- 浮気慰謝料の明確な計算式はないが、大まかな計算は可能
- 婚姻期間や浮気継続期間の長さによって慰謝料が増額されることもある
- 浮気前の夫婦関係や浮気相手の事情によっても慰謝料の金額は左右される
- 浮気慰謝料を請求するには不貞行為を証明できる証拠が必要である
浮気の慰謝料はケースによって変わるため詳細な金額を算出することはできません。
しかし、裁判所の判例をもとにした計算方法や基準となるものがありますので、ここではその慰謝料相場、計算方法、算定基準についてご説明します。
浮気の慰謝料相場や増額するために必要な算定基準や要素についてしっかりチェックしていきましょう。
浮気の慰謝料を計算する
こちらの浮気慰謝料自動計算機で、配偶者が不倫した場合に請求できる慰謝料の金額を大まかに計算することができます。まずは、目安を確認しておきましょう。
浮気の慰謝料を計算する
計算結果はあくまで目安です。浮気を証明できる証拠の有無や、原因の継続期間によって金額は異なります。
計算結果
円
浮気による離婚慰謝料を請求するには?
慰謝料請求を有利に進めるためには、浮気の証拠を集める必要があります。
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浮気慰謝料の計算方法について
そもそも慰謝料とは、他人の不法行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことです。
配偶者の浮気は民法上の不法行為に該当します。したがって、それによって受けた精神的苦痛の程度に応じて、配偶者および浮気相手に対して慰謝料を請求できるのです。
しかし、精神的苦痛の程度を客観的に測ることはできないので、浮気慰謝料の金額を計算する明確な計算式はありません。
ただ、過去の裁判例によって事実上の相場は形成されています。今までに慰謝料請求の裁判は数多く行われてきたので、慰謝料が増額されやすい事由と減額されやすい事由も明らかとなっています。
そのため、浮気が行われていた状況や浮気発生前の夫婦関係、浮気が発覚した後の事情などを具体的に確認することによって、浮気慰謝料のおおまかな金額を計算することは可能です。
浮気慰謝料の相場
浮気慰謝料の相場は、浮気が発覚する前後の夫婦の状況に応じて、以下のように分けられます。
【離婚・別居せず婚姻生活を継続する場合】
婚姻期間 | 慰謝料の相場 |
---|---|
3年以下 | ~50万円 |
3年~15年 | ~75万円 |
15年以上 | ~100万円 |
【別居することになった場合】
婚姻期間 | 慰謝料の相場 |
---|---|
3年以下 | ~100万円 |
3年~15年 | ~150万円 |
15年以上 | ~200万円 |
【離婚することになった場合】
婚姻期間 | 慰謝料の相場 |
---|---|
3年以下 | ~200万円 |
3年~15年 | ~300万円 |
15年以上 | ~500万円 |
この相場をもとに、浮気のケースや婚姻状況など個別の事情によって慰謝料額は増減します。
浮気慰謝料を算定するための基準
浮気慰謝料を算定する際には、以下の事由が考慮されます。増額される要素が多ければ多いほど慰謝料は高額になる可能性が高いといえます。
ただし、最終的には各事由を総合的に考慮して金額が算定されるので、増額要素があるからといって必ずしも高額の慰謝料を請求できるとは限りません。
離婚・別居の有無
配偶者の浮気によって夫婦関係が破壊された程度が大きければ大きいほど、浮気された側の精神的苦痛は大きくなります。
そのため、浮気が原因で離婚・別居に至った場合は慰謝料が増額される要因となり、婚姻生活をそのまま継続する場合は減額される要因となります。
婚姻年数
夫婦の婚姻年数が長ければ長いほど、浮気によって配偶者に裏切られた側の精神的苦痛は大きくなります。
概ね、婚姻期間が15年以上の場合は慰謝料が増額される要因となり、3年以下の場合は減額される要因となります。
浮気前の夫婦の関係
良好だった夫婦関係が配偶者の浮気によって破壊された場合は、浮気された側の精神的苦痛が大きいので、慰謝料が増額される要因となります。
一方で、浮気発生前から夫婦仲が悪かった場合には、慰謝料が減額される要因となることもあります。
浮気発生前に夫婦関係が完全に破綻していた場合は、浮気によって夫婦関係が破壊されたことになりませんので、そもそも慰謝料請求が認めらません。
浮気の期間
浮気が行われていた期間が長ければ長いほど、浮気された側の精神的苦痛は大きくなります。
概ね、浮気の期間が1年以上に及ぶ場合は慰謝料が増額される要因となりますが、3ヶ月以内の場合は減額される要因となることがあります。
浮気の回数
浮気中の「不貞行為」の回数が多ければ多いほど、浮気された側の精神的苦痛は大きくなります。
浮気の期間が長くても不貞行為の回数が少ない場合は慰謝料が減額される可能性がありますし、逆に、浮気の期間が短くても不貞行為の回数が多い場合には慰謝料が増額される可能性があります。
概ね、不貞行為の回数が20回以上なら慰謝料が増額される要因に、3回程度以内なら減額される要因となります。
不貞行為とは、配偶者以外の異性と自由な意思で肉体関係を持つことを指します。キスやハグ、食事のみのデートなどは不貞行為に該当しないため、基本的には浮気慰謝料の算定にあたって考慮されません。
ただし、配偶者が他の異性と度を超えて親密な交際をした場合には、慰謝料が増額される要因となることもあり得ます。
浮気相手の妊娠・出産
浮気相手が配偶者の子供を妊娠・出産することは、浮気された側にとって大きな精神的苦痛となります。
そのため、浮気相手が妊娠したことは慰謝料が増額される要因となり、出産した場合にはさらに増額されるのが一般的です。
夫婦間の子供の有無
夫婦間に子供がいる場合は、子供がいない場合に比べて浮気された側の精神的苦痛が大きいと考えられます。
子供が幼ければ幼いほど、その精神的苦痛が大きいと考えられますので、慰謝料が高額化する傾向があります。子供が成人してすでに自活している場合には、通常は増額・減額の要因とはなりません。
配偶者の年収・資産・地位
浮気した配偶者の年収や資産が多ければ多いほど、また社会的地位が高ければ高いほど、慰謝料が増額される要因となります。
なぜなら、「資産家の妻(夫)の座」や「社会的地位が高い人の妻(夫)の座」が配偶者の浮気によって脅かされると、そうでない夫婦の場合よりも精神的苦痛が大きいと考えられるからです。
発覚後の浮気継続の有無
浮気が発覚したにもかかわらず配偶者が浮気を継続する場合は、慰謝料が増額される要因となります。
なぜなら、配偶者の浮気に気づいて「やめてほしい」と要求したにもかかわらず浮気を続けることは違法性が高く、それだけ浮気された側の精神的苦痛も大きくなると考えられるからです。
配偶者が同じ相手と浮気続ける場合だけでなく、相手を変えて浮気を繰り返すことも、慰謝料が増額される要因となります。
反省しているかどうか
浮気慰謝料の金額は、結局のところ浮気された側の精神的苦痛の程度によって決まります。そのため、浮気が発覚しても配偶者に反省の態度がない場合は、慰謝料が増額される要因となります。
逆に、配偶者が真摯に反省し誠実に謝罪するなどして、浮気された側の精神的苦痛の回復に努めたような場合には、慰謝料が減額される要因となることもあります。
浮気慰謝料を請求するときの注意点
配偶者や浮気相手に対して慰謝料を請求する際には、金額の計算以外にも注意しなければならないことがいくつかあります。
浮気の証拠はあるか
浮気されたのが事実であっても、配偶者や浮気相手に事実を否定された場合には、証拠がなければ慰謝料を請求できません。
浮気の事実を証明するためには、憶測や推測を超えて、2人の間に肉体関係があったことが間違いないと認められるような確実な証拠が必要です。
例えば、性交渉の模様を撮影した画像や動画、2人でラブホテルへ複数回で入りしていることが分かる写真などです。
証拠が不十分なまま慰謝料を請求すると、配偶者や浮気相手に警戒されて証拠を掴むこと自体が難しくなってしまいます。確かな証拠を掴むためには、プロの探偵に依頼するのがおすすめです。
浮気相手に責任を問えるか
2人の肉体関係を証明できる証拠があるとしても、浮気相手の責任を問えない場合があります。
例えば、配偶者が無理やりに相手と肉体関係を持った場合には、相手の自由意思に基づく行為ではないので、相手には慰謝料の支払い義務がありません。
また、浮気相手が配偶者のことを既婚者と知らずに肉体関係に至った場合も、状況次第では不貞行為の「故意」も「過失」も認められない可能性があります。
故意・過失がなければ不法行為が成立しませんので、浮気相手に慰謝料を請求することはできません。
ただし、浮気相手が少し注意すれば配偶者が既婚者であることに気づいたはずといえる場合は、過失が認められます。また、浮気相手が言い訳として「既婚者だとは知らなかった」と主張するケースもあります。
本当に浮気相手が配偶者のことを既婚者と知らなかったのか、知らないことについて過失もなかったのかについては、慎重に判断する必要があります。
求償権の影響を受けないか
浮気は2人で行う不法行為なので、慰謝料は配偶者と浮気相手が連帯して支払う責任があります。
そのため、浮気相手が慰謝料全額を支払った場合には、その後に浮気相手から配偶者に対して半額を返還するように求めてくることがあります。
このように、加害者がもう1人の加害者に対して、自分の負担部分を超えて支払った慰謝料の返還を求めることができる権利のことを「求償権」といいます。
配偶者と離婚せず婚姻生活を続ける場合、浮気相手から慰謝料を支払ってもらっても、求償権を行使されると配偶者が半額を浮気相手に支払わなければなりません。
その場合、家計の面では実質的に慰謝料が半額となってしまうことに注意が必要です。
時効期間が過ぎていないか
不法行為に基づく慰謝料の請求権には、時効があります。浮気慰謝料の場合、浮気の事実と浮気相手を知ってから3年、または浮気が行われたときから20年のどちらか短い方で時効が成立します。
浮気が発覚しても、証拠が掴めないなどの理由で3年が経過してしまうと、時効のため慰謝料を請求できなくなってしまいます。そのため、浮気の証拠はプロの探偵に依頼してスピーディーに確保することが大切です。
まとめ
浮気慰謝料の金額には一応の相場がありますが、浮気の状況や夫婦の関係、その他さまざまな要素によって増額または減額されることがあります。
一般的には、浮気が原因で離婚や別居に至った場合、婚姻年数が長い場合、浮気の期間が長く、浮気の回数が多い場合には慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。
そして、実際に慰謝料を請求する際には確かな証拠が必要です。浮気は内密に行われるものですので、自力で証拠を集めるのは難易度が高いものです。
配偶者の浮気が発覚した場合や疑わしい場合には、浮気調査のノウハウを有するプロの探偵に相談・依頼しましょう。