人探しは弁護士に依頼できる？探偵との違いや費用相場を徹底解説

「お金を貸した相手の行方を知りたい」「元配偶者の所在を特定したい」そんな債権回収や養育費請求など法律事案の人探しの場合は弁護士への相談が選択肢に挙がるでしょう。

ただし弁護士が人探しを引き受けるには、法的な手続きが必要な正当な理由が不可欠です。

本記事では、弁護士が調査を引き受けられるケースや、探偵との権限・費用の違いを詳しく解説します。

弁護士に依頼すると内容証明の送付や訴訟まで任せられるメリットがありますが、尾行などの物理的な捜索はできません。自分の状況に合わせて最適な依頼先を選びましょう。

弁護士に人探しを依頼できる？受任可能な条件

弁護士への依頼には法律上の正当な理由が必要です。受け入れ可能な条件と具体例を確認しましょう。

• 法的トラブルや正当な理由がある場合は依頼可能
• 弁護士に依頼すべき具体的なケース一覧（債権回収・慰謝料・相続等）
• 単なる家出や初恋の人探しは受任できないことが多い

まずはどのような状況であれば法律の専門家が動いてくれるのか、基本的なルールから解説します。

法的トラブルや正当な理由がある場合は依頼可能

依頼を受理するには、調査が解決に必要である正当な理由が求められます。

弁護士は所属する弁護士会を通じ、官公庁や企業に情報の開示を求める強力な権限をもっています。これを活用して携帯電話番号や銀行口座から住所を特定できるでしょう。

また、職務上で住民票の写しなどを請求して疎遠な親族の居場所を追跡することも可能です。

ただし「単に会いたい」といった個人的な動機では、調査権限を行使する正当性がないため断られる可能性があります。法的な手続きを伴うのが、依頼を検討する際の前提条件です。

弁護士に依頼すべき具体的なケース一覧（債権回収・慰謝料・相続等）

法的な問題を抱えて解決が滞っているなら、弁護士への相談が有効です。主な対象ケースを以下にまとめました。

相手の所在が判明した後の交渉や裁判まで、一括で任せられるのが強みです。専門知識が必要な手続きをスムーズに進められます。

単なる家出や初恋の人探しは受任できないことが多い

法的トラブルが介在しない相談は、法律の専門家の業務範囲外です。以下のような場合は受任が難しいため注意してください。

【受任できない人探しの例】

• 事件性のない家族の家出
• 初恋の相手や恩師の捜索
• 個人的な安否確認の希望

家出の捜索や個人的な再会は法律行為ではないため、専門の権限を使えません。無理に自分で特定しようとすると、ストーカー規制法に抵触する恐れがあります。

事件性がない人探しは、聞き込みや張り込みを実施する探偵事務所に相談すると良いでしょう。目的に合わせて最適な依頼先を選んでください。

人探しを弁護士に依頼するメリット・デメリット

弁護士に依頼すると法的措置まで一任できる反面、物理的な捜索ができないなどの制限もあります。

• メリット① 法的措置（訴訟・差し押さえ）までワンストップで解決
• メリット② 公的な権限を使った精度の高い調査が可能
• デメリット① 張り込みや尾行などの物理的な捜索はできない
• デメリット② 調査だけの依頼は高額になりやすい

利点と注意点を整理して、自分に合った依頼先を判断しましょう。

メリット① 法的措置（訴訟・差し押さえ）までワンストップで解決

弁護士に依頼するメリットは、単に相手の居場所を見つけるだけでなく、法的な解決まで一括で任せられる点にあります。

弁護士は依頼者の代理人として、相手方との交渉から訴訟、さらには給与の差し押さえといった強制執行まで対応可能です。

探偵に依頼した場合は、所在特定後に改めて弁護士を探す必要がありますが、最初から依頼していればその手間がかかりません。

相手に心理的なプレッシャーを与え、有利に交渉を進められるのも法律の専門家ならではの強みです。精神的な負担が大きい手続きをすべて任せられるため、安心して解決を待つことができるでしょう。

メリット② 公的な権限を使った精度の高い調査が可能

公的な情報を合法的に取得できる権限をもっているのが、弁護士の大きな特徴です。主な調査手法と特定できる情報は以下のとおりです。

弁護士会照会は、所属する弁護士会を通じて官公庁や企業に回答を求める制度で、高い回答率が期待できます。また、職務上の権限で住民票などを取得できるため、公的記録に基づいた追跡が可能です。

デメリット① 張り込みや尾行などの物理的な捜索はできない

実地での調査活動を行わない点は、弁護士に依頼する際の注意点といえます。弁護士の業務は法律事務に限られており、以下のような活動は専門外です。

• 対象者の尾行や長時間の張り込み
• 聞き込みによる目撃情報の収集
• 浮気の現場写真の撮影
• 生活状況の隠密調査

外を歩き回って相手を探すような物理的な捜索は、探偵の領域です。

例えば、家出した家族の居場所が全く見当もつかない場合や、不倫の証拠写真が必要な場合は、探偵に依頼する方が適切でしょう。

法的措置を進めるうえで現場の証拠が必要なときは、探偵と連携するのも有効な手段となります。

デメリット②調査だけの依頼は高額になりやすい

単なる所在特定を目的とした依頼は受けてもらえないことが多く、結果として総額が高くなる傾向があります。弁護士への依頼は、債権回収や慰謝料請求などの法的なトラブル解決が前提となるためです。

費用は着手金や報酬金、実費などで構成され、訴訟費用まで含めたトータルパッケージとして請求されます。

単に「恩師に再会したい」といった目的であれば、調査に特化した料金プランがある探偵に依頼する方がコストを抑えられる可能性が高いです。

最終的な目的が「法的措置」なのか「再会」なのかを明確にしてから、依頼先を検討しましょう。

弁護士と探偵の違いを徹底比較

弁護士と探偵は専門的な調査をする面では似ていますが、目的や権限は異なります。それぞれの特徴を理解して、最適な相談先を決めましょう。

【比較表】弁護士と探偵の業務範囲・権限・費用の違い

把握する目的によって、弁護士と探偵の業務範囲・権限・費用の違いを知る必要があります。

自分の求める結果が「法的解決」なのか「事実の把握」なのかを明確にしましょう。目的に合った専門家を選ぶことで、効率よく調査を進められます。

弁護士に依頼するのが向いている人の特徴

調査の先に明確な法的手続きを見据えている場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。

【弁護士への依頼が適したケース】

• 慰謝料や債権の請求をしたい
• 相手と直接話したくない
• 公的機関の情報が必要
• 法的な根拠で主張したい

法的措置が目的であれば、調査から訴訟までを代理人として一貫して任せられる弁護士が最適でしょう。

例えば不倫相手に慰謝料を請求したい場合、弁護士会照会を使って住所を特定し、そのまま示談交渉を依頼できます。

感情的な対立が激しい場面でも、法律に基づいた冷静な判断で最善の結果を目指せるでしょう。

探偵・興信所に依頼するのが向いている人の特徴

まず事実を明らかにしたいという場合は、探偵・興信所に依頼すると良いでしょう。

浮気の有無を確認したいときや、事件性のない家出人の行方を知りたいときは、実地調査に長けた探偵が活躍します。

尾行や張り込みといった物理的な手法は探偵の専門領域であり、裁判で有効な証拠写真を確保することも可能です。

警察が民事不介入を理由に動いてくれない場面でも、迅速に調査を開始して有力な情報を得られるでしょう。

費用を特定の調査範囲に限定して抑えたい場合も、柔軟な料金プランをもつ探偵事務所が頼りになります。自分の状況に合わせて、柔軟に対応できる探偵の活用を検討してください。

弁護士に頼む前に！自力でできる人探しの方法と限界

弁護士に頼む前に、自力でできる人探しの方法を知っておくと役立ちます。

• 名前＋αで検索エンジンやSNSを活用する
• 人探し掲示板やSNSで情報を拡散する
• 共通の友人・知人や同窓会名簿を当たる
• 自分で住民票の閲覧請求をする条件
• 警察に行方不明者届を出すべき状況

自分で動くことで手がかりが得られる場面もありますが、リスクや限界を理解する必要があります。

名前＋αで検索エンジンやSNSを活用する

Google検索やSNSは、自分でできる人探しの方法として手軽に利用できます。

氏名に加えて出身校や勤務先などのキーワードを組み合わせると、対象者のアカウントを特定できる可能性があります。

漢字やひらがななど、表記のパターンをすべて試してみましょう。

共通の友人・知人や同窓会名簿を当たる

ネット上の調査だけでなく、身近な人間関係を辿る方法もあります。

共通の友人や元同僚、親族に連絡を取り、対象者の心当たりを尋ねてみましょう。卒業アルバムや名簿が手元にあれば、実家の住所が見つかるかもしれません。

ただし、現在は個人情報保護の観点から名簿の作成自体が減っているため、入手は難しくなっています。連絡を取る際は相手に不信感を与えないよう、理由を丁寧に説明しましょう。

自分で住民票の閲覧請求をする条件

住民票は、他人が自由に取得するのは厳しく制限されています。個人が第三者の住民票を請求するには、以下の表にあるような条件を満たさなければなりません。

単に「安否を知りたい」といった個人的な理由では、市区町村の窓口で請求は受理されません。また、対象者がDV支援措置を受けている場合は、たとえ正当な理由があっても閲覧は制限されます。

警察に行方不明者届を出すべき状況

家族など近しい人が失踪したなら、速やかに警察へ相談しましょう。届出は行方不明者の親族や同居人など、密接な関係にある人が行えます。友人は届出できません。

【届出の際に提供する情報】

• 最近撮影された本人の写真
• 氏名・生年月日・身体的特徴
• 失踪時の服装や所持品
• 最後に見かけた場所や状況

生命に危険が及ぶ恐れがある場合は、時間の経過を待たずに届け出る必要があります。事件性が高いと判断されると特異行方不明者として、積極的な捜索が行われます。

一方で、成人の自発的な家出は一般家出人と見なされ、積極的な捜索は行われない場合が多いです。警察の対応は発見時の保護などの受動的なものに留まります。

まとめ

人探しを弁護士に依頼できるのは、債権回収や慰謝料請求など、法的手続きを伴う場合に限られます。

弁護士会照会などの強力な権限を使えるため、法的に相手を追求したいときは心強い存在です。一方で家出人の捜索や再会を目的とした調査は、実地調査に長けた探偵が適しています。

まずは相手を見つけて何をしたいのかを明確にしましょう。自力で探すのも1つの手ですが、トラブルを避けるためにも専門家を活用してください。