- リボ払いの借金も任意整理で減額できる
- 任意整理すればリボ払いの利息・手数料の支払いがなくなる
- 任意整理で解決するためには安定収入が必要である
- 弁護士・司法書士への依頼で有利な和解が期待できる
リボ払いは、毎月の返済の負担を抑えることができる便利な返済方法です。クレジットカードや消費者金融からの借入、銀行カードローンなどの返済方法として、多くの方が利用しています。
ただ、リボ払いの仕組みをよく知らずに利用を続けていると、残高が減らないことになりがちです。場合によっては、いつのまにか利用枠いっぱいにまで残高が増えてしまっていることもあります。
そのため、リボ払いの返済に行き詰まり、任意整理を検討する方が少なくありません。
この記事では、リボ払いの借金も任意整理で解決できるのか、できるとして借金をどこまで減額できるのかを解説します。任意整理で得られるその他のメリットや、事前に注意すべきデメリットもご紹介しますので、参考になさってください。
リボ払いとは
リボ払いとは、債務残高やカードの利用件数にかかわらず、毎月の支払い額が一定となる支払い方法のことです。
クレジットカードやカードローンの返済方法として指定されることが多い「残高スライド元利定額方式」では、債務残高が一定の枠を超えるごとに毎月の返済額が増えていきます。
例えば、債務残高が10万円までなら毎月の最低返済額は3,000円、10万円を超えて30万円に達するまでは毎月の最低返済額は5,000円、というように設定されているのです。
それぞれの枠の中では、キャッシングやショッピングを何度利用しても、最低返済額は元金・利息を含めて固定されています。この点で、通常の分割払いとは異なります。
毎月の返済額は自分で設定できますが、最低ラインに設定していると返済金の大半が利息・手数料分となり、元金がなかなか減らないことになります。
その上、一定の枠の中では何度利用しても毎月の返済額が増えないため、つい使いすぎてしまい借金が増大することになりがちです。
リボ払いも任意整理できる
リボ払いで作った借金でも、支障なく任意整理できます。
任意整理では債権者と交渉して合意する必要がありますが、問題はありません。クレジットカード会社も消費者金融も銀行も、任意整理を申し出れば交渉に応じてくれます。
「毎月の返済額を低く抑えてもらっていたのだから、話し合いに応じてもらえない」ということはありませんので、ご安心ください。
リボ払いの借金が任意整理で減額される仕組み
なぜ任意整理でリボ払いの借金を減額できるのかというと、利息・手数料がカットされるからです。
任意整理で債権者と交渉する事項は、主に以下の2点です。
- 将来利息(手数料)のカット
- 返済期間
一般的に、将来利息・手数料(今後発生するはずの利息・手数料)は、全額カットに応じてもらえます。その分だけ、今後の返済額が減るのです。
例えば、消費者金融から金利18%で30万円を借りている場合、利息は1ヶ月で4,000円を超えます。リボ払いで最低返済額を5,000円に設定しているとすれば、4,000円は利息分となり元金には1,000円しか減りません。
任意整理によって今後の利息・手数料が全額免除されると、5,000円全額が元金の支払いに充てられますので、返済の負担が大幅に減ることがおわかりいただけるでしょう。
返済期間の延長にも応じてもらうことができれば、毎月の返済額がさらに減ります。
【シミュレーション】任意整理でリボ払いの返済額をここまで減らせる
実際に任意整理でリボ払いの返済額をどこまで減らせるのかをイメージしやすいように、具体的な事例を挙げてシミュレーションしてみましょう。
【事例】
- 借金総額:150万円(3社から50万円ずつ借入)
- 金利:15%(3社とも)
- リボ払いによる毎月の返済額:3万円(各社1万円ずつ)
任意整理しない場合とした場合の返済額を比較すると、以下のようになります。
任意整理しない場合 | 任意整理した場合 | |
---|---|---|
返済総額 | 2,368,611円 | 150万円 |
利息・手数料の金額 | 868,611円 | 0円 |
支払い回数 | 79回 | 60回 |
毎月の返済額 | 3万円 | 25,000円 |
このように、返済総額が86万円以上も減り、毎月の返済額も5,000円減ります。その上に、返済期間が19ヶ月(1年7ヶ月)も短縮されるので、返済の負担はかなり楽になることでしょう。
なお、以上のシミュレーションは、あくまでも一例です。必ずしもこのとおりになるとは限りません。キャッシングや消費者金融からの借入では金利が18%程度のことが多いので、任意整理をすれば返済額がより大きく減るケースも少なくありません。
リボ払いの任意整理で得られるメリット
任意整理をすれば、リボ払いの返済総額が減ることの他にも以下のメリットが得られます。
督促が止まる
任意整理の手続きを始めれば、債権者からの督促が止まります。借金の滞納を放置していると何度も督促を受けますが、「任意整理をしたい」を申し出れば、電話や文書で「支払え」と催促されることはなくなるのです。
弁護士や司法書士に任意整理を依頼した場合には、受任通知が債権者に届いた時点で督促が止まります。その後は、和解が成立するまで返済する必要もありません。
毎月の返済額が減る可能性が高い
任意整理をすると、返済総額だけでなく毎月の返済額も減らせます。リボ払いで任意整理する場合も、毎月の返済額が減る可能性は高いといえます。
この点、リボ払いの任意整理では、返済期間はむしろ短縮されることが多いという特徴があります。なぜなら、もともとリボ払いでは返済期間が79回~84回など長期に及んでいることが多いからです。
しかし、任意整理後の返済期間は、原則的に3年~5年となります。それでも、今後の利息・手数料がカットされ、返済総額が大きく減ることから、毎月の返済額も減る可能性が高いのです。
早期に完済できる
リボ払いを利用し続けていると、「返しても返しても残高が減らない」という状態になりがちです。その原因は、返済金の大半が利息・手数料に充てられてしまうからです。
任意整理で今後の利息・手数料がカットされると、返済金は全額、元金に充てられるので、早期に完済できるようになります。状況によっては、3年以内の完済を目指せるケースもあるでしょう。
財産を手放す必要がない
任意整理の大きなメリットとして、財産を手放す必要がないということが挙げられます。
この点、債務整理のうち自己破産では一定の評価額を超える財産は処分されます。個人再生でも、高価な財産があると返済額があまり減らない可能性があります。自己破産でも個人再生でも、借金の担保がついている財産は引き揚げられてしまいます。
任意整理では財産状況は一切問われないため、これらのリスクを回避しつつ、リボ払いの借金を減らせるのです。
また、債務整理をせず借金の滞納を放置していると、債権者から裁判を起こされ、財産を差し押さえられてしまうというリスクがあります。
リボ払いの任意整理で注意すべきデメリット
一方で、任意整理には以下のデメリットもあります。リボ払いの借金を抱えている方も、事前にしっかりと確認しておきましょう。
・リボ払いを任意整理する場合も信用情報機関に登録されるので、新たにクレジットカードを作ったり、すでに保有しているカードを利用できなくなる
・換価価値のある高額商品を購入していた場合、その商品の返還を求められる場合がある
元金は減額できない
リボ払いの借金を任意整理でどこまで減らせるかは債権者との交渉次第ですが、基本的に元金のカットには応じてもらえません。
今後の利息・手数料をカットしても多額の元金が残る場合、任意整理では解決できないこともあります。
安定収入が必要
任意整理は、原則的に残元金を3年~5年で分割返済するという内容で和解を結ぶ手続きです。返済を継続しなければならないので、ある程度の安定収入が必要です。
無理に和解しても、返済が2回以上遅れると(和解内容により異なる場合があります。)、一括返済を請求され、払えなければ裁判を経て差し押さえを受けるおそれがあります。
家計の収支を見直したり、増収を図ったりすることで任意整理に成功する可能性を上げることもできますが、無理はしない方がよいでしょう。
ブラックリストに登録される
任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、ローンやクレジットカードなどを利用することが難しくなります。いわゆる「ブラックリスト」に登録された状態になるのです。
ただし、任意整理では、遅くとも完済から5年が経過するとブラックは解消されます。
なお、自己破産や個人再生をした場合も5年~7年ほどブラックリストに登録されます。債務整理をしなくても、滞納が2~3ヶ月続くとブラックリストに登録され、滞納を解消するまでブラックは解消されません。
この点を考えると、リボ払いの返済が難しくなった場合は、早めに任意整理をする方が得策であるといえます。
ショッピング枠だけの任意整理はできない
「ショッピング枠のリボ払いが苦しいので任意整理をしたいけれど、キャッシング枠は残しておきたい」という方も少なくありません。
残念ながら、このような取り扱いは認められません。なぜなら、任意整理の対象は「債権者」が単位となるからです。クレジットカード会社と任意整理するのであれば、そのカード会社に対する債務全体が対象となります。
つまり、ショッピング枠を任意整理しようとすれば、キャッシング枠も同時に任意整理することになります。したがって、そのカード全体が強制解約となり、使えなくなります。
さらに、任意整理をするとブラックリストの影響で、任意整理していないカードも含めてすべてのカードが利用できなくなることにもご注意ください。
和解できるとは限らない
任意整理で和解できるかどうかは債権者の意向次第なので、場合によっては和解できないこともあります。
交渉に一切応じない債権者はごくわずかですが、以下のようなケースでは和解条件が厳しくなる傾向にあります。
- 何度も滞納している
- 取引期間が短い
- 借りてからほとんど返していない
- 借入額が小さい
リボ払いに苦しんでいる方の中には、何度か滞納したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。1度や2度の滞納で和解できなくなるというわけではありませんが、債権者によって和解条件が厳しいか緩いかに差がありますので、注意が必要です。
預金口座が凍結されることがある
任意整理に限ったデメリットではありませんが、銀行カードローンを債務整理すると、その銀行で開設している預金口座が一時的に凍結されます。
凍結は1~3ヶ月ほどで解除されますが、その間は預金の出し入れができません。預金残高がある場合には、事前に引き出しておきましょう。また、その口座を給料の受け取りや各種料金の引き落としに利用している場合には、事前に口座を変更するか、支払い方法を振込みなどに変更しておく必要があります。
ローン商品を引き揚げられることがある
任意整理で財産が処分されることはありませんが、ローンで商品を購入した場合には、債権者にその商品を引き揚げられることがあります。なぜなら、購入者がローンを完済するまで、商品の所有権はローン会社に残っているからです。このことを「所有権留保」といいます。
実際にはクレジットカードのリボ払いで購入した商品が引き揚げられることはほとんどありません。とはいえ、車やバイクのように、高額で換金価値の高い商品を購入している場合は注意する必要があります。
リボ払いで任意整理しても払えないときの対処法
リボ払いで任意整理しても3年~5年で完済できない元金が残る場合でも、解決方法はあります。個人再生または自己破産を検討することです。どちらも、裁判所の手続きが必要ですが、一定の条件を満たせば強制的に利息・元金ともに減免されます。
個人再生と自己破産の特徴をまとめると、以下のとおりです。
個人再生 | 自己破産 |
---|---|
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任意整理では根本的な借金整理ができないので、個人再生や破産を検討提案します
リボ払いの返済が苦しくなったら弁護士・司法書士に相談を
リボ払いの返済が苦しくなったときは、まず弁護士・司法書士に相談してみることをおすすめします。
相談するだけでも借金をどれくらい減らせるかの目安がわかりますので、任意整理できるかどうか、すべきかどうかを判断しやすくなります。任意整理が難しい場合でも、最適な解決方法がわかります。
債務整理の方針が決まったら、弁護士・司法書士に依頼することで以下のメリットが得られます。
- 受任通知の送付により督促と返済が止まる
- 複雑な手続きを一任できる
- 任意整理では有利な和解が期待できる
- 個人再生と自己破産でも満足できる結果が期待できる
- 家族に内緒で手続きを行いやすい
まとめ
リボ払いを利用すれば毎月の返済の負担を抑えることができますが、利息・手数料の負担が重く、元金がなかなか減らないことを知っておかなければなりません。
任意整理で利息・手数料をカットすれば返済額を減らせますし、早期の完済を目指せます。元金が大きくなっていると個人再生や自己破産が必要となるケースもありますが、早めに対処すれば任意整理で解決できる可能性が高いです。
任意整理を成功させるためには、弁護士・司法書士のサポートを受けることを強くおすすめします。まずは、お気軽に弁護士・司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。