闇金から借りても返せば大丈夫？闇金に手を出すリスクと対処法を解説

「闇金から借りても、すぐに全額返せば大丈夫だろう」このように考えて闇金に手を出す人も多いです。

しかし、そもそも闇金からの借金を完済することは困難であり、完済したとしても闇金と縁を切るのは難しいのが実情です。絶対に闇金に手を出してはいけません。

この記事では、「闇金には返せば大丈夫」ではない理由を解説するとともに、闇金に返せない場合に生じるリスクや、闇金に手を出してしまったときの対処法もご紹介します。

「闇金には返せば大丈夫」ではない理由

いったん闇金に手を出すと、次のようなトラブルがいつまでも続く可能性が非常に高いです。したがって、「闇金には返せば大丈夫」とは決していえません。

返しても様々な口実で金銭を要求される

闇金は、返済金を全額受け取っても、様々な口実でさらに金銭を要求してきます。よくある口実として、次のようなものが挙げられます。

• 振込先の口座が違う
• 事前の連絡がなければ完済は認められない
• 完済するときには完済手数料が必要
• 契約時の事務手数料が残っている
• 利息の計算を間違っていたので、まだ元本が残っている

借り手は返しても返しても完済が認められず、膨大な金銭をむしり取られてしまいます。

完済が認められても新たな勧誘を執拗に受ける

完済が認められても、闇金は新たな勧誘を執拗にしてきます。その際には、完済の実績を作ったことで信用がついたとして、次のような甘い誘い文句で勧誘してくるのが特徴的です。

• 金利を優遇する
• 借入枠を増大する
• 返済期間は長期で構わない

このような勧誘の電話が執拗にかかってくることも多いです。闇金は、真面目に返済した人を「カモ」と認定し、さらに貸し付けをしてお金をむしり取ろうとするのです。

別の闇金からも勧誘される

完済後に、別の闇金から勧誘されることもよくあります。

借入時に伝えた住所、電話番号、勤務先、家族構成などの個人情報は、ほぼ間違いなく闇金業者の間で横流しされています。そのため、別の闇金もターゲットを求めて勧誘してくるのです。

再び闇金から借りると返済が難しくなり、借金地獄に陥る可能性が非常に高いです。借りなくても、様々な闇金から勧誘の電話が頻繁にかかってくれば、仕事や日常生活に支障をきたすことにもなりかねません。

押し貸しをされる

勧誘に応じなかったとしても、闇金から押し貸しをされるケースも見受けられます。

押し貸しとは、借金を申し込んでもいないのに無断でお金を振り込んできて、利息とともに返済を迫る行為のことです。

「借りていない」と返答しても、相手は闇金なので聞き入れられず、厳しい取り立てを受けることになります。

個人情報を悪用される

完済後も、個人情報を悪用されて金銭を要求されることも珍しくありません。

例えば、SNSなどで実名と連絡先、勤務先などを晒されて、「削除してほしければ○○万円を支払え」と迫るようなケースです。

さらに悪質なケースでは、闇金からの借入時に送信した運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなどの写真を悪用され、勝手にクレジットカードを作成されたり、消費者金融から借金をされたりするケースもあります。

そもそも闇金に完済することは困難である理由

ここまで、闇金に完済した後に起こることをご紹介しましたが、そもそも闇金に完済することは困難です。その理由は、以下のとおりです。

法外な利息を要求されて返済が追いつかない

闇金は、トサン（10日で3割）やトゴ（10日で5割）といった金利で利息を要求します。年利に換算すると1,000%を超えることがほとんどです。利息制限法の上限金利である年15～20%をはるかに超える法外な利息がかかります。

例えば、闇金から10万円をトサンで借りる場合、通常は初回利息の3万円を天引きされます。借り手は7万円しか受け取れないにもかかわらず、10日後には9～10万円を返済しなければなりません。

利息を滞納すると複利式に利息が増大していくため、返済が到底追いつかなくなるでしょう。

優しい態度でジャンプを勧めてくる

返済が苦しいときに、優しい態度でジャンプを勧めてくるのも闇金の常套手段です。

ジャンプとは、返済日に利息だけを支払わせて、元本の返済を猶予することです。

この対応はいっけん好意的に感じられるかもしれませんが、利息だけでも法外な金額になる上に、元本は減りません。

次回以降の返済日にもジャンプを繰り返せば、借り手は法外な利息だけを支払い続けることになり、元本の何倍もの金額を支払ったのに元本は減っていないということになりがちです。

返済日に連絡を絶つ

闇金への返済時には、返済日の前日か当日に連絡を求められることがほとんどです。この連絡をしたときに、振込先の口座を指示されます。

ところが、闇金は「そろそろ完済しそう」という顧客に対しては、電話に出なかったり、メールを返信しなかったりして、連絡を絶つことが多いです。そして後日、「返済が遅れたから延滞料も支払え」と迫ってきます。

顧客が「連絡したのに、つながらなかった」と反論しても、耳を貸さずに金銭を要求するのが闇金の常套手段です。

振り込んでも様々な口実で完済を認めない

先ほどもご説明したように、顧客が元本・利息の全額を振り込んだとしても、闇金は様々な口実をつけて完済を認めようとしません。

そもそも闇金の目的は「貸したお金を返してもらうこと」ではなく、借金返済の名目で「多額の金銭をむしり取ること」にあります。そのためには、顧客が完済しない方が、闇金にとって都合がよいのです。

このような理由で、闇金は完済を認めなかったり、あえて完済させないようにしたりして、少しでも多くのお金をむしり取り続けようとするのです。

闇金に返せない場合に生じるリスク

闇金に返せない場合には、次のようなリスクが生じます。

脅迫的な取り立てが執拗に続けられる

返済日に利息も支払えなければ、闇金から取り立ての電話がかかってきます。電話に出ると、「今すぐ払わないと、どうなっても知らないぞ」、「何をしてでも金を用意しろ」などと、脅迫的な口調で支払いを迫られます。

電話に出なかったり、要求どおりに支払わなかったりすれば、頻繁に電話がかかってきます。1日に100件を超える着信があることも珍しくありません。

このような取り立てが執拗に続けられるため、借り手は精神的に追い込まれていってしまいます。

家族や職場にも嫌がらせをされる

取り立ての電話は借り手本人だけでなく、家族や職場にもかかってきます。

闇金は、電話に出た人に対して、「○○さんが借りたお金を返さないので、返すように伝えてください」と言うこともあれば、「お前が立て替えて払え」などと脅すこともあります。

家族や職場への電話も、要求どおりに支払うまで繰り返されます。借り手は、第三者に迷惑をかけないために、何をしてでもお金を作って支払わなければならないという精神状態に追い込まれます。

インターネットで個人情報を晒される

近年の闇金は、電話で取り立てるだけでなく、インターネットを使って借り手を追い込むケースが増えています。

返済しない借り手の個人情報をSNSなどで晒し、「この人は借りたお金を返さないドロボーです」などとコメントするケースが典型例です。そして、借り手に対して、「削除してほしければ金を払え」と迫ります。

これも、借り手を精神的に追い込んでお金を支払わせる手段のひとつです。

犯罪の手伝い（闇バイト等）を強要される

最近では、返済の代わりに犯罪の手伝いを強要されるケースが急増しています。

携帯電話や銀行口座の譲渡と引き換えに、返済が免除または猶予されるケースは以前から多くありましたが、最近ではさらに「闇バイト」と呼ばれる行為を強要されるケースが多いです。

特殊詐欺の受け子や出し子、違法薬物などの運び屋、強盗や空き巣の実行犯など、様々な犯罪の手伝いを強要されることがあります。

このような闇バイトをして逮捕された人のニュースがたびたび報道されていますが、その中には、闇金に返せなかったために闇バイトに手を出したケースもあるのではないかと考えられます。

「闇金には返せば大丈夫」と考えている人が知るべきこと

「闇金には返せば大丈夫」と考えている人は、次の3つのことを理解する必要があります。

闇金への返済義務はない

そもそも、闇金からお金を借りても返済義務はありません。なぜなら、最高裁判所の判例で、著しい高利（年利数百%～数千%）を伴う貸し付けは無効であり、借り手は利息だけでなく元本も返済する必要がないことが認められているからです。

なお、闇金から受け取ったお金は「不法原因給付」となるため、借り手のものになります。

闇金は最初から法外な金銭をむしり取ることを目的としている

先ほどもお伝えしたように、闇金は最初から法外な金銭をむしり取ることを目的としています。

素人判断では「全額をすぐに返せば大丈夫だろう」と考えがちですが、それでは闇金の思うつぼです。闇金は、真面目に返済する人に対しては「カモ」と判断し、様々な口実をつけて次々にお金を要求してきます。このようにしてお金をむしり取ることを、最初から目論んでいるのです。

闇金問題を解決するためには、1円も支払わないという姿勢が必要です。支払って解決しようとしても、闇金からの要求を止めることは難しく、多額の金銭をむしり取られてしまうでしょう。

いったん闇金に手を出すと自力で手を切るのは難しい

お金を支払わずに闇金問題を解決するといっても、自力では難しいのが実情です。

理論上は、闇金からの連絡を無視し続ければ、いずれは収まるはずです。しかし、闇金に個人情報を伝えていれば、執拗な電話やインターネットを使った嫌がらせによって、精神的に追い込まれていきます。誹謗中傷のコメントを拡散されることで、社会生活が困難となるおそれもあります。

したがって、いったん闇金に手を出すと、返しても返さなくても自力で手を切るのは難しいといえます。闇金問題を解決するためには、専門家の力を借りることが必要となってきます。

闇金に手を出してしまったときの対処法

闇金に手を出してしまったときの正しい対処法は、以下のとおりです。

返済をストップする

闇金には1円も支払うべきではありませんが、既に返済をしている場合は返済をストップしましょう。金銭的被害を少しでも早めに食い止めるとともに、闇金に対して「払わない」という姿勢を見せることが重要です。

わざわざ闇金に連絡して「払いません」と告げる必要はありませんが、闇金との連絡は絶つようにしましょう。

ただし、それだけでは闇金からの電話や嫌がらせは止まりません。併せて、専門家の力を借りることが必須です。

警察に相談する

闇金からの電話や嫌がらせで身の危険を感じるときや、既に多額の金銭を支払ってしまった場合は、警察に相談するのも解決方法のひとつです。

被害の程度が大きい場合には、被害届を提出すれば脅迫罪や威力業務妨害罪、出資法違反などで立件してもらえる可能性もあります。

闇金が検挙されなくても、警察からの警告の電話によって、取り立てや嫌がらせがいったん止めてもらうことも期待できます。

弁護士に相談する

警察はすぐに動いてくれるとは限りませんし、警告の電話によって取り立てや嫌がらせがいったん止まったとしても、ほとぼりが冷めた頃に再開されることも多いです。したがって、闇金問題を根本的に解決するためには、法律の専門家である弁護士の力が必要となります。

弁護士は、闇金被害者の味方としてすぐに動いてくれます。先に警察へ相談した場合も、早めに弁護士へ相談して根本的な解決を図りましょう。

闇金問題の解決は弁護士への依頼がおすすめの理由

闇金問題の根本解決を弁護士へ依頼することがおすすめの理由は、以下のとおりです。

• 闇金への正しい対処法をアドバイスしてもらえる
• 依頼すればすぐに動いてくれる
• 取り立てや嫌がらせを止めるように警告・交渉してもらえる
• 弁護士が介入すると闇金が諦め、取り立てや嫌がらせを止めることが多い
• 闇金の携帯電話の利用停止、銀行口座の凍結などの措置により、取り立てや嫌がらせを止めてもらうこともできる
• 刑事告訴などの法的措置もサポートしてもらえる
• 闇金被害者の代理人として根本解決を図ってくれるのは弁護士だけ

闇金問題で弁護士に相談・依頼するメリットは大きいといえるでしょう。一人で悩まず、早めに相談することをおすすめします。

まとめ

「闇金には返せば大丈夫」という考え方は、大きな誤りであることをお分かりいただけたでしょうか。

いったん闇金に手を出せば、完済することは困難ですし、完済したとしても様々な口実をつけて金銭を要求され、自力で手を切ることは難しくなります。闇金に手を出すのは、絶対に止めておきましょう。

もし、既に闇金から借りてしまった場合は、早急に弁護士へ相談することを強くおすすめします。弁護士のサポートを受けて、闇金問題を根本的に解決してしまいましょう。