コンテンツマーケティングの現場で、「企画・アイデアが思いつかない…」、「構成案がまとまらない…」、「書いてる最中に煮詰まってしまう…」こんなことがないでしょうか?
そんな時に活用をお薦めしたいのが、偉大な先人たちが残した「ライティング法則」、「マーケティング法則」です。
ご自身の商材やサービスを法則に落とし込むことで、企画、構成が素早くおこなえるはずです。また、ロジカルで説得力のある記事や、刺激的なセールスレターの作成が実現できるでしょう。
そこで今回は、下記の5つのライティング術に適した14の法則について解説します。
1.ロジカルライティング(論理性、説得力)
2.マーケティングライティング(ブランディング、競争優位)
3.ストーリーライティング(物語、ファン化)
4.セールスライティング(購買行動、参加意識)
5.SEOライティング(検索エンジン最適化)
ロジカルライティング
1.三段論法
三段論法とは、大前提(主に普遍的な法則)と小前提(個別の単なる事実)から結論を導き出す論理的な文章法則です。古代ギリシャの哲学者「アリストテレス」が確立したと言われており、古くから文章作成にも用いられてきました。
たとえば、
AはBである
↓
BはCである
↓
よってAはCである
と前提条件をもとに結論を導きだすのが「三段論法」になります。
前提となる条件(情報)から、矛盾や飛躍のない「論理的な結論」を出す考え方となりますので、ビジネスの場では、提案書、報告書、プレゼン資料など、説得力が要求される文章作成に広く使われます。
三段論法は、競合商品との具体的な「比較・優位性の説明」、「仮説を論理的に展開」するような記事作成に使える法則です。
2.演繹法と帰納法
一般的・普遍的な前提から結論を得て論理展開する法則が「演繹法(えんえきほう)」。様々な事例をあげて、そこから結論を導きだす論理展開の法則が「帰納法(きのうほう)」です。
演繹法は16世紀の哲学者「フランシス・ベーコン」、帰納法は同じく16世紀の哲学者「ルネ・デカルト」によって提唱されました。そのため、演繹法と帰納法は対になって語られることが多くあります。
演繹法は「××だから、○○である」という論理を数珠つなぎにしていき、結論を引き出す方法です。
たとえば、
人間は誰もが死ぬ
↓
Aさんは人間である
↓
Aさんは必ず死ぬ
という前提条件から結論を導きだす法則です。三段論法に近い考え方ですが、たくさんの前提条件から結論を出していきます。
演繹法をライティングに用いるなら、前提条件はあくまで普遍的なテーマ、誰もが理解できるテーマにする必要があります。万人が理解できる前提条件により、導き出した結論は、誰もが納得できる文章となります。
また、帰納法は多くの観察事項(情報)をもとに、類似点をまとめ上げていき、結論を引き出すという論法です。
Aさんは死んだ
↓
Bさんは死んだ
↓
Cさんは死んだ
↓
人間はだれもが死ぬ
帰納法では、「適切な観察事項を設定する」、「観察事項を多くする」ことで説得力が増します。「考えの正しさを証明する」、「商品の優位性を証明する」ような記事を作成したいときに使うことができる法則です。
マーケティングライティング
3.5W1Hの法則
5W1Hは、100年ほど前の英国の児童文学者のラドヤード・キップリングの作品で用いられたのが始まりと言われています。さまざまな現象や出来事を読者に正確に伝えるために5W1Hの要素で書かれました。
5W1Hは事実を分かりやすく簡潔に伝えることができるため、その後、ニュース記事で用いられるようになりました。
「いつ(When)」
↓
「どこで(Where)」
↓
「だれが(Who)」
↓
「なにを(What)」
↓
「どうした(How)」
5W1Hは、報告書、メールによる伝達事項など、ビジネスの現場で使われるとともに、正確に分かりやすく伝えたい文章作成時に重宝されます。ライティング初心者でも、この法則にのっとって書いていけば、ロジカルで分かりやすい文章を作成することができるでしょう。
WEBライティングにおいては、ニュース記事、ある事実や事象を解説する記事、プレスリリースのような第三者に目的や意図を正確に伝えたい記事作成に適したライティング法則です。
4.AIDMAの法則
「AIDMAの法則」とは、アメリカで販売・広告について執筆していたサミュエル・ローランド・ホールにより1920年代に発表されました。
人が商品やサービスを購入する際に行われる一連の流れを法則化したものであり、広告戦略を策定する際に活用されています。広告やマーケティングの世界では、広く使われてきた古典と言えるような法則です。
AIDMAとは、
Attention(注意喚起)
↓
Interest(興味・関心)
↓
Desire(欲求の刺激)
↓
Memory(記憶)
↓
Action(行動・購入)
これまでの広告やマーケティングの世界では鉄板の法則として用いられてきましたが、インターネットの普及によりユーザーの購買行動プロセスが変化しているため、現在では必ずしも当てはまらないケースが出てきています。
AIDMAは、普遍的なマーケティング法則なのは間違いなく、セールスレターなどを作成する際に、大きな流れとして文章を構成する際に用いるには有用です。マーケッターなら必ずおさえておくべき法則と言えます。
5.AIDAの法則
「AIDAの法則」はAIDMAの法則から「Memory(記憶)」を抜いたものですが、AIDMAの法則と同様に1920年代の米国で発表されています。
今日の米国のマーケティングやセールス、広告における用語としては、むしろこちらのAIDAの法則のほうが用いられています。
Attention(注意喚起)
↓
Interest(興味・関心)
↓
Desire(欲求の刺激)
↓
Action(行動・購入)
PCやスマホで、いつどこでも商品が購入できる現在においては「Memory(記憶)」が不用なケースがあります。検索してアクセスしたWEBサイトからダイレクトに商品を購入するというシチュエーションは少なくありません。
WEBにおける、セールスレターや広告の文章表現においては「Memory(記憶)」を除くことで、ユーザーに素早く興味・欲求を高めさせ購買行動に移させるという意味では、AIDMAよりもむしろAIDAの法則が適しています。
6.AISASの法則
AIDAMの法則を、よりネット時代に沿うように応用したマーケティングの考え方が「AISASの法則」です。この法則は日本の大手広告代理店「電通」が1995年に提唱したものです。
Attention(注意換気)
↓
Interest(興味・関心)
↓
Search(検索)
↓
Action(行動・購入)
↓
Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)
ネットユーザーは、興味を持ったものを検索して調べ、購買行動を起こし、その評価・満足度をネット上でシェアしようとする心理が働くというものです。さらに、ソーシャル、口コミでシェアされた情報は、新たなユーザーの購買行動にも大きく影響するとしています。SNS、ブログ、口コミサイトが普及した昨今を反映する法則と言えます。
このAISASでポイントとなるのが検索、ソーシャルです。つまり、コンテンツマーケティングに近い考え方と言えます。有益な情報、高品質コンテンツを発信することで、「検索で上位表示される」、「ユーザーが興味を持つ」、「ソーシャルでシェアされる」という好循環が生まれます。
ストーリーライティング
7.起承転結
「起承転結」とは、中国古来の漢詩で用いられた構成のことです。日本でも義務教育の国語授業では、起承転結の文章スタイルを教えられることが一般的です。
起(物語の前提を説明)
↓
承(できごとや事件が発生)
↓
転(そのできごとや事件を解決)
↓
結(結末を述べる)
日本人の多くが慣れ親しんだ文章スタイルとして、一般的な文章作成だけでなく、小説、漫画、映画の脚本などでも用いられています。その文章比率は「起=10%程度」「承=40%程度」「転=40%程度」「結=10%程度」がバランスが良いとされています。
起承転結は、物語やストーリー性がある長文の文章作成には向いていますが、論理性、客観性がある文章構成には不向きです。そのため、商品・サービスのストーリー、人物や会社のヒストリー、あるいはインタビュー、対談などを物語仕立てで読ませる記事作成に適しています。
8.ハリウッドライティング
ハリウッドは、全世界の人たちを対象にエンターテイメント性が高い映画を制作しています。そのため、徹底して万人受けする作品を制作し続けています。
ハリウッド映画と聞くとCGや派手なアクションをイメージすると思いますが、シナリオの出来が良くなければ、その映画はヒットしないというのは定説です。そのため、世界中の人が共感するシナリオ(脚本)づくりに注力しています。
そのハリウッド映画の手法を取り入れたライティング法則が「ハリウッドライティング」です。
ハリウッド映画のパターンは、たいていは幸せな日常からスタートしますが、なんらかの問題や事件が発生して危機一髪に陥る。それをなんとか乗り越えて成功を掴むというものが王道シナリオです。
日常
↓ →問題や事件が発生する
どん底
↓ →問題や事件を乗り越える
成功
ハリウッドライティングの法則は、映画だけでなく、ドラマ、小説、漫画などのエンタメコンテンツにも取り入れられており、いまや普遍的な手法(法則)として使われています。
要は人の心を動かすライティング手法ですので、プレゼン資料、営業資料など、ビジネスの場でも使われています。WEBコンテンツにおいては、「製品の開発物語」、「失敗・成功談」、「感動実話」、「ロングインタビュー」など、ストーリー展開でユーザーを引き込むような記事作成に適したライテイング法則と言えます。
セールスライティング
9.PASONAの法則
PASONAの法則は、ダイレクトレスポンスマーケティングという、特定ターゲットに対して購買行動を促すようなマーケティング活動で主に用いられている法則です。
Problem(問題)→問題点を明確化する
↓
Agitation(扇動)→問題点を煽り立てる
↓
Solution(解決策)→解決策を提示する
↓
Narrow down(絞込)→対象客や期間を限定する
↓
Action(行動)→行動への呼びかけをする
このフローは人間の購買心理を刺激する法則です。これに沿って記事を構成していけば、成約率も高まるため、多くのアフィリエイターが、定番のライティング方法としてPASONAの法則を使用しています。論点を明確にして、大胆かつインパクトあるコピーライティングにすることで、さらに効果が高まります。
PASONAの法則は、「セールスレター」、「ダイレクトメール(DM)、「ランディングページ(LP)」の作成に有効な法則です。
10.QUESTの法則
QUESTの法則は、PASONAの法則と同様に特定のターゲットに対してダイレクトマーケティングをおこなう際に用いられる法則です。
Qualify(宣言・約束する)
↓
Understand(理解を示し共感を得る)
↓
Educate(教育)
↓
Stimulate(刺激を与え興奮させる)
↓
Transition(行動を促す)
PASONAの法則との大きな違いは、文章の冒頭で「「あなたの悩みを解決できるのは○○である」と宣言・約束することです。この「宣言」を入れることにより、多くのユーザーが引き込まれます。サイトに訪問してきたユーザーの離脱率も低下させることができます。
インパクトをより強くするために、会社の代表者、商品開発者などが前面に出て、解説する方法としても用いられます。
QUESTの法則は、美容や健康、あるいは士業など「お悩み解決型」の商品・サービス提供者のコンテンツライティングに適した法則と言えます。
11.BEAFの法則
ネットで商品を売るために特化したものに「BEAFの法則」があります。商品・サービスのメリットから特徴までを解説し、ネットユーザーを素早く購買行動に導く法則です。
Benefit(メリット)
↓
Evidence(証拠・裏付け)
↓
Advantage(競合優位性)
↓
Feature(さまざまな特徴)
BEAFの法則では、「購入メリット」→「その根拠」→「他より優れている理由」→「利用シーン」などをロジカルかつ広範囲に説明することで、ユーザーは購買行動に移るとしています。BEAFの法則を用いた手法として「縦長商品ページ」が有名です。一つのページにこれでもかと情報を入れ込み優位性を訴求するLP型のWEBページです。
BEAFの法則は、ネット通販やアフィリエイターも取り入れている物販サイトの定番的なライティング手法として使われています。
このBEAFの法則の考え方は、その記事を読んだユーザーが強い動機づけを持つような手法ですので、モチベーションマーケティング(人材教育、学校教育など)の記事作成にも取り入れることが可能です。
12.GDTの法則
GDTの法則とは、アメリカのマーケッター「マイケルフォーティン」が提唱する、人間の持つ9つの欲求本能に対して働きかけるマーケティング法則です。
・Goal(三つの目標):①(時間)をかけたくない、②(努力)したくない、③(お金)が欲しい、使いたくない
↓
・Desire(三つの願望):①(富・名誉)お金と名声が欲しい、②(愛・美・性)愛が欲しい、美を追求したい、性欲を満たしたい、③(快適)な生活が欲しい
↓
・Teaser(三つの本性):①(希少性)他人が持ってないものが欲しい、②(反社会性)常識外のことが気になる、③(興味性)好奇心を満たしたい
このようにGDTの法則は、理性の下に眠る人間が持つ3つの本質的な欲求に迫ります。そして。9つの要素を記事に取り入れることで、理性を取り払い、感情を動かして購買意欲を高めさせます。人を惹きつける文章が求められますので、高いコピーライティング技術が必要です。
GDTの法則は、ある意味、人間の弱点迫るようなライティング手法であるため、物販広告のセールスレターだけでなく、フランチャイズ募集、ネットワーク系ビジネスのコピーにも使われます。また、さまざまな商材でトップアフィリエイターがGDTの法則を用いて、大きな収益をあげています。
SEOライティング
13.PREP法
PREP法は、結論を最初に伝え、理由や具体例を示し、最後に結論を繰り返すという、説得力を持たせる文章構成に適したライティング法則です。ロジカルな説明が求められる、論文、ビジネスシーン(報告書、企画書、提案書)でも使うことができます。
Point(結論)
↓
Reason(理由)
↓
Example(事例・具体例)
↓
Point(さらに結論)
PREP法の構成は、昨今のコンテンツマーケティングでも広く使用されています。冒頭にその記事が最も伝えたい結論を示し、それから論理展開されている記事は、読みやすく、頭に入りやすいと言えます。
PREP法のような、ロジカルに整理ライティングされた記事は、検索エンジンもクローリング・インデックスしやすいためSEOにも強い記事のタイプだと言えます。ただし、適切な記事のTitleと見出し、記事の独自性、有用性などが重要なのは言うまでもありません。
14.パラグラフライティング
1つの段落(パラグラフ)で1つのトピックだけを扱い、段落を複数組み合わせていくことで論理展開していく文章法則のことを「パラグラフライティング」と呼びます。
見出し(記事の内容を説明するタイトル文章)
↓
要約文(記事の概要を文頭で説明)
↓
支持文(記事を補足する文章)
このパラグラフライティングのキモは、各段落の冒頭で、その段落内の要約文を書いて、要約文の後ろは支持文と呼ばれる補足文章で構成することです。そのため、パラグラフライティングで書かれた文章は「読みやすい」、「理解しやすい」、「内容が深い」という大きなメリットが生まれます。
たとえば、起承転結型の文章だと最後まで読まないと、概要がつかめず、どこが重要なのかが理解できません。しかし、パラグラフライティングでは、各段落の冒頭文を読んだだけで話しの流れを掴むことがで、理解を深めながら読み進むことができます。
また、パラグライディングは、より深い論理展開することでSEOにも効果的になります。さらに「適切なTitle・見出し設計」、「キーワード設計」などのSEOテクニックと、「記事の独自性・有用性」というコンテンツ設計を組み合わせることで、その効果は最大化できますので、お薦めのSEOライティング法則です。
まとめ
コンテンツマーケティングでは、さまざまなタイプのコンテンツを企画・作成するシーンがでてきます。多くのWEB担当者の方が感じていると思いますが、コンテンツの企画・構成というクリエイティブワークは難しい仕事で、プランニングには多くの時間を要します。
そこで、忙しいWEB担当者が、コンテンツを柔軟かつスピーディーに企画・構成するのに役立つのが「法則」です。「論理展開の方法」、「購買心理を刺激する構成」など、先人がつくった法則は多いに役立つはずです。
今回ご紹介した14の法則を活用して、ぜひ高品質なコンテンツづくりに生かしていただければ嬉しく思います。
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