- 闇金にはヤクザが営む業者もあればヤクザと無関係の業者もある
- ヤクザと無関係の闇金も取り立ての手口は悪質で危険である
- 闇金には絶対に手を出してはいけない
- 闇金に手を出してしまったら弁護士・司法書士に相談すること
闇金からお金を借りたいけれど、闇金にはヤクザが関わっているのではないかと気になる方も多いことでしょう。闇金から借りたお金を返せず、ヤクザのような口調で脅されて困っている方も多いはずです。
闇金の中には、ヤクザが運営している業者もあれば、ヤクザとは無関係の業者もあります。いずれにしても、安心安全な闇金業者は存在しないので絶対に手を出してはいけません。
この記事では、闇金とヤクザの関係について解説します。闇金やヤクザとのトラブルを事前に回避する方法や、お金を借りてしまった場合の解決方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
闇金とヤクザの関係
結論からいうと、闇金はヤクザが運営していることが多いですが、近年ではヤクザとは無関係の闇金も増えています。
しかし、ヤクザとは無関係であっても、闇金である以上は違法で悪質な業者であることに変わりありません。
闇金はヤクザが営んでいることが多い
もともと闇金融業は、主にヤクザが効率よくお金を得るために営まれていたものです。
ヤクザは、所属する暴力団の上層部に多額の上納金を納めなければなりません。そのために、いわゆる「しのぎ」をしてお金を稼いでいます。
少額の金銭を法外な金利で融資して、返済しない顧客には暴行や脅迫を用いて威圧し、暴利を巻き上げる闇金融業は効率のよいしのぎとなるのです。
もっとも、近年では暴力団対策法や闇金融対策法などで法規制が強化されたため、店舗を構えて営業する闇金は激減しています。
それでも、「090金融」のように、携帯電話やスマートフォンのみで営業する闇金の中には、現在でもヤクザが営む業者が数多く存在しています。
闇金の背後にヤクザが絡んでいることもある
闇金の中には、ヤクザが直接営んでいるのではなく、背後に絡んでいる業者もあります。
闇金融業を営むためには資金が必要なので、暴力団から資金の提供を受けて営業している闇金がいるのです。
このような闇金は、暴力団に関連する企業や団体の関係者や、ヤクザではないけれど反社会的な行為を常習的に行う「半グレ」と呼ばれるような人が営んでいることが多いです。
貸し付けや通常の取り立ては、ヤクザではないスタッフが行いますが、なかなか返済しない顧客に対しては、背後についているヤクザが債権回収と称して取り立てを行うこともあります。
ヤクザとは無関係の闇金もある
近年では、ヤクザとはまったく関係のない闇金も増えてきています。
最近の闇金融業は携帯電話やメールSNSのやりとりなどで完結する手法が主流となっているので、一般の人が金儲けの手段として闇金を営むケースが増えているのです。
ソフト闇金や個人間融資などの中には、一般の人が運営しているものも多いと考えられます。
ただし、個人間融資でも、ヤクザが一般の個人を装ってSNSなどで勧誘しているケースが多々あるので、注意が必要です。
闇金が逮捕された事例からヤクザとの関係を考察
闇金が逮捕された事例は、たびたび報道されています。ヤクザが逮捕されたケースもあれば、ヤクザではない人が逮捕された事例もあります。最近の事例をいくつか紹介します。
暴力団組長らが逮捕された事例
2023年10月25日、闇金融業を営んだ疑いで岩手県滝沢市に住む指定暴力団の組長の男ら3人が逮捕されました。
この事例の他にも闇金事件で暴力団構成員が事例はたびたび報道されているので、現在でもヤクザが営んでいる闇金は数多くあると考えられます。
【参考】“ヤミ金業”営んだ疑い 暴力団組長らを逮捕 指定暴力団山口組系<岩手県>|YAHOO!JAPANニュース
会社役員が逮捕された事例
2023年10月24日、フリマサイトでのギフト券買取りを装って闇金融業を営んだ疑いで、東京都町田市に住む会社役員など男女6人が逮捕されました。
この事例の主犯者は会社役員とのことですが、詳細な続報がないため、ヤクザと関係があるかどうかは分かりません。ヤクザであっても、会社役員や会社員、飲食店経営者、自営業者など、様々な職業を自称することがあります。
そのため、上記の主犯者がヤクザであったり、背後にヤクザが絡んでいたりする可能性は否定できません。
ただ、ヤクザではない会社役員がこの事例のように闇金を営んでいるケースはあるといえるでしょう。
【参考】金券購入装うヤミ金営業の疑いで会社役員ら逮捕 2020年から1億4000万円の利益か|日刊スポーツ (削除済みの記事)
https://www.nikkansports.com/general/news/202310240001286.html
会社員が逮捕された事例
2022年7月11日、「給与ファクタリング」と呼ばれる手口などで闇金融業を営んだ疑いで、東京都板橋区に住む会社員の男らが逮捕されました。
この事例でも、報道を見る限り、逮捕された男らとヤクザとの関係は不明です。
ただ、先ほどのフリマサイトを装った事例もそうですが、給与ファクタリングなど新手の闇金では、従来からある典型的な闇金とは異なり、暴力的・脅迫的な取り立てはあまり行われません。
そのため、ヤクザではない一般の会社員などでも運営しやすいと考えられます。
【参考】会社員らヤミ金運営、埼玉初の手口で 客6795人に貸し付け、2年間で1億3千万円超を売り上げる|埼玉新聞
無職の男が逮捕された事例
2021年6月1日、SNSで知り合った女性らを顧客として闇金融業を営んだ疑いで、横浜市に住む無職の男が逮捕されました。
男は、融資の際に担保と称して、顔写真付きの身分証明書や裸の画像を送信させていたということです。
この事例でも男とヤクザとの関係は不明ですが、SNSを利用した個人間融資による闇金は、ヤクザとは無関係の者が営んでいるケースが相当数あると考えられます。
【参考】女性の裸、画像で送らせ…3万円など貸し付け SNSヤミ金の男逮捕 全国の10~50代の女性30人が客|埼玉新聞
闇金の取り立ての手口
闇金の取り立ての手口としては、電話による脅迫的な取り立てや悪質な嫌がらせによって精神的に追い込み、支払いを迫るというものが中心です。
この点は、ヤクザが営む闇金でも、ヤクザとは無関係の闇金でも、あまり違いはありません。しかし、取り立て方法においては次のような違いがあります。
ヤクザが営む闇金の場合
ヤクザが営む闇金の場合は、脅迫や嫌がらせ行為の悪質性は強いものの、実際に暴力を振るって顧客を痛めつけるようなことはほとんどありません。
以前には暴力を振るわれたケースもありましたが、現在では法規制と警察による取り締まりが強化されています。それに、暴力団には、一般の市民に危害を加えて不祥事を起こすようなことを禁じるような組織内の規則があるようです。
そのため、たとえ闇金の顧客が返済をしない場合でも、ヤクザが実力を行使して取り立てをするケースは基本的にありません。
ヤクザと無関係の闇金の場合
ヤクザと無関係の闇金の場合は、暴力団のような組織内の規則による統制はありません。そのため、顧客が返済しない場合には腹いせの目的で暴力を振るわれるおそれがあります。
また、ネットで個人情報を拡散するケースも、ヤクザと無関係の闇金から借りた場合の方が多いようです。
つまり、ヤクザとは無関係の闇金から借りた場合の方が、返済できない場合に何をされるか分からないというおそれが強く、危険性が高い場合もあるということです。
とはいえ、ヤクザが営む闇金も、顧客が返済しない場合には本人だけでなく家族や親族、職場にも脅迫の電話をかけるなどして、徹底的に追い込んできます。
そのため、どちらが安心というわけではありません。安全な闇金など存在しないということを肝に銘じておきましょう。
闇金やヤクザとのトラブルを回避する方法
運営者がヤクザであってもなくても、闇金を利用すると法外な金利を要求され、払えなければ脅迫的な取り立てや悪質な嫌がらせによって追い込まれてしまいます。
このようなトラブルを回避するためには、以下のことが有効です。
- 怪しい業者を利用しない
- 借金の返済が苦しい場合は債務整理
- 生活費が足りない場合は親族への相談や公的支援
怪しい業者を利用しない
当然のことですが、闇金など利用しないに越したことはありません。ただ、ソフト闇金などでは、安心・安全を謳っていることもあるので注意が必要です。
正規の貸金業者は、広告やホームページに貸金業登録番号や本店の所在地、連絡先(固定電話の番号)などが掲載されているはずです。これらの事項を表示していない業者は、闇金です。怪しいと感じる業者は利用しないようにしましょう。
なお、闇金かどうかを確認するためには、次の2つの検索ページが便利です。借入前に、業者の情報を検索してみることをおすすめします。
借金の返済が苦しい場合は債務整理
多額の借金を抱えていると返済に窮したり、そもそも正規の貸金業者からは借りられなくなっていることもあるでしょう。そんなとき、急場を凌ぐために闇金から借金をしても、何も解決しません。
借金の返済が苦しいときは、債務整理で解決するようにしましょう。債務整理とは、国が認めた正当な方法で借金を減免できる手続きのことであり、主に次の3種類があります。
- 任意整理…債権者との交渉で利息をカットし、毎月の返済額の軽減を図る手続き
- 個人再生…裁判所の手続きによって借金総額を大幅に減額できる手続き
- 自己破産…裁判所の手続きによって借金をゼロにできる手続き
借金総額や収入・資産の状況、保証人や担保の有無などによって、最適な手続きは異なります。しかし、状況に合った手続きを行うことで、借金苦から解放されます。
生活費が足りない場合は親族への相談や公的支援
債務整理をして借金が減免されたとしても、生活費が足りないということもあるでしょう。そんなときも闇金に手を出すのではなく、親族に支援を頼んだり、公的支援を受けたりすることをおすすめします。
公的支援には、生活福祉資金貸付制度の他、住宅手当(家賃補助)や医療費助成などをはじめとして、低所得者向けの様々な支援制度が用意されています。最後の手段として生活保護もあります。
最低限度の生活は保障されているので闇金には手を出さず、お住まいの地域の役所や社会福祉協議会に公的支援の相談をしてみましょう。
闇金やヤクザから借金した場合の解決方法
闇金から借りてしまった場合の解決方法は、運営者がヤクザの場合もそうでない場合も同じです。以下のように対処していきましょう。
- 返済はしない
- 警察に相談する
- 弁護士・司法書士に相談する
返済はしない
まず、闇金には1円も返済してはいけないとお考えください。
そもそも、闇金には1円も返済する必要はありません。出資法の上限金利を著しく上回る暴利を伴う貸付契約は公序良俗に反するため法的に無効です。
闇金から受け取ったお金は不法原因給付に当たるため返済する必要はないということが、最高裁の判決でも認められています。
取り立てが怖いからといって少しでも返済をすると、闇金から「カモ」と認定され、次々に支払いを迫られます。闇金問題は、お金を支払うことで解決することはできません。
警察に相談する
実際に暴力を振るわれた場合や、既に多額のお金を闇金に支払ってしまった場合は、警察に相談して被害届を出しましょう。
暴行罪や傷害罪、貸金業法違反、出資法違反、組織的犯罪処罰法などで立件してもらえる可能性があります。
闇金による脅迫や嫌がらせなどで身の危険を感じたり、困惑している場合も、警察に相談しましょう。警察から闇金に電話をすることで、取り立てや嫌がらせがいったん止まるケースも少なくありません。
ただし、警察には「民事不介入の原則」があるため、実害が生じていない場合には警察が動いてくれないこともあります。
弁護士・司法書士に相談する
闇金問題を根本的に解決するためには、弁護士または司法書士によるサポートが有効です。弁護士・司法書士は、依頼を受けるとすぐ解決に向けて動きます。
まずは闇金に連絡して取り立てや嫌がらせをやめるように交渉し、やめなければ法的措置をとる旨の警告をします。多くの場合は、これで解決します。
それでも闇金からの取り立てや嫌がらせが止まらない場合には、携帯電話や銀行口座を使えなくする手続きをとり、闇金が営業できないようにしてしまいます。
闇金に対して1人で対応しようとすると、深刻な被害を受けてしまうおそれが強いです。被害者のために闇金と対峙してくれるのは、弁護士・司法書士だけです。
闇金問題で困ったら、すぐ弁護士・司法書士に相談しましょう。
まとめ
闇金は現役のヤクザや元暴力団員、半グレ組織が営んでいるケースが多いですが、近年では一般の会社員や大学生、無職の人が営んでいるケースも増えてきています。
一般の人が営む闇金の方が、何をするか分からないという意味で、危険性が高いともいえます。ただ、ヤクザであってもなくても安全な闇金は存在しないので、決して利用しないでください。
もし利用してしまった場合、闇金相手に1人で交渉したり対応するのは危険です。
闇金問題を安全に解決するためには、弁護士・司法書士のサポートを受けることが最も有効です。弁護士・司法書士に依頼すれば、闇金以外の借金問題も債務整理で解決できます。
闇金問題でお困りの方や、借金を抱えて闇金から借りるしかないとお考えの方は、早めに弁護士・司法書士にご相談ください。