- 近年は闇金がテレグラムで連絡をとるケースが増えている
- テレグラムの闇金から借りて返せないと闇バイトを強要されることが多い
- 個人間融資や求人でテレグラムに誘導されたら要注意
- テレグラムの闇金から借りてしまったら弁護士・司法書士への相談が有効である
近年、テレグラムを悪用した闇金の被害に遭うケースが増えています。
テレグラムは便利なメッセージングアプリですが、個人間融資やソフト闇金からの借り入れでテレグラムに誘導された場合は、悪質な被害に遭う可能性が高いので注意が必要です。
この記事では、テレグラムを悪用した闇金の手口やリスク、被害に遭わないための注意点、さらには闇金から借りてしまった場合の対処方法までを解説します。
テレグラムとは
テレグラムとは、無料で使えるメッセージングアプリのひとつです。
LINEと同じようにチャットや電話、ビデオ通話などが利用できますが、LINEよりもプライバシー保護やセキュリティが強化されているという特徴があります。
チャット送受信される情報は暗号化されており、受信したメッセージを自動的に消去する機能もあるため、秘匿性が高いのが特徴的です。
このように身バレを防いだり、やり取りした情報を見られないといった特徴があるため、テレグラムは闇金が悪用するケースが非常に増えています。
また、テレグラムはTelegram Messenger LLPという海外の企業が運営していることから、日本の警察が情報開示請求をしても情報が開示される可能性は低く、相手の身元を特定することが難しいという問題もあります。
※昨今では闇金が返済できない利用者に闇バイトをするようにテレグラムから指示するケースなどもあります。テレグラムへ誘導されたら断るのが賢明な判断です。
闇金がテレグラムを悪用する手口
闇金は、以下のような流れでテレグラムを悪用し、営業することが多くなってきています。
SNSなどで個人間融資を持ちかける
まずは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを中心として、インターネットへの投稿により、個人間融資を募ります。
DMやメールで、個別に勧誘することもあります。
「お金貸します」「当日融資可」「審査なし」「ブラックOK」など、お金に困っている人が注目しやすい誘い文句を使用していることが多いです。
求人のふりをして闇金が融資を持ちかけるケースもある
SNSのバイト募集に申し込んだら、相手が闇金だったというケースもあります。
いわゆる闇バイトのような募集ですが、SNSなどへの投稿に、「簡単なお仕事で高額報酬」「即日支払」「ホワイト案件」「リスクなし」などの誘い文句があり、それに申し込んだら、闇金が個人間融資のふりをしてテレグラムに誘導して融資を持ちかけるわけです。
SNSを使って割のいいバイトを探している人の多くはお金に困っているため、ついつい言われるがまま借りてしまいます。相手が闇金と気付いたときには後の祭りで、高い利息を返せず厳しい取り立てを受けることになります。
テレグラムでの連絡を指示される
個人間融資への申し込みにせよ、求人への応募にせよ、SNSでのDMやLINE、メールなどで連絡をすると、すぐに「今後のやりとりはテレグラムで行います」と告げられ、テレグラムに誘導されます。
テレグラムで相手と繋がると、借入可能額や返済期限、利息などの条件を提示されます。
身分証明書の写真など個人情報を送らされる
闇金がお金を貸す際には、本人確認などの口実で身分証明書の写真を送信することを要求されます。
それだけでなく、申込者本人の氏名、住所、連絡先はもちろんのこと、職場や家族、親戚、友人・知人などの連絡先も聞き出されます。闇金はある程度の情報を渡さなければ、お金を借してくれないため、利用者はやむを得ずたくさんの個人情報を渡してしまうことになります。
以上のやりとりはテレグラムで行われますが、一定の時間が経過すると、メッセージは自動的に消去されてしまいます。
テレグラムを悪用する闇金を利用するリスク
テレグラムを悪用する闇金を利用してしまうと、以下のように重大なリスクが生じますので、注意しましょう。
法外な利息を要求される
闇金からお金を借りる際には、一般的にトイチやトサン、トゴ(10日ごとに1、3、5割)など、莫大な利息を要求されます。
年利に換算すると1,000%を超えることも多く、利息制限法の上限金利(借入額に応じて年15~20%)や出資法の上限金利(個人間借金では年109.5%)を著しくこえることがほとんどです。
勧誘の際に提示された条件よりも大幅に高額の利息を要求されることも多いですが、「話が違う」などと指摘すると、「返済の実績を作れば利息は安くなっていく」などの口実で丸め込まれ、借りてしまう人が跡を絶ちません。
しかし、このように法外な利息を支払うことは、不可能に近いことです。
脅迫的な取り立てを執拗に受ける
闇金への返済が遅れると脅迫的な取り立てが始まります。かつ、その取り立ては執拗に続くケースがほとんどです。
取り立ても主にテレグラムで行われますが、電話やメッセージが連日100件以上来ることも珍しくありません。
中には、無理な取り立てを行わない「ソフト闇金」もいますが、高額な利息の支払いを執拗に要求される点は同じです。
家族や知人、職場などに連絡される
借主本人が支払えない場合、闇金は家族や知人、職場など、事前に聞き出した関係者に対しても、片っ端から連絡します。
関係者へ「代わりに支払え」と支払いを迫ることもあれば、「○○さんに貸したお金を返してもらえないので、支払うように伝えてください」などと告げることもあります。
借主としては、「自分が支払わないことで第三者に迷惑がかかってしまう」と、追い込まれた気持ちになってしまうことでしょう。
このように精神的に追い込むことによって、何としてでもお金を用意させることが、闇金の目的なのです。
個人情報を悪用される
闇金は、追い込みをかけても借主が支払わない場合には、個人情報を悪用し、さらに追い込みをかけることもあります。
SNSなどで借主の実名や連絡先とともに顔写真を掲載し、「借りた金を返さないドロボー」などと、誹謗中傷のコメントを投稿するような例が典型的です。そして、借主に対して「削除してほしければ返済しろ」などと言って支払いを迫ります。
もっとも、SNSなどに投稿すると足が着くおそれもあることから、テレグラムを悪用する闇金は、安易に借主の個人情報を拡散するような嫌がらせは行わないことも考えられます。
表立った嫌がらせ行為がなくても、他の闇金や詐欺業者などで個人情報が横流しされることは非常に多いです。そのため、さまざまな悪質業者からの連絡が来る可能性が高く、新たな被害に遭わないように注意する必要があります。
闇バイトをするように促される
近年の闇金は、返済できない借主に対して無理な取り立てを継続するのではなく、闇バイトを強要することが増えてきています。特に、テレグラムを悪用する闇金にその傾向が強いといえます。
例えば、特殊詐欺のかけ子や受け子、出し子、違法薬物などの受け取りや運搬、空き巣や強盗といった犯罪を実行させ、それと引き換えに返済を免除したり、利息を減らしたりするのです。
テレグラムで闇金を営むというよりも、闇バイトへ引き込む目的でまずは高金利でお金を貸し付けて、逃げられない状況に追い込むケースも見受けられます。
テレグラムを悪用した闇金の被害に遭わないための注意点
テレグラムを悪用した闇金の被害に遭わないためには、以下のポイントに注意しましょう。
そもそも闇金を利用しない
そもそも闇金は、法外な金利を設定することで完済を困難とし、一人の借主から徹底的にお金を搾り取ることを目的としています。
「すぐに返せば大丈夫だろう」と考えて借りてしまう人も多いですが、お金に困っている人が高金利の借金を完済することは難しいと言わざるを得ません。
一括で完済するためのお金を用意したとしても、闇金から「完済するためには手数料がかかる」などと難癖を付けられて、完済させてもらえないことも多いです。
ブラックリストの影響で正規の貸金業者から借りられない場合や、緊急にお金が必要となった場合でも、絶対に闇金を利用してはいけません。
簡単高収入なバイトは闇バイトだと疑う
先ほどもご説明したように、闇バイトに応募したところ個人間融資を持ちかけられて、闇金の被害に遭うケースも増えています。したがって、闇バイトに応募することもやめておきましょう。
「お金を借りるのではなく稼ごう」と考えるのは良いですが、簡単な作業で短時間のうちに高収入が得られるアルバイトなどは存在しません。
こういったバイトは闇バイトや詐欺案件である可能性が非常に高いため避けるのが無難です。
テレグラムへの誘導に乗らない
個人間融資や求人の募集や勧誘の段階では、違法な闇金や闇バイトであることに気づかないこともあるでしょう。
「この相手は安全だ」と感じて連絡してしまうこともあるかと思いますが、テレグラムやシグナル(Signal)といった秘匿性の高いアプリでのやりとりを指示された時点で、怪しいと気づくことが大切です。
テレグラムやシグナルが犯罪に悪用されるケースが増えていることについては、マスメディアでの報道などでも注意喚起されています。
もし、個人間融資や求人でテレグラムやシグナルに誘導された場合は、その業者の利用は控えた方がよいでしょう。
闇金から借りてしまったときにやってはいけないこと
もし、闇金から借りてしまった場合に、以下のことをやってしまうと深刻な被害を受ける可能性が高いので、注意が必要です。
要求どおりに支払い続ける
闇金から要求されるがままに支払い続けるのは、非常に危険です。
先ほどもご説明したように、闇金は借主に完済させず、高額の利息を支払わせ続けることを目的としています。要求どおりに支払おうとすると、数万円しか借りていないのに、数十万円から数百万円ものお金をむしり取られることにもなりかねません。
そもそも、闇金からの借金は返済する必要がないことを知っておきましょう。
出資法の上限金利(年109.5%)を著しく超える金利を伴う貸し付けは、公序良俗違反として無効です。闇金から受け取ったお金は不法原因給付に該当するため、返還する必要がないのです。このことは、最高裁判所の判定でも認められています。
自分で支払いの交渉をする
闇金に返済する必要がないとはいっても、借主が自分で闇金に対して「返済義務がないので払いません」などと言うのは危険です。返済期限の延期や、利息の軽減などを自分で交渉することも、控えましょう。
自分で交渉しようとすると、高圧的な態度で支払いを迫られたり、関係者に連絡されたり、個人情報を悪用されたり、闇バイトを強要されたりなどの被害に遭うことが目に見えています。
闇金に対しては、弁護士または司法書士といった法律の専門家を通して対処することをおすすめします。
闇バイトに手を出す
闇バイトには決して手を出してはいけません。
強盗などの凶悪犯罪はもちろんのこと、特殊詐欺の手伝いであっても、闇バイトは組織的な犯行とみなされるため、厳しく処罰される傾向があるからです。初犯でも懲役の実刑判決を受ける可能性が十分にあります。
実際に犯行に及ばなくても、闇バイトに応募して個人情報を相手に渡してしまうと、断ることが難しくなってしまいます。闇バイトには、応募すらしてはいけません。
テレグラムを悪用した闇金を利用してしまったときの対処法
テレグラムを悪用した闇金を利用してしまったときの正しい解決方法は、以下のとおりです。
証拠を確保する
闇金問題を解決するためには、一人で対処するのではなく、専門家の力を借りることが大切です。そのためには、まず証拠を確保しておくことが大切です。闇金とのやりとりの内容を、証拠化して残しておきましょう。
テレグラムにはメッセージを自動削除する機能がありますが、削除されるまでの期間は24時間または7日間で設定する仕様となっています。
闇金とのやりとりが削除される前に、スクリーンショットで保存すると証拠化できます。
電話で闇金と話す際には、ボイスレコーダーなどで通話内容を録音しておくことも有効です。
警察に相談する
脅迫的な取り立てや闇バイトの強要などで困ったときは、警察に相談するのもよいでしょう。闇金との取引に関する証拠があれば、警察が動くことも期待できます。
警察から闇金に連絡して警告してもらうだけで、取り立てがいったん止まることもよくあります。
ただし、ほとぼりが冷めたころに取り立てが再開することも多いですし、実害が生じていない場合などでは、警察が動いてくれないことも多いです。
弁護士・司法書士に相談する
闇金問題を根本的に解決するためには、弁護士または司法書士といった法律の専門家への相談が有効です。
闇金も法的措置を恐れていますし、また、弁護士・司法書士に依頼した借主からはお金を回収できないことも理解しています。
そのため、弁護士・司法書士が介入すれば、ほとんどの場合は闇金の取り立てが止まり、根本解決が期待できるのです。
弁護士・司法書士に依頼してテレグラムの闇金問題を解決する流れ
借主から以来を受けた弁護士・司法書士は、まず、闇金に連絡をとって脅迫的な取り立てなどの違法行為を止めるように交渉し、止めない場合は法的措置をとると警告します。
この段階で、闇金が諦めて取り立てを止め、解決することが多いです。
取り立てが続く場合には、返済金の振込先口座の凍結や、刑事告訴などの法的措置を用いて、闇金が営業できないように追い込んでいきます。
ただし、テレグラムを悪用した闇金は足がつきにくいという特徴がありますので、有効な法的措置をとってもらうためには、証拠を確保しておくことが重要です。弁護士・司法書士に相談すれば、有力な証拠の集め方についてもアドバイスが受けられます。
まとめ
闇金の手口は、年々、巧妙化しています。テレグラムを悪用する手口も、そのひとつと言えるでしょう。
テレグラムを悪用した闇金を利用してしまうと、警察の手に負えないケースも多いことから、解決するためには弁護士・司法書士の力を借りることが重要となります。
闇金には手を出すべきではありませんが、もし利用してしまった場合は、要求されるがままに支払ったり、闇バイトに手を出したりせず、すぐ弁護士・司法書士へご相談ください。
法律の専門家の力を借りて、闇金問題を根本的に解決してしまいましょう。