- 内容証明で督促状が届いたら裁判を起こされる一歩手前なので放置してはいけない
- 内容証明による督促状を受け取ったら、まず請求内容を確認することが重要である
- 内容証明による督促状が届いた後も話し合いにより解決できる可能性がある
- 内容証明で督促された債務を払えない場合は債務整理で解決できる
個人間の借金でも、滞納が続くと貸主から内容証明郵便で督促状が送られてくることもあります。突然、内容証明郵便が届いたら、驚かれる方も多いでしょう。
内容証明郵便に法的な強制力はありませんが、放置すると裁判や財産の差押えに発展する可能性が高いため、速やかな対処が必要です。
この記事では、内容証明郵便による借金の督促状を放置するリスクをご紹介した上で、正しい対処法も解説します。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、誰が、いつ、誰に対して、どのような内容の文書を送付したのかを郵便局が証明する郵便のことです。配達証明が付されている場合には、名宛て人が文書を受け取った年月日まで証明されます。
この内容証明郵便を受け取ると、「そんな連絡は受けていない」といった言い逃れができなくなります。そのため、個人間の借金問題を始めとする法的トラブルの当事者間で、何らかの請求をする側が相手方に対して内容証明郵便を送付することが多いです。
ただし、内容の真実性が証明されるわけではないため、受け取った内容証明郵便を放置しても、ただちに差押えなどの強制的な手続きが始まるわけではありません。
内容証明郵便で督促状が送られてくる理由
個人間借金の債権者(貸主)が内容証明郵便で督促状を送付する理由として、主に次の3つのことが挙げられます。
債務者(借主)に心理的圧力をかけるため
内容証明郵便という格式張った文書を受け取ると、ほとんどの人は心理的なプレッシャーを受けてしまいます。
多くの場合、内容証明郵便による督促状には「○日以内にお支払いいただけない場合は法的措置をとります」といった警告文が記載されているため、債務者は「何とかしてお金をすぐに用意しなければならない」という心理状態に追い込まれてしまうでしょう。
債務者に心理的圧力をかけることにより、借金の返済を促すことが主な目的のひとつです。
請求したことの証拠を残すため
債権者が送付した内容証明郵便は、借金の返済を請求したことの証拠となります。これにより、次の2つの法的効果が生じます。
- 支払期限の定めがない場合は、債務者が内容証明郵便を受け取ってから「相当の期間」(通常は1週間)が経過することにより、支払期限が到来する
- 支払期限の経過が証明されることにより、遅延損害金の請求が可能となる
また、当事者間の話し合いにおいて、債務者が内容証明郵便の内容に異議を述べなかった場合は、債権者の請求内容が真実であることの証拠のひとつとなることもあります。
消滅時効の完成を防ぐため
借金の消滅時効が完成する前に債権者が「催告」をした場合は、そのときから6ヶ月間だけ、消滅時効の完成が猶予されます。
「催告」とは、裁判外で支払いを請求することであり、口頭や電話による請求でも催告したことになります。しかし、証拠がなければ催告した事実が認められないおそれがあります。
その点、債権者が内容証明郵便で督促状を送付し、時効完成前に債務者が受け取れば、催告した事実が郵便局によって証明されるため、消滅時効の完成を確実に防ぐことが可能です。
内容証明郵便で届いた督促状を放置するとどうなる?
内容証明で届いた督促状を放置すると、以下のリスクが生じることに注意が必要です。
話し合いによる解決が難しくなる
内容証明郵便が届いた後でも、基本的に話し合いによる解決を図ることは可能です。多くの場合、内容証明郵便には次のような記載があります。
「○日以内に支払えない場合は、必ずご連絡ください」
「話し合いの機会を持ちたいので、ご連絡ください」
このような提案を無視し、連絡しないまま放置すると、債権者が「法的措置をとるしかない」と考えるため、その後は話し合いによる解決が難しくなりがちです。
裁判を起こされる
内容証明郵便を放置し続けると、実際に「支払督促」や「民事訴訟」(少額訴訟または通常訴訟)といった法的措置をとられることがあります。これらの裁判手続きを取られた場合には、裁判所から自宅に書類が届きます。
いずれの場合も、放置すると裁判所で債務が確定するため、その後は基本的に話し合いでは解決できなくなることに注意が必要です。
財産を差し押さえられる
裁判手続きで債務が確定すると、債権者は強制執行の申し立てをすることにより、債務者の財産を差し押さえることができるようになります。
差押えの対象となる財産は、主に給料や預金口座です。差押えが行われる前に予告などはないため、ある日突然、給料や預金口座を差し押さえられ、生活費に窮することにもなりかねません。
内容証明郵便による督促状が届いたときにやるべきこと
内容証明郵便による督促状が届いたときは、落ち着いて、以下の手順で対処していきましょう。
督促状の内容を確認する
まずは内容証明郵便を開封し、督促状の内容をしっかりと確認しましょう。具体的に確認すべき事項は、以下のとおりです。
- 差出人
- その差出人からお金を借りたことがあるか
- 借入日
- 請求内容(借入額、残高、利息、遅延損害金、支払期限、支払い方法)
督促状の内容を確認できたら、状況に応じて対処法を検討していきます。
消滅時効が完成していないか確認する
借入から長期間が経過している場合には、消滅時効が完成している可能性があります。
消滅時効が完成するための条件は、「時効期間が経過していること」と「時効が中断していないこと」です。
個人間借金の時効期間は、以下のとおりです。
- 2020年3月31日以前に借りた場合…最後の取引から10年
- 2020年4月1日以降に借りた場合…最後の取引から5年
「最後の取引」とは、何度か返済している場合は最後に返済したとき、1度も返済していない場合は借入のときを指します。
借入のときから10年または5年が経過していても、以下の事情がある場合は時効が中断しており、支払いを拒否できないことに注意が必要です。
- 少額でも支払いをした
- 支払いの約束をした
- 分割払いや支払期限の延期を申し入れた
- 時効完成前に催告された
- 時効完成前に裁判手続き(支払督促や民事訴訟など)を起こされた
消滅時効が完成している場合は、「消滅時効援用通知書」を作成し、内容証明郵便で差出人宛に送付しましょう。
分割払いや支払い猶予について交渉する
請求内容に間違いがなく、消滅時効も完成していない場合は、返済義務があります。すぐに支払えない場合は、督促状を受け取った後、速やかに差出人に連絡し、支払い方法について交渉しましょう。
どこまで交渉に応じてもらえるかは相手次第ですが、誠実に交渉すれば、分割払いや支払期限の延期、場合によっては減額に応じてもらえる可能性もあります。
支払い可能な内容で合意ができたら、必ず合意書を作成し、合意内容を文書として残しておきましょう。
債務整理を検討する
話し合いによる解決が難しい場合には、債務整理による解決を検討した方がよいでしょう。
債務整理には、主に次の3種類の手続きがあります。
- 任意整理…債権者との直接交渉により支払い方法を変更し、返済の負担を軽減する手続き
- 個人再生…裁判所の手続きを利用し、借金総額を大幅に減額し、分割返済する手続き
- 自己破産…裁判所の手続きを利用し、借金の全額免除が可能な手続き
任意整理では話し合いが必要ですが、弁護士・司法書士を通じて話し合うことにより、交渉可能となるケースも多いです。
個人再生および自己破産では、一定の条件を満たせば強制的に借金が減免されます。
違法・不当な督促状が届いたときの対処法
個人間借金では、違法・不当な督促状が届く場合もあります。そんなときは、安易にお金を支払わず、以下のように対処していきましょう。
差出人に心当たりがない場合
差出人に心当たりがない場合は、次のような可能性を考えてみることが必要です。
- 悪質業者による架空請求
- 債権回収業者による督促
- 貸主本人から依頼を受けた代理人による請求
架空請求の場合は、無視してください。決して連絡してはいけません。
債権回収業者を名乗っている場合も、架空請求など詐欺の可能性が高いです。正規の債権回収業者は、原則として個人間の借金は取り扱わないからです。
「代理人」と名乗る人物が弁護士・司法書士でない場合は、その人と交渉してはいけません。弁護士と一定の条件を満たした司法書士以外の者が、他人の法的トラブルに介入することは、弁護士法で禁止されているからです。この場合は、あくまでも貸主本人と交渉や、債務整理を行う必要があります。
法外な利息や遅延損害金を請求された場合
個人間借金の利息・遅延損害金の利率は、以下のとおり法律で上限が決められています。
- 利息…借入額に応じて年15~20%
- 遅延損害金…年109.5%
友人や知人から借金した場合、貸主が法律を知らずに法外な利息・遅延損害金を請求してくることもあります。この場合は、貸主に正しい説明をして話し合う必要があるでしょう。
SNSなどインターネットを介して個人から借金した場合は、貸主がはじめから法外な利息・遅延損害金を巻き上げる目的で融資をしている可能性が高いです。この場合には、速やかに警察や弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。
文面が脅迫的な場合
督促状に次のように脅迫的な文言が記載されている場合は、脅迫罪や恐喝罪などに該当する可能性があります。
「払わなければ命の保証はない」
「家に火をつける」
「家族や職場に請求する」
友人や知人が感情的になって脅迫的な督促状を送ってきたに過ぎない場合は、話し合いで解決できる可能性もあります。しかし、身の危険を感じるときは早めに警察へ相談した方がよいでしょう。
内容証明郵便による督促への対応を弁護士・司法書士に依頼するメリット
内容証明郵便で督促され、対応に困ったときは、弁護士・司法書士のサポートを受けることを検討してみましょう。以下のメリットが期待できます。
- 返済義務の有無と内容を判断してもらえる
- 状況に応じて最適な解決法を提案してもらえる
- 消滅時効が完成している場合は、時効援用の手続きを代行してもらえる
- 債権者との交渉を代行してもらえるため、自分で直接やりとりする必要がない
- 債務整理の手続きを一任できる
- 架空請求など違法・不当な請求に対処してもらえる
結果として、最適な形で借金問題の解決を図ることが可能となり、平穏な生活を取り戻すことができるでしょう。
まとめ
内容証明郵便による督促状が届いたときは、まず、落ち着いて内容を確認してください。正当な請求であれば、多くの場合は、債権者との交渉や債務整理による解決を検討することになるでしょう。
最適な解決方法を選択し、適切に手続きを進めるためには、専門的な知識も要求されます。困ったときは、早めに弁護士・司法書士にご相談ください。
法律の専門家の力を借りて、個人間の借金問題を解決してしまいましょう。

