こんにちは。ホワイトベアー株式会社代表の横尾です。
海外からの観光客が増加している昨今ですが、最近よく“インバウンド”という「日本に来る外国人観光客」を指すワードが聞かれます。
このインバウンドは、ビジネス用語としては、顧客からの電話やメールなどに対応するコールセンター業務を指すと共に、ユーザーに自社のウェブサイトに興味・関心を持ってもらう購買行動プロセスという意味でも使われます。
この購買行動プロセスにおける新しいマーケティングの方法論である「インバウンドマーケティング」という言葉も同じく耳にする機会が増えました。
今回は、インバウンドマーケティングにおけるSEO対策の重要性について解説していきたいと思います。
インバウンドマーケティングとは
インバウンドマーケティングとは、2012年ごろから日本国内でも聞かれるようになったワードですが、これは米国のHabSpot社が提唱したウェブマーケティングの考え方です。
まず、潜在ユーザーに“自社商品(サービス)を発見してもらう”ということが必要で、そのためにウェブ上で有益なコンテンツを提供して、“興味・関心”を持ってもらいます。そして、購入、ソーシャル上でのシェア、顧客化、という一連の導線設計の施策により顧客とのコミュニケーションをおこなうというウェブマーケティングのことです。
では、これまでの消費者の購買心理として広く知られる「AIDMA」、「AISAS」とは何が違うのでしょうか?
AIDMA(アイドマの法則)とは
1920年代に米国のサミュエル・ローランドが提唱した広告を通した消費者の購買までの心理プロセスにAIDMAの法則(アイドマ)というものがあります。
これは人は以下の5つの欲求行動にもとづいて消費行動をおこなうというものです。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
AISAS(アイサス)とは
インターネット登場後の購買心理プロセスとしてAISAS(アイサス)というモデルも提唱されました。
これは2004年に広告代理店の電通が提唱した考え方で、インターネットユーザーは検索をして、そこで比較検討をおこない、購入後にはその評価や情報を他人とシェアしたくなるという欲求行動が働くというものです。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動、購入)
- Share(評価をネット上で共有)
AIDMA、AISASとインバウンドマーケティングの違い
AIDMA、AISASは広告業界で提唱されたモデルです。
つまり、AIDMAはマス広告(TV・ラジオ、新聞・雑誌、屋外広告など)を前提にした消費者の購買プロセス概念であり、AISASはネットユーザーの心理プロセスが追記されていますが、Attention(注意)、Interest(関心)においてはマス広告の活用が前提となる考え方です。
一方、インバウンドマーケティングはWeb上のコンテンツを通して潜在顧客にまずは自社サービスを見つけてもらうというところから始まります。マス媒体を使わずにWEB上でユーザーとの深い関係性を構築していくという部分が大きな違いですね。
ちなみにHubSpot社では、インバウンドマーケティングのキーワードとしてattract(惹きつけ、喚起)、engage(愛着、信頼)、delight(顧客満足)などを挙げています。
アウトバウンドマーケティングとは
ここで、インバウンドマーケティングと真逆のモデルである「アウトバウンドマーケティング」についても簡単に記しておきます。
アウトバウンドとは、企業側からユーザーに直接的に商品・サービスを売り込むというアプローチです。具体的な方法としては以下の様なマーケティング方法が取られます。
- テレアポ
- 飛び込み営業
- メール営業
- ダイレクトメール(DM)
- FAXDM
- セミナー
このアウトバウンドはこれまで多くの企業が取り入れて効果があった手法です。
今でも多くの企業が集客方法として採用していますが、これからの集客マーケティング方法としての有効性には大きな疑問符が持たれています。
アウトバウンドがダメな理由
アウトバウンドはセミナー、講演などユーザーが自発的に参加する場合を除き、基本的には企業側からの“押し売り”です。
そこで需要と供給のニーズがマッチしていたら問題なかったわけですが、今のユーザーは商品・サービスを購入する際にネットで同一商品・サービスを比較・検討するのが当たり前になりました。
多くの選択肢の中から評判やユーザーレビューをチェックして納得した上で自発的に購買行動に移るというケースが増えています。そのような中でテレアポばかりの営業をおこなっている会社は迷惑がられるケースも多く、ネット上で悪評が立ちやすくなります。
これら悪評がネット上で拡散すれば商品販売(リクルート活動も)で足を引っ張ることになるのは言うまでもありません。(会社名で検索した際に悪評ページが残っていると企業活動に大きなダメージとなる)
そのため、企業の集客活動ではアウトバウンドにはそろそろ見切りを付けてインバウンドにシフトすべきであろうというのがここでの結論になります。
インバウンドマーケティングの実践とSEO対策
さて、少し前説が長くなってしまいましたが、ここからインバウンドマーケティングとSEO対策について書いていきます。
インバウンドマーケティングでは、潜在顧客にWEB上で「自社商品(サービス)を見つけもらう、知ってもらう」というところから始まります。
ネットユーザーの約7割が何かを“調べる”、“探す”というアクション時には検索エンジンを利用すると言われています。そのため、インバウンドマーケティングの実践段階で最初の取り組みとしてSEO対策は欠かすことの出来ない重要な施策となります。
そして、インバウンドマーケティング視点のSEO対策では、特定のキーワードの検索順位を上げればそれで終わりではなく、キーワード設計に基づき有益なコンテンツを多く作って、潜在ユーザーに広く知ってもらうというコンテンツ施策が必要になります。
さらに、サイト内部最適化、ソーシャルメディアマーケティング、UI設計、モバイルフレンドリー化など、SEO対策とともにユーザービリティを考えてウェブサイト全体の最適化を図る必要があります。
インバウンドマーケティングとSEOのポイント
ここからはインバウンドマーケティング視点のSEO対策において具体的なフェーズ(段階)ごとの施策について説明します。
ユーザーに知ってもらう【発見フェーズ】
インバウンドにより、潜在ユーザーにあなたのウェブサイト(商品・サービス)を“知ってもらう”、“発見してもらう”ためには、オーガニック検索(自然検索)からアクセス流入を増やすことが有効な手段です。
そのためにキーワード設計とコンテンツ設計をおこない「ユーザーにとって有益なコンテンツ」をキーワードに沿って作成していきます。
また、検索流入の最大化を目指すなら、商品・サービスに関連したコンテンツ(ページ)を増産していくという考え方が必要です。
【ユーザーに知ってもらう施策ポイント】
- 潜在ユーザーを狙ったキーワード設計
- ユーザー目線での有益なコンテンツ制作(検索エンジンを意識しない)
- コンテンツ増産によりオーガニック検索流入の最大化を目指す
- CMS(ブログ)を使いコンテンツの幅を広げる
コンテンツに興味・関心【好感フェーズ】
検索してタイトルを見て訪問してきたユーザーが、コンテンツに興味・関心を持ち次のステップ(購入、問合せ)に進むためには、「直帰率を減らす」、「回遊率を高める」、「滞在時間を伸ばす」というコンテンツ制作とUI設計が必要になります。
そのためには、ユーザーにとって役立つ、再訪したくなるようなコンテンツ群を作っていくのが大前提です。そして、検索クエリとコンテンツが乖離しないようにコンテンツ最適化、title最適化を図ります。
【コンテンツに興味・関心を持ってもらう施策ポイント】
- キーワードとコンテンツの一致、タイトルとコンテンツの一致
- ユーザー目線の有益なコンテンツ(問題解決型、情報型、教育型、エンタメ型 etc)
- UI設計(ユーザーインターフェース)の改善
- インフォグラフィック(画像)により分かりやすい解説
- サイト階層構造を浅く、カテゴリの整理、パンくずの設置
- 適切な内部リンク設置
ユーザーの購入を促す【アクションフェーズ】
ユーザーがウェブサイトに好感を持ってくれたら、次はユーザーの離脱率を減らす、購入に辿り着きやすくするというサイト内設計の施策をおこないます。
そのためには、商品(サービス)の問合せフォームが常に目に入るような位置に設置する。(ヘッダー、フッター、サイド)また、ライトユーザーに対しては「お試し」、「特典」など何らかのインセンティブを設ける方法も有効です。
他にもメルマガ購読、無料診断などの施策によりユーザー情報を取得することで、その後のマーケティング資産となり、別な商品提案により購入に結びけることが可能になります。
また、購入段階では入力フォーム最適化(EFO)も重要な施策です。いずれにしてもユーザーが購入までのアクションにスムーズに移行できるサイト設計が求められます。
【ユーザーに購買してもらう施策ポイント】
- 問合せフォームを目立つ位置に設置
- 特典、インセンティブの活用
- ユーザー情報の取得をおこなう
- 入力フォーム最適化(EFO)をおこなう
ソーシャル上でのコンテンツ拡散【シェアフェーズ】
現在のSEO対策においては、コンテンツとソーシャルとの連携は必要不可欠なものです。facebook、Twitter、はてなブックマークのようなソーシャルメディアでのコンテンツ拡散は、自社商品(サービス)の認知度が広がるとともに、自然にリンクが増える効果もあります。(ナチュラルリンク)
ソーシャルからのアクセス流入経路の拡大はインバウンドマーケティングでも重視しているポイントですが、これはSEO対策においても同様です。
【ソーシャル流入経路拡大の施策ポイント】
- ソーシャルボタンの設置
- ソーシャルメディアの運用強化
- シェアされやすいコンテンツ設計
インバウンドマーケティングとSEOによりブランド化がゴール
インバウンドマーケティングとSEO対策を考えた場合、最終的なゴールは何かと言うと大きな意味でアクセスアップ、売上アップなのは言うまでもありませんが、さらにブランド化を目指すべきだと考えます。
商品名(サービス名)の認知度が上がれば、ユーザーからの信頼度も増しますので発信するコンテンツ情報がネット上でシェアされやすくなります。シェア拡散が広がると当然ながらSEOにおいても有利です。
また、商品名(ブランド名)で検索される回数が多いサイトはポピュラリティの観点でGoogleは検索ランキングにおいても高く評価します。
このようにブランド化がインバウンドマーケティング、SEOにおいて好循環を産むことになります。
まとめ
消費者の購買行動心理が大きく変化する中、インバウンドマーケティングという考え方はこれからのウェブビジネスにおいて必要不可欠なマーケティング活動だと言えます。
しかし、インバウンドマーケティングでは実践する施策内容は多岐に渡ります。ですので、まずは検索エンジン集客にフォーカスしてインバウンド化を進めていくというのも企業のウェブビジネスにおいては現実的かつ実利に繋がる方法だと考えます。
ホワイトベアーは、コンテンツSEO、サイト内部最適化技術、UI設計、ソーシャルメディア拡散などインバウンドマーケティングの考え方による総合的なSEO設計サービスをご提供できます。
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