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システム金融とは?中小企業を狙った闇金の手口と被害に遭った時の対処法

システム金融とは?中小企業を狙った闇金の手口と被害に遭った時の対処法
今井 亨

監修今井 亨
/グリフィン法務事務所 代表

グリフィン法務事務所は闇金や違法金融に注力する司法書士事務所です。闇金の解決実績は国内ではトップクラスです。

この記事でわかること
  • システム金融とは手形・小切手を利用して融資を行う闇金である
  • 返済できなければ次々に闇金を紹介される
  • 利用すると会社の倒産に至る可能性が高い
  • 被害に遭ったときは専門家への相談が有効

中小企業や個人事業主に資金を融資する「システム金融」と呼ばれる業者は以前から存在していましたが、近年になってシステム金融の被害に遭う人が増加しています。

システム金融に手形・小切手を渡せばすぐに融資が受けられるため、資金繰りに困った事業者の利用が増えているのです。しかし、システム金融の実態は闇金です。絶対に利用してはいけません。

この記事では、以下について分かりやすく解説します。

  • システム金融とは何か
  • システム金融の手口
  • システム金融の被害に遭ったときの対処法

システム金融とは

システム金融とは、主に中小企業・個人事業主向けにダイレクトメールやチラシ、FAX機を使って融資を勧誘し、手形や小切手を担保に取って融資を行う業者のことです。そのシステムは、以下のとおりです。

手形・小切手を担保に融資が行われる

システム金融業者に融資を申し込むと、まず手形または小切手を送るように指示されます。その券面額に応じて融資が行われますが、その際、法外な利息を差し引かれます。

例えば、以下の3枚の手形・小切手を送れば、40万円を即日融資するなどといわれます。

  • 1枚目:券面額20万円(満期は1週間後)
  • 2枚目:券面額20万円(満期は2週間後)
  • 3枚目:券面額20万円(満期は3週間後)

この場合、40万円の融資を受けられるものの、合計60万円を返済しなければなりません。

それぞれの手形・小切手の満期までに券面額を返済しなければ、業者が決済に回すため、不渡りとなってしまいます。不渡りが2回発生すると銀行取引が停止されるため、会社は事実上倒産します。そのため、必ず返済しなければならないという状況に追い込まれます。

返済できなければ次々に借入先を紹介される

もっとも、満期までに返済できない場合には、他の借入先を紹介され、そこで借りて返済するように指示されるのが一般的です。また、紹介されなくても様々な業者が融資を勧誘してきます。

これらの業者は系列であったり顧客情報を共有しているため、返済に困っていると見るや、よってたかって顧客を食い物にしようとします。そのため、返済に迫られた借り手は次々に融資を受け、あっという間に借金が膨れ上がってしまいます。

個人向けのシステム金融も増えている

最近では、個人向けに融資を行うシステム金融業者も増えてきています。

そのシステム金融の特徴は以下の2点ですが、このうち2つめの特徴は個人に対しても適用できるものです。

  • 手形や小切手を担保に取る
  • 返済できなければ次々に借入先を紹介する

次々に紹介される業者や融資を勧誘してくる業者は、別かと思いきや、同一人物が運営しているケースも少なくありません。

システム金融は、別業者を装って借り手を囲い込み、多額の資金を貸し付けることが目的です。

システム金融で被害に遭うときの流れ

システム金融を利用して被害に遭うときの流れは、以下のようになります。

  1. 業者へ融資を申し込む
  2. 審査が行われる
  3. 手形・小切手を業者へ送付する
  4. 指定の口座へ資金が振り込まれる
  5. 業者が手形・小切手を決済に回す
  6. 返済が難しい場合は他の借入先を紹介される
  7. 不渡りを避けるために借金を重ねる
  8. 上記3~7が繰り返される
  9. 最終的には不渡りが発生し、会社が倒産する

システム金融業者は最初から「9」までのステップを想定して借り手を囲い込んでいきます。融資を受けるたびに法外な利息を要求されるため、一度利用すると最終的に不渡りを避けることは困難となります。

システム金融は闇金なので利用してはいけない

システム金融の実態は闇金です。その理由は以下のとおりです。

業者は貸金業登録をしていない

事業資金を融資することは貸金業にあたります。貸金業を営むには、国や地方自治体で貸金業登録を受けなければなりません。しかし、システム金融業者は貸金業登録など受けていません。無許可営業をしている違法業者であることは明らかです。

法外な利息を要求される

これまで説明しましたように、システム金融業者は法外な利息を要求してきます。利息制限法上の上限金利は年20%ですが、システム金融業者が要求する金利は年800%~2,000%にもなります。一般的な闇金業者よりも高利の利息を要求する業者も少なくありません。

これだけの利息を要求されると、返済は到底不可能で、不渡りによる倒産を避けられないのが通常です。システム金融は絶対に利用しないようにしましょう。

システム金融を利用したときに起こること

システム金融を利用してしまうと、以下の事態に追い込まれてしまいます。

手形・小切手を担保に取られているため金策に追われる

一般的な闇金業者から借りた場合には、返済できなければ厳しい取り立てを受けるという心配があるだけです。しかし、システム金融の場合は手形・小切手を担保に取られています。

不渡りを避けるために、一般的な闇金業者から借りた場合以上に、常に金策に追われることになります。

容赦なく手形・小切手を決済に回されて会社が倒産する

正規の貸金業者から融資を受けた場合なら、返済が難しい場合には少し待ってもらうこともできます。しかし、システム金融の場合は容赦なく手形・小切手を交換所に回します。不渡りの危険によって借り手に返済を迫るのがシステム金融の目的だからです。

会社を維持するために融資を申し込んだにもかかわらず、短期間のうちに2回の不渡りを出すと会社は倒産してしまいます。

次々に闇金から借りなければならない

不渡りを避けるためには、紹介された業者や勧誘してきた業者からお金を借りなければなりません。しかし、これらの業者も闇金です。さらに法外な利息を要求されるため、あっという間に返済不能な多額の借金ができてしまいます。

返済できなければ厳しい取り立てを受ける

会社が倒産したとしても、それで解決するわけではありません。そこから業者による厳しい取り立てが始まります。正規の貸金業者から借りた場合なら、破産を申し立てて会社を清算することで借金がなくなります。

しかし、システム金融は闇金なので、たとえ破産をしても恫喝的な取り立てをやめることはありません。

システム金融の被害に遭ったときの対処法

もし、システム金融を利用してしまった場合は、以下の対処法をとることで被害を防ぐことが可能です。

返済しない

まず、闇金に対してはそもそも返済する必要がないということを知っておきましょう。返済が不要となる理由は、以下のとおりです。

  • 闇金による融資は犯罪(出資法違反)に該当する
  • 民事上も契約は無効
  • 闇金が振り込んだ資金は不法原因給付にあたるため、返還請求できない

つまり、闇金に対しては利息を支払う必要がないだけでなく、元金も返済する必要はないのです。

不渡り異議の申し立てをする

理論上は返済する必要がなくても、返済しなければシステム金融業者は手形・小切手を交換所に回してしまいます。

不渡りが出てしまった場合には、手形交換所へ「不渡り異議の申し立て」をすることで、不渡りによるデメリットを回避できる可能性があります。

ただし、不渡り異議の申し立てをするためには、異議申立提供金として手形・小切手の券面額と同額の金銭を積み立てなければなりません。システム金融による被害を免れるためには、やはり不渡りが出る前の対処が重要となります。

弁護士・司法書士に依頼する

システム金融の被害に遭ったときは、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することが最も有効です。業者も犯罪を行っていることは承知しているので、弁護士・司法書士が交渉すれば以下のことが期待できます。

  • 業者が手形や小切手の返還に応じる
  • 返還に応じない場合でも、手形や小切手を交換所に回さなくなる
  • 取り立てをしなくなる

また、被害を警察に告訴することも有効ですが、弁護士に依頼すれば複雑な告訴手続きを代行してもらえます。

まとめ

システム金融は、資金繰りに困った中小企業などにすぐ融資してくれるため、一見便利な業者にも思えます。しかし、その実態は闇金であり、一度利用すると早晩、会社が倒産に至るおそれが極めて高くなります。

システム金融による被害を根本的に解決するには、弁護士・司法書士の力を借りる必要があるでしょう。専門家のサポートを受けて被害を最小限にとどめて、会社を守りましょう。

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