Googleは、昨年「ピジョンアップデート」、「ヴェニスアップデート」という2つのローカル検索に関するアップデートを更新しました。これは、Web担当者、SEO対策の従事者にとっては大きなニュースでした。
このアップデートは、今まで検索エンジンのメリットをあまり得られていなかった地方のウェブ担当者にとっては大きなビジネスチャンスの到来と言えるものです。他の地域に流れていた地元ユーザーを獲得できる可能性が広がるためです。
このコラムでは「ピジョンアップデート」、「ヴェニスアップデート」の解説とともに、ローカルSEOのポイントを解説していきます。
なぜ、Googleでローカル検索が強化されているのか
Googleがピジョンアップデート、ヴェニスアップデートによりローカルSEOを強化する背景は2つ考えられます。1つは米国など広大な国では、ローカル検索(地域名+商品)の需要が高く、その検索精度を高める必要があったためです。
もう1つはモバイル需要の拡大です。モバイル(スマホ)の検索ユーザー数は世界的に拡大しています。モバイルユーザーの多くは、現在地を起点とした検索により何かを探すという傾向が強く、その際に重要となるのがローカル検索の精度です。
Googleはこのモバイル検索とローカル検索の重要性という文脈のもと、2つのアルゴリズムを強化していると考えられます。
ピジョンアップデートとは
ピジョンアップデートは、米国のSEOメディア「Search Engine Land」が命名したアップデートで、2014年7月に米国など英語圏のみで更新されたローカル検索アルゴリズムです。(日本では導入されたという報告はまだありません)
ローカル検索の品質や検索精度、Google マップの検索精度を高めるという目的のアップデートで、ピジョンアップデートにより地域検索の正確性が大幅に改善するとされています。
ユーザーが検索した場所に近い検索結果が返されるとしており、これはヴェニスアップデート同様にユーザーの位置情報をもとにしたパーソナルな検索結果を表示する目的だと考えられます。
近い将来、日本でもピジョンアップデートは導入されるのではないかと言われています。
ヴェニスアップデートとは
ヴェニスアップデートは、2014年12月に日本国内で更新されたアップデートです。ユーザーの位置情報から、現在地にある施設、サービスなどを検索結果に表示するアップデートです。
例えば、「居酒屋」という地域性を含まないキーワードで検索すると、検索結果は大手の居酒屋チェーンや大手の飲食メディア、クーポンサイトなど全国展開する企業サイトが表示されていました。
それが、ヴェニスアップデートにより、ユーザーが「居酒屋」と検索すると現在地情報をもとに周辺にある居酒屋情報を中心とした検索結果が表示されるようになります。
ユーザーにとっては、現在地から近い場所にある商品やサービスが探せるというメリットがあり、地域の事業者にとっても地元のユーザーを集客できるメリットがあります。
Googleの現在地取得方法
気になるのが現在地の取得方法ですが、Googleは以下のような方法で取得しています。
- IPアドレス
- ロケーション履歴(有効になっている場合)
- 端末搭載のGPS機能
- Webとアプリのアクティビティ(履歴)
- Googleツールバー(設定が有効の場合)
- 携帯電話基地局の位置情報
場所によっては、検索時に正確な位置情報が得られない場合があります。正確な情報を得たい時には、設定方法を変えることでそれが可能になります。
参考:「Googleでの現在地の変更」のページに詳しく紹介されています。
ヴェニスアップデート,ピジョンアップデートに必要な対策
ヴェニスアップデート,ピジョンアップデートに対応するためのローカルSEO対策ですが、現状では以下のようなポイントが挙げられます。
- Titleタグやmeta情報に地域名を入れる
- NAP(Name:名前、Address:アドレス、Phone:電話番号)表記とサイト内表記の統一
- 地域情報を充実させたコンテンツをつくる
- 内部リンクに地名を入れる
- Googleマイビジネスへの登録
- Title、NAPなどはあくまで基本となるローカルSEO対策です。サイト間の競争が激しい分野では、やはりコンテンツの充実が求められるでしょう。
これからのローカル検索競争
ローカル検索では、これまで必ずしも地方の事業者はメリットを得られていなかった面があります。地域ユーザーが、地元の事業者を素通りしてSEOに強い全国企業の商品、サービスを購入・利用するという構図がありました。
しかし、ヴェニスアップデート、ピジョンアップデートという地域を重視した検索アルゴリズムにより、地域の事業者にもチャンスが広がろうとしています。地産地消という言葉がありますが、これからは随分とそれに近づくことになるでしょう。
その代わり、ローカル検索の競争も熾烈になることが予想されます。そのため、地域の事業者にとっても近隣のライバルの上をいくSEO対策というものが必要になるでしょう。