数年前から各WEBマーケティング方面で名前を見るようになったグロースハック。
今ではインターネットサービスを成長させるために欠かせないと言われており、広告費や開発費など費用をかけずにビジネスを加速させる方法です。
グロースハックを専門に行う人も存在し、“グロースハッカー”とも呼ばれています。
そもそもはアメリカで流行し日本にも浸透してきましたが、結局のところは何をするの?というのがわかりづらいかもしれません。
今回は、グロースハックの魅力と実際の成功事例をご紹介します。そもそもいったいどんなものかわかるようでわからない、と感じている方へ分かりやすいよう説明を進めていきます。
そもそもグロースハックって何?
グロースハックとは、データ・ユーザー意見などを分析しインターネットサービスを成長させることです。グロース(Growth)とは英語で成長を意味します。そして成長させるための仕組みづくりまでを行うことで、一時的ではない恒久的な成功を実現します。
ここで疑問を感じるのが、「それってWebマーケティングじゃないの?」です。おおざっぱにまとめると、広告費と施策の決定方法が異なります。
Webマーケティング:
- 広告費を使うことが前提
- 成功事例に基づいて施策を行う
グロースハック:
- 広告費など費用をかけないことが前提
- 成功事例にとらわれず施策を生み出す
グロースハックはお金をかけず自由に動き回ることで、インターネット事業を成功に導く手段ということになります。
グロースハックを行うにあたって 考え方と目標
さあグロースハックをしよう!となったら覚えておきたいことが、考え方と目標についてです。まずは基本を知っておきましょう。
そしてすでにグロースハックとして確立されている手法である「AARRR」についても見ていきます。
基本の考え方と目標
グロースハックはお金をかけずに施策を行い、長期的に事業を成功させることを必ず頭に置いておきましょう。重要なポイントは、ユーザー視点でアイデアを出し実行することです。
そして目標成果は、長期的な収益化に結び付く具体的な数値です。
AARRR
ユーザー行動の頭文字を取った言葉で「アー」と読みます。ユーザーの行動を5つの段階に分け、それぞれの段階に注力してアイデアを出すという考え方です。
- A:Acquisition → ユーザー獲得:ユーザーをたくさん集める施策
- A:Activation → 利用開始:会員登録をしやすくする、魅力的な機能の追加や改善
- R:Retention → リピート利用:継続利用したくなる工夫
- R:Referral → 情報共有:人に紹介したくなる仕組みづくり
- R:Revenue → 収益:売上を高める施策
そして目標は、「○年間で会員数を○○万人獲得」「人へ紹介したくなる仕掛けを作り拡散数○○万件」」などとなります。
おまけ:ABテストもグロースハック!?
古くからあるABテストもグロースハックの1つです。
仮説をもとにA案とB案を比較する検証方法ですね。古典的に思える手法ですがグロースハックに注目が集まるとともにABテストも再び重要視されています。サイト改善にABテストは外せません。
グロースハックの成功事例
それではグロースハックの成功事例をご紹介していきます。
概念でガチガチに固めるよりも成功事例を参考にした方が、グロースハックはなんぞや?というのが頭にすっと入るかもしれません。
一晩で7万ユーザーの獲得に成功【Dropbox】
ご存知クラウドストレージサービスのDropbox。インターネット上に写真やファイルを保存できるサービスとして1億以上のユーザーを集めています。
グロースハックの目的:ユーザー数を増やす
やったことと結果:
- 既存ユーザーがサービスを友人へシェアすると追加容量がプレゼントされる
→30日間で2800万シェア - 4分間のシンプルな使い方説明動画を公開
→一晩で7万人の会員登録
既存ユーザーにとって一番うれしいことは何かを考えると、より多くの容量が手に入ること。決して「車が当たる!」キャンペーンではないということですね。
また、新規ユーザーが知りたいのは使い方の手順ということに着目し、動画を公開しています。まるで社内スタッフにオペレーションを説明するかのようなシンプルな動画です。
グロースハックはユーザー視点に立つことが重要です。
[参考]これがシリコンバレー流グロースハック!Dropboxが一晩に7万人を集めた方法
40日でユーザー登録数2倍以上に【転職会議】
企業のクチコミを掲載している転職会議。企業の評判や年収など生の声を見られるサイトとして就職や転職に役立つサービスを提供しています。
グロースハックの目的:ユーザー登録数の増加
やったことと結果:
- エントリーフォーム最適化(EFO)として32回ものABテストを実施
→たった40日でユーザー登録数が2倍以上に増加。
ユーザインターフェースの改善を日常的にやっているサイトは多くとも、ここまで短期間に回数を重ねていないのではないでしょうか。立場や部署に関係なく1人1案以上出すといった明確なルール付けも参考になります。
有料会員数3年で400万人を目指す【クックパッド】
レシピサイトの最大手クックパッド。レシピ検索など無料で利用できるものの、一部機能は有料会員のみに提供しており、月額制の利用料を収益としているサイト。
グロースハックの目的:有料会員数の増加、継続利用率アップ
やったことと結果:
- 有料会員登録後一定期間はお金がかからずに利用できる、誕生月に3か月無料クーポンを配布などのほか細かいABテストを重ねる
→各々の施策で着実に会員数が増加。
やってきたことの中身をじっくり見てみると「大手サイトがここまで地味なことをやっている!」と驚く内容です。サイトの規模に関わらず、細やかなグロースハックが大きな利益となることを再認識します。
まずはユーザー体験を最大化させること【iQON】
ファッションコーディネートを楽しめるアプリとして女性から支持されているiQON。240万人を超えるユーザー数(2015年12月時点)は、広告なしでグロースハックのみで獲得。
グロースハックの目的:ユーザー体験の最大化
やったことと結果:
- スタートアップ時はPCだけのサービスだったものを、ターゲットユーザー視点に立ちPCでの開発をやめスマホアプリで提供。
→1日の投稿数が40倍以上に増加
ユーザー体験の最大化というのはグロースハックの基本であることがわかります。たくさんの人に使ってもらい、機能やサービスを最大限楽しんでもらう、これが本当の意味でのグロース(成長)ですね。
[参考]まずは根性、そして「ユーザー体験の最大化」を考えろ!iQONの投稿数を40倍に急成長させたグロースハックの考え方
まとめ
グロースハックを実践することで成功を収めている企業やサイトをご紹介しました。
スタートアップ時の集客手法というイメージが強いかもしれませんが、幅広いサイトで取り入れられていることがわかります。
しかし、「どのサイトも規模が大きいサイトだから成功したんだよね」と思っていませんか?忘れてはいけないのは、どのサイトも最初は規模が小さかったということです。お金がない中グロースハックを実践していくことで今日に至ります。
とはいえ、実現できている企業やサイトはまだまだ少ないと言えます。
今回の成功事例を参考にどう取り組んでいくか検討してみてはいかがでしょうか?