- パパ活で受け取ったお金は基本的に返す必要がない
- パパ活相手から脅迫やストーカー行為を受けたときは警察への相談が有効である
- パパ活相手から借りたお金を返せないときは債務整理という解決方法もある
- パパ活相手との金銭トラブルで困ったらまず弁護士に相談した方がよい
パパ活でお金を受け取ったところ、後になって相手からお金を返せと言われたことで困ってしまう女性は少なくありません。
パパ活でお金を返せと言われた場合には、まず法律上の返済義務があるかどうかを確認することが必要です。
その上で、女性としては身の安全を確保しながら、適切に対処していかなければなりません。
この記事では、パパ活でお金を返せと言われた女性がとるべき対処法について、法律上の返済義務の有無を踏まえて解説していきます。
無視してよいケース・警察に相談すべきケース・弁護士に相談すべきケースもそれぞれご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
パパ活でお金を返せと言われた場合に返す義務はある?
パパ活の相手からお金を返せと言われても、ほとんどの場合、返済義務はありません。
しかし、例外的に返済義務が生じる場合もあるので、状況別に分けて解説します。
贈与されたお金は返す義務がない
パパ活では、男性から女性に対して、次のような名目で金品が手渡されることがあります。
- デートや食事の対価としての報酬(お手当)
- お小遣い
- 生活費の援助
- 学費の援助
- 借金返済の援助
- 事業資金の援助
他にもさまざまな名目がありますが、いずれの場合も、相手の男性からお金をもらった場合は「贈与」に当たります。
法律上、書面(贈与契約書など)を交わさずに行われた贈与は、当事者の一方のみの一存では解除できないこととされています。
そのため、パパ活の相手から「お金を返せ」と言われても、こちらが応じなければ贈与契約は有効なままです。
したがって、パパ活でもらった(贈与された)お金は、返す義務がありません。
性行為の報酬として受け取ったお金も返す義務がない
パパ活では、女性が性行為に応じることと引き換えに、男性からお金をもらうこともあります。
金品と引き換えに性行為に及ぶことは、社会の秩序を乱す行為と考えられています。そのため、この場合の贈与契約は公序良俗違反であり、違法かつ無効です。
しかし、違法(不法)な目的で受け渡された金品は民法上の「不法原因給付」に該当し、金品を渡した側は、その返還を請求できないとされています。
つまり、パパ活の相手である男性には、性行為の報酬として支払ったお金を「返せ」と請求する権利はないのです。
したがって、性行為の報酬として受け取ったお金を返す義務はなく、そのままもらっておいて問題ありません。
借りたお金は返す義務がある
パパ活の相手から受け取ったお金でも、返す約束をしていた場合は「消費貸借契約」が成立するため、返す義務があります。
学費や生活費、借金の返済、その他さまざまな事情でまとまったお金が必要なとき、パパ活の相手に対して「必ず返すから」と約束してお金を受け取ることもあるでしょう。
返済の約束が口約束だけでも消費貸借成立しますので、相手から「返せ」と言われたら、返さなければなりません。
ただし、返済の約束があったことはパパ活の相手が立証する必要があります。
返済の約束などしていないのに相手が「貸したものだ」と言い出した場合には、証拠の提示を求めましょう。相手が消費貸借契約の成立を証明できなければ、お金の返す必要はありません。
パパ活でお金を返せと言われたときの対処法①~無視してよいケース
パパ活の相手からお金を返せと言われたとき、無視することが最善の対処法となるケースも少なくありません。
次のようなことを相手から言われると不安を感じると思いますが、脅し文句に過ぎませんので、無視して構いません。
- 弁護士を立てると言われた
- 裁判を起こすと言われた
- 妻との関係が悪化したから慰謝料を払えと言われた
弁護士を立てると言われた
パパ活の相手が「お金を返さないのなら弁護士を立てる」と言うこともあるでしょう。
しかし、相手が弁護士に相談したとしても、消費貸借契約の証拠がある場合を除いて、弁護士が依頼を受けるとは考えられません。
それに、弁護士に依頼するためには相応の費用がかかりますし、相談するだけでも通常は相談料がかかります。
高額のお金を借りた場合でない限り、実際に相手が弁護士を立てることなどないでしょう。
裁判を起こすと言われた
パパ活の相手が「裁判を起こして返金を請求する」と言ったとしても、実際に裁判を起こされることはほとんどありません。
裁判などを起こせば、相手もパパ活をしたことが明るみに出てしまう可能性が高いからです。
万が一、裁判を起こされたとしても、消費貸借契約の証拠がない限りは相手の主張が通ることはありません。
妻との関係が悪化したから慰謝料を払えと言われた
パパ活の相手が既婚者だった場合は、妻との関係が悪化したとの口実で慰謝料を請求されるケースもあります。
たしかに、既婚者と肉体関係を持つと不貞行為による慰謝料の支払い義務が生じることがあります。
しかし、慰謝料の請求権が認められるのは相手の奥さんであり、相手の男性には請求権がありません。
相手の男性から「妻が怒っているから慰謝料を払わないと裁判されるぞ」などと言われたとしても、脅し文句に過ぎませんので、無視した方がよいでしょう。
パパ活でお金を返せと言われたときの対処法②~警察に相談すべきケース
パパ活でお金を返せと言われたとき、次のようなケースでは身の安全を確保する必要性が高いので、警察に相談しましょう。
- 家族にバラすと脅された
- 動画や画像をネットにばらまくと脅された
- 性行為を強要された
- ストーカー行為を受けた
家族にバラすと脅された
パパ活の相手から「お金を返さなければ家族にパパ活のことをバラす」と脅された場合、個人情報(住所・氏名・自宅の連絡先など)を知られていなければ、脅し文句に過ぎません。
しかし、個人情報を知られている場合は深刻なトラブルに発展するおそれがあるので、早めに警察に相談すべきです。
状況にもよりますが、脅迫罪や恐喝罪で警察が取り締まってくれる可能性があります。
動画や画像をネットにばらまくと脅された
パパ活の相手から「お金を返さなければ動画や画像をネットにばらまく」と脅された場合は早急に警察に相談しましょう。
特に、性行為中や裸の動画や画像を撮られている場合には急いで相談する必要があります。
いったん動画像をネットでばらまかれてしまうと、削除請求をするとしても手間がかかりますし、拡散されると完全に削除することは難しくなってしまうからです。
脅されただけでも脅迫罪や恐喝罪として警察に相談できますし、動画像をばらまかれた場合にはリベンジポルノ防止法違反の罪として相談できます。
性行為を強要された
パパ活の相手から、お金を返す代わりに性行為を強要された場合も、脅迫罪や恐喝罪で警察に相談できます。
実際に性行為を余儀なくされた場合には、強制わいせつ罪や強制性交等罪などの重い犯罪が成立する可能性もあります。その場合には、警察が動いてくれる可能性も高まります。
できる限り、被害が軽いうちに警察への被害届や刑事告訴をすることが大切です。
ストーカー行為を受けた
パパ活の相手による返金要求が度を超えて、電話やメールが頻繁に送られてきたり、つきまといや待ち伏せなどのストーカー行為を受けた場合も、警察への相談が有効です。
状況により、警察署長による警告や、公安委員会によるストーカー行為禁止命令を発出してもらえる可能性があります。
ストーカー行為を受けた場合、一人で怯えていると相手の行為がエスカレートする可能性が高いので、早めに警察の力を借りるようにしましょう。
パパ活でお金を返せと言われたときの対処法③~弁護士に相談すべきケース
次のようなケースでは、早めに弁護士に相談することを強くおすすめします。
- 個人情報を知られている
- 借用書にサインさせられた
- 借りたお金を返せない
- どうすればよいのかがわからない
個人情報を知られている
パパ活の相手に個人情報を知られている場合は、実際に家族や学校、職場などにパパ活のことを言いふらされたり、ストーカー行為を受けたりするおそれがあります。
そんなときは、弁護士に依頼して相手に対して不当要求を止めるように警告してもらい、必要に応じて交渉してもらうことが有効です。
警察が動いてくれない場合でも、弁護士に依頼すればすぐに動いてもらえるというメリットもあります。
借用書にサインさせられた
借用書にサインさせられた場合は、まず、その借用書が法的に有効なものかどうかを確認することが重要です。
私人間で作成した借用書は、様式の不備などにより無効であることも少なくありません。
借用書の控えがあれば、弁護士に見せて相談しましょう。
パパ活の相手からお金をもらったにもかかわらず、後で無理やりに、あるいは騙されて借用書にサインさせられたというケースもあるでしょう。
このような場合には、民法上の強迫や詐欺を理由として消費貸借契約(または準消費貸借契約)を取り消すことにより、返済を拒否できる可能性があります。
借用書にサインしたとしても、お金の返済義務については自己判断をせず、弁護士から専門的なアドバイスを受けて判断しましょう。
借りたお金を返せない
パパ活の相手から借りたお金を返せない場合でも、弁護士に相談すれば適正な解決方法が見つかるはずです。
弁護士が相手と交渉することで解決することもありますし、債務整理などの法的手段によって解決を図ることも考えられます。
お金が返せないと悩んでいるだけでは何も解決しませんし、相手からの要求がエスカレートするおそれがあります。
早めに弁護士に相談し、最適な解決方法を見つけましょう。
どうすればよいのかがわからない
その他、どうすればよいのかがわからない場合には、まず弁護士に相談することが最善の対処法です。
弁護士に詳しい事情を伝えた結果、無視してもよいケースなら、「しばらく様子を見ましょう。困ったことがあればもう一度ご相談ください」とアドバイスされます。
警察による対応が必要な場合には、刑事告訴の手続きを依頼することも可能です。
その他にも、状況に応じて最適な解決方法のアドバイスが得られますので、一人で悩まず弁護士に相談しましょう。
パパ活相手との金銭トラブルを弁護士に依頼して解決する方法
パパ活相手との金銭トラブルが生じた場合、弁護士に依頼すれば次のような方法で解決を図ることができます。
- 弁護士から警告する
- パパ活相手との交渉
- 刑事告訴
- 損害賠償請求
- 債務整理
弁護士から警告するだけで解決することも多い
パパ活の相手からの返金請求が不当要求である場合、弁護士はまず、相手に対して内容証明郵便を送付するなどして、不当要求を止めるように警告します。
多くの場合、パパ活の相手からの「お金を返せ」という発言は脅し文句に過ぎません。そのため、弁護士から警告するだけで不当要求が止まることも多いものです。
パパ活相手との交渉
パパ活相手が弁護士の警告を無視して不当要求を続ける場合は、弁護士が相手と交渉します。
相手に法的な返金請求権がないことを弁護士が冷静に、かつ、論理的に説明して、相手が納得して不当要求を止めるように説得します。
借りたお金の返済義務がある場合には、返済額や返済方法(返済期限の猶予や分割払いなど)の交渉をすることも可能です。
刑事告訴
パパ活相手が脅迫や性行為の強要、ストーカー行為などを止めない場合には、弁護士が刑事告訴の手続きを代行することもできます。
被害者が自分で警察に相談しても動いてもらえないことはよくあります。しかし、弁護士が代理人として刑事告訴をすれば、警察が相手を逮捕してくれたり、ストーカー行為に対する警告や禁止命令を出してもらえる可能性が高まります。
迷惑行為に対する損害賠償請求
脅迫や性行為の強要、ストーカー行為などの迷惑行為を受けた場合は、民法上の不法行為に該当しますので、慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性があります。
弁護士が相手と交渉する際には、「不当要求を止めなければ刑事告訴や損害賠償請求などの法的措置をとる」と警告することも有効です。
損害が発生している場合には実際に損害賠償請求ができますので、弁護士にご相談の上、必要に応じて依頼するとよいでしょう。
借りたお金を返せないときは債務整理
借りたお金が高額で返せない場合には、債務整理が有効です。パパ活相手のような個人から借りたお金も債務整理をすることが可能です。
債務整理とは、法律に則った手続きを利用して借金を減額したり免除してもらったりすることが可能な救済制度のことです。
主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあります。それぞれ特徴が異なる手続きですが、借入額や収入・財産の状況、貸主の意向などに応じて、状況に合った手続きを選んで行えば、借金問題は解決できます。
パパ活相手以外に貸金業者などからも借金をしている場合には、債務整理でまとめて解決してしまうとよいでしょう。
まとめ
パパ活相手からお金を返せと言われた場合、基本的には返済義務がなく、無視しても構わないケースが多いですが、適正に対処しなければ身の安全が脅かされることもあるので注意が必要です。
返済義務の有無や正しい対処法を判断するためには、専門的な法律の知識も要求されます。
どのようなケースでも、お困りの場合はまず弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。