- LINEでお金を貸す業者は闇金である
- LINE闇金に返済できないと苛烈な取り立てや悪質な嫌がらせをされる
- LINE闇金に手を出してしまうとブロックしても解決できない
- LINE闇金の取り立てを止めるには警察と弁護士・司法書士に相談すること
LINEでお金を借りたけれど利息が高くて返済できず、違法な取り立てを受けるという「LINE闇金」の被害に遭う方が最近、急増しています。
闇金というと従来は「090金融」のように携帯電話を連絡手段とする者が主流でした。しかし、インターネットが普及した近年では、LINEを使った闇金が増えていることに注意が必要です。
この記事では、LINE闇金の被害を回避していただくために勧誘や取り立ての悪質な手口を解説します。すでにLINE闇金の被害に遭ってしまったときの対処法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
LINE闇金とは?
LINE闇金とは、その名のとおり、LINEを使って営業している闇金業者のことです。借入の申込みから審査、融資、債権回収までのすべてが基本的にLINEのみで完結します。
正規の貸金業者がLINEで貸付を行うことはありませんので、LINEで契約のやりとりを進める業者は闇金であると判断して差し支えありません。
LINE闇金の中には親切な個人間融資の貸主を装って勧誘する業者もあります。見ず知らずの人が厚意でお金を貸してくれることはありませんので、勧誘された場合は闇金ではないかと疑うべきでしょう。
LINE闇金が増えている理由
近年、LINE闇金が増えている理由として、次のような背景が考えられます。
- LINEを使うことで勧誘しやすいから
- 逮捕・摘発のリスクが下がるから
- 闇金側のコストを削減できるから
LINEを使うことで勧誘しやすいから
LINEのユーザーは数多く、月間で9,500万人もの人が利用していると言われています。
(2023/03時点 LINEの資料より)
そのため、闇金はLINEを使うことで、多数の人に対して手軽に勧誘することが可能です。
しかも無料でメッセージを送信することができるため、闇金にとっても利用者を勧誘するのに使いやすい道具となっています。
知らない相手から融資の案内が来たとしても日頃から慣れ親しんでいるLINEであれば、さほど抵抗なく受け入れてしまいます。
チャットのやりとりもスムーズにできるため、手軽にお金を借りられるLINE闇金をつい利用してしまうといった実態があります。
逮捕・摘発のリスクが下がるから
闇金としては、LINEを使えば警察による逮捕・摘発のリスクが下がるというメリットがあります。LINEでは相手に電話番号を教える必要がないため、身元がバレにくいからです。
もし借り主が警察に通報したしても、アカウントを削除すれば証拠が残らないため、警察も追跡することは困難です。このように闇金側は逮捕されるリスク回避を考えてLINEを使うわけです。
闇金側のコストを削減できるから
闇金は通常、足がつかないようにするために他人名義の携帯電話(「飛ばし」の携帯といいます。)を使って営業をしています。
ただし、警察に通報された場合には、その携帯電話は利用停止となって使えなくなります。闇金が営業を続けるためには別の飛ばしの携帯電話を使わなければなりません。
闇金といえども他人名義の携帯電話を新たに入手することは容易ではありません。商売道具である携帯電話を入手するためには、借り主に提供させたり、買い取ったりと、それなりにコストもかかります。
しかし、LINEを使えば、警察に通報されたとしてもアカウントを削除するだけで済むので、新しい飛ばしの携帯電話を入手する必要はありません。
アカウントが強制停止とならない限り、再度アカウントを作成することもできます。闇金としては営業コスト削減にLINEはもってこいのツールと言えます。
LINE闇金の勧誘の手口
LINE闇金の勧誘の手口はさまざまですが、いくつかのパターンがあります。被害を未然に防ぐためにも、よくある勧誘の手口を確認しておきましょう。
- ホームページからLINEに誘導する
- SNSや掲示板で集客する
- LINEで直接連絡する
ホームページからLINEに誘導する
LINE闇金の中には、いわゆる「ソフト闇金」も多く、ソフト闇金は自社ホームページからLINEに誘導する手口を使うことが多いです。
ソフト闇金とは、利用者に対してソフトな対応で安心感を与えながら、違法な貸金業を行う闇金業者のことです。大手のソフト闇金業者は、安心感を謳ったホームページで公然と利用者を募集しています。
しかし、足がつかないようにするために連絡先を直接掲載していることは少なく、問い合わせフォームなどから連絡してきた利用者をLINEに誘導するという手口を使います。
SNSや掲示板で集客する
LINE闇金が顧客を積極的に集めるために利用しているのが、TwitterなどのSNSやネット上の掲示板サイトです。
具体的な集客方法としては、「#お金貸します」などのハッシュタグを用いて利用者を募ることもあれば、お金に困っていそうなユーザーに直接ダイレクトメールを送って勧誘することもあります。
そして、返信をしてきた人に対してLINEのIDやQRコードを送りLINEに誘導します。
LINEで直接連絡する
LINEで直接メッセージを送信して、利用者を勧誘する闇金もいます。
手当たり次第に勧誘メッセージを送信することもあれば、名簿業者等から買い取った個人情報に含まれているLINEのIDを用いて勧誘メッセージを送信してくることもあります。
いわゆる迷惑メールを送信する勧誘方法であり、ほとんどのユーザーは無視します。
しかし、お金に困っていると「本当に借りられるのなら」と考えてヤミ金に手を出してしまうことがあるので、注意が必要です。
LINE闇金の取り立ての手口
LINE闇金も実態は通常の闇金なので、返済が遅れると苛烈な取り立てが行われます。
取り立ての手口は通常の闇金と同じで、以下のように、あらゆる手段を用いて利用者を追い込みます。
- 鬼電・鬼LINEで返済を迫る
- 嫌がらせ行為で精神的に追い込む
- 職場や家族・親戚などに電話をかける
鬼電・鬼LINEで返済を迫る
返済が遅れると、まず闇金から頻繁に電話(LINE通話)やメール(LINEメッセージ)が送信されてきます。利用者が応答しなければ、昼夜を問わず1日100件以上もの連絡、俗にいう「鬼電」「鬼LINE」がおこなわれます。
利用者が応答しても、すぐに返済できない場合には「今から家に行くぞ」「家族の身の安全に気をつけろ」「他から借りて返せ」などと恫喝されてしまいます。
このような鬼電・鬼LINEによって利用者を精神的に追い詰めて、何としてでもお金を支払わせようとするのが、闇金の魂胆です。
嫌がらせ行為で精神的に追い込む
鬼電・鬼LINEによっても利用者が返済しないとみると、闇金はさらなる嫌がらせ行為を仕掛けてきます。よくある嫌がらせ行為は、次のようなものです。
- 大量の出前やデリバリーを届ける
- 着払いで商品を届ける
- 自宅に救急車や消防車を呼ばれる
- 自宅の前で大声で「金を返せ」などと叫ぶ
- 自宅の壁や玄関に貼り紙や落書きをする
- SNSに誹謗中傷の投稿をする
闇金がさまざまな嫌がらせ行為をする目的は、利用者を困らせたり、怖がらせたりすることで精神的に追い込み、何をしてでもお金を支払わせようとするためです。
職場や家族・親戚などに電話をかける
利用者本人を追い込んでも功を奏さないとみると、闇金は攻撃のターゲットを第三者に移します。
職場や家族・親戚、さらに友人や知人にまで電話をかけて、「○○さんがお金を返さないので困っている」「早く返すように伝えてください」などというのです。「電話が迷惑なら肩代わりして払え」などと強要することもあります。
利用者としては、身内や関係者にまで迷惑がかかることはどうしても回避したいと考えます。そのため、何をしてでもお金を作ろうと奔走しますが、それが闇金の狙いです。
LINE闇金に返済できないときの被害のケース
LINE闇金から取り立てや嫌がらせ行為を受けること自体も大きな被害ですが、その他にも次のような深刻な被害を受けるおそれがあります。
- 法外な利息を支払わされる
- 個人情報を流出・悪用される
- LINEアカウントを乗っ取られる
法外な利息を支払わされる
闇金が要求する利息は、通常の闇金と同様にトイチ、トサン、トゴといった法外な利率で計算されます。
利息制限法上の上限利率は年20%ですが、LINE闇金は法律を無視して年数百%から場合によっては年千%を超える暴利を要求してきます。
闇金の取り立てや嫌がらせを避けるために、利息だけを延々と支払い続ける人がいますが、法外な利息を払い続けることで、ますます経済的困窮に陥ってしまいます。
個人情報を流出・悪用される
闇金に手を出すと、個人情報が流出したり、悪用されたりする可能性が非常に高いです。
一度でも闇金を利用するとご自身の個人情報は名簿業者等に売却されるものと考えておく必要があります。
名簿業者は様々な闇金業者に名簿を売るため、他の闇金や詐欺業者からの勧誘がひっきりなしに来るようになります。
返済できない場合や飛んだ場合、闇金は腹いせにその利用者の個人情報をSNSなどで拡散するというような事例もあります。
LINEアカウントを乗っ取られる
LINE闇金に特有の被害事例として、LINEアカウントの乗っ取りが挙げられます。
闇金はお金を貸す際に利用者からありとあらゆる個人情報を聞き出しますので、LINE闇金は利用者のアカウントを容易に乗っ取ることができます。
乗っ取られると、LINEで闇金が利用者になりすまして友だちへ虚偽のメッセージが送信されたり、利用者のプライベートなトークや写真がばらまかれるといった被害が生じます。
悪質なケースでは、利用者になりすまして詐欺などの違法行為が行われることもあるので、LINE闇金と関わりを持つことは非常に危険です。
LINEで闇金をブロックしても解決できない理由
LINEにはブロックという機能があります。ブロックすることでLINE上では闇金との関係を断ち切ることができますが、根本的な解決にはなりません。
その理由は、闇金が既に利用者の個人情報を入手しているため、直接電話をかけてくるなどLINE以外の方法で取り立てができるからです。
LINEをブロックすることで闇金を刺激してしまい、逆上した闇金による取り立てや嫌がらせ行為がさらにエスカレートするだけです。
最終的にはLINEで闇金をブロックすべきですが、その前に闇金を必要以上に刺激せず、警察や弁護士・司法書士の力を借りて根本的な解決を図る必要があります。
LINE闇金に手を出してしまったときの対処法
LINE闇金に手を出して被害に遭ったときは、次の手順で根本的な解決を図りましょう。
- 違法行為の証拠を確保する
- 警察に相談する
- 弁護士・司法書士に相談する
違法行為の証拠を確保する
まずは、LINE闇金による違法行為の証拠をできる限り確保しておきましょう。
警察に相談する際には、証拠が重要となります。闇金にLINEアカウントを削除されると証拠が消えてしまうので、早めに証拠化しておくことが大切です。
主に、次のような証拠を押さえて保存しておくとよいでしょう。
- LINEでの闇金とのやりとりのスクリーンショットまたは撮影したデータ
- 闇金との通話を録音したデータ
- 嫌がらせ行為の状況を撮影した写真など
- 闇金から借りたお金が振り込まれた口座の通帳履歴
- 闇金に返済したときの振込明細書
警察に相談する
LINE闇金から脅迫まがいの取り立てや悪質な嫌がらせ行為を受けている場合は、警察への相談が有効です。最寄りの警察署の生活安全課に連絡し、闇金被害に遭っていることを伝えましょう。
犯罪が成立している場合には、被害届を提出することで刑事事件として立件することも可能です。警察が刑事事件と判断すれば闇金に対応してくれるので、取り立てや嫌がらせ行為が止まります。
ただし、深刻な実害が生じていない場合には単なる金銭トラブルにとどまると判断され、「民事不介入の原則」により警察が動かないこともあります。
弁護士・司法書士に相談する
LINE闇金による取り立てや嫌がらせ行為をすぐに止めるためには、弁護士または司法書士という法律の専門家に依頼することが最善の対処法です。
依頼を受けた弁護士・司法書士はすぐ闇金に連絡を取り、違法な取り立てや嫌がらせ行為の停止を求めて警告し、交渉してくれます。今後、依頼者には一切連絡しないように釘をさしてくれます。
闇金としても弁護士・司法書士が介入した以上は、刑事告訴やその他の法的措置を恐れて、取り立てや嫌がらせ行為を止めることがほとんどです。
まとめ
LINE闇金からは気軽にお金を借りることができますが、実態は悪質な違法業者ですので、絶対に利用してはいけません。
もしLINE闇金に手を出してしまった場合は、一人で対応していると深刻な被害を受けるおそれが強いので、警察や弁護士・司法書士のような専門家に相談しましょう。
拉致や監禁など事件性が高い場合の相談先は警察ですが、それ以外のトラブルは、弁護士・司法書士のほうが迅速に動いてくれますので、相談相手として最適です。
弁護士・司法書士は無料相談を受け付けていますので、LINE闇金の被害に遭ったら、まずは一度電話相談することをおすすめします。