相続手続きを進める上で、相続人を正確に把握することは不可欠です。しかし、複雑な家族関係や長期間の音信不通などにより、相続人の特定が難しいケースも少なくありません。
このような状況の場合、探偵や弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
本記事では探偵や弁護士・司法書士・行政書士による相続人調査のメリットや費用、自力で調査する方法、そして法的な注意点について詳しく解説します。
相続人調査でお困りの方、悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
探偵に相続人調査を依頼する場合
相続人調査は、相続手続きを進める上で重要な第一歩です。探偵に依頼することで、専門的かつ効率的な調査が可能になります。
この章では、探偵による相続人調査のメリットや調査方法、費用、そして依頼時に必要な情報について詳しく解説します。
相続手続きで行き詰まりを感じている方や、確実な調査結果を求める方はぜひ参考にしてください。
探偵に依頼するメリット
専門的な調査能力と豊富な経験を持つ探偵は、一般の方が行う調査よりも深く、広範囲に渡る調査が可能です。
探偵に依頼するおもなメリットは以下のとおりです。
- 高度な調査技術がある
- 公的書類だけでなく、現地調査も実施
- 独自の情報網を活用した効率的な調査
- プライバシーに配慮してもらえる
- 秘密裏に調査を行うことが可能
- 相続人との慎重な接触をサポート
- 調査進行が早い
- 専門知識を活かした効率的な調査
- 相続手続きの早期完了に貢献
- 難しいケースへの対応力が高い
- 行方不明者や住所不明者の発見率が高い
- 公的機関では見つけられない相続人の特定も可能
- 包括的な調査サービス
- 相続人調査以外の関連調査も対応可能
- 隠し財産の調査や素行調査なども実施
上記のメリットにより、相続手続きをより確実に、スムーズに進めることが可能です。とくに複雑な家族関係や長期間の音信不通がある場合、探偵の専門性が大きな力を発揮します。
ただし、探偵への依頼には費用がかかります。自力での調査が難しい場合や、確実な結果が必要な場合に検討するのが良いでしょう。探偵への依頼を決める前に、費用対効果を十分に検討することをおすすめします。
調査方法と調査期間
探偵による相続人調査は、複数の手法を組み合わせて行われます。調査期間は案件の難易度によって変わりますが、通常は数日から数週間程度です。
探偵のおもな調査方法は以下のとおりです。
公的書類の調査 |
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現地調査 |
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データベース検索 |
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オンライン情報収集 |
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調査期間の目安は数週間程度です。ただし、以下の要因で期間が延びる可能性があります。
- 相続人が多い
- 海外在住の相続人がいる
- 長期間の行方不明者がいる
- 戸籍情報が複雑(養子縁組、離婚歴など)
おおよその調査期間は、初回カウンセリングで調査の難易度を評価して提示されます。調査中も随時進捗報告を受けられるのが一般的です。
成功率と費用の目安
探偵による相続人調査は、高い成功率と専門的なアプローチが特徴ですが、費用面での考慮も必要です。
平均的な成功率は約70〜80%ですが、以下の要因によって左右されます。
- 調査開始までの経過時間
- 手がかりの量と質
- 対象者の状況(意図的な失踪かどうか)
- 調査の全体的な難易度
早期に調査を開始し、十分な手がかりがある場合は、成功率が高くなる傾向があります。
探偵に相続人調査を依頼する場合の費用は、一般的に以下のような構成になっています。
- 基本料金(着手金):5万円〜50万円
- 時間料金:10,000円〜20,000円(1時間あたり)
- 成功報酬:案件により異なる
総費用の相場は以下のとおりです。
- 難易度が低い場合:約20万円
- 難易度が高い場合:100万円以上
- 一般的な相場:20万円〜100万円
費用を抑えるには、以下のポイントに注意しましょう。
- できるだけ早く調査を依頼する
- 事前に可能な限り多くの情報を集める
- 複数の探偵事務所から見積もりを取得し、比較する
探偵への依頼を検討する際は、事前に詳細な相談を行い、調査の難易度や予想される費用についてしっかり確認することが重要です。
依頼時に必要な情報と書類
探偵に相続人調査を依頼する際、適切な情報と書類を準備することで、調査の効率と成功率が高まります。一般的に必要とされる情報と書類は以下のとおりです。
被相続人(亡くなった方)について |
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探したい相続人について |
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その他の有用な情報 |
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戸籍関連書類 |
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住民票関連書類 |
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その他の参考資料 |
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上記の情報と書類を可能な限り用意することで、調査の精度と効率が向上します。ただし、すべてが揃わなくても調査は可能です。現在把握している情報を探偵事務所に伝え、どのような調査が可能か確認しましょう。
なお、2024年3月から施行された「戸籍の広域交付制度」により、被相続人の本籍地以外でも戸籍謄本の取得が可能になりました。ただし、請求者や取得可能な書類に制限があるので、事前に確認が必要です。
参考:法務省|戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
専門家に相続人調査を依頼すべきケース
相続人調査は、探偵だけではなく弁護士・司法書士・行政書士にも依頼可能です。ここでは、各専門家に依頼すべきケースやメリット、費用相場について解説します。
弁護士
弁護士に相続人調査を依頼することは、法的な専門知識を活かした正確な調査が可能となるため、以下のようなケースでは非常に有効です。
- 相続関係が複雑な場合
- 遠方や海外に相続人がいる場合
- 相続人の中に行方不明者がいる場合
- 相続人間でトラブルが予想される場合
- 法的な問題が絡む可能性がある場合
弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- ①弁護士は職務上請求を利用して、依頼者の代わりに戸籍の収集を効率的に行える
- ②相続に関するトラブルが発生した場合の法的対応も可能
- ③専門家による正確な戸籍判読により、相続人の見落としを防止
- ④調査結果を一覧にした相続関係図を作成してもらえる
- ⑤相続人間の調整や協議書作成のサポートも可能
弁護士に相続人調査を依頼する場合の費用相場は10万円〜30万円程ですが、複雑なケースではさらに高額になる可能性があります。
弁護士への依頼は、将来的なトラブル防止にも効果的です。とくに複雑な相続ケースや法的問題の可能性がある場合は、弁護士への相談がおすすめです。
司法書士
司法書士は相続手続きに精通した専門家で、以下のようなケースの場合は司法書士に依頼するのが良いでしょう。
- 相続関係が複雑な場合
- 相続人の数が多い場合
- 戸籍の収集に時間がかかりそうな場合
- 法的な問題が絡む可能性がある場合
- 相続手続き全般のサポートが必要な場合
司法書士に依頼するおもなメリットは以下のとおりです。
- ①司法書士は職務上請求を利用して、依頼者の代わりに戸籍の収集を効率的に行える
- ②調査結果を一覧にした相続関係図を作成してもらえる
- ③相続登記や遺産分割協議書の作成など、相続手続き全般をサポートしてもらえる
司法書士に相続手続きを依頼する場合の費用相場は以下のとおりです。
- 相続人調査のみ:3万円〜8万円程度
- 基本的な相続手続きを含む場合:14万円〜17万程度
- 相続手続き全般の一括依頼:遺産の1.1%(最低33万円)程度
また、上記の費用は相続人の順位によって費用が変動する場合があります 。(相続順位が低いほど費用は高くなる)
司法書士への依頼は、相続関係が複雑な場合や、相続手続き全般のサポートが必要な場合に適しています。
相続手続き全般を一括で依頼することで、トータルでの費用を抑えられる可能性もあるので、検討してみましょう。
行政書士
行政書士は、公的書類の作成や手続き代行に精通した専門家であり、以下のようなケースは行政書士に依頼するのがおすすめです。
- 相続手続き全般のサポートが必要な場合
- 遺言書作成のサポートが必要な場合
- 相続関係説明図や法定相続情報一覧図の作成が必要な場合
- 遺産分割協議書の作成が必要な場合
- 相続財産目録の作成が必要な場合
- 金融機関での相続手続きの代行が必要な場合
行政書士に依頼するおもなメリットは以下のとおりです。
- ①遺言書作成から相続人調査、各種書類作成まで幅広くサポート可能
- ②行政書士は職務上請求を利用して、効率的に戸籍等の収集が可能
- ③相続関係説明図や遺産分割協議書など、重要書類の作成をサポート
行政書士に相続人調査を依頼する場合の費用相場は以下のとおりです。
- 相続人調査のみ:3万円〜8万円程度
- 相続手続き全般の依頼:20万円〜50万円程度
相続手続き全般のサポートが必要な場合や、遺言書作成のサポートが必要な場合は、行政書士への依頼をおすすめします。
なお、相続人間で遺産分割に関する争いがある場合、行政書士は調停の代理人として関与することはできません。そのような場合は、弁護士のサポートが必要です。
自分でできる相続人調査の方法
専門家に頼まず、自分で相続人調査をする方法は以下のとおりです。
- 戸籍謄本を使った相続人調査
- 住民票を活用した所在確認
- 親族からの情報収集
ここでは、自力調査のリスクと限界についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
戸籍謄本を使った相続人調査
戸籍謄本を使って調査する場合、まずは被相続人の除籍謄本を取得し、そこから過去の戸籍をさかのぼって収集します。収集した戸籍から法定相続人を特定し、各相続人の現在の戸籍謄本も入手。最後に、得られた情報をもとに相続関係説明図を作成します。
戸籍謄本を使った方法は費用を抑えられ、自分のペースで調査できるメリットがありますが、戸籍の読み取りには専門知識が必要な場合があり、複雑なケースでは見落としの可能性もあります。また、時間と労力がかかることも考慮すべきです。
住民票を活用した所在確認
住民票は、個人の居住地を公的に証明する重要な文書です。所在不明の人の現住所を確認する際に、住民票は非常に有用なツールとなります。
まず、対象者の最後に確認された住所地の市区町村役場で、住民票の写しまたは除票を請求します。転出している場合、除票に転出先の住所が記載されているので、その情報をもとに追跡を進めます。
転出先の住所が判明したら、その市区町村役場で再度住民票を請求。さらに転居している場合は、この手順を繰り返します。
追跡が困難な場合は、本籍地の市区町村役場で戸籍の附票を請求することも可能です。附票には、本籍が変更されていない限り、すべての住所変更履歴が記録されています。
ただし、住民票の取得には正当な理由が必要で、プライバシー保護の観点から第三者による取得には制限があります。また、DV被害者等の場合、閲覧制限がかけられていることがあるので注意が必要です。
この方法で多くの場合、所在不明者の現住所を追跡できますが、法的な問題や複雑なケースでは専門家への相談をおすすめします。
親族からの情報収集のポイント
親族からの情報は、相続人調査に役立つ場合があります。効果的に情報を得るためのポイントは以下のとおりです。
- 早期の情報収集を心がける
- 複数の親族に確認し、情報の正確性を高める
- 被相続人の結婚歴や子どもの有無など、具体的に質問する
- 古い写真や書類を確認し、知られていない親族の有無を確認する
- 離婚や養子縁組などのセンシティブな話題には慎重に対応する
上記のポイントを押さえることで、より正確で包括的な情報を得られる可能性が高まります。ただし、プライバシーに配慮しながら情報収集を進めることが重要です。
自力調査の限界とリスク
相続人調査を自力で行う場合、以下のような限界やリスクがあります。
- 古い戸籍の解読が困難な場合がある
- 戸籍収集の手続きが煩雑で時間がかかる
- 専門知識不足により相続人を見落とす可能性がある
- 複雑な相続関係の法的判断が難しい
- 相続財産の見落としのリスクがある
上記の限界やリスクを考慮すると、相続関係が複雑な場合や大規模な財産が関わる場合は、専門家への相談が望ましいでしょう。
相続人調査に関連する法的問題
相続人調査を行う際には、以下のような法的問題に注意を払う必要があります。
- 相続人に関する書類を取得する際の注意点
- 相続放棄への影響
- 時効の問題
トラブルに巻き込まれないためにも、慎重に調査を行いましょう。
相続人に関する書類を取得する際の注意点
相続人調査で住民票などの書類を取得する際には以下の事項に注意しましょう。
- 戸籍謄本等の取得には正当な理由が必要
- 第三者による取得には制限あり
- DV被害者等の場合、住民票に閲覧制限がかかることも
2024年3月施行の「戸籍の広域交付制度」により取得が容易になりましたが、請求者に制限があることを覚えておきましょう。
相続放棄への影響
調査結果は相続放棄の手続きに影響を与える可能性があります。
- 相続放棄の期限は原則、相続開始を知った日から3ヶ月以内
- 新たに相続人となった場合も、その事実を知った日から3ヶ月以内
- 調査の遅れにより相続放棄の機会を逃す可能性あり
相続を放棄する場合は、他の相続人への影響も考慮する必要があります。
時効の問題
調査の遅れにより、相続に関する権利に時効が発生する可能性があります。
- 相続回復請求権:相続権侵害を知った日から5年、相続開始から20年
- 遺留分減殺請求権:相続権侵害を知った日から1年、相続開始から10年
- 相続税の申告・納付:相続開始を知った日から10ヶ月以内
また、遺産の使い込みが疑われる場合は、証拠収集や返還請求に時効がかかる可能性があるため、早期の調査と対応が重要です。
相続人が見つからない場合の対応策
相続人が見つからない場合、おもに失踪宣告の申立てと不在者財産管理人の選任申立ての2つの対応策があります。これらの制度を活用することで、相続人が見つからない場合でも相続手続きを進めることが可能です。
失踪宣告の申立て
失踪宣告は、行方不明者を法律上死亡したとみなす制度です。失踪宣告は重大な法的効果があるため、慎重な判断が必要です。
失踪宣告確定後、不在者は死亡したものとみなされ、相続が開始されます。詳細は以下のとおりです。
申立ての条件 | 普通失踪(7年間生死不明)または危難失踪(1年間生死不明) |
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申立人 | 利害関係人(配偶者、相続人、債権者など) |
申立先 | 不在者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
必要書類 | 申立書、戸籍謄本、戸籍附票、失踪を証する資料など |
費用 | 収入印紙800円、連絡用郵便切手、官報公告料4,816円 |
不在者財産管理人の選任申立て
不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人物です。選任された管理人が遺産分割協議に参加することで、財産管理や保全が可能になります。
不在者財産管理人の選任は、不在者の生存可能性を残しつつ相続手続きを進められるメリットがあります。詳細は以下のとおりです。
申立ての条件 | 不在者の生死が不明で、当面帰る見込みがない状態 |
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申立人 | 利害関係人または検察官 |
申立先 | 不在者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
必要書類 | 申立書、戸籍謄本、戸籍附票、不在の事実を証する資料など |
費用 | 収入印紙800円、連絡用郵便切手 |
原一探偵事務所 | 総合探偵社クロル | HAL探偵社 | |
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画像 | |||
対応地域 | 全国対応(13拠点) | 全国対応(8拠点) | 全国対応(18拠点) |
対応時間 | 24時間・電話無料相談 | 24時間・電話無料相談 | 24時間・電話無料相談 |
得意調査 | 浮気、人探し、素行、身辺 | 浮気、婚前、人探し | 浮気、人探し、身辺 |
料金 | トライアル:55,000円~ | 1時間6,820円 | 1名1時間7,000円 |
調査実績 | 10万件~ | 3.2万件~ | 5万件~ |
ローン | ○ | ○ | ○ |
クレジットカード | JCB, visa, Master, AMEX | JCB, visa, Master | JCB, visa, Master, AMEX |
相談方法 | 出張、オンライン可 | 出張、オンライン可 | 出張相談可 |
事務所詳細 | 事務所詳細 | 事務所詳細 | 事務所詳細 |
電話相談 | 電話無料相談 | 電話無料相談 | 電話無料相談 |
メール相談 | メール無料相談 | メール無料相談 | メール無料相談 |
営業中 | 【営業中】電話相談できます! | 【営業中】電話相談できます! | 【営業中】電話相談できます! |
まとめ
相続人調査は、探偵・弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼することで、高度な調査技術や法的知識を活用した効率的な調査が可能になります。専門家への依頼は費用がかかりますが、複雑なケースや確実な結果が必要な場合に有効です。
自力で調査する方法もありますが、戸籍の解読や法的判断の難しさ、相続人の見落としなどのリスクがあります。相続人調査には、プライバシーの問題や相続放棄への影響、時効の問題など、法的な注意点も多くあります。
相続人が見つからない場合は、失踪宣告の申立てや不在者財産管理人の選任申立てなどの対応策があります。これらの制度を活用することで、相続手続きを進められます。