- 闇金への返済が遅れるとネットで個人情報を晒されるケースが増えている
- 闇金の晒し行為を放置すると社会的に重大なダメージを受けるおそれがある
- 闇金に晒された個人情報を削除するためには法的手段を要することが多い
- 弁護士に依頼して闇金問題を早期に解決することが晒し行為の防止につながる
近年、闇金による晒し行為で深刻な被害を受ける闇金利用者が増加しています。
かつての闇金による嫌がらせ行為は、頼んでいない出前を届けられたり、救急車を呼びつけられたり、自宅のドアや壁などに誹謗中傷の貼り紙をされたりするケースが主流でした。
しかし、近年ではSNSが普及したこともあり、インターネットを使って、それらSNSや掲示板などに個人情報を晒す嫌がらせが増えています。
闇金トラブルによって、大切な個人情報が晒されてしまうと、社会生活に支障をきたすことにもなりかねません。もしも晒されたら早めの対処が必要です。
この記事では、闇金による晒し行為の実態をご紹介した上で、そのリスクや対処法について解説します。
闇金による晒し行為の実態
闇金からお金を借りる際には、以下のような、様々な個人情報の提出を要求されます。
- 申込者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、SNSのアカウント情報など
- 勤務先の名称や連絡先
- 家族や親戚、友人、知人の氏名、住所、勤務先、連絡先
- 身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)の写真
- 女性の場合は裸の写真など
返済が遅れるようなことがあると、闇金は脅しの手段として、これらの個人情報をネットに晒すぞと脅してきます。遅延が度重なると実際に「晒し行為」を平気でおこないます。
晒される場所としては、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS、5ちゃんねるなどの掲示板サイトが多いですが、闇金が開設した「晒しサイト」と呼ばれるサイトで晒されることもあります。
「晒し」の方法としては、借主の実名や連絡先、顔写真などを公開した上で、「ドロボー」「詐欺師」「借りパク男(女)」などと誹謗中傷するものが多いです。
中には、借主の実名でSNSのアカウントを作成し、身分証明書の写真をプロフィール画像に使用したり、自己紹介欄で住所や連絡先、勤務先、家族構成などの個人情報を詳細に晒すものもあります。
そのアカウントを使って、友人や知人のアカウントをフォローするなどして、個人情報を拡散する悪質な手口もよく使われます。
闇金が借主の個人情報を晒す理由
闇金が晒し行為をするのは、次のような理由があります。
借主を精神的に追い込んで返済させる
第一に、返済が滞っている借主を精神的に追い込んで、返済させようとすることが挙げられます。
ネットに晒した個人情報を見せた上で、借主に対して「削除してほしければ今すぐ金を払え」「払わなければさらに拡散するぞ」と迫るわけです。
借主は、個人情報が拡散されると社会生活が破壊されると恐怖を感じて、何としてでもお金を調達して支払おうとします。これこそが闇金の思う壺です。
踏み倒されたことに対する腹いせ
闇金といえども、貸したお金を100%回収できているわけではありません。近年では、闇金には返済する必要がないという知識が広まってきたこともあり、借金を踏み倒す利用者もいます。
踏み倒された闇金業者は、返金させるための最終手段として借主の個人情報を晒すことがあります。この場合、闇金も怒り心頭ですので、晒し行為はエスカレートします。
最初から返さないつもりでお金を借りる「借りパク」を考える人もいるようですが、闇金の晒し行為によって深刻な被害を受けるおそれが強いことにご注意ください。
他の借主への見せしめ
闇金は、借主に恐怖を植え付けてお金を支払わせることが常套手段です。そのため、まずは威圧的に取立てをしたり、脅したりします。
それでも効果が薄いと感じたら、ネットに晒した他の利用者の個人情報をみせしめのため見せつけます。そして、このように晒されたくなければ支払えと脅すわけです。
「自分の個人情報が晒されたらまずい…」という恐怖心を与えて、楽にお金を支払わせようと悪巧みするわけです。
闇金に個人情報を晒されることで生じるリスク
闇金に実際に個人情報を晒されてしまうと、以下のリスクが生じます。被害が深刻化する前に、早急に対処することが重要です。
人間関係が悪化する
ネット上に実名や個人情報ともに「闇金を利用している」「しかも返済していない」といった情報が実名で晒されると、人間関係悪化の発端になります。
闇金は、嫌がらせとして晒した情報を友人・知人や家族に知らせます。そうなると、友人や知人からの信用を失ってしまうでしょう。陰口をたたかれ、肩身の狭い思いをする可能性もあります。
また家族に見られると、場合よっては離婚問題や一家離散などの事態に発展することにもなりかねません。
就職や結婚などに悪影響が及ぶ
就職や転職の際に、採用担当者が応募者の素性を調査する一環として、ネットで氏名を検索することがよくあります。
そのときに、闇金に晒された情報が検索でヒットすることがあります。「闇金を利用していた」「金銭感覚にだらしない」といった烙印を押されて、不採用となってしまう可能性が高いでしょう。
結婚を考えている場合も、交際相手やその家族に闇金の晒し情報を見られると、結婚話が保留となったり、破談となったりするおそれがあります。
仕事に支障をきたす
闇金に晒された情報が職場で広まると、上司や同僚からの信頼が失われます。会社員なら、重要な職務から外されたり、職場で陰口をたたかれて居場所がなくなります。
会社側から退職を迫られたり、自主退職に追い込まれるようなこともあるでしょう。
自営業者やフリーランスの場合、取引先に晒し情報を見られてしまうと、理由も言わずに一方的に取引を打ち切られたりすることが考えられます。
周囲の人に迷惑が及ぶことがある
闇金の晒し行為によって本人だけでなく周囲の人まで社会的信用が失われたり、迷惑が及ぶ可能性もあります。
例えば、配偶者や親、子、兄弟姉妹なども、「詐欺師の家族」などと捉えられてしまい、近所で陰口を叩かれたり、子どもはいじめに遭う可能性もあります。
また、闇金は借主の家族や友人、知人などの個人情報も併せて晒すことがあります。そうなると、これらの人たちに直接的な被害が及ぶこともあります。
犯罪被害に遭う、巻き込まれるおそれがある
個人情報を晒されると、個人間のトラブルや他の悪質業者からターゲットにされてしまい、詐欺などの被害に遭うおそれもあります。
晒された情報によって、かつての知人や見知らぬ相手からストーカー被害に遭うことが考えられます。ストーカー被害者は女性が多いですが、男性でも被害に遭う可能性があります。
また、ほかの闇金が営業をかけてきたり、押し貸しをしてきたり、あるいは特殊詐欺の勧誘が来て犯罪に巻き込まれるリスクがあります。
闇金が晒した個人情報を削除する方法
もし、闇金に個人情報を晒された場合には、至急、削除請求の手続きをとりましょう。その方法としては、以下のものがあります。
サイト管理者への削除依頼
まずは、個人情報が投稿されたサイトの管理者へ削除を依頼することで、速やかに削除してもらえる可能性があります。
X(旧Twitter)やInstagram、5ちゃんねるなどの大手プラットフォームには専用のフォームがありますので、そこから削除依頼をしてみるとよいでしょう。
※ 削除手順は2025/03/25時点の情報です。
X(旧Twitter)での削除依頼の手順
X(旧Twitter)で個人情報を晒された場合は、ヘルプセンター内の違反の報告から削除依頼ができます。
ページの案内に従って必要な操作を行ってください。
特定のポスト(旧ツイート)の削除を求める場合の手順は、以下のとおりです。
- そのポスト(旧ツイート)内の「…」をクリック
- 「ポストを報告」を開く
- 該当する項目を選択し、送信する
アカウントの削除を求めたい場合は、以下の手順で報告します。
- そのアカウントのプロフィール画面で「…」をクリック
- 「〇〇さんを報告する」をクリック
- 該当する項目を選択し、送信する
Instagramでの削除依頼の手順
Instagramで個人情報を晒された場合、特定の投稿を削除したいときの手順は以下のとおりです。
- その投稿内の「…」をクリック
- 「報告する」を選択する
- 「単に気に入らない」の場合はクリック後すぐに送信、それ以外の場合は続けて選択肢を選び送信
アカウントの削除を求めたい場合は、以下の手順で報告します。
- そのアカウントのプロフィール画面で「…」をクリック
- 「報告する」をクリック
- 「アカウントの報告」をクリック
- 該当する項目を選択し(選択肢によっては複数回選択)、送信する
5ちゃんねるの削除依頼の手順
5ちゃんねるで個人情報を晒された場合に削除を依頼する方法には、次の3種類があります。
- メールにての削除要請
- 削除要請フォームから送信
- 削除整理用掲示板への投稿
それぞれの手順は、「削除要請(入口)@5ちゃんねる掲示板」で説明されていますので、確認の上で進めていきましょう。
法的手段を活用した削除請求
サイト管理者へ削除請求をしても、対応してもらえないケースも多いです。そんなときは、法的手段を活用することも視野に入れなければなりません。
ネットに投稿された個人情報を削除するための法的手段として、次の2つが挙げられます。
- 配信差し止め請求訴訟
- 仮処分の申し立て
配信差し止め請求訴訟では、勝訴判決が確定するまで個人情報が削除されないため、仮処分の申し立てを行うのが一般的です。
仮処分とは、判決の確定を待っていては権利の実現が不可能になってしまう可能性が高い場合に、裁判所が命じる仮の処分のことです。
個人情報を晒されたことによる損害賠償請求権などの権利を保全するために、投稿の削除を仮に命じることを求めて申し立てることができます。
仮処分命令が発令されると、通常は投稿が削除されて目的を果たすことができますので、損害賠償請求訴訟などの本訴訟を提起することは不要です。
申し立てから仮処分命令の発令までに1~2ヶ月程度かかりますが、通常の訴訟を提起するよりは、早期に個人情報を削除できる可能性が高いです。
弁護士を通じた削除請求
迅速に個人情報を削除するためには、弁護士に削除請求を依頼することが最も有効です。
サイト管理者へ削除依頼をするにしても、弁護士を通じて送信した方が削除してもらえる可能性が高まります。
法的手段を要する場合でも、弁護士が複雑な手続きを的確に進めてくれますので、スピーディーな解決が期待できます。
ひとりで悩んでいると、個人情報が拡散されて深刻な被害に発展する可能性が高いので、早めに弁護士のサポートを受けた方がよいでしょう。
闇金に個人情報を晒されないためにできること
闇金への返済が厳しい場合でも、晒し行為は事前に防止するに越したことはありません。そのためにできることとして、以下の2つが挙げられます。
警察に相談する
闇金問題を解決するには、警察に相談するのもひとつの方法です。
警察から闇金へ警告の電話をかけてもらえれば、取り立てがいったん止まることもあります。さらに、警察がサイバーパトロールを強化していることは闇金も把握していますので、晒し行為を抑止する効果も、ある程度は期待できます。
ただし、実害が発生していなければ基本的に警察は動いてくれませんので、警察だけでなく弁護士・司法書士へ相談することも重要となります。
弁護士・司法書士に相談する
闇金問題で困ったときは、弁護士・司法書士に相談することが最も有効な解決方法となります。
完全に晒し行為を防止できるとまでは言い切れませんが、弁護士・司法書士が介入すると、闇金も法的措置を恐れて違法な取り立てや嫌がらせを止めることが多いです。
これら法律の専門家を立てることで、晒し行為の被害に遭う可能性が格段に下がることは間違いないといえるでしょう。
闇金の晒し行為で弁護士・司法書士に相談・依頼するメリット
弁護士・司法書士に相談・依頼することで得られる具体的なメリットは、以下のとおりです。
代理人として闇金に対応してもらえる
依頼を受けた弁護士・司法書士は、闇金に連絡をして、取り立てや嫌がらせを止めるように警告し、交渉してくれます。
これら法律の専門家が代理人として全面的に対応してくれるので、依頼者が闇金と直接やりとりする必要はありません。
闇金の問題の解決は、専門家に全面的に任せることが可能です。
個人情報を晒された場合は迅速に削除請求をしてもらえる
万が一、闇金に個人情報を晒された場合には、弁護士が法的手段も視野に入れて、迅速に削除請求の手続きをとってくれます。
速やかに個人情報を削除することで、晒し行為による被害を最小限に抑えることが可能です。
闇金問題の根本解決を図ることで晒し行為の防止につながる
弁護士・司法書士は、闇金問題の根本的な解決を図ります。
闇金も、法律の専門家に依頼した借主からはお金を回収できないことが分かっています。そのため、借主がこれらの事務所に依頼すれば手を引くことがほとんどです。
腹いせで闇金が晒し行為を行う危険性がゼロとまでは言い切れませんが、多くの闇金は法的措置を恐れて晒し行為も控えるようになります。
弁護士・司法書士に闇金問題の解決を依頼することで、平穏な生活を取り戻すことが期待できるでしょう。
まとめ
闇金を利用すると、個人情報を晒される危険性が高まっていますので、闇金には決して手を出さないようにしましょう。借りパクなどは、もってのほかです。
もし、闇金を利用してしまった場合には、一人で悩まず弁護士・司法書士に相談しましょう。晒し行為を未然に防ぐためにも、被害を最小限に抑えるためにも、早めに専門家の力を借りて闇金問題の根本解決を図ることが大切です。