当サイトはPRを含みます。

引田法律事務所の通知書・電話を無視するリスクとは?時効援用の注意点を解説

この記事でわかること
  • 引田法律事務所は古い債務の支払いを請求することが多い
  • 引田法律事務所の通知書や電話を無視すると財産を差し押さえられるおそれがある
  • 消滅時効が完成している場合は援用する必要がある
  • 引田法律事務所の督促はしつこいため債務の承認をしないように注意が必要である

引田法律事務所から突然、通知書や電話で支払いを請求され、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。架空請求などの詐欺被害が多発している昨今ですので、身に覚えがない請求は自分には関係ないことだと放置する方もいるようです。

引田法律事務所は日本弁護士連合会に登録している弁護士が運営する事務所です。弁護士からの請求ですので、通知書や電話を無視すると、裁判や差押えに発展することがあることに注意しなければなりません。

もっとも、引田法律事務所が請求する債権は時効にかかっていることも多く、時効援用により支払いを免れる可能性もあります。

この記事では、引田法律事務所からの通知書や電話を無視するリスクや、時効援用をする際の注意点などについて、わかりやすく解説します。

引田法律事務所とは

引田法律事務所は、東京都中央区日本橋にある弁護事務所です。詐欺などの悪質業者ではありません。
事務所の概要は以下のとおりです(2025年6月現在)。

事務所名 弁護士法人引田法律事務所
所在地 〒103-0016 東京都中央区日本橋小網町6番7号 第二山万ビル3階
連絡先 (電話)03-6629-5000
(FAX)03-6629-5003
(フリーダイヤル)0120-550-325、0120-550-174 など
取り扱い業務 主に債権回収
所属弁護士 代表弁護士 引田 紀之(東京弁護士会所属 登録番号26759)
ほか5名

昨今は弁護士や法律事務所の名前をかたる詐欺の事例も多いです。引田法律事務所を名乗る通知書や電話が来たときは、まず、上記の情報と照らし合わせて、何の請求なのかをご確認ください。

引田法律事務所から通知書や電話が来る理由

引田法律事務所は債権回収を主に取り扱っている弁護士事務所です。なので通知書や電話が来たときは、何らかの債務を滞納している可能性があります。

債権回収とは、未払いとなっている債権について、債務者に支払わせるための活動のことです。引田法律事務所は、以下の企業から依頼を受け、代理人として債権回収を行うことが多いです。

  • 日本保証(旧日栄、旧ロプロ。武富士の事業も承継。)
  • パルティール債権回収
  • アウロラ債権回収
  • リベラルアセット
  • PayPayカード(旧ワイジェイカード、旧Yahoo!Japanカード)

この他の企業や個人も、引田法律事務所へ債権回収を依頼している可能性があります。引田法律事務所からも滞納先の債権者名が伝えられますので、本当に滞納しているかをご確認ください。

引田法律事務所の通知書や電話を無視するリスク

引田法律事務所からの請求は詐欺ではなく弁護士によるものですので、無視してはいけません。もし、無視すると以下のリスクが生じることに注意が必要です。

しつこく督促される

連絡が取れなければ、何度も文書や電話で督促されてしまいます。

引田法律事務所は違法業者ではないので、脅迫的な取り立てを行ったり、昼夜を問わず頻繁に電話をかけてくるようなことはありません。しかし、債務者と連絡がとれるまでは、連日のように督促が繰り返されます。

督促が続くと精神的なストレスになるでしょうし、家族の方に「借金があるのではないか」などと不審がられることもあるでしょう。

自宅に取り立てに来ることもある

引田事務所の督促は、債務者の自宅を訪問して行うこともあります。

もっとも、弁護士が自宅に来るわけではなく、オリファサービス債権回収や日本インヴェスティゲーションといった債権回収会社に委託して自宅訪問をする例が見受けられます。

自宅まで取り立てに来られると精神的なストレスが大きくなります。相手の交渉に応じてしまい、時効が完成していても債務の承認をしてしまうケースもあります。そうなると、時効援用ができなくなるおそれもあります。

裁判を起こされる

引田法律事務所の通知書や電話を無視したまま放置し続けると、法的手続きに発展する可能性が十分にあります。

法的手続きを取られると、まずは裁判所から自宅に「訴状」や「支払督促」といった書類が届けられます。

どちらの場合も、放置すると裁判所で引田法律事務所側の言い分がすべて認められ、判決や仮執行宣言付き支払督促が確定してしまうことに注意が必要です。

その後は、分割払いなどの和解を申し出ても、応じてもらえる見込みはほとんどありません。

財産を差し押さえられる

判決や仮執行宣言付き支払督促が確定すると、債権者は強制執行手続きにより、債務者の財産を差し押さえることが可能となります。

引田法律事務所からの請求で差押えの対象となる財産は、主に給料や預金口座などです。事前の予告などはなく、強制執行を申し立てられると、ある日突然に差し押さえられてしまいますので、注意しましょう。

給料を差し押さえられた場合には、毎月の給料から一部が差し引かれます。預金口座が差し押さえられた場合には、その口座が凍結された上で、預金残高を上限として請求額が全額、差し引かれます。

こうなると、生活費に困窮することもあるでしょうし、家族に負債がバレることもあるでしょう。また、給料を差し押さえられた場合、職場の人には確実にバレてしまいます。

引田法律事務所の督促がしつこい理由

引田法律事務所の通知書や電話を無視しようとしても、実際にはしつこい督促が行われるため、無視し続けることは困難です。

引田法律事務所の督促がしつこい理由は、以下のとおりです。

時効完成が迫っているため早急に支払わせたいから

引田法律事務所は、さまざまな債権者から依頼を受けて債権回収を行っていますが、古い債権の支払いを請求することも多いです。

中には、時効完成が迫っている債権もあることが考えられます。時効が完成してしまうと債権回収が難しくなってしまうので、その前に支払わせようと考えて、しつこく督促してくるのです。

時効が完成しているため任意に支払わせたいから

時効が完成しても、債務者が「時効援用」をするまで、その借金は消滅しません。引田法律事務所は、時効が完成している債権でも、債務者が任意に支払うことを期待して督促することがあります。

この点、裁判を起こしてしまうと、債務者が弁護士に相談して時効に関する正しい知識を持ち、時効援用をする可能性が高まります。

そのため、引田法律事務所は、なるべく債務者が正しい知識を得る前に、時効援用をしないまま支払わせようとして、しつこい督促をしているものと考えられるのです。

まずは時効が完成していないかを確認しよう

時効が完成している場合、その借金を返済する必要はありません。そのため、引田法律事務所から督促を受けたら、まずは元の債権について時効が完成していないかを確認しましょう。

借金の時効とは

借金にも時効があり、最後の取引から一定の期間が経過すると、債務者の支払い義務は消滅します。このように、債務が消滅する時効のことを「消滅時効」といいます。

借金の消滅時効の期間は、以下のとおりです。

  • 業者(金融機関や消費者金融など)からの借金…最後の取引から5年
  • 個人間の借金…最後の取引から5年(2020年3月以前に借りた場合は10年)

消滅時効の成立条件

消滅時効の成立を理由として支払いを拒否するためには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 時効期間が経過したこと
  • 時効の中断(更新・完成猶予)事由がないこと
  • 時効を援用したこと

時効期間が経過していても、その間に以下のことがあると、時効は更新されてしまいます。時効の更新とは、それまで進行していた時効期間がリセットされ、再びゼロから進行し始めることです。

  • 裁判や支払督促で債務が確定した
  • 債務者が債務を承認した

なお、裁判や支払督促で債務が確定した場合、その後の時効期間は10年に伸張されますので、ご注意ください。

また、督促(裁判外での支払い請求)を受けた場合には、そのときから6ヶ月間だけ、時効の完成が猶予されます。

以上のような中断事由がないまま時効期間が経過し、完成した時効を債務者が援用してはじめて、借金の支払い義務が消滅するのです。

時効が完成しているか確認する方法

時効が完成しているかを確認するためには、まず、最後の取引がいつかを確認する必要があります。元の債務について、以下の資料が手元にないかを確認してみてください。

  • 借用書(金銭消費貸借契約書)
  • 返済に関する資料(返済用口座の通帳の履歴や振り込み明細書など)
  • これまでに届いた督促状や催告書などの請求文書

資料が不足する場合は、元の債権者から取引履歴を取り寄せることが有効です。

それから、今までに元の債権者や債権回収会社などから裁判を起こされたり、支払督促を申し立てられたりしたことがないかを確認します。

もっとも、裁判や支払督促で債務が確定している場合には、引田法律事務所からその旨を告げられるはずですので、あまり気にする必要はないでしょう。

時効援用の方法と注意点

時効が完成している場合には、「時効援用」が必要です。

ここでは、時効援用の方法や注意点についてご説明します。

時効援用とは

時効援用とは、時効完成によって利益を受ける人が、相手方に対して、時効の利益を受ける旨の意思表示をすることです。

借金の消滅時効を援用する場合は、「この借金については消滅時効が完成したので、支払いません」と意思表示をすることになります。

消滅時効が完成しても、その時効を援用するまで支払い義務は消滅しません。

時効援用の手続き

時効援用をするために必要な手続きの内容は、法律では特に決められていません。そのため、口頭で意思を表示するだけでも有効です。

しかしながら、時効を援用したことの証拠を残しておかなければ、後日、債権者が改めて請求してくることも少なくありません。その際に債務の承認をしてしまうと時効が更新されてしまい、支払いを免れなくなるおそれもあります。

このような事態を防止するため、借金の消滅時効を援用する際には、「消滅時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便で債権者宛に送付するのが一般的です。

内容証明郵便とは、誰が、いつ、誰に、どのような内容の文書を送付したのかを、郵便局が証明してくれる郵便物のことです。配達証明を付ければ、相手方が文書を受け取った事実と、その年月日も証明されますので、時効援用の確かな証拠となります。

消滅時効援用通知書に決まった様式はありませんが、以下の事項は記載する必要があります。

  • 債権者を特定する情報(名称や所在地)
  • 債務者を特定する情報(氏名や住所)
  • 債権を特定する情報(債権の種類、借入日、約定返済日、残元金)
  • 消滅時効が完成したこと
  • 時効を援用すること
  • 文書の作成日付

債務の承認に要注意

引田法律事務所から督促を受けた際に、債務の承認をすると時効が更新され、支払いを免れることができなくなってしまいます。そのため、債務の承認をしないように注意することは、非常に重要です。

債務の承認とは、文字どおり、債務を負っていることを認める旨の意思表示のことです。具体的には、以下の言動が債務の承認に該当します。

  • 債務の一部でも返済する
  • 分割払いを求める
  • 支払期限の延期を求める
  • 減額を求める
  • 「支払いたいがお金がないので支払えない」と言う

引田法律事務所から通知書が届いたとき、安易に電話連絡をすると、担当者から言葉巧みに債務の承認に該当する言動を引き出されてしまうおそれがあります。電話がかかってきたときも同様です。

債務者が自分で対応すると債務を承認してしまうおそれがありますので、引田法律事務所への対応はなるべく、弁護士や司法書士といった法律の専門家に任せる方が望ましいといえます。

消滅時効が完成していない場合の対処法

消滅時効が完成していない場合は、引田法律事務所への支払い義務を負っています。その場合の対処法は、以下のとおりです。

支払い方法を交渉する

請求された金額を支払える場合は、速やかに支払えば問題ありません。

すぐに支払えない場合は、引田法律事務所へ連絡して、支払い方法の交渉をしてみましょう。

引田法律事務所としても、債務者が任意に支払うことで、法的手続きにかかる労力がコストを削減できるというメリットが得られます。そのため、支払期限の延期や分割払いなどの交渉にも、ある程度は応じてくれます。

債務整理を検討する

請求された金額をそのまま支払うことが難しい場合には、債務整理を視野に入れた方がよいでしょう。引田法律事務所も債務整理に反対することはありませんし、元の債権者も債務整理には協力的です。

債務整理とは、法律に則った手続きにより債務を正当に減免し、借金問題を解決することが可能な制度のことです。具体的には、主に任意整理・個人再生・自己破産などの手続きがあります。

他にも借金を抱えている場合は、債務整理で全面的な解決を図ることも検討してみた方がよいでしょう。

引田法律事務所からの請求で弁護士・司法書士に相談するメリット

引田法律事務所から通知書や電話で請求されて困ったときは、弁護士または司法書士に相談してみることをおすすめします。

法律の専門家によるサポートを受けることで、以下のメリットが得られます。

時効が完成していないかないか判断してもらえる

まずは時効が完成しているかどうかを確認することが重要ですが、そのためには専門的な知識を要する上に、最後の取引の時期がわからないために判断が難しいこともあるでしょう。

そんなときには、弁護士・司法書士に相談すれば正しい知識が得られます。調査を依頼し、取引履歴を取り寄せてもらうなどした上で、的確に判断してもらうことも可能です。

また、依頼後は弁護士・司法書士が代理人として、引田法律事務所に対応してくれます。法律のプロに対応してもらうことで、債務承認のリスクを回避できるというメリットも得られます。

時効援用の手続きを任せられる

時効が完成している場合には、弁護士・司法書士に時効援用の手続きを任せることができます。

弁護士・司法書士が正しく手続きを行ってくれますので、時効援用にかかる労力や時間を削減することが可能です。

かつ、弁護士・司法書士の事務所が引田法律事務所との連絡窓口となってくれますので、引田法律事務所から確認の連絡が来た際に債務を承認してしまい、時効援用に失敗するおそれもありません。

債務整理の手続きを一任できる

債務整理が必要な場合には、その手続きを弁護士・司法書士に一任できます。

借金問題を債務整理で解決するためには、状況に合った手続きを選択した上で、複雑な手続きを正しく進めなければなりません。

そのためには専門的な知識や経験が要求されますが、弁護士・司法書士の力を借りることで最適な手続きを選択できますし、複雑な手続きは全面的に弁護士・司法書士が代行してくれるのです。

まとめ

引田法律事務所は詐欺業者ではありませんが、古い債権の支払いを請求してくることも多いので、まずは時効が完成しているかどうかを確認することが重要です。

時効が完成している場合でも、無視していると裁判を起こされ、給料や預金口座を差し押さえられることがあるので、通知書や電話を無視してはいけません。

引田法律事務所から請求されて困ったときは、時効援用を正しく行うためにも、残った借金問題をスムーズに解決するためにも、一度、弁護士・司法書士にご相談ください。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

時効援用
タイトルとURLをコピーしました