- 完済させない理由は利息を受取り続けるため
- 完済させないために入金を認めないことがある
- 完済後も「利息が残っていた」など虚偽の請求をすることがある
闇金は正規の貸金業登録をおこなわず、法外な利息設定や脅迫まがいな取り立てで利用者を追い詰めることで知られています。
その闇金は利用者が完済しようとすると、あの手この手で”完済させてくれない状態”に追い込む手口を使います。また、完済ができた場合でも、闇金はしつこい勧誘を続けてくるため、なかなか関係を断ち切ることができません。
この記事では、闇金が完済させてくれない理由や完済後によくあるトラブルとともに、闇金との関係を断ち切るための有効な対処法をご紹介します。
闇金が完済させてくれない理由
闇金は法外な金利でお金を貸し付けて利益を得る違法金融です。利用者が「借りたお金を完済したい…」と言ってくれば、多額の利息と元金が手に入って利益を得られれるはずですが、なぜか完済をさせようとしてくれません。
そこには闇金ならではの利益を得る方法と違法金融ビジネスを運営していくための目的や理由があります。ここでは、債務者が完済を望むにもかかわらず、闇金が完済させてくれない理由をご紹介します。
利用者から搾取を続けるため
闇金が完済させない大きな理由は、利用者にいつまでも支払いを続けさせたいという目的があります。闇金としては“金づる”になる利用者からはできるだけ長くお金を搾り取りたい考えます。
そのため、闇金は元金に超高金利を設定し、いくら返済しても借金が一向に減らない状況を作り出します。債務はどんどん膨れ上がり、お金がない利用者は利息の支払いだけで精一杯になり、元金の返済にまで手が回らなくなります。
結果、完済したくてもすることができず、闇金の言うままに利息だけを支払わされて、一方的に搾取され続けてしまうことになります。
系列店に借入れをさせて利益を吸い上げるため
闇金にとっての上顧客は少額でもいいので毎月まじめに利息を返済する利用者です。そのような返済意欲がある利用者に対しては、親切を装って別の闇金を紹介して返済を繰り返させます。
その際に紹介する闇金は、グループ内の系列店です。闇金・ソフト闇金・後払い現金化業者の中には複数の店舗を運営するいわゆる“系列店”があります。
利息を返済できない利用者には、系列の闇金を紹介してお金を借りさせて、それを返済に当てさせるわけです。このように系列店に借りさせて“客単価”を上げて利益を増やそうとします。
そして、借金でがんじがらめにして、逃げられないようにするのも系列店を持つ闇金がよく使う手口です。そのため、気がついたら10社以上もの闇金や後払い現金化業者に借りてしまっていたという方は少なくありません。
都合よく闇金ビジネスを手伝わせるため
闇金が完済させないもう一つの理由に利用者に違法ビジネスを手伝わせるためという目的があります。
闇金ビジネスは集客、取立て、確認などの業務があるため組織的な運営が必要です。その点、実際の闇金経験者ならば仕事の流れについてもよく分かっており、即戦力になります。また、闇金に弱みを握られているため、言いなりになりやすいという側面もあります。
実は闇金業者の従業員の中には元々はお金を借りていた利用者だったというケースが少なくありません。返済が困難になって、闇金の違法な仕事を手伝わされるうちに、それが本業になるというパターンがよくあります。
違法金融である闇金からお金を借りるという行為は実は違法行為への加担になりますが、さらにその業務を手伝うとなると、犯罪に手を染めることになります。決して、そのような手伝いへの依頼には応じてはいけません。
利用者に完済させない闇金の手口
闇金を利用すると、完済したくてもできない状況に追い込まれます。闇金は利用者を逃さないように、あの手この手で完済を拒んでくるからです。
ここでは、利用者に完済させないために闇金が使う手口をご紹介します。
法外な超高金利で借金を膨らませる
正規の貸金業者で借入する場合、借入額に応じて年15〜20%の上限金利が適用されます。しかし、違法な闇金業者は法律を無視し、トイチ(10日で1割)やトゴ(10日で5割)といったありえない超高金利を設定してきます。
雪だるま式にどんどん膨らむ借金を返済し続けるのは難しく、すぐに返済は滞るでしょう。期日までに返済できなくなると、今度は高額な延滞金を請求されることがあります。
このような法外な利息や延滞金で借金を膨らませ、利用者に完済させないようにするのが闇金の手口です。
完済金を受け取らない
闇金は利用者からの完済の申し出に対して、「体よく断る」「入金口座を教えない」「完済金の支払い日に連絡を無視する」など、完済させない状況を意図的につくり出してしまいます。
【完済金を受け取らない手口】
- 「今月は手続きの都合で完済できない」と一方的に通知してくる
- 振込先を後で伝えると言ったきり、連絡をよこさない
- 支払いの前日確認の電話に出ない
このような状況になると利用者は完済したくてもできなくなります。
闇金はその後、「期日までに完済金が支払われなかった…」として、図々しくもさらに延滞金や利息を請求してきます。
入金したのに何らかの理由をつけて完済を認めない
完済金を支払ったのに、闇金は何らかの理由をつけて完済を認めないことがあります。
例えば、以下のようなケースがよくあります。
【入金したのに闇金が完済を認めないケース】
- 間違いなく振り込んでいるのに「入金が確認できない」と言われた
- 「事前に連絡なく振り込んだから完済は認めない」と言われた
- 「銀行口座が変わったので認めない」と言われた
- 「金額が違う(延滞金や手数料が含まれていない)」と言われた
闇金側としては完済を認めてしまうと、そこで取り引きが終了になります。そのため、何らかの理由をこじつけてでも利用者を繋ぎ止めようと悪質なでっち上げをおこないます。
完済後に待ち受けるトラブル事例
借金をすべて返済できたとしても、すぐに闇金から逃れられるとは限りません。闇金はそう簡単には利用者を逃さないため、一度でも闇金に関わるとさまざまなトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
ここでは、闇金への完済後に待ち受けるトラブルの事例をご紹介します。
完済したはずなのに新たな請求を要求される
完済しているにもかかわらず、闇金は「利息の計算を間違っていた…」「まだ返していない借金がある…」などと言って、新たな請求をしてくることがあります。
利用者が支払いを無視すると再び脅迫的な取り立てが始まり、堂々巡りのような状態になってしまいます。闇金がお金を搾り取れる利用者を易々と手放すことはしないため、完済さえすれば闇金と関係を断てるとは限りません。
他の闇金業者から勧誘される
闇金は利用者の個人情報を売買したり、業者間で共有しているケースがあります。過去に闇金を利用したことがある場合、住所や連絡先は他の闇金業者にも知られている可能性があります。
また、前述したように系列店から借りてしまうと、グループ内の闇金からしつこい勧誘を受ける可能性があります。
闇金を一度でも利用したことがある人は、「再度利用する可能性が高い」ということで、他の闇金業者からもカモとして認識されます。
携帯電話を変えない限り、毎日のように様々な闇金から融資の連絡が来ることになります。
押し貸し行為にあう
押し貸しとは、頼んでもいないのに勝手にお金を貸付けされることです。知らない間に銀行口座にお金が振り込まれたり、無理やり現金を渡されて、後から高額な利息での返済を要求されます。
押し貸しは、現在の闇金利用者だけでなく、過去に闇金を利用した人の銀行口座情報が出回って、そこに振り込まれることもあります。
身に覚えのないお金が振り込まれていた場合は押し貸しを疑い、すぐに警察あるいは弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。
闇金を完済できない時の対処法
闇金はあの手この手で完済を拒んできますので、完済を目指すのではなく早急に関係を断ち切ることが大切です。
ここでは、闇金トラブルから抜け出し闇金との関係を断ち切る方法をご紹介します。
返済をやめる
闇金は違法金融業者なので、本来、借りたお金は法律上借金には該当しません。したがって、借金でないものは返す必要もないのです。
頑張って「利息を支払う」「完済を目指す」というのはお金も時間も無駄なことです。ですので、まずは返済しないという選択をすることをおすすめします。
ただし、返済しない利用者に対して闇金はそれを黙って見過ごすことはしません。執拗に嫌がらせや恐喝まがいの取立てをしてくるでしょう。そのための対抗策としては警察や弁護士・司法書士に相談することです。
警察に相談する
身の危険性を感じるような「脅迫的な取立て」「生活を脅かすような脅し文句」の被害を受けたならば、最寄りの警察に相談することが有効な解決方法です。
事件性の度合いが強ければ強いほど、警察はすぐに捜査に動いてくれるかもしれません。
しかし、警察には民事不介入の原則があります。「闇金の悪質性が少ない…」「違法性の証拠が少ない…」というように警察が判断すれば、すぐには動いてくれません。
その間、闇金は会社や家族への取立てなど行動がエスカレートする可能性がありますので、その場合、弁護士・司法書士に相談してみましょう。
弁護士・司法書士に相談する
闇金が完済させてくれないという場合、「支払いは一切しない」「関係を完全に断ち切る」ということが大切です。その場合、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することをおすすめします。
闇金は専門家が介入してくると、利用者からこれ以上お金を支払わせ続けるのは難しいと判断して和解交渉に応じるケースが一般的です。それでもしつこく取り立てを続けたら、「裁判という法的手段」に出られるリスクがあるからです。
利用者や弁護士に刑事告訴されると、罰金の支払い、有罪判決により逮捕されるリスクがあります。また、弁護士・司法書士は裁判をしないまでも「警察に闇金へ対処するように強い働きかけ」をすることが可能です。
闇金は、何よりも「営業ができない」「逮捕される」ということをもっとも恐れます。そのため、弁護士・司法書士に依頼して解決に動くのはもっとも即効性が高い方法と言えます。
まとめ
闇金が完済させてくれない理由は、正規の貸金業者から融資を受けられない利用者を長期間に渡って利用し、とことん搾取し続けるためです。
もし完済できたとしても、一度でも闇金を利用したことがある方には、何かしらの理由をつけて関係を続けようとしてきます。
そのため闇金との関係を断ち切るには、弁護士や司法書士に介入してもらうことが得策です。
闇金関連のトラブルに巻き込まれた場合は、自分ひとりで何とかしようとせずに、なるべく早めに法律の専門家を頼ることをおすすめします。