- 先払い買取現金化は新手の闇金である
- 商品の買取はせずに違法金融を営んでいる
- 古物商の許可を得ずに営業している
- 手数料は超高金利なので利用してはいけない
先払い買取サービスは2021年に入ってから新たに増えてきた買取サービス業者です。手軽に現金化できるため利用者が急増していますが、それら業者の多くは闇金ですので気をつけなくてはなりません。
この記事では、先払い買取サービスの仕組みから違法金融の闇金である理由についてご説明します。
先払い買取現金化とは
昨今、中古品の買取サービスが活況ですが、その商品買取の仕組みを悪用して生まれたのが「先払い買取」です。先払い買取現金化は、不要になった「携帯電話」「ゲーム機」「ブランド品」などの写真を業者に送ることで、すぐに査定がおこなわれ、買取が成立すれば現金が先払いされるというものです。
具体的には以下のような手順で取引が成立します。
【先払い買取の表面上の仕組みと手続き】
- 申し込み(個人情報を登録)
- iPhone、ゲーム機、ブランド品などの写真を送る
- 査定後に買取金額が先に支払われる
- 期日までにiPhone、ゲーム機を業者に郵送
実はこれは警察からの取り締まりを逃れるために装った表面上の取引内容です。中古品の売買取引は隠れ蓑で、実際におこなわれることは違法な貸金業に該当します。その詳しい実態を見ていきましょう。
先払い買取の実際の仕組み
先払い買取の実際の手続きは、写真を送った後にお金が先払いされるまでは3の順番までと同じです。しかし、業者は先払いをした後に「利用者自らが取引はキャンセルした」という体にさせます。
そして、先払い金額+キャンセル手数料を7~10日後に返金させるというのが実際の取引内容です。先払いの買取りサービスを装っていますが、業者と利用者の間にはお金のやり取りがおこなわれています。
【先払い買取の実際の仕組みと手続き】
- 申し込み(個人情報を登録)
- 融資額・支払い期日が決められた後に融資
- 期日に法外な手数料(利息)+買取金額(元金)を返済
- 支払いができなければ厳しい取り立て
しかもキャンセル手数料は利息に該当し超高金利に設定されています。また、支払いが滞ると業者は過酷な取り立て・嫌がらせをします。このように悪質な貸し付けと違法取立てをする先払い買取業者の実体は「闇金」だということがわかります。
先払い買取サービスを利用するリスク
先払い買取サービスの中にはキレイなホームページを作って魅力的なサービスであることを強調している業者もあります。一見すると、手軽に現金が借りられて便利なサービスではないかと勘違いしてしまう方もいます。
しかし、実際に商品買取りをせずに融資を持ちかけてくるような業者は確実に闇金です。悪質な違法金融にお金を借りてしまうと、以下のような様々なリスクが生じます。
- 他の違法金融に個人情報が流される
- 法外な利息に悩まされる
- 社会生活を妨害される(しつこい電話、職場・家族・近所への連絡)
- 悪事に加担させられる(携帯電話の提供、詐欺行為の手伝い)
まだ利用していない方は決して登録(入会)しないことです。利用してしまった方は適切な対処が必要です。
先払い買取業者が闇金である理由
先払い買取業者は闇金だと気づかずに利用する方は少なくないようです。しかし、買取業者であるにも関わらず、「先払いをする」「取引をキャンセルさせる」「個人情報を詳細に登録させる」など不自然なことばかりです。その実体は闇金だからです。
買取りと称して違法な金融取引をおこなっている
闇金は警察からの摘発を恐れて、数年前から「給料ファクタリング」「ツケ払い・後払い現金化」と手を変え品を変えて違法金融に見えないように、言い逃れできるように工夫しています。
しかし、これらの業者も警察に目をつけられるようになったため、2021年に登場したのが「先払い買取」という仕組みのサービスです。この先払い買取は、これまで説明したように買取とはいうものの、実際には商品は買い取らず、お金を貸して、高金利で返済させるという違法金融そのものです。
買取業者でしかも簡単に現金化できるということで、うっかり騙されて利用する人は少なくありません。また、闇金であることは分かっていながら利用する人もいます。
いずれにしても相手は悪質な闇金ですので決して利用してはいけません。
古物商許可証なしに買取業者を名乗っている
買取業者・リサイクル業者・質屋は管轄の警察署に古物商許可申請をおこない、許可を得てからでないと営業はできません。先払い買取は主に「iPhone」「ゲーム機」「ブランド品」の買取をサービスに謳っていますが、当然ながらそのような商品を扱う場合、許可が必要です。
古物を取り扱う正規業者はホームページに下記のような記載を必ずしています。
もしも記載が無い業者は古物商許可を得ていない違法業者の可能性が高いでしょう。また、記載があったとしても虚偽の記載をしている可能性があります。ご自身が利用した先払い業者が古物商許可を持っているかを確認する場合、まずは業者の所在地がある都道府県を確認しましょう。
そして「○○県古物商URL届出一覧」と検索してみましょう。そうすると、該当する県の公安委員会のホームページが表示されます。そのページに県内で古物商許可を得ている業者の一覧が掲載されています。
そこに会社名(URL)の記載が無ければ未登録の怪しい業者と断定できます。
【参考】:古物商許可申請|警視庁
詳細な個人情報を提出させる
商品が届いていないのに先払いでお金を支払うというのは通常の商取引ではあり得ません。よほどの信頼関係か担保となるものが無ければ借り逃げされるのは目に見えています。
しかし、先払い買取業者は、入会時に詳細な個人情報(IDセルフィー、勤務先、保証人など)を提出させますので、それが担保になります。このように詳細な個人情報を提出させるのは闇金が必ずおこなう基本の手口です。
利用者は個人情報を提出しているために、お金を支払わないと何をされるか分からないという恐怖から業者の意のままになることがあります。
違法な取り立てをおこなう
当サイトには先払い買取の被害者からの相談が寄せられます。そこでよく聞かれる悩みが、支払いが滞った際の、「鬼電・鬼メールによる脅し」「家族・職場への催促」という闇金ならではの取り立てです。
一般の貸金業者はこのような暴力的な取り立ては法律で禁じられていますが、闇金はそんなことはお構い無しです。返済のための借入れを繰り返して自転車操業になっている人は、5社以上もの業者から取り立てにあっている方もいます。
そのような方は専門家に相談してできるだけ早期の解決が必要です。
キャンセル手数料(利息)が超高金利
先払い業者のキャンセル手数料は貸金業でいう利息に該当することは説明しましたが、その利息は超高金利です。通常買取額(融資額)は1~5万円の業者が多いですが、キャンセル料(利息)は買取額の50%~も支払わせるケースは少なくありません。
その場合、5万円借りて10日後に2.5万円の利息を支払わせることになりますので闇金でいう“トゴ(10日で5割)”の超高金利になります。
先払い買取のトラブルは弁護士・司法書士へ相談を
先払い買取は新手の闇金商法です。その実体は、闇金であることは分かっていながらも被害の実態を解明できておらず警察はなかなか動いてくれないという現状があります。
そのため、「取り立てを止める」「支払いを免除する」「相手と和解する」のが目的ならば弁護士・司法書士という法律の専門家に相談することをおすすめします。
違法金融に強い専門家ならば、即日に業者との交渉に入ってくれますので、取り立てもすぐに止まります。
先払い買取のトラブル事例
先払い買取についてのQ&Aサイトの投稿
質問
先払い買取りは、闇金と同じだと昨日のNHKが報道していましたが、ネットで検索すると、先払い買取り業者がたくさん出てきます。
先払い買取りという取引形態自体が違法なのでしょうか?それともキャンセル料が高すぎるところだけが法的に問題なのでしょうか?回答
そうです、
キャンセル料や手数料の名目で要求されるお金が、金利換算すると法定金利の上限を超えているということです。それを金融業ではないと言って逃れるところが、闇金と同じだという意味です、
【引用】:YAHOO!知恵袋
質問
最近商品の買取サイトで、買取金額を先に送ってくれるシステムの会社がありますが利用するに当たってなにか注意点などありますでしょうか?
少しの現金がほしいときなんかに気軽に利用できればと思ってるんですが、事前に用意しておくべきものや気をつけるべき点があれば教えて頂きたいです。回答
普通に商品送るなら何の問題はないかと。
ただ、商品持ってないのにお金だけ受け取ったり、商品送らなかった場合は詐欺罪に当たる可能性も。【引用】:YAHOO!知恵袋
先払い買取の事件(ニュース)
スマートフォンなどの買い取りを装って現金を送り、後になって高額な違約金を請求する「先払い買い取り」と呼ばれる手口の実態は違法なヤミ金融で、契約は無効だとして、大阪府や兵庫県に住む利用者が15日、業者に損害賠償を求めて大阪、吹田、西宮3簡裁に一斉提訴した。
スマートフォンなどの買い取りを装って現金を前払いし、後になって高額な「違約金」を請求する「先払い買い取り」と呼ばれる手口の被害が拡大している。新手のヤミ金融とみられ、インターネット上の手続きで現金を借りられる手軽さから利用者が増加。年利換算で2千%相当の支払いを求められた人もいる。警察庁などは「多重債務に陥る可能性がある」と注意を呼びかける。
コロナ禍で生活に困窮した人をねらう「先払い買い取り」と呼ばれる商法が横行しています。商品の買い取りを装って現金を前払いし、後になって高額な違約金や手数料を請求するもので、弁護士や司法書士らが全国規模の組織を設立し、23日、国に対し“新手のヤミ金”と位置づけて規制を強化するよう申し入れました。
【引用】:「先払い買い取り」商法が横行 規制強化を弁護士など国に要請 | NHK(2021/12/23)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211223/k10013401251000.html (リンク切れ)
金融庁は、商品の買い取りをうたって高額な違約金を請求する「先払い買い取り現金化」について、違法なヤミ金融業者が多いとして対策の強化に乗り出す。警察庁などと23日から注意喚起を始め、違法な業者の摘発にもつなげる。
【引用】:金融庁、先払い買い取り現金化は「ヤミ金融」 警察庁と対策を強化へ | 朝日新聞DIGITAL(2022/03/23)
こわもてが登場する映画やドラマでおなじみのヤミ金業者が、新型コロナウイルス禍で収入が減ったサラリーマンらをターゲットにして、高金利の融資をチラつかせている。利息の上限を定めた法律の網を逃れるため、貸し付けの手口は巧妙化。二束三文の「商品」を介在させることで売買を装うのが最近のはやりだ。危機感を募らせた弁護士や司法書士らは昨年12月に被害撲滅を目的とした全国組織を結成し、違法金利の返還を求めた訴訟を一斉に起こすことも検討している。
金融庁の注意勧告
いわゆる「先払い買取現金化」は、
○ 商品売買(※1)を装っているが、契約の解除(キャンセル)を前提としている。(※2)
(※1)ネット上の商品(スマホ、ゲーム機等)の画像など、利用者の手元にない商品を対象とすることが多い。また、業者側から商品画像が提供されることもある。
(※2)業者は実際に商品を買い取るつもりはないため、対象の商品の価値に関心はなく、契約に当たって は、主として利用者の収入等による審査が行われる。
○ 違約金(キャンセル料)名目の金銭が高額。
といった特徴があります。
【引用】:商品の買取りをうたって高額な違約金を請求する悪質な業者にご注意ください!~いわゆる「先払い買取」現金化 に要注意~ | 金融庁
まとめ
先払い買取は最初は親切な対応をするため、信頼できる業者だと安心してサービスを利用する方もいます。しかし、相手は闇金ですので取引をすることで社会生活において様々なリスクにさらされます。
もしも利用してしまったら、違法金融に詳しい弁護士・司法書士に相談して適切に解決することが必要です。