- エポスカードは任意整理に良心的に対応してくれる
- 過払い金も裁判なしで大部分の回収が可能である
- 任意整理後はマルイでの優待が受けられないことに注意
- 専門家に依頼すればより有利な和解が期待できる
エポスカードは、丸井グループ会社が発行するクレジットカードです。マルイの他にもモディ、無印良品、ノジマ等の提携店舗で優待サービスが受けられるため、これらのお店をよく利用する方の中にはエポスカードをお持ちの方が多いと思われます。
エポスカードも機能は一般的なクレジットカードと同様ですので、クレジットショッピングやキャッシングを利用しすぎると返済しきれなくなることがあります。そんなときでも、任意整理で利息をカットし、返済の負担を軽減すれば解決できる可能性があります。
そこで気になるのは、エポスカードが任意整理の交渉にどの程度応じてくれるのかということでしょう。
この記事では、エポスカードとの任意整理における最近の和解傾向をはじめとして、注意点や過払い金返還請求に対するエポスカードの対応についても分かりやすく解説していきます。
エポスカードの基本情報
エポスカードは、株式会社丸井の子会社である「株式会社エポスカード」が発行するクレジットカードです。
マルイグループの店舗で買い物をする際に優待を受けられる他、電子マネーの利用でもポイントがつくので、女性や若い人を中心に利用が広まっています。
株式会社エポスカードの基本情報は、以下の表を参考になさってください。
ブランド名 | EPOS(エポス) |
---|---|
会社名 | 株式会社エポスカード |
本社所在地 | 東京都中野区中野4丁目3番2号 |
創業時期 | 2004年10月1日 |
沿革 | 前身:株式会社丸井でマルイカード発行 2004年10月:株式会社マルイカードとして設立 2005年4月:株式会社丸井から事業譲り受け 2006年3月:株式会社エポスカードに社名変更 2006年3月:エポスカードの発行を開始 2014年10月:ゼロファーストを吸収合併 |
主な関連会社 | 株式会社丸井(親会社) ゼロファースト(吸収合併) スルガ銀行(カードローンを保証) 株式会社エムアールアイ債権回収 |
以下、この記事では株式会社エポスカードのことを単に「エポスカード」と称することとして、解説を進めていきます。
エポスカードの任意整理への対応(和解傾向)
エポスカードもクレジットカード会社ですので、返済が苦しくなった場合は任意整理の対象となります。
エポスカードの任意整理における最近の和解傾向は、以下のとおりです。
対応は良心的
エポスカードの任意整理への対応は、良心的なものといえます。
最近は貸金業者やクレジットカード会社の多くが、経営不振などの理由で任意整理において厳しい和解条件を要求するようになってきています。その中でもエポスカードは任意整理に非常に協力的な対応をしてくれます。
丸井グループの子会社ですので、経営も安定していることもあるでしょう。具体的には、以下のように他社と比べて債務者に有利な条件で和解に応じてくれる傾向にあります。
将来利息は全額カット
将来利息は、ほぼすべてのケースで全額カットしてもらえます。他社では取引期間が短いケースや、滞納期間が長いケースでは将来利息を一部請求されるケースが少なくありません。
しかし、エポスカードでは今のところ、そのような傾向はありません。
遅延損害金もカット可能
和解が成立するまでの経過利息と遅延損害金についても、エポスカードが債権調査票を作成した後の分はカットしてもらえます。それまでに発生していた遅延損害金はカットされません。
最近では大半の貸金業者・クレジットカード会社が経過利息・遅延損害金のカットにほとんど応じなくなっていることを考えれば、エポスカードの対応は非常に良心的なものといえます。
返済期間は原則5年~7年
和解後の返済期間については、原則として5年(60回払い)までですが、返済額が100万円以上の場合は最長7年(84回払い)まで応じてもらえます。
この点についても、他社では3年(36回払い)から長くても5年(60回払い)までしか応じない業者が増えてきていることを考えると、エポスカードは任意整理に協力的な対応をしてくれているといえます。
エポスカードの過払い金返還請求への対応
エポスカードを長年利用している場合は、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金が発生している可能性が高いケースと、過払い金返還請求に対するエポスカードの対応は、以下のとおりです。
過払い金が発生するケース
エポスカードに対する過払い金が発生している可能性が高いのは、次の2つのケースです。
- エポスカードで2007年3月15日以前にキャッシングをしていた場合
- ゼロファーストから2007年4月15日以前に借り入れをしていた場合
エポスカードの発行が開始されたのは2006年3月ですが、2007年3月15日まではキャッシングの金利が法定金利を超える高金利となっていました。
したがって、それよりも以前からキャッシングを利用していた場合は、過払い金が発生しているか、少なくとも利息引き直し計算をすれば元金が減額される可能性が高いといえます。
ゼロファーストでも、2007年4月15日までは法定金利を超える高金利で貸し付けを行っていました。そのため、それ以前から借り入れをしていた場合は、過払い金が発生しているか、少なくとも元金が減額される可能性が高くなります。
なお、ゼロファーストは2014年10月にエポスカードに吸収合併されましたので、ゼロファーストに対する過払い金の返還も、エポスカードに請求することになります。
任意交渉でも大部分の回収が可能
エポスカードに対して過払い金返還請求をした場合、任意交渉でも80%~90%は返還してくれるケースがほとんどです。
他社では50%以下しか返還しない業者も少なくないことを考えると、非常に良心的な対応といえます。満額回収というわけにはいきませんが、早期の回収を望む場合は譲歩して和解するのもよいでしょう。
裁判をすれば利息付きで全額を取り戻せる
エポスカードに対して、過払い金を全額取り戻すためには裁判をすることが必要です。裁判で過払い金を証明できた場合には、過払い金の全額に加えて過払い利息も支払ってもらえます。
過払い利息とは、過払い金が発生してから貸金業者・クレジットカード会社が返還するまでに発生する利息のことです。過払い金は貸金業者・クレジットカード会社の不当利得に当たるので、返還するまでの間、民事法定利率がかかるのです。
現在の民事法定利率は年3%ですが、2020年3月31日以前の部分については民法改正前の利率である年5%となります。
エポスカードとの任意整理で注意すべきポイント
非常に良心的な対応をしてくれるエポスカードですが、それでも任意整理をする際には以下の点に注意が必要です。
滞納すると債権回収会社から裁判を起こされることも
任意整理をする前にエポスカードへの返済を延滞し続けると、「エムアールアイ」という債権回収会社から督促を受けるようになります。
滞納を概ね2~3ヶ月続けるとエムアールアイから督促され、その後も数ヶ月放置すると、エムアールアイから裁判を起こされる可能性が高くなります。
ただ、エムアールアイも和解交渉には比較的に柔軟に応じてくれます。
- 将来利息は全額カット
- 経過利息と遅延損害金も一部カット
- 分割払い可
裁判にきちんと対応して和解交渉をすれば、このような条件で裁判上の和解をしてくれるケースがほとんどです。裁判を起こされたとしても、諦めずに和解交渉をすることが大切です。
ブラックリストに登録される
エポスカードに限ったことではありませんが、任意整理をするとブラックリストに登録されてしまいます。その後の一定期間は、新たな借り入れはできませんし、クレジットカードの作成・利用もできなくなります。
ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が登録された状態のことです。債務整理をすることも「事故」の一種ですので、事故情報が登録されるのです。
事故情報は一定期間の経過後に削除され、その後は再び借り入れやクレジットカードの作成・利用が可能となります。事故情報が削除されるまでの期間は、任意整理の場合は完済から5年です。
公共料金等のカード払いができなくなる
ブラックリストに登録されることによる影響で、クレジットカードが使えなくなります。そのため、公共料金等のカード払いができなくなることに注意が必要です。
エポスカードに任意整理を申し出ると、その時点でエポスカードは強制解約となります。任意整理の対象としない他社のカードはしばらくの間は使えますが、長くて半年ほどのうちにはそれも使えなくなります。
公共料金等のカード払いを利用している場合は、早めに支払い方法を口座引き落としや納付書の利用に切り替えておきましょう。
ポイントが無効になる
エポスカードと任意整理をすると、強制解約に伴いエポスポイントも無効となります。ポイントを無駄にしたくない場合は、任意整理をする前に以下の方法でポイントを消費しておきましょう。
- マルイや提携店舗での買い物に利用する
- ネット通販に利用する
- グッズや商品券等と交換する
- 他社ポイントに移行する
- プリペイドカードに移行する
マルイ等でのショッピング優待を受けられなくなる
エポスカードが強制解約になると、当然ながらマルイ等でのショッピング優待を受けられなくなります。注意が必要なのは、信用情報機関の事故情報が削除された後もエポスカードは作成できないことです。
なぜなら、エポスカードの社内には任意整理をしたという情報が残り続けるため、カードの審査を通過できないからです。このように、社内データとして残る事故情報のために半永久的に審査に通らなくなることを「社内ブラック」といいます。
したがって、信用情報機関の事故情報が削除された後もマルイ等でのショッピング優待は受けられないと考えておかなければなりません。
エポスカードとの任意整理に失敗するケース
任意整理に協力的なエポスカードですが、以下のケースでは任意整理に失敗する可能性が高くなります。
他社からの借り入れが多い
他社からも借り入れがある場合には、エポスカードとの和解交渉において、他社への返済額も考慮しなければなりません。
他社からの借り入れが多い場合には、エポスカードが良心的な和解条件を提示してくれたとしても、和解することは難しくなるでしょう。
収入が少ない
任意整理が成功するかどうかは、借金総額と収入との兼ね合いによります。借金総額がそれほど多額でなくても、収入が少ない場合は任意整理で解決することは難しくなります。
例えば、借金総額300万円で任意整理をする場合、毎月の返済額の合計は最低でも5万円は必要となってきます(全社と60回払いで和解できた場合)。
毎月5万円を5年間にわたって遅滞なく返済できる収入がなければ、任意整理をしても失敗する可能性が高いといえます。
自分で交渉する
任意整理の交渉を有利に進めるためには、専門的な知識と交渉力が要求されます。素人では、貸金業者やクレジットカード会社の担当者と対等に交渉することは困難です。
債務者が自分で交渉すると、債権者は一方的に自社に有利な和解条件を押しつけてくることが多い傾向にあります。将来利息もそのままで、返済期間を少し延長してもらえるだけというケースもあります。
エポスカードでも、自分で交渉する債務者に対しては和解条件が厳しくなりがちな傾向があります。任意整理を成功させるためには、弁護士または司法書士といった法律の専門家に依頼することが得策です。
エポスカードとの任意整理が難しいときの対処法
エポスカードとの任意整理が難しいというケースでは、借金総額が大きいか、収入が少ない、あるいはその両方という場合が多いでしょう。そんなときでも、以下の対処法によって借金問題を解決することが可能です。
- 個人再生:借金総額を5分の1程度に減額すれば返済可能な場合
- 自己破産:借金総額が大きすぎる、収入が少ないなどで支払い不能な場合
ただし、個人再生と自己破産にはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあるので、どちらの手続きが適しているかは他の要素も考慮して総合的に判断する必要があります。
債務整理を成功させるためには、弁護士または司法書士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
エポスカードとの任意整理は弁護士・司法書士に相談を
エポスカードが良心的に対応してくれるとはいっても、任意整理を成功させるには専門的な知識と交渉力が必要です。そのため、弁護士または司法書士といった専門家に依頼して手続きを進めることを強くおすすめします。
エポスカードとの任意整理を専門家に依頼することで、以下のメリットが得られます。
- 取り立てや督促をすぐに止めてもらえる
- 和解交渉を専門家に任せることができる
- 過払い金の調査と返還請求の手続きも専門家に任せることができる
- より有利な条件での和解が期待できる
- 必要に応じて個人再生や自己破産に切り替えることも可能
まとめ
エポスカードは任意整理に協力的な業者ですが、債務者の希望に対して全面的に応じてくれるわけではありません。最低限、元金は全額返済する必要があります。
多くの場合は他にも借り入れがあり、他社が提示する和解条件との兼ね合いで交渉が難しくなることもあるでしょう。
弁護士または司法書士に依頼すれば、専門家としての立場で交渉してもらえるので、より有利な条件での和解が期待できます。万が一、任意整理が難しい場合でも、最善の解決方法をアドバイスしてもらえます。
専門家のサポート受けて、エポスカードとの任意整理を成功させましょう。