの借金を合法かつ安全に踏み倒し・借り逃げをするためには、弁護士に対応を任せることが最善の対処法です。
闇金に手を出してしまった方は、できるだけ早期に弁護士に相談した方がよいでしょう。