当サイトはPRを含みます。

個人間融資では金利はどのように決まる?上限や法律との関係、注意点など

個人間融資では、そもそも金利はどのように決まっていくのでしょうか?

またどれぐらいの金利の上限を超えて貸付が行われたら「違法」となるのか、お金を借りたい方ならぜひ知りたい事柄ですよね。

個人間の融資では金利が「年20%」までなら貸せるとか、いや金利は「年109.5%までなら取っていい」という議論があります。

一体どちらが正しいのか、気になるところです。

そこで本記事では、個人間融資に関して、その金利の決まり方、関係する法律、個人間融資を利用するときのリスクや注意点など詳しく解説します。

個人間融資とは?

個人間融資とは、個人と個人の間でお金を貸し借りすることです。

家族や友人・知人との間で一時的にお金を貸し借りすることは特に法に触れることではありません。

しかし最近巷(ちまた)で話題になっている個人間融資は、SNSやネット掲示板等を介して面識のない他人との間でお金の貸し借りをすることをいい、相手の素性が分からないまま貸し借りするのでのちに様々なトラブルが発生しています。

個人間融資は違法であるケースが多く、SNSの発達で被害も増加しているため、金融庁も個人間融資に関しては以下のように基本的に利用しないよう注意喚起に務めています。

参照先:金融庁| SNS等を利用した「個人間融資」にご注意ください!

個人間融資の金利は年109.5%なのか、20%なのか、どちらが正しい?

上記のように金融庁も利用の抑制を呼びかけている個人間融資ですが、金利に関してはどれぐらいまでが適法なのか、様々な解説があります。

個人間の融資では金利は「年109.5%までは取っていい」とか「年20%までに留めておくべき」とかいう議論もありますが、先に結論を書いておくと「年20%以下に留めておくべき」でしょう。

以下からは、「融資の上限金利」の図を確認してもらいつつ、「個人間融資の金利は年20%以下に留めておくべき」の根拠について、関係する法律も交えながら詳しく解説していきます。

【融資の上限金利】

個人間融資では利息制限法と出資法で上限金利が変わる

個人間融資では利息制限法と出資法で上限金利が変わります。

金利の上限には貸金業法のほかに2つの法律が関わっており、それが利息制限法と出資法です。

まずは利息制限法ですが、以下がこの法律で定められている上限金利です。

融資の元金によって上限金利が変わってきます。

融資元金 上限金利
10万円未満 年20%まで
10万円以上100万円未満 年18%まで
100万円以上 年15%まで

参照元: 利息制限法|利息等の制限(第1章第1条1項~3項)

利息制限法の金利の上限が年20%といわれるのは、融資の元金が10万円未満のときの金利を指したものです。

つまり10万円以上の融資に対して年20%の利息を取ると利息制限法違反となり、取り過ぎた分の利息は無効とされ、借り手から請求されれば貸し手は返還する義務が生じます。

ただし利息制限法に罰則はないので刑事罰(懲役とか罰金)のような厳しい罰が科されることはありません。

次に出資法ですが、これは融資を行うものが決められた上限金利を超えて貸付を行うと刑事罰の対象となることを定めた法律です。

そこで融資の貸し手を個人と貸金業者に分けて、各々の法律に沿って上限金利を比較すると以下のようになります。

貸主 利息制限法 出資法
個人 年20% 年109.5%
貸金業者 年20% 年20%

ここで注目して欲しいのは、貸金業者から融資を受けた場合の出資法での上限金利は年20%となっていますが、個人から借りた場合の上限金利は出資法では年109.5%となっていることです。

参照元:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(第5条1項)

個人間融資の金利の話で、上限金利は「年20%まで」とか「年109.5%まで」とか出てくるのは、まさにこの利息制限法と出資法の違いを示しています。

つまり貸金業者は金利が年20%を越えると出資法違反で刑事罰の対象となるのですが、個人の貸し手は年109.5%の金利を越して貸付しない限り、出資法違反にはなりません。

そのため、個人間融資においては、個人が年20%を越えた融資を行っても、金利が年109.5%を越えない限り、出資法違反にはならず罰則を受けないので、高金利で貸付を行う個人が減らないのです。

個人間融資でも利息制限法の上限金利である年20%は有効

個人間融資なら貸し手が年109.5%まで請求しても刑事罰は受けません。

しかし利息制限法の上限である融資元金ごとの金利、年20%、年18%、年15%は個人間融資においても有効です。

例を挙げると、個人間融資で知人から50万円借りたとして、利息制限法なら年18%までの利息は認められています。

このとき、貸し手は年18%を越える利息を請求すると利息制限法違反にはなりますが、年109.5%以下の金利までなら出資法違反にはなりません。

一方、年18%を越える利息は、借り手が仮に払っていたとしても法的には「超過分無効」となるので、最終的に過払い金返還訴訟を起こせば取り返しはできます。

しかし訴訟で掛かった弁護士費用や諸経費でおそらく取り戻せた利息メリットは帳消しになるので、その手間と時間を考えると、最初から貸し手は利息制限法の範囲内で金利を設定し、借り手は納得の上で貸し借りしたほうが得策です。

利息制限法に違反しても刑事罰は科されない

繰り返しますが、利息制限法に違反して融資しても貸し手に刑事罰はありません。

しかし利息制限法の上限金利を越えて利息を受け取っていれば後に返還する必要が出てきます。

利息制限法の条文にも「その利息が当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過分について無効とする」とはっきり書かれています。

参照元:利息制限法|利息等の制限(第1章第1条)

したがって利息制限法による罰則はないにしても、上限金利を超える利息を受け取ってしまうと後で返還を求められるリスクがあるので、それなら個人間の融資でも最初から利息制限法に定める上限金利内で金利を設定しようという動きになるととらえています。

出資法に違反したら厳しい刑事罰が科される

一方、貸し手が個人・貸金業者問わず、出資法で定められた上限金利に違反した融資を行ったら厳しい刑事罰が科されます。

具体的には、出資法では、個人間融資の上限金利は「年109.5%」と定められており、2月29日のあるうるう年の上限金利は「年109.8%」となっています。

参照元:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(第5条1項)

一般的に、個人間融資においては当事者双方が合意すれば金利は自由に決められそうに感じます。

しかし金利を自由に決められるようになると、大概借り手に不利な条件の高金利になる可能性が高いので、弱者保護の観点から法律で上限金利が決められているのです。

出資法に違反した場合、どのような刑事罰が科されるかをまとめたのが以下の一覧表です。

金利 罰則
貸付を業としない者が年109.5%を越える利息の契約をした場合 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方
貸金業者が年20%を越える利息の契約をした場合 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方
貸金業者が年109.5%を越える利息の契約をした場合 10年以下の懲役または3,000万円以下の罰金、またはその両方

個人間融資の場合、最上段の「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方」が科される罰則の内容となります。

参照元: 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(第5条1項~3項)

違法金利以外にも厳しい罰則が伴う法律があるので注意

個人間融資では、ヤミ金業者が個人を装って金融知識に乏しい個人に融資を勧誘したり、逆に一般個人がヤミ金のように違法貸付をして営業したりするケースが後を絶ちません。

そこで2004年には、このヤミ金融問題に対処するため、ヤミ金対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)が国会で成立しました。

すなわち、違法金利を含む各種違反行為に対して、厳しい罰則が追加されました。

融資の貸し手は法律違反を起こさず貸付を行う遵法精神が求められています。

違反内容 罰則
高金利違反 5年以下の懲役、1,000万円(法人の場合3,000万円)以下の罰金
無登録営業 5年以下の懲役、1,000万円以下(法人の場合1億円)以下の罰金
違法な広告、勧誘行為の規制 100万円以下の罰金
違法な取り立て行為の規制強化 2年以下の懲役、300万円以下の罰金
年109.5%を越える利息での貸付契約の無効化 登録業者、無登録業者問わず、年109.5%を越える利息での貸付契約を行った場合、当該契約は無効で、かつ利息についても一切支払う必要なし

参照先:金融庁|ヤミ金対策法が成立しました

年109.5%の金利で融資を受けたらどれぐらい利息を払う?

では実際、個人間融資で年109.5%の金利で融資を受けたら、どれぐらいの利息を支払うことになるのか、計算してみましょう。

【100万円を年109.5%で1年間借りた場合】
100万円×1.095=109.5万円(支払利息額)

借りて1年後、元金を含む総返済額はなんと209.5万円にもなります。

これが国または地方自治体から正式に登録を受けた貸金業者から融資を受けると、融資元金を同じ100万円として、利息制限法では上限金利を年15%(出資法で年20%)と決められているので、1年後の支払利息は以下のように計算されます。

【100万円を年15%で1年間借りた場合】
100万円×0.15=15万円(支払利息額)

借りて1年後、元金を含む総返済額は115万円です。

年109.5%の金利で融資を受けた場合との差額はなんと94.5万円にもなります。

個人間融資でも借り手が貸出金利に敏感になっておくことがいかに大事か、これで分かりますよね。

アルスタ司法書士事務所 バナー

SNSやネット掲示板を介しての個人間融資は大半が違法なので注意

SNSやネット掲示板を介して行われる個人間融資の問題点は、多くが法律違反の可能性が高いものであるという点です。

貸し手が業者でなく個人であっても、反復継続してお金の貸付を行うことは貸金業法における「貸金業」に該当します。

貸金業法の定めにより、貸金業を営む者は国または地方自治体の登録を受ける必要があります。

また登録を受けていない者が貸金業を営む目的でお金の貸付を行う行為も法律で禁止されています。

にも関わらず、SNSやネット掲示板を通じて「お金を貸します」と宣伝して不特定多数の借り手を募る行為は、まさに「貸金業を営む目的でお金の貸付を行うこと」に該当するので、その手の多くの個人は、まさに貸金業者の登録も受けずに違法貸付を行っているヤミ金と見なしてもいいでしょう。

個人間融資の借り手は処罰対象にはならないけど様々なリスクにさらされる

利息制限法や出資法は主にお金の貸し手を規制する法律ですが、では肝心の借り手には影響はないのでしょうか?

確かに貸金業者または個人がお金の貸し手として関係する法律を破れば処罰の対象になります。

一方、個人間融資の借り手は、確かに処罰対象にはなりませんが無傷では済みません。

個人間融資を通じて関わった悪徳業者から様々な行為によるリスクにさらされることになります。

以下でその代表的なリスクを5点ほど紹介します。

法外な金利による利息を請求される

個人間融資では、利息制限法や出資法を守らず意図的に法外な金利を設定しているものが多いので注意が必要です。

「超低金利でご融資します」「誰でも借りられます」など、魅力的かつ甘美な言葉で借り手を募っている貸し手には特に注意、限りなく違法なヤミ金業者の可能性があります。

もちろん借りたらただでは済みません。

募集内容とは全く違った法外な金利による利息を請求されて慌てふためくことになります。

以下に「借入金額」「借入期間」「返済金額」を入力すると金利を計算できます。

借入金額 万円
借入日数
返済金額 万円

※ 半角で入力してください。
返済方法が分割払いの場合は、合計期間・金額を記入してください。

年利{{nenri}}%
合法な融資です
年利が20%以内のため違法融資ではありません。
年利{{nenri}}%
違法融資の可能性があります
貸し手が個人の場合の上限年利は109.5%ですが、業者の場合の上限年利は20%です。そのため貸し手が業者の場合は違法融資です。
年利{{nenri}}%
違法融資です
上限年利の109.5%を超えているため違法融資です。

注:当計算機では閏年を考慮していません。

悪質かつ激しい取り立ての被害に遭う

個人間融資で借りると、相手がヤミ金や悪徳業者だった場合、返済ができなくなると悪質で激しい取り立てに遭う可能性が極めて高いです。

悪質で激しい取り立てとは以下のような行為をいいます。

  • 個人の生活を脅かす不当な時間帯(深夜や早朝)に自宅に電話や訪問をされたりする
  • 家族や友人にお金を借りてでも返済するよう迫られる
  • 勤務先へ電話をしたり返済の督促状を送ってきたりする
  • 「金返せ」の張り紙を自宅の玄関口や近所に貼って借金した事実を周りに知らしめて嫌がらせする

    提供した個人情報が悪用される

    個人間融資において、個人情報を提供したら、その情報が悪用されて被害を受ける可能性がかなり高いです。

    たとえば返済が滞ると、貸し手が、提供された本人確認書類等の個人情報をSNS上に意図的にさらして返済を強要するほか、前述したように勤務先に押しかけてきて返済を迫り職場内での本人の立場を悪くしようとします。

    また個人情報を貸し手に提供した後、貸し手が連絡不能になり、結果として個人情報をだまし取られたということも起こります。

    この個人情報は悪徳業者間で売買される可能性もあり、別の悪徳業者から思いもよらない形でより深刻な被害を受けることにもなりかねません。

    返済できなければ犯罪行為への加担を強要される

    個人間融資で返済が滞ってくると、相手が悪質業者だった場合、それを口実にして犯罪行為への加担を強要されるリスクがあるので要注意です。

    たとえば「銀行口座の譲渡」を求められて安易に応じてしまうと、その口座がのちに振込詐欺の受取口座に使われてしまうリスクがあります。

    その他にも、振込詐欺の関係者(受け子など)になることや女性なら売春を強要されるなど、各種犯罪の当事者にされる可能性も否定できません。

    トラブルに見舞われても原則警察は介入してくれない

    警察には「民事不介入」という原則があります。

    そのため、傷害事件・暴力沙汰等による刑事犯罪なら警察がすぐに捜査に着手してくれますが、個人間融資でトラブルが発生しても、ヤミ金業者による特段の暴力事件でも発生していない限り、「民事不介入」の原則により警察は捜査してくれません。

    すなわち、個人間融資でトラブルになっても原則借り手は自分で解決する必要があります。

    さらに貸金業法違反や利息制限法・出資法違反があっても、警察が立件するまでに相当の時間がかかり、すぐには対応してもらえないリスクもあります。

    アルスタ司法書士事務所 バナー

    個人間融資はリスクが高いので利用しない

    これまで繰り返し書いてきたように、個人間融資は借り手にとって様々なリスクがあり、できれば利用しないほうが良いです。

    巻き込まれるリスクの大きさを考えれば、安易に個人間融資には頼らないのがベストです。

    それでも、どうしてもお金を借りる必要があるのなら、貸金業法や利息制限法・出資法等の法律で規制されている登録貸金業者(消費者金融やカードローン会社)を利用する方がより安全だといえます。

    まとめ

    個人間融資に関して、金利の決まり方、上限金利や利息制限法・出資法との関係、利用上のリスクや注意点など詳しく解説しました。

    SNSやインターネット掲示板でよく見られる個人間融資に関しては、これまで繰り返し注意喚起してきたように、貸し手が個人であっても違法かつ悪徳業者である可能性がかなり高いです。

    違法業者からお金を借りてしまうと、法外な金利を請求されたり、過度な取り立てに遭ってしまったりするリスクがあります。

    最悪のケースでは違法行為への加担も強いられてしまいます。

    金利が安価で安全にお金を借りるには他にも様々なルートがあります。

    個人間融資に関しては、金利ほか、正しい知識を持って、できるだけ利用せず、法律で規制された正式ルートから安全にお金を借りるようにしましょう。

    24時間365日・全国対応・無料相談 闇金に強い
    弁護士・司法書士はこちら